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第三章 害虫駆除
⑨
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聖南私立女子高等学校は、神部が就任してから経営も安定した。しかし彼の双子の娘が入学すると、この学園は彼女たちの残酷な遊び場になっていく。
凜花も優花も幼い頃から、自分より弱い者をいじめるのが大好きだった。他人が苦しむ様子を見て笑うような、歪んだ性格で大人になるにつれて、それを上手く隠すようになっていた。
クラス替えのない教室は彼女たちの実験場で、誰かが常にいじめのターゲットになる。彼女たちの意見や提案に賛同しない者は、次のいじめのターゲットにされた。
教師に言ったところで、教員達は理事長の娘には逆らえない。注意をした教師が、この学校から追い出されたり、デマや犯罪をなすりつけるような恐ろしい報復をされ、精神を病んだ者を何人も見ているからだ。
教員も生徒も、恐ろしい悪魔のような双子の言いなりになるしかなかった。ここで生き残るには一つ。報復を恐れて大人しく彼女たちに従うか、自己都合で学校を辞めるか。それができない者は、追い詰められて精神を病むか、自死して命を断つしかない。
『凜花と優花がこの学園の女王様だから。あんたらは、優花たちの犬だからね。特に学年トップの凜花には逆らわないこと。笑顔で挨拶、身だしなみは綺麗に。で、ブスと可愛い子には人権なしだから』
『ちゃんと聖南女子の生徒として自覚をもでば大丈夫よ。礼儀正しく、学生らしく過ごせば親御さんも安心するじゃない? あなたたちの評判は私たちのお父様に関わるの。さてそれができていない今月のターゲットは、桜井。お前ね』
桜井鳴海は、地味で暗い優踏生だった。挨拶も緊張して上手くできない性格だが、彼女なりに努力し、成績も、凜花のすぐ後ろまで追いつくほど頑張ったが、それが逆鱗に触れてしまった。
凜花の号令と共に、桜井は無視や悪口などあまりにも酷いいじめの対象になってしまった。
それを見ていられず、庇ったのが友人の高階凛。当時の桜井と凛は仲が良く、彼女の性格は明るくて真面目で優しく、面倒見もいいところからクラスでは密かに人気者だった。
『高階、私たちに逆らう気なの?』
『神部さん。もうこんな酷いことはやめて。こんなことをしてなんになるの? みんなだって、こんな恐怖政治みたいなの、望んでないでしょ?』
『…………』
凛の言葉には、内心で全員が同意をしていた。だが学校の外でも中でも大きな権力を持つ彼女達には、逆らえない。それを一番良く理解していた凜花は、美しい顔を歪ませてせせら笑い、凜を指指すと言った。
『この一年間……ううん。私たちに逆らったんだから、高階凛は、卒業するまでターゲットにするから、覚悟してね?』
それから双子を中心にして、助けたはずの桜井まで加わり、凛を虐めの対象にした。それでも彼女は明るく振るまい、虐めに負けないように毎日学校に登校して来た。
双子の目がない時は、そんな彼女に声を掛ける生徒も居たようだが、なかなか心が折れない凛に、双子たちは次第に苛立ちを覚えていた。
『あいつ、辞めさせたいわ。本当に目障りなんだもん。私と、名前の一文字が被っているのも気に入らない』
『凜花、あいつらに頼もうかな。ちょっと痛めつけてもらう? もう学校に来れないようにするの』
『それ、良いわね優花。暴行の様子を動画に撮ったらいいんじゃない。学校にばら撒くって言われたら、もう来ないでしょ?』
半グレとの繋がりのある優花が、凜花の指示に従い、近藤、阿久津、斎藤に頼んで彼女を襲うように命じた。
その日から凛は学校を休みがちになり性格も沈みがちになっていった。そして、細く繋がった糸を切るように、とうとう双子たちは廃工場に凛を呼び出した。
凜花も優花も幼い頃から、自分より弱い者をいじめるのが大好きだった。他人が苦しむ様子を見て笑うような、歪んだ性格で大人になるにつれて、それを上手く隠すようになっていた。
クラス替えのない教室は彼女たちの実験場で、誰かが常にいじめのターゲットになる。彼女たちの意見や提案に賛同しない者は、次のいじめのターゲットにされた。
教師に言ったところで、教員達は理事長の娘には逆らえない。注意をした教師が、この学校から追い出されたり、デマや犯罪をなすりつけるような恐ろしい報復をされ、精神を病んだ者を何人も見ているからだ。
教員も生徒も、恐ろしい悪魔のような双子の言いなりになるしかなかった。ここで生き残るには一つ。報復を恐れて大人しく彼女たちに従うか、自己都合で学校を辞めるか。それができない者は、追い詰められて精神を病むか、自死して命を断つしかない。
『凜花と優花がこの学園の女王様だから。あんたらは、優花たちの犬だからね。特に学年トップの凜花には逆らわないこと。笑顔で挨拶、身だしなみは綺麗に。で、ブスと可愛い子には人権なしだから』
『ちゃんと聖南女子の生徒として自覚をもでば大丈夫よ。礼儀正しく、学生らしく過ごせば親御さんも安心するじゃない? あなたたちの評判は私たちのお父様に関わるの。さてそれができていない今月のターゲットは、桜井。お前ね』
桜井鳴海は、地味で暗い優踏生だった。挨拶も緊張して上手くできない性格だが、彼女なりに努力し、成績も、凜花のすぐ後ろまで追いつくほど頑張ったが、それが逆鱗に触れてしまった。
凜花の号令と共に、桜井は無視や悪口などあまりにも酷いいじめの対象になってしまった。
それを見ていられず、庇ったのが友人の高階凛。当時の桜井と凛は仲が良く、彼女の性格は明るくて真面目で優しく、面倒見もいいところからクラスでは密かに人気者だった。
『高階、私たちに逆らう気なの?』
『神部さん。もうこんな酷いことはやめて。こんなことをしてなんになるの? みんなだって、こんな恐怖政治みたいなの、望んでないでしょ?』
『…………』
凛の言葉には、内心で全員が同意をしていた。だが学校の外でも中でも大きな権力を持つ彼女達には、逆らえない。それを一番良く理解していた凜花は、美しい顔を歪ませてせせら笑い、凜を指指すと言った。
『この一年間……ううん。私たちに逆らったんだから、高階凛は、卒業するまでターゲットにするから、覚悟してね?』
それから双子を中心にして、助けたはずの桜井まで加わり、凛を虐めの対象にした。それでも彼女は明るく振るまい、虐めに負けないように毎日学校に登校して来た。
双子の目がない時は、そんな彼女に声を掛ける生徒も居たようだが、なかなか心が折れない凛に、双子たちは次第に苛立ちを覚えていた。
『あいつ、辞めさせたいわ。本当に目障りなんだもん。私と、名前の一文字が被っているのも気に入らない』
『凜花、あいつらに頼もうかな。ちょっと痛めつけてもらう? もう学校に来れないようにするの』
『それ、良いわね優花。暴行の様子を動画に撮ったらいいんじゃない。学校にばら撒くって言われたら、もう来ないでしょ?』
半グレとの繋がりのある優花が、凜花の指示に従い、近藤、阿久津、斎藤に頼んで彼女を襲うように命じた。
その日から凛は学校を休みがちになり性格も沈みがちになっていった。そして、細く繋がった糸を切るように、とうとう双子たちは廃工場に凛を呼び出した。
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