【R18】花街の朧狐は契約の巫女を溺愛する〜お狐様のお仕置き〜

蒼琉璃

文字の大きさ
上 下
3 / 46

参 脅迫

しおりを挟む
『あんなことしてもうたら、そら祟られるに決まってるやろ? 観念するしかあらへんなぁ』

 私は金縛りにあったまま、目の前にいる男の人を凝視した。ウェーブがかった短い銀髪にキツネ目、赤い口の中に見える犬歯、それに白い狐みたいな耳が生えている。
 これは夢なの……?
 でも、隣には親友の莉緒りおちゃんが寝息を立ててるし、なんだかこの人の気配も、全然夢っぽくなくてリアルだ。コスプレした強盗なのかな、と思ったけど、私にはなんとなく思い当たる節があった。
 
「あの……貴方はどなたですか……お、大声出しますよ」
『かまへんで。俺の姿は術を解かん限りは他の人間には見えへんさかい。叫んだかて、あんたがおかしなったと思われるだけや。なんや、思い当たる節があるんとちゃうんか、つむぎちゃん』
「な、なんで私の名前を……私の名前を知ってるの?」

 そう言うと、その人は長い指で私の唇に触れた。
 ニィッと笑う狐目は、完全な糸目になり、なんだかちょっと怖い。だけどこの人がさっき言ったように、私には思い当たるところがある。
 私たち、大学のサークル仲間で加藤くん、山崎くん、それに莉緒ちゃんと京都に旅行に来ていた。それで、夜に肝試しに行ったんだけど……。
 お酒に酔った勢いで、山崎くんと莉緒ちゃんがふざけて祠に乗ったんだ。
 それから、加藤くんもその場の雰囲気に飲まれたのか、祠にビールかけたりしちゃったんだ。私は、あまりにも非常識すぎて、すぐに止めるように言ったんだけど全然聞いてくれなかったんだよね。
 まさか、あの祠って……稲荷だったの?

『せや、正解やな。最近の人間は昔みたいに信心深くあらへんからなぁ。なぁんにも信じてへんのやろ。あんたも、稲荷を怒らせたら怖い言うこと知らんのやろ?』
「……ご、ごめんなさ……い。わ、私、とめようと思って」

 私はガクガクと震えた。
 実は、私には昔から少し霊感みたいなものがあって、心霊スポットには近付かないようにしてたんだけど、今日は莉緒ちゃんに何度もお願いされて結局行っちゃったんだ。
 莉緒ちゃんは、山崎くんが好きだって言ってたから、その場の勢いで彼に合わせてあんな事しちゃったんだと思う……。
 だって、普段はそんなことするような子じゃないし。でも、なんで止めようとした私の前にお狐様は出てきたんだろう。

『あんた止められへんかったやろ。可哀想に、あのガキどもは祟られるさかい、覚悟しい。今から神様に謝りにいくのも、眷族があんたらの言葉を通せへんかったら、謝罪も神様に届けへんしなぁ』
「そんな……どうしたら………?」

 お狐様はペロリと自分の唇を舐めると、ニンマリと耳元まで口を開けて笑った。きっと、私に霊感あるから、このお狐様はなにかしら交渉しようと来たんだと思うんだけど……、私は霊能者じゃないし、謝る事しかできない。 
 お狐様は構わず、私の両手首を掴むと耳元で囁いた。

『つむぎちゃん、あんたが体で返しぃや。神使である俺の機嫌をとれたら、神様に取次ぎしたってもええで。簡単なことやろ?』
「え……で、でも……隣に、莉緒ちゃんが……それに、わたし……」

 体って多分、そういうことだよね?
 私は思わず顔を赤くした。別にエッチの経験がないわけじゃないんだけど、正直に言うと……一回しかない。
 というよりあれは一回にも満たないと思う。
 お互い初めて同士で、あんまり上手くいかなくて、彼氏のアレが半分も入らなくて中折れしちゃったの。
 それから、なんかギクシャクしたまま彼と別れちゃったから、たぶん、私が彼に何か不快なことしちゃったのかな……って思って、今では反省してる。
 でも、前戯もそんなに気持ち良いものじゃなかったし、セックスってこんな感じなのかなと思ってた。
 だから、半分処女というか……色々とセックスには苦い思い出がある。

『あんたが、声出さへんかったらええんやで? しかし可哀想に、あんたはあんまり夜伽でええ思いしてはらへんのやなぁ。せやけど、あんたの親友ちゃんは、あのガキ二人とやったことあるみたいやし、なかなかの尻軽女やで』
「え……?」

 そんな情報いらなかった……。
 山崎くんに片思いしてるって言ってたし。
 スポーツ万能、さばさばして頭も良くて、あんなに純粋で優しくて可愛い莉緒ちゃんが……尻軽女?
 お狐様は、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべると私の首筋に口付けて、浴衣の中に冷たい手を差し入れてきた。ヒヤリとした感触に、ビクンと反応してしまう。
 指とは正反対の温かい舌が、ねっとりと首筋から耳の付け根まで辿ると、私の呼吸が乱れてきた。
 なんか、変……ぞくぞくしちゃう。
 胸なんて、全然感じない場所だと思っていたのに、冷たい指で揉まれると奥がじんじんして凄く、気持いいの。

「ふぁっ……んっ、ぁっ、……ゃ、やだっ……ふっ」
『ええ声や……せやけど、気ぃつけないやらしい声が親友ちゃんに聞こえてしまうで。もしあの子が気ぃついたら、せやなぁ。きちんとあの子にも落とし前つけてもらわなあかん。親友ちゃんが目の前で犯されるのは嫌やろ? 俺は構わへんけどな』

 お狐様は、耳元で意地悪に囁くとゾクリと背筋が寒くなった。
 このお狐様、クズっ……本当にクズだっ!
 そりゃ、祠にあんな悪戯したのを止められなかった私も悪いけど……、悪いけど。
 私はぐっと唇を結んで目を閉じた。こんな悪どい狐に感じないように声を殺さなくちゃ。
 でも、お狐様の大きな手は優しく、ほどよい力加減で胸を撫でて刺激してくるので、私は必死に布団を握りしめる。
 浴衣を腕まで脱がされたので、あまりにも恥ずかしくて思わず私は『やめて』と小さく抵抗した。

『恥ずかしいんやなぁ、つむぎちゃん。せやけどけっこう綺麗な胸しとるで……?』
「ふっ、ぅぅ、んっ、……んっ、ふっ……はぁ……ぁ……ゃ、ゃ、ん!!」

 お狐様の舌は分厚くて、柔らかい。
 胸を撫でるように這うと、思わず声が漏れちゃう。エッチな声が部屋に響いて、それだけでドキドキしちゃうなんて……なんか、おかしい。
 だって、私はこのお狐様に、犯されてるようなものじゃない。
 乳輪を優しく苛められて乳首をちゅくっと音を立てて吸われる。私は、たまらなくなってお狐様の着物を握ると、無意識に腰を浮かせた。
 その様子に、お狐様は嘲笑うように狐目を見開き、私の突起した部分に舌を絡めて転がすように愛撫した。

「んんっ……!! はぁっ、はぁ、んっ……ぁ、や、やだ、本当に待って……待ってぇっ……はぁっ……んっ、んん……」
『ガキみたいに駄々こねな。いきなり俺のチ●コ突っ込まれるんは嫌やろ? それに、つむぎちゃん、なんや……興奮しとるみたいやけどなぁ?』

 お狐様の手が、私の浴衣をめくって内股を撫でると、恥ずかしくなってそれを制した。
 嫌なはずなのになんで、なんでこんなにドキドキしてるんだろう。
 意地悪に内股を指の腹でいったりきたりと撫でられて、胸の突起をしゃぶられる……。
 やだ、何これすごく、くすぐったくて気持いい。
 半分だけでもあれだけ痛かったのに、何の前戯もせずに挿入されるのは嫌だから、もっと……もっと、触って欲しいな。
 私が一瞬手を緩めると、ニヤリと笑ったお狐様の指が、下着越しにあそこの筋を撫でた。

『ええ子や。抵抗するだけ無駄やからな。ちゃんと、気持ちええことしたるさかい、じっとしとき』
「はっ……ぅぅ、ぁっ、はぁっ、ぁ、ゃ………んっ、んんっ、……はぁっ、……ん、んんーっ」

 下着の上から縦筋をもて遊ぶみたいに指の腹で上下に撫でられると、悔しいのに、気持ちよくて涙が出る。
 自分でも布越しに濡れてくるのが分かって、お狐様が察したようにキスしてきた。
 お狐様の舌は凄く柔らかくて、ねっとりと絡みつくと、頭がぼんやりして……なんだか思考能力を奪われちゃう。
 私が喘ぎながら、もぞもぞと腰を動かすと、お狐様は下着の上から、少し強く押し付けるようにして指で花芽クリトリスを撫でた。
 
「あっ、はぁっ……あ、あんっ……はぁ、やぁっ、だめ、あぅ、あっ……んっ、はっ、はぁっ、そこいや、や、――――っっ!!」
『ほら、あんたの愛液が下着越しにようわかるわ。花芽さねをこうして指で掻いたら、すぐ、達したんやろ。シミになりそうやな』

 下着の隙間から、お狐様の指が入ってきて愛撫されると、莉緒ちゃんが寝返りを打った。すやすやと眠っているけど、私の心臓は飛び出しそうなくらいドキドキしている。
 お狐様はちらりと、莉緒ちゃんを見ると気にする様子もなく、そのまま指を挿入してくちゅくちゅと動かし始めた。
 ほ、本当に信じられない、こんなデリカシーの無い事をするなんて、最低!!
 でも、お狐様の指が入り口を愛撫してぐっと奥まで挿入されると、ビクビクと体が震えて声が抑えられない……何、これ。

しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない

若松だんご
恋愛
 ――俺には、将来を誓った相手がいるんです。  お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。  ――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。  ほげええっ!?  ちょっ、ちょっと待ってください、課長!  あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?  課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。  ――俺のところに来い。  オオカミ課長に、強引に同居させられた。  ――この方が、恋人らしいだろ。  うん。そうなんだけど。そうなんですけど。  気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。  イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。  (仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???  すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。

処理中です...