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淫蕩なる円舞曲①

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 エレンディルも幼い時はこんな風に抱きしめたられていたのだろうか。彼の生い立ちを詳しく聞いた訳ではないけれど、垣間見えた幼い頃の印象は、苦労が多いように思えた。
 不意にメリッサはむくれて、彼の尖った耳を揉んだ。こんな時で無いとエルフの耳に触れる事なんて出来ない。

「色気が無くてごめんなさい。何だかお疲れみたいだったから……」
「耳は止めろ、くすぐったい。あぁ、ララノアのつまらん話に何時間も付き合わされたからな。遠回しに新居の用意を始めるから、早くプロポーズしろとうるさい」

 メリッサは、ビクリと指を震わせた。ララノアはエレンディルとの婚約を急いでいる。もし彼女とエルフの主人が、結婚すれば自分はどうなるのだろう。69地区に返品されるのか、それとも別のエルフに奴隷として売られるのだろうか。心臓の音を聞くように耳をすませていたエレンディルは、不意に顔を此方に向けて、不安そうにするメリッサの蒼水色アイスブルーの瞳を見つめると、ふと口角を上げた。

「不安そうな顔だな。残念ながら俺はお前を手放すつもりは毛頭無い」
「あっ……!」

 不意に乳房をドレス越しに揉み上げられて、メリッサの体にじんわりと微弱の電気が通ったような快楽を感じた。まるで体が待ち望んでいたかのような敏感な反応だった。朝も昼も淫蕩な性行為に耽っていたのに、とメリッサは赤面する。エレンディルは楽しげに嗜虐的に笑みを浮かべると両腕を立てて、メリッサを覗き込んだ。妖艶な蒼玉サファイヤのような瞳を見ると、心臓が段々高鳴っていくのがわかる。

「ティリオンと二人で何をしていた?」
「――――っ」

 冷水を浴びせられたような問いに、メリッサは体を震わせ青褪めた。その反応に猛禽類のように鋭い瞳が細められると、蛇に睨まれた蛙のように体を固くした。エレンディルの愛玩人形なのに、義弟のティリオンに体を開いてしまった事に対しての罪悪感と、何か罰があるのだろうかと言う恐怖で子供のように震えた。

「言っただろ。あいつは、蝶や植物以外は全く興味の無いような知的で優男のように見えるが、手を出すのが早いと」
「え、エレンディルさま……ゆ、許してください……ぶたないで」

 怯えるメリッサの白のドレスを静かに脱がせると、絹糸のような肌となだらかな形の良い乳房、そして外気触れて主張するガーベラの胸の蕾が見えた。メリッサは緊張したような両手で体を覆い、恥毛のない薄桃色の亀裂を閉じた。
 罰に怯えるメリッサに笑うと、エレンディルは指先で頬に触れた。

「ぶつ……? お前のように高価で美しく、希少価値のある、この世で唯一の愛玩人形を殴り付ける程、俺は愚かしくは無い」

 エレンディルは体を起こすと、白いシャツを脱ぎ始める。怒る様子も無く、弟に触れられても余裕の様子で自分を見ている。
 均整の取れた肉体は鍛えられていて、腹筋が割れている。そして軍用の乗馬ズボンを脱ぎ捨てた。着替えをしている時に後ろ姿は見たが、ベッドの上で裸体になったエルフの主人をきちんと見たのはこれが初めてだった。
 既に日没したものの、まだ夜更けには遠くいつ、メイドやティリオンが入ってくるかも分からないような状況だ。人造鳥レプリカントのオウムの目がカチリと瞬くと、シャンデリアに淡く火が灯る。
 反射的に言ってしまった言葉だったが、今までエレンディルに淫らな仕置はされても、言いつけを守れなかったり間違えても折檻されるような事は一度も無かった。

「ごめん……なさい」
人間ヒューマンに興味のないあいつなのに、お前を見る目はエルフの女を見ている時と変わらないからな。――――メリッサ、弟に教えられた快楽なんぞ、記憶に残らない位にお前を抱いて、俺を刻み込んでやる」
「エレンディルさま、朝もアレをして、ま、また……?」

 嫉妬の色が見える青い瞳を見つめ、メリッサは思わず震える声で抗議した。だが、初めてまともに見るエレンディルの美しい鍛えられた裸体を目の前にすると、それだけで下腹部からじわじわと疼くような興奮を感じる。
 今までは軍服姿や高貴な姿で愛でられていたのに、全裸になった彼は人間ヒューマンと変わり無かった。彼が体を寄せると肌と肌が重なり合う温もりと心地よい感触に、興奮が駆け抜け震えた。そして柔らかな妖精族の花の香りのような体臭が鼻孔を擽ると瞳が濡れてくる。
 ――――エレンディルに、欲情している。

(今日は、あんなにアレをして……ティリオン様にも触れられたのに、まだ足りないの? どうして、したいなんて思ってしまったの。恥ずかしいわ、私はあんな事……好きじゃないもの)

 心の中でそう呟いてぎゅっと目を閉じたメリッサの背中を指の腹で下から上へとなぞられ、首筋に唇が這わされた瞬間に、膣の奥がぎゅっと閉まるような欲望を感じた。
 どんなに弁解し否定しても、隠す事など出来ない。ララノアの元から帰ったエレンディルに抱かれたいと思うのは、本能的な独占欲なのだろうか。

 指先が、背骨をなぞるように動かされるとメリッサの眉が八の字に歪められる。エレンディルの吐息を感じて、小さな耳朶にエルフの軍人の舌先が絡み、次の瞬間やんわりと甘噛みされると、たまらずにエレンディルの背中に両手を回した。

「っはぁっ、あっ、ぁん、はぁっ、んん、エレンディルさまぁ、ぁっ……」
「どうした、メリッサ。妙に甘く鳴いているな。今朝はあれ程嫌だ嫌だと言って、無意味な羞恥心に抗っていたのに―――。あぁ、そうか」

 メリッサの耳元で囁いていたエレンディルの声が一段と低くなって挑発するように囁かれた。

「ララノアに嫉妬しているのか?」
「――――っ」

 心臓が大きくうねった。図星だった。
 メリッサは彼の腕に指先を絡める。人間ヒューマン愛玩人形ドールが、あの絶世の美女の令嬢に嫉妬している。メリッサは心の内を見透かされた羞恥で、エレンディルの肩に顔を埋めた。言葉に出さなくとも、その仕草は嫉妬している事を肯定するには十分なものだった。エレンディルは何故か上機嫌になると、メリッサの体を抱きしめ反転させて、自分の胸に乗せた。分厚い胸板の上で、頬を染め潤んだ瞳でエレンディルを見た。

「メリッサ、俺が欲しいか? ララノアが望んでも得られる事の出来ない快楽が欲しいか?」

 ぞくぞくと自分の背筋に興奮が這い上がってくるのを感じた。高貴な淑女とはまだ交わっていないのだろうか。悔しいけれど、高潔なるエルフの主人の言葉にひとつひとつに翻弄されて気持ちが揺れてしまう。
 淫らな事なんて、ほんの少し前に覚えたばかりなのに、なんて淫らで卑しい人間ヒューマンなのだろうと罪悪感に感じながらも、彼に抗えなかった。

「エレンディル……様が、欲しいです……」
「きちんと言えたな。だが、もっと素直なお前が見たい。俺の上で自慰してみろ」

 エレンディルの要求に、耳まで紅くなりながら、彼の鋭く美しい蒼玉色サファイヤの瞳の視線に見つめられると、体が震えて逆らえない。この屋敷に連れてこられた時につけられた花のチョーカーを促すように指で撫でられると、メリッサは横になった彼の体の上に馬乗りになる。
 エレンディルが、両足を立ててくれたお陰で体を支える事が出来る。両足を立ててメリッサは優雅に自分を見つめる彼の視線に打ち震えながら言った。

「自分でしたこと無いです、だ、だから……上手には出来ないです」
「構わん。そんな事はどうでもいい、俺が欲しくて自慰するお前が見たい」
「は、はい……」

 素面しらふならば、自慰を見せるなんてあまりの羞恥に硬直してしまっただろうが、この高潔なるエルフの軍人の目線は、まるで媚薬のようでふわふわとした気持ちになる。メリッサはおずおずと、エレンディルの体の上で足を開けると指先を自分の亀裂に這わせた。
 入浴時に触れる事はあっても、自分の欲望を満たすために秘部に触れた事は無い。不思議な感覚を覚えながら、エレンディルが何時も触れるようにたどたどしく指先を動かし始める。

「はぁ……はぁ………んっ……っ、はぁ……」

 重なった亀裂を指先で上下に優しく撫でると、まるで彼に触れられたような気持ちになって中指で下から上へとゆっくりと撫でていくと、徐々にメリッサの吐息は乱れ始める。
 エレンディルはその様子を見ながら、開けられた太腿の柔肌を撫でて不敵に微笑んでいる。こんなに恥ずかしい戯れなのに、エレンディルに見られていると凄く興奮してしまう。

「メリッサ、花芯クトリスが少し膨らんできたな。撫でてみろ……俺の名前を呼んでな」
「はぁ、はぁ……んっ、あっ! エレンディルさま、あっ、はぁ……エレンディルさまぁ……はぁ、はぁぅ、んっ」

 敏感にぷっくらと膨れた薄桃色の蕾を、中指で撫でると電流が走ったような快楽が走って、甘い声が大きく漏れた。エレンディルの名を読んで、敏感な花弁の肉芽を撫でると、堪らず蜜が溢れてくる。
 自分の愛撫にこんなに敏感に感じてしまうのは、理性的な瞳で見守るエルフの主人が目の前に居るからだ。愛らしい痴態を見守るエレンディルは、わざと太腿の付け根まで撫でて焦らした。メリッサが感じる一番気持ちの良い膨らんだ花芯を重点的に、撫で回していると徐々に腰が敏感に打ち震え始めた。

「俺の名を呼んで感じている姿は、なかなか良い余興だな。ほら、お前の蜜が溢れてきた……膣内なかに指を挿れて自分の好きなように動かしてみろ」
「はぁっ、はぁ……あ、あっんん、エレンディルさま、あっ、あぁ、はぁ……あ、あんん、気持ちいい」

 細い中指を蜜穴に挿入して、初めて自分の複雑な構造の膣内なかを感じた。まるで生き物のように吸い付く内部が指を加えて離さない。エレンディルに教えられた事を思い出しながら、ゆっくりと指を動かしていく。
 恥ずかしいのに、エレンディルの視線が体に絡みつくと体を震わせる程の快楽を感じた。高貴なエルフの前でいやらしく自慰をしている自分に被虐的な興奮を覚えていた。

「メリッサ、お前は俺にいやらしい姿を見られて興奮しているのか……? やはり俺の目に狂いは無いな。快楽を教え込む程に解放的に美しくなっていく。その被虐性は俺の体に良く合う」
「……はぁっ、あ、あっ、そんな、そんなの……はぁんっ、ひっ、エレンディルさま、だ、だめ、あぁ、あんん、あぁ、そこ、きもちいいっ、――――っ!!」

 不意にエレンディルの指先が亀裂に這わされ、花芯を器用に撫でられると自分で触れた時よりも何倍も激しい快感が体に走って、瞬間的に絶頂に達してしまった。ようやく触れて欲しい人に触れられた喜びで一気に達してしまったのだろうか。頬を染め蒼水色アイスブルーの瞳を潤ませ、指先を抜くと淫らな愛液が溢れて、エレンディルの下腹部を濡らした。
 達した瞬間に膣内なかから愛液がじわりと溢れて、主人を穢してしまったのだ。

「はぁ……エレンディル様、はぁ、ご、ごめんなさい……」
「何を謝る……? 俺に触れられた瞬間に達して濡らしたんだろ。もう我慢出来ないか、メリッサ」
「エレンディルさま、はぁ、もう我慢出来ません、もっと触れて欲しいです」

 起き上がり抱きしめられると、縋るように背中に腕を回した。自分でも驚く程に素直な言葉が口から零れ落ちる。頭を抱きながら満足そうに口角に笑みを浮かべると、唇を合わせながら再びメリッサを心地よい絹のシーツに横たえた。胸の間から臍の辺りまで分厚い舌先で這い、口付けながらエレンディルは言う。

「初めて素直になったな、メリッサ。良いだろう、お前が一番好きな事をしてやるよ。
 ――――あぁ、そうだ。もう直ぐこの邸で社交界がある。あのつまらない貴族達の腹の探り合いの集いにはうんざりとしているが、これも仕事だ。だがお前がいるなら、楽しくなるだろう」

 淫らに乳房を揉まれ、胸の蕾を中指で撫でながら会話を続けられると、妙な背徳感が背中をビクビクと震わせた。先程自慰で濡らした花弁を見るように足を大きく開けて押し上げると、エレンディルを誘うように桃色の蜜穴がヒクヒクと震えていた。
 既に濡れた花弁に舌先を這わせ、優しく開いた桃色の穴の入り口付近を舌先で円を描いて嘗めると、メリッサが指先で愛撫していた場所に吸い付く。火花が散るような快感が走って、メリッサは堪らず腰をくねらせた。だが押さえられ、淫らな音を立てながら上下左右に舌先をくねらせ上部に辿り着く。

「はっ、はぁっ、あっあっあっ! エレンディルさま、それ、きもちいい、あぁっ、はぁっ、あ、あぁんっ……はぁっ、んぁっ」
「ティリオンの時もそんな風に鳴いたのか? はぁ……んん、ほら言ってみろ」
「や、ぁ、わかんなっ……! はぁっ、ぁ、ああん、やぁ、やっ、やぁ、あぁ、そこ、んあ、あっあっあっ!」

 甘い歓声が震えて、言葉にならなかった。濡れたエルフの舌先は柔らかく、小さな蕾を重点的に撫で回すように舐められ、深く口付けるように吸いつかれると、何も考えられない位に激しい快楽を感じた。エレンディルに愛撫される度に体が開発されていくような気がする。
 亀裂の中に芽吹く小さな蕾を、器用に舌先で扱くと止めどなく愛液が溢れてシーツを濡らした。しなやかな中指をゆっくりと花奥に挿入するとゆっくりと動かした。
 上下に動かされると、愛液と指が絡まり合う淫らな音が部屋に鳴り響いて、思考がドロドロに溶けてしまいそうだった。追い詰めるように指を擦り、丸く円を描いていた舌先の動きが早くなると一気に全身から快楽が這い上がって、メリッサの甘い声も大きくなっていく。
 
「エレンディルさま、あんん、もう、いく、いきます、あっ、あぁ、だめ、あう、あ、や、やっ、あぁっ!! いっっ、――――あぁん!!」

 メリッサの背中が弓なりに反ると、絶頂に達してエレンディルの指先を波打つように締め付けシーツに体を横たわらせた。
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