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第二十話 ラプンツェルと蜂蜜―参―
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「はぁっ……でも、んっ、誰も見ていないよ?」
薫様の言葉に、私は首を傾げる。だって、このお部屋には私と薫様しかいないんだもの。
私の耳元でクスクス笑う声がして、不思議に思っていると、薫様は首筋を口付けて動き始めた。
やぁっ……! 下からアレで突き上げられると、ムズムズするところに擦れて、すごく気持ちいいの。
「はぁっ、そうだね、メアリー。君と俺との愛の記録を撮るとしたら、俺の麻羅と君のここが結合してる部分を見たいだろ? ほら、花芯も、麻羅みたいに固く尖ってきた。感じてきたんだね」
「あっ、ああんっ! はぁっ、や、ら、薫さま、はずかしいよ、言わないでっ、あっ、んんっ、あっあっ、はぁっ、やぁっ、あっあっああっ」
薫様のしなやかな指が、あの小さな粒を撫でると、気持ちがよくて薫様の腕に抱きつく。
気持ちよくなってくると、固くなってきて敏感になるから、少し触れただけでもジンジンする。薫様は『メアリーは生えてないから気持ちいいっ』て、よくここを指で悪戯するんだよ。
そのせいなのか『ツキノモノ』が終わったせいなのか分からないけど、凄く感じて息が荒くなる。
こうして、アレで突き上げてる時もするから同時に気持ちいいのが来て、死んじゃいそうになるよぉっ!
「メアリー、愛液と蜜で淫らな音がするぜ。女陰が愛液と蜂蜜の甘いお菓子みたいになってるよ。はぁっ……はぁっ、メアリーの全てが可愛いな。猥雑に絡まる腟内も、綺麗な声も、聖母みたいな優しさも」
「ひっ、あっ、ああんっ、やぁぁ、はぁっ、あう、ああ、んっ、かんじちゃう! 薫さま、そこ、だめ、あっあっ、まらの先でツンツンしたらぁっ! ――――ッッ!!」
薫様はうっとりとしながら私の太ももを抱くと、ズンズンと腰を動かす。お口から涎が垂れて恥ずかしいから、両手で抑えなくちゃ。
こんな、大きな声を出したら廊下にまで聴こえちゃう!
ぐちゅ、ぐちゅ、ぬちゅ、と恥ずかしい愛液の音がして、もう、奥にあたって、や、やだぁっ……!
「はぁっ、ぐっ、メアリー……イク時は、俺を愛してるって言ってくれ。突然腟内でひくひくさせたら、俺もすぐに子種を出してしまう……。はぁっ、それくらいっ、メアリーは最高なんだ!」
「あんっ、ごめんなさ、はぁっ、きもちいいの、ああっ、いぃっ、やぁ、あっ、また、くる、薫さま、愛してっ、る! あああっ!」
薫様のアレが腟内で激しく動いて花火が散ったように頭が真っ白になる。一也様も薫様も書生さんも『愛してる』の言葉が好き。
薫様の腕が、私の腰を抱くと、深く突き上げて来て、子宮の入り口で何かが弾けたような気がして私は体を弓なりに反らした。
「はぁっ……っん……。可愛いね、メアリー。ほら俺の麻羅を抜いたら、こんなにも女陰から糸を引いていやらしい……ほらおいで」
「はぁ……ふぁっ?」
薫様に抱き上げられて、ソファーに寝かされると、あそこに薫様の魔羅が擦り付けられて一気に押し入ってくる。私は首に抱きついてビクビクと体を震わせた。薫様は何故か扉の方ばかりを気にして囁くの。
薫様が体を密着させたまま動くから、私は大きな背中に手を回して抱きついた。
腟内で、薫様のアレが抜き差しされると、ソファーがギシギシと音を立てて恥ずかしい。
薫様のアレが動くと、あの液体が奥からとろとろ溢れて、絡みつくいやらしい音が大きくなる。
「んっ、あっ、はぁっ、あんっ、あっあっ、ひぁっ、んっ、薫様ぁっ、あっあっ、奥に当たっちゃう、だめぇっ」
「はぁっ……小鳥みたいな鳴き声だねぇ、メアリーっ、はぁっ、我慢せずにもっと声を出していいんだぜ。そうだなぁ、庭師にも女中にも聞こえるくらいに、さぁ!」
薫様はそう言うと、体を起こして私の両手首を掴み、さっきよりも動きを激しくする。薫様は淫靡に笑いながら、私のアソコを貪るみたいに動くの。
体の芯が痺れて、動かされるたびにどうしようもないくらい腟内が勝手にひくひく動いてっ……やぁっ。
呼吸が乱れて涙が溢れて前が見えない。
突き上げられると、だんだんお小水が出ちゃいそうなムズムズ感がした。
「はぁっ、んんっ!! 薫様、やぁっ、お漏らししちゃう、いやっ、あっ、だめ、だめぇ、突かないで、気持ち良すぎて、はっ、あ、あっ」
「ははっ、メアリー……いいんだよ。潮を吹いてもお漏らしでも、メアリーのものなら何も汚くないんだから。俺でそんなに気持ち良くなってくれるなんて、嬉しいなぁ! 僕の可愛い花嫁」
薫様は私の腰を抱くと、お腹をわざと刺激するように指で押してぐりぐりと腰を回すの。激しくしないで、だめ、わたし、だめ、いやぁ……!
「~~~~ッッ!!」
「はぁっ……お漏らしのほうだったね。まだ腟内がヒクヒクしてる。月経の後は体中が感じやすくなって、たまらないだろう? はぁっ……泣かないでくれよ、可愛いなぁ。ほら、メアリー、俺の子種をっ、はぁっ、はぁっ、もうすぐ出すから……我慢して」
「ひっく、ゃ、お漏らし恥ずかしい、きたな、あっ、んつ、ぁ、あっ、ゃ、やあ、薫さま、いっ、いっちゃう、はぁぁ、イッたばかりなのに、んぁっ」
お漏らしが恥ずかしくて、私は目を擦りながら泣いてると、薫様は笑って私の太腿を揃えるように抱き、小刻みに腰を動かして……。
頭の中、ふわふわして何も考えられない、気持ちいい……、はぁ、気持ちいいの、連続なんだもん。
入り口も奥も、薫様のあの白い子種の液体でいっぱいになって……熱い……熱いよぉ。
「はぁっ、ごめんね、メアリー。四回も連続で腟内出ししちゃった。恥ずかしくて泣くメアリーが可愛くてさ。それに気をやる度に女陰が凄く嬉しそうに俺を締め付けるから堪らない。はぁ、愛してる、愛してるよ、メアリー」
「はぁ……はぁっ………ドレス、選ぶっていったのにぃ……」
「うん、分かってるよ。一緒に風呂に入って少し寝たら選べばいい」
ようやく薫様はアレを抜いてくれたけど、とても眠い……。でもお風呂に入らないとベタベタしちゃう……。
薫様は笑うと頬にに口付けてくれた。
今日はおやつ、食べられなくなっちゃいそう。だって薫様はお風呂でも『まぐわい』をするんだもん。
✤✤✤
薫様に選んで貰った、青色の洋装と髪結いをキヨさんに手伝って貰った。キヨさんに髪を梳かれると、乱暴で痛かったけど、何だか今日は優しい。
もしかして、書生さんが側にいるからかもしれないけど、キヨさんは何だかいつもよりよそよそしく挨拶をして部屋から出ていったの。
それをちらりと見ると、書生さんが私の肩に両手を置いた。
「メアリー、とっても綺麗だよ。そう言えばキヨに虐められていない? 一応、僕の方からやんわりと言っておいたけど、何かあれば僕に言ってね。排除するから」
「…………? う、うん、大丈夫だよ」
書生さんはやんわりと微笑んで、優しく口付けてくれた。そして私の手を取ると立ち上がらせてくれる。
「今日はたくさんの人が来るけれど、君は挨拶と、軽い雑談だけで大丈夫だよ。日本語しか分からないと伝えてあるし、異国の友人には僕の教えた挨拶だけでいいからね。疲れたら、休んでもいいし、お部屋に戻ってもいいよ」
「はぁい、綾斗さん」
パーティーの準備が終わり、この日のためだけに雇った給仕係の人たちがキヨさんたちとお料理を運んでいたの。私は書生さんの腕に手を回しながら凄く緊張した。
お店や図書館で声をかけられた時とは違う……偉い人たちが来るんだもん。
書生さんが言うには、私たちの事を祝いに来るんだって。結婚パーティーを兼ねた夜会? 社交界? 初めてだから、あんまり良くわからないの。
「大丈夫だよ、メアリー。彼らは何も君を食べたりなんかしないんだから」
「う、うん」
書生さんを見上げて私は頷いたの。
蓄音機の音がして、扉を開けるとシャンデリアの下には華やかなドレスと紳士服を着た人々が振り返り、拍手をした。
「皆様、ようこそおいでくださいました。内務省達から、結婚パーティーをしてはどうかと言われた時は、ようやく僕も文明化の流行な人になったものだと感じましたが、こんなにも多くの友人に祝って貰えた今日という日を忘れることは無いでしょう。この度はお集まり頂き心より感謝致します」
書生さんが冗談めいた事を言うと、あちらこちらから、笑い声が聞こえた。そういえば、朝起きたら、書生さんが私の指にキラキラと輝く宝石の指輪をはめてくれたの。
そしてまた、改めてきちんと結婚式をするからね、と言ってくれた。一也様だったら『祝言』をするのかなぁ……?
なんとなく寂しくなっちゃった。一也様に逢いたい。
「今日はお集まり頂き、ありがとうございます。片桐綾斗様と夫婦になれた事を心から幸せに思っています。今日はごゆるりとお過ごし下さい」
書生さんは、横浜に来てから片桐という、偽のお名前を名乗っているの。お役所の人に頼んで、コセキとかリョケンもそうなっているんだって。
だから、私もここでは片桐芽亜里というお名前になるんだって教えてくれたの。
私がご挨拶を終えると、広間に拍手が起こった。
そして再び蓄音機の音が流れて、みんなテーブルの上に置いてあるお食事をつまんだり、お酒を飲んで談笑したり、ご挨拶に来てくれたりしたんだよ。
「本当にめでたいな、片桐くん。横浜での仕事も成功しているようだし、こんなに美しい細君を貰うとは思わなかった。それも国際結婚とはな、文化的じゃあないか」
「ええ、霞ヶ関を通じて異国のお仕事にも携わらせて頂いてます。彼女は幼い頃から日本で育っているので中身は日本人ですよ」
私はご挨拶にお友達がくるたびに『ご機嫌よう、お集まり頂き光栄ですわ。ありがとうございます』を繰り返してお返事していたの。
でも何だかちょっと疲れちゃったな。
「メアリー、疲れたら休憩していいんだよ。僕は少し仕事の話をするから、ソファーに座ってサンドイッチでも、ビスケットでも食べていいからね」
「はぁい」
私はホッとしてテーブルまで来ると、支給係の人にワインをすすめらたけれどお断りしたの。お酒はあんまり好きじゃないし……。
でも、申し訳無いからお水を頼んで、ビスケットに手を伸ばそうとした。
そしたら、二人の異人さんに話しかけられたの。
「コンニチワ、オメデトウ」
「こんにちは、ありがとうございます」
『なぁ、さっきの話だけど本当か? さっき彼の叔母だっていう梅子夫人が、彼の本当の名前は、妃咲郁人だと言ってた』
『おいおい、彼女は英語が分からないんだぜ。質問したって無駄だろ。梅子夫人は、彼女が日本人相手に商売してた娼婦だって言ってたよな。日本人は小柄だが、アヤトは長身だ。春画みたいにナニがデカくて良いんじゃないか』
「…………??」
この人たち酔っ払ってるのかな、お酒臭い……それに、目が座ってて怖い。
英語はわからないけど、ニヤニヤして話しかけられると、凄く嫌な感じがして、なんだか気持ち悪い。
薫様の言葉に、私は首を傾げる。だって、このお部屋には私と薫様しかいないんだもの。
私の耳元でクスクス笑う声がして、不思議に思っていると、薫様は首筋を口付けて動き始めた。
やぁっ……! 下からアレで突き上げられると、ムズムズするところに擦れて、すごく気持ちいいの。
「はぁっ、そうだね、メアリー。君と俺との愛の記録を撮るとしたら、俺の麻羅と君のここが結合してる部分を見たいだろ? ほら、花芯も、麻羅みたいに固く尖ってきた。感じてきたんだね」
「あっ、ああんっ! はぁっ、や、ら、薫さま、はずかしいよ、言わないでっ、あっ、んんっ、あっあっ、はぁっ、やぁっ、あっあっああっ」
薫様のしなやかな指が、あの小さな粒を撫でると、気持ちがよくて薫様の腕に抱きつく。
気持ちよくなってくると、固くなってきて敏感になるから、少し触れただけでもジンジンする。薫様は『メアリーは生えてないから気持ちいいっ』て、よくここを指で悪戯するんだよ。
そのせいなのか『ツキノモノ』が終わったせいなのか分からないけど、凄く感じて息が荒くなる。
こうして、アレで突き上げてる時もするから同時に気持ちいいのが来て、死んじゃいそうになるよぉっ!
「メアリー、愛液と蜜で淫らな音がするぜ。女陰が愛液と蜂蜜の甘いお菓子みたいになってるよ。はぁっ……はぁっ、メアリーの全てが可愛いな。猥雑に絡まる腟内も、綺麗な声も、聖母みたいな優しさも」
「ひっ、あっ、ああんっ、やぁぁ、はぁっ、あう、ああ、んっ、かんじちゃう! 薫さま、そこ、だめ、あっあっ、まらの先でツンツンしたらぁっ! ――――ッッ!!」
薫様はうっとりとしながら私の太ももを抱くと、ズンズンと腰を動かす。お口から涎が垂れて恥ずかしいから、両手で抑えなくちゃ。
こんな、大きな声を出したら廊下にまで聴こえちゃう!
ぐちゅ、ぐちゅ、ぬちゅ、と恥ずかしい愛液の音がして、もう、奥にあたって、や、やだぁっ……!
「はぁっ、ぐっ、メアリー……イク時は、俺を愛してるって言ってくれ。突然腟内でひくひくさせたら、俺もすぐに子種を出してしまう……。はぁっ、それくらいっ、メアリーは最高なんだ!」
「あんっ、ごめんなさ、はぁっ、きもちいいの、ああっ、いぃっ、やぁ、あっ、また、くる、薫さま、愛してっ、る! あああっ!」
薫様のアレが腟内で激しく動いて花火が散ったように頭が真っ白になる。一也様も薫様も書生さんも『愛してる』の言葉が好き。
薫様の腕が、私の腰を抱くと、深く突き上げて来て、子宮の入り口で何かが弾けたような気がして私は体を弓なりに反らした。
「はぁっ……っん……。可愛いね、メアリー。ほら俺の麻羅を抜いたら、こんなにも女陰から糸を引いていやらしい……ほらおいで」
「はぁ……ふぁっ?」
薫様に抱き上げられて、ソファーに寝かされると、あそこに薫様の魔羅が擦り付けられて一気に押し入ってくる。私は首に抱きついてビクビクと体を震わせた。薫様は何故か扉の方ばかりを気にして囁くの。
薫様が体を密着させたまま動くから、私は大きな背中に手を回して抱きついた。
腟内で、薫様のアレが抜き差しされると、ソファーがギシギシと音を立てて恥ずかしい。
薫様のアレが動くと、あの液体が奥からとろとろ溢れて、絡みつくいやらしい音が大きくなる。
「んっ、あっ、はぁっ、あんっ、あっあっ、ひぁっ、んっ、薫様ぁっ、あっあっ、奥に当たっちゃう、だめぇっ」
「はぁっ……小鳥みたいな鳴き声だねぇ、メアリーっ、はぁっ、我慢せずにもっと声を出していいんだぜ。そうだなぁ、庭師にも女中にも聞こえるくらいに、さぁ!」
薫様はそう言うと、体を起こして私の両手首を掴み、さっきよりも動きを激しくする。薫様は淫靡に笑いながら、私のアソコを貪るみたいに動くの。
体の芯が痺れて、動かされるたびにどうしようもないくらい腟内が勝手にひくひく動いてっ……やぁっ。
呼吸が乱れて涙が溢れて前が見えない。
突き上げられると、だんだんお小水が出ちゃいそうなムズムズ感がした。
「はぁっ、んんっ!! 薫様、やぁっ、お漏らししちゃう、いやっ、あっ、だめ、だめぇ、突かないで、気持ち良すぎて、はっ、あ、あっ」
「ははっ、メアリー……いいんだよ。潮を吹いてもお漏らしでも、メアリーのものなら何も汚くないんだから。俺でそんなに気持ち良くなってくれるなんて、嬉しいなぁ! 僕の可愛い花嫁」
薫様は私の腰を抱くと、お腹をわざと刺激するように指で押してぐりぐりと腰を回すの。激しくしないで、だめ、わたし、だめ、いやぁ……!
「~~~~ッッ!!」
「はぁっ……お漏らしのほうだったね。まだ腟内がヒクヒクしてる。月経の後は体中が感じやすくなって、たまらないだろう? はぁっ……泣かないでくれよ、可愛いなぁ。ほら、メアリー、俺の子種をっ、はぁっ、はぁっ、もうすぐ出すから……我慢して」
「ひっく、ゃ、お漏らし恥ずかしい、きたな、あっ、んつ、ぁ、あっ、ゃ、やあ、薫さま、いっ、いっちゃう、はぁぁ、イッたばかりなのに、んぁっ」
お漏らしが恥ずかしくて、私は目を擦りながら泣いてると、薫様は笑って私の太腿を揃えるように抱き、小刻みに腰を動かして……。
頭の中、ふわふわして何も考えられない、気持ちいい……、はぁ、気持ちいいの、連続なんだもん。
入り口も奥も、薫様のあの白い子種の液体でいっぱいになって……熱い……熱いよぉ。
「はぁっ、ごめんね、メアリー。四回も連続で腟内出ししちゃった。恥ずかしくて泣くメアリーが可愛くてさ。それに気をやる度に女陰が凄く嬉しそうに俺を締め付けるから堪らない。はぁ、愛してる、愛してるよ、メアリー」
「はぁ……はぁっ………ドレス、選ぶっていったのにぃ……」
「うん、分かってるよ。一緒に風呂に入って少し寝たら選べばいい」
ようやく薫様はアレを抜いてくれたけど、とても眠い……。でもお風呂に入らないとベタベタしちゃう……。
薫様は笑うと頬にに口付けてくれた。
今日はおやつ、食べられなくなっちゃいそう。だって薫様はお風呂でも『まぐわい』をするんだもん。
✤✤✤
薫様に選んで貰った、青色の洋装と髪結いをキヨさんに手伝って貰った。キヨさんに髪を梳かれると、乱暴で痛かったけど、何だか今日は優しい。
もしかして、書生さんが側にいるからかもしれないけど、キヨさんは何だかいつもよりよそよそしく挨拶をして部屋から出ていったの。
それをちらりと見ると、書生さんが私の肩に両手を置いた。
「メアリー、とっても綺麗だよ。そう言えばキヨに虐められていない? 一応、僕の方からやんわりと言っておいたけど、何かあれば僕に言ってね。排除するから」
「…………? う、うん、大丈夫だよ」
書生さんはやんわりと微笑んで、優しく口付けてくれた。そして私の手を取ると立ち上がらせてくれる。
「今日はたくさんの人が来るけれど、君は挨拶と、軽い雑談だけで大丈夫だよ。日本語しか分からないと伝えてあるし、異国の友人には僕の教えた挨拶だけでいいからね。疲れたら、休んでもいいし、お部屋に戻ってもいいよ」
「はぁい、綾斗さん」
パーティーの準備が終わり、この日のためだけに雇った給仕係の人たちがキヨさんたちとお料理を運んでいたの。私は書生さんの腕に手を回しながら凄く緊張した。
お店や図書館で声をかけられた時とは違う……偉い人たちが来るんだもん。
書生さんが言うには、私たちの事を祝いに来るんだって。結婚パーティーを兼ねた夜会? 社交界? 初めてだから、あんまり良くわからないの。
「大丈夫だよ、メアリー。彼らは何も君を食べたりなんかしないんだから」
「う、うん」
書生さんを見上げて私は頷いたの。
蓄音機の音がして、扉を開けるとシャンデリアの下には華やかなドレスと紳士服を着た人々が振り返り、拍手をした。
「皆様、ようこそおいでくださいました。内務省達から、結婚パーティーをしてはどうかと言われた時は、ようやく僕も文明化の流行な人になったものだと感じましたが、こんなにも多くの友人に祝って貰えた今日という日を忘れることは無いでしょう。この度はお集まり頂き心より感謝致します」
書生さんが冗談めいた事を言うと、あちらこちらから、笑い声が聞こえた。そういえば、朝起きたら、書生さんが私の指にキラキラと輝く宝石の指輪をはめてくれたの。
そしてまた、改めてきちんと結婚式をするからね、と言ってくれた。一也様だったら『祝言』をするのかなぁ……?
なんとなく寂しくなっちゃった。一也様に逢いたい。
「今日はお集まり頂き、ありがとうございます。片桐綾斗様と夫婦になれた事を心から幸せに思っています。今日はごゆるりとお過ごし下さい」
書生さんは、横浜に来てから片桐という、偽のお名前を名乗っているの。お役所の人に頼んで、コセキとかリョケンもそうなっているんだって。
だから、私もここでは片桐芽亜里というお名前になるんだって教えてくれたの。
私がご挨拶を終えると、広間に拍手が起こった。
そして再び蓄音機の音が流れて、みんなテーブルの上に置いてあるお食事をつまんだり、お酒を飲んで談笑したり、ご挨拶に来てくれたりしたんだよ。
「本当にめでたいな、片桐くん。横浜での仕事も成功しているようだし、こんなに美しい細君を貰うとは思わなかった。それも国際結婚とはな、文化的じゃあないか」
「ええ、霞ヶ関を通じて異国のお仕事にも携わらせて頂いてます。彼女は幼い頃から日本で育っているので中身は日本人ですよ」
私はご挨拶にお友達がくるたびに『ご機嫌よう、お集まり頂き光栄ですわ。ありがとうございます』を繰り返してお返事していたの。
でも何だかちょっと疲れちゃったな。
「メアリー、疲れたら休憩していいんだよ。僕は少し仕事の話をするから、ソファーに座ってサンドイッチでも、ビスケットでも食べていいからね」
「はぁい」
私はホッとしてテーブルまで来ると、支給係の人にワインをすすめらたけれどお断りしたの。お酒はあんまり好きじゃないし……。
でも、申し訳無いからお水を頼んで、ビスケットに手を伸ばそうとした。
そしたら、二人の異人さんに話しかけられたの。
「コンニチワ、オメデトウ」
「こんにちは、ありがとうございます」
『なぁ、さっきの話だけど本当か? さっき彼の叔母だっていう梅子夫人が、彼の本当の名前は、妃咲郁人だと言ってた』
『おいおい、彼女は英語が分からないんだぜ。質問したって無駄だろ。梅子夫人は、彼女が日本人相手に商売してた娼婦だって言ってたよな。日本人は小柄だが、アヤトは長身だ。春画みたいにナニがデカくて良いんじゃないか』
「…………??」
この人たち酔っ払ってるのかな、お酒臭い……それに、目が座ってて怖い。
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