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第二話 玉響の楽園―薫編―
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あの日、お屋敷は炎に包まれて全て灰になってしまったの。
火花が綺羅綺羅光ってとっても綺麗だった事を覚えている。それから、私は薫様に『アレ』をされて……『アレ』は、気持ちいいけど、頭が真っ白になって自分じゃなくなるみたいで怖いの。
火消しが来る前に私と薫様はあの場所から抜け出して、手ぬぐいで髪を隠すように言われたんだよ。村の人に見つかったら、とても怖い目に合うんだって。
ようやく『鉄道』までくると、生まれて初めて私は汽車に乗ったの。
「すごい、本当にこれが動いて走るんだ」
「ふふふ、メアリーは初めて汽車に乗るから何もかも新鮮に見えるだろうな。俺は何度か汽車に乗っているんだよ……だから君の反応がとてもいじらしい」
そう言うと薫様は私の手を握った。
私は書生さんも、一也様の事もよく知っているけれど薫様のことはどんな方なのか良く分からないの。
でも、薫様は私があのお屋敷の座敷牢で暮らす前から、私の事を知っているみたい……ずっと昔に私と遊んだ事があるんだって。
私の記憶は霞がかっているのだけど、そんな事もあったような気がする……でも、思い出せないの。
「――――薫様、ダイレンに行くの?」
「大連? 書生がそんな事を言ったんだね。残念だけど行き先は帝都さ。一也も俺と同じ意見だろうな」
「テイト……トウキョウ?」
トウキョウは、小説で読んだことがある。
昔は幕府があった場所のはず。
私たちが暮らしていた場所よりも人が多くて都会だって聞くと少し怖いけど、ドキドキしちゃうな。
そう言えばテイトには純喫茶があって『ちょこれいと』や『あん蜜』、『あいすくりん』が置いてあるそうだけど、私はどれも食べた事が無い。
「薫様、私……純喫茶に行ってみたいな」
「純喫茶? そうだね、メアリーが汽車の中で良い子にしているなら連れて行ってあげよう。しばらく帝都に宿泊して仕事を終わらせたら、横浜の新しい邸に移るんだ」
「ヨコハマ……? 新しいお部屋に移るの?」
また、たくさん本を読めるといいな。狭いお部屋でもいいから、今度はタマみたいな三毛猫を飼ってみたい。
旦那様と奥様が火事で亡くなってお金が沢山入ったんだって。薫様がなんのお仕事をしているのかわからない。
『電話機』を使って知らない言葉で誰かと話をしてる事があるけれど……その時は何だか、一也様みたいに怖くて話しかけられないの。
「あはは、そうだね。もう座敷牢じゃない……俺達と君の邸だ。でも、お仕置き部屋を作れば一也は喜ぶだろう、なんてね。楽しみだね、横浜なら君の綺麗な髪も隠さずにすむ」
「う、うん……そうなの?」
✤✤✤
『テイト』はとても人が多くて、高くて大きい立派な建物が一杯ある。地面を大きな『バス』が走っていて、私は薫様の服の裾を掴んだ。
ほっかむりを被っていると、目立ってしまうのか、ジロジロと見られて恥ずかしいの。すれ違いざまに、知らない人に目の色が違うことをヒソヒソと話されて……なんだか怖いよ。
「さぁ、メアリー。ここが銀座のパウリスタだ。ドウナツと珈琲が有名だよ」
「どう……なつ? 穴の空いた?」
私は目を輝かせて、薫様と一緒にお店に入っていくと、椅子に座った。女給さんがやってきて初めて見る珈琲と洋菓子を目にして目をキラキラと輝かせたの。
だって、とっても美味しそうなんだもん。
書生さんは甘いものが好きで、一也様は辛いものがお好きみたい。薫様は珈琲しか飲まないから甘いものはあまり好きじゃないのかも。
「コーヒー……に、苦い……」
「砂糖を入れても無理そうかい? なら、カルピスを頼もう。甘い飲み物なら大丈夫だろうから」
「ごめんなさい、薫様」
珈琲が十銭。
カルピスが十五銭するから、すごく申し訳ないことをしてしまった。薫様は今は優しく笑ってくれているし、怒ってないみたい。
鈴の音がして、何人か男のお客さんが入ってくると、ふとその中の一人が帽子を取って知らない言葉で私に話しかけてきた。
「Hello。Wheredidyoucomefrom?(こんにちは、君は何処からきたの?)」
「え、えと……あの?」
「ああ、日本語が話せるのかい。僕は文士でね。メリケンに興味があるんだ。ほっかむりしなくても、ここの来る奴らは異国人に偏見は無いよ。鴎外先生みたいに留学してた奴らもいるんだから」
そう言って、文士さんがほっかむりに触れられると金髪が肩についた感触がして恥ずかしくなる。文士さんって本を書いてるの人のこと?
鴎外の名前も聞いたことがある。
この人はどんな本を書かれてるんだろう、そう思って声をかけようとした。
「メアリー。カルピスが来たよ……すみません、これから用事があるので」
「ああ、すまないね。また此処で会えたらお話しをしよう、メアリー」
文士の男の人が去るのを、薫様はとても冷たい目で追うと、無言のまま私を見つめるの。私、いけないことをしたのかな……書生さんとはあまり話すなって言われてるけど。
珈琲を静かに飲む薫様を見ながら甘いドウナツを食べカルピスを飲む。
それで、すっかり喉が渇いてしまってお水を飲むと、だんだんとお手洗いに行きたくなってきて……もじもじと太腿を擦り合わせた。
「薫様、あの……」
「それじゃあ、そろそろ出ようか」
お手洗いに行きたいと言う前に、薫様が立ち上がったから、私も慌てて立ち上がる。
ほっかむりをするのも忘れて、薫様の後ろを付いていったの。
ここは知らない場所だし、一人ぼっちになっちゃう。
何だか、薫様さっきから怒ってるみたい……。
宿泊先にいけばお手洗いに行けるかな。
薫様は私の手首を掴むと、どんどん人のいない路地裏の奥へと行っちゃうから段々と怖くなってきたの。
「薫さ……っ」
「――――メアリー、駄目じゃないか。あんな何処の馬の骨かも分からない男に触れられるなんて。ふふ、あそこが純喫茶じゃなかったら、ピストルで撃ち殺していたよ」
汚れた壁に押し付けられ、私は震えるようにして顔をあげた。
眼鏡越しに見える濁った黒い瞳は、怖いのになんだかゾクゾクするような瞳で、一也様とは違う。薫様が口を塞ぐと、舌を絡めて口腔内を舐められ、私は体が震えた。
薫様の舌先はすごく、柔らかくて絡めたり舌でなぞられると頭がふわふわ、真っ白にになっちゃうの。
「んっ、んぅぅ……っ、はぁ、か、薫さ、ま……んんっ、んっ、ん、ふっ……はぁ、ゃ! 薫さま、待って、外で『アレ』はいや!」
「どうして? あぁ、俺としている所を見られたら恥ずかしいのかい。俺はそれをあの文士に書かれても良いけど、君は嫌なんだろ?」
手首を捕まれ押し付けられ、首筋を舐めあげられ耳を少し強く噛まれたら、何となくわかったの。
薫さまは、とても怒っていて、ここで『アレ』をして私を罰したいと思ってる。
『同じ人』なのに、薫様と一也様の手の動きも舌の動きも違うから、変な感じ……。
舌先で耳から首筋を舐められると、声が出そうになる。
薫様は背が高いから向こうは見えない、でも人の声も、車の音もして誰かに見られるのは嫌。
「んぁっ、はぁっ、ご、ごめんなさ、だって、人が通ると、アレは見られたらだめ、だから、んっ、ひっ、あっあっ、んぁっ」
「だったら、メアリー。きちんと口を抑えて喘がないようにしなくちゃ。んっ……言ってる側からこれだもんねぇ」
着物の隙間から胸が出てくると、薫様はそこに口を寄せる。大きな掌に揉まれたり、胸の先を舌で意地悪されたり、甘噛みされると気持よくなる。
声を出さないように口を抑えるけど、気持よくなってくると駄目。声が漏れて、指の腹で抓ったり触られると気持ちいい。
そうすると、すごく、お小水がしたくなって辛くて恥ずかしい。
ホテルや座敷牢で、お仕置きされるのは私が悪いから仕方ないけど、ここではだめ。
「~~~っっ、んっ、はぁ、や、やだ、薫さま、おねがい、今は……触ったら」
「触ったら、お漏らししちゃう?」
着物の裾を上げて、手が入り込むといやいやしてお願いする。
でも、薫様は私がお小水を我慢してる事を知って意地悪するように内股を撫でて刺激すると、亀裂を掌で覆うように押し付けてきたの。
爪先立ちして、私は薫様に抱きつく。
「はぁ……っ、おねが、薫さま、指を動かさないで、あ、あそこ、刺激しないで」
「俺がそんなお願い聞くとでも思う? 可愛いなメアリー……ほら、じっくり愛撫してあげるから、掌に出してごらん」
「い、いやぁ、がまん、我慢するっ」
亀裂の筋を指でなぞられ、小さな『粒』を擦られると頭が真っ白になる。その場所は刺激がすごく強くて、気持ち良すぎて甘い声が出ちゃう場所なの。
いつもの液体が奥から溢れて薫様が指を動かす度に、裏路地にくちゅ、くちゅ、って私の蜜の音が響いちゃう。
まだ、暗くなってないのに、誰かが来ちゃうかも知れないのに……。
「んあっ、あっあっ、やぁ、あっ、だめ、あっあっ、いっちゃう、そこ、ひっ、薫さま、んんゆ気持ちいい」
「頑固だなぁ、メアリー……愛液ばっかり溢れさせて。はぁ、俺を愛してるって言いながらイッたら許してあげてもいいよ」
指が奥で擦れて、小さな『粒』を親指で撫で回されると、ムズムズとしてお漏らししそうになる。すごく気持ちよくて、イクの我慢するのってどうしたらいいの?
だって、あの時の大きな声出したら通りの家の人も出てきてしまうもの。
わかんない……。
だめ、だめ、すごく気持ちいい、声が震えちゃう。
「あっ、はぁっ……!! 薫さま、愛してますっ、あっ、やっ、あっあっあっ、イク、――――ひぁぁっ!」
「はぁ……潮吹きじゃないよ、メアリー。もっと恥ずかしい事だ。ほら、今度は秘部を舐めてあげるから出してもいいよ」
「や、そ、そんな……だって、そんなこと、お顔に……許すっていったのにっっ」
妃咲のご長男様にそんな失礼な事なんて、到底できないのも薫様は知ってるのに。
膝まづくと、私の足を肩にかけて私のあそこを舐め始める。
舐められるの、恥ずかしくていや。
汚い場所だし、凄く感じちゃうけど。
だって、まじまじと見られて、舌がナメクジみたいに這うと凄く気持ちよくて声が我慢できなくなっちゃう。
薫様は濡れたあそこを丁寧に舐めて、円を描くように表面を舐めて深く口付けるように吸い付く。
じわじわと尿意が降りてくるような気がして必死にいやいやする。だってもし、薫様のお顔にお漏らししたら、もっと酷いお仕置きをされるもの……。
――――薫様は怖い。
一也様とは違う怖さがあるの。
上手く言えないけれど、怖い。
「メアリー、甘い香りがする。はぁ……あはは、泣くくらいなら俺以外の男と話したり可愛い笑顔を見せないでくれよ。はぁ……メアリーのここは綺麗だな…んん……可愛い」
「はぁ、ぁ、ぁんん、やぁ、あっあっ、薫さまぁ、はぁ、気持ちいい、んっ、んっ、許して、もう、話したりしませ、愛して、あっ、イクッ、はぁぁ、や、やぁっ!」
ヒクヒク腟内が動いて頭が真っ白になると、続けて何度も意識が飛んじゃう。必死にお小水を我慢する代わりに、透明のお水が飛び散ってしまって。
薫様は飛沫で濡れた眼鏡を取り、唇を舐めると薄く笑って立ち上がると囁くの。
「本当かな? 君は大好きな『書生』の事ばかり考えているだろ。俺は仕事上、人と交渉するから人の嘘は良くわかるんだ。メアリーは無垢だからね。
さぁ、さすがに頑固なメアリーも、魔羅で俺に突上げられたら犬のようにお漏らししちゃうよねぇ?」
私の体を壁に押し付け、薫様は男の人の魔羅を私の蜜を絡ませて挿入したの。頭の中で何かお星さまが光るような感覚がして、すごく奥まで届いてるのが分かった。
薫様の指先が、私との結合部に触れると腰を動かし始めて涙が溢れてがくがくと足が震えるのを感じた。
「あっ、ひっ! ああっ、深い、んぐっ、んぅ、んっ……薫さま、や、やら、ああっ、はぁっ、ああんっ、あっあっあっ!」
「はぁっ……んっ、メアリー、俺の魔羅と君の華が擦れる音に……くっ、混じって別の音がしてるね、突上げられ、たら、はぁ、我慢できないだろ?」
薫様が動くと、壁を引っ掻いて擦るように動いて気持ちよくて、先端が奥で当たるたびに、お小水を我慢できなくて、溢れてくるのを感じたの。
すごく恥ずかしくて、泣いていると薫様は構わず私の気持ちの良い場所を荒々しく突き上げてくるから、体が内側から壊れそうになっちゃう。
「はぁっ、あっ、ああっ、あんっ、やぁ、ひっく……お漏らししちゃった……あっ、はぁっ、あ、やあっ、ひっあ、イクッ、んっ、んっ、あ、――――ッッ!!」
「あはは、カルピスも水も飲んだから盛大にお漏らししちゃったね、メアリー。犬みたいに壁を濡らしちゃって破廉恥な子だ。さぁ、おいで。俺の首に抱きついてごらん」
薫様が男の人のアレを抜くと、向かい側の壁に私を押し付け抱き上げた。慌てて首元に抱きつくと、ぐっと挿入して腰を動かし始めたの。
一也様は私を縛るのがお好きだけど、薫様はなかなか満足してくれなくて何度も達してしまうの。
「メアリーは軽いな、ほら、っはぁ、奥まで入って俺をいやらしく締め付けてる。……はぁっ、んっ、今夜は一也にいたぶられるかも知れないなぁ。なんせ、俺を愛してると言ったんだ。でも、俺がこの体の主で、メアリーを一番愛してるんだから、当然だろ?」
「はっ、はぁっ、あっ、あんっ、あっ、くっ、はぁぁ、あん、気持ちいい、薫さま、ひっ、ああっ、あぅ、んっ、はっ、んん、もう、だめ、イクッ、あ、薫さま、愛してる、イクッ」
きっと、こんなこと言ったら一也様に叱られちゃう。ずっと逢えない書生さんはどうしているのかな、でも、もう、気持ちよくて何も考えられない。
恥ずかしい音が薫様との結合部から聞こえて、あそこがきゅうきゅう、きつくなってきて……もうだめ、何もかも解らなくなっちゃう。
「メアリー、種付けしてあげるね……はぁっ、一也や書生より………先に俺の子を妊むように」
「ひっ、あっ、―――――あっんんんッッ!!」
何かドロッとしたものが中に放たれた気がして、多分あの白いネトネトしたモノ――――。
一也様はお外に出したりしてたんだけど、薫様は違う。
「はぁ……はぁ……メアリー愛してる。乱暴なことをしてごめんね。帝都は油断ならないなぁ。早く俺たちの愛の巣に向かおうね」
薫様は気崩れた服を直すと、私を強く抱きしめ喉の奥で笑った。
何度も呼吸を乱しながら、薫様の胸元に頬を寄せた。
火花が綺羅綺羅光ってとっても綺麗だった事を覚えている。それから、私は薫様に『アレ』をされて……『アレ』は、気持ちいいけど、頭が真っ白になって自分じゃなくなるみたいで怖いの。
火消しが来る前に私と薫様はあの場所から抜け出して、手ぬぐいで髪を隠すように言われたんだよ。村の人に見つかったら、とても怖い目に合うんだって。
ようやく『鉄道』までくると、生まれて初めて私は汽車に乗ったの。
「すごい、本当にこれが動いて走るんだ」
「ふふふ、メアリーは初めて汽車に乗るから何もかも新鮮に見えるだろうな。俺は何度か汽車に乗っているんだよ……だから君の反応がとてもいじらしい」
そう言うと薫様は私の手を握った。
私は書生さんも、一也様の事もよく知っているけれど薫様のことはどんな方なのか良く分からないの。
でも、薫様は私があのお屋敷の座敷牢で暮らす前から、私の事を知っているみたい……ずっと昔に私と遊んだ事があるんだって。
私の記憶は霞がかっているのだけど、そんな事もあったような気がする……でも、思い出せないの。
「――――薫様、ダイレンに行くの?」
「大連? 書生がそんな事を言ったんだね。残念だけど行き先は帝都さ。一也も俺と同じ意見だろうな」
「テイト……トウキョウ?」
トウキョウは、小説で読んだことがある。
昔は幕府があった場所のはず。
私たちが暮らしていた場所よりも人が多くて都会だって聞くと少し怖いけど、ドキドキしちゃうな。
そう言えばテイトには純喫茶があって『ちょこれいと』や『あん蜜』、『あいすくりん』が置いてあるそうだけど、私はどれも食べた事が無い。
「薫様、私……純喫茶に行ってみたいな」
「純喫茶? そうだね、メアリーが汽車の中で良い子にしているなら連れて行ってあげよう。しばらく帝都に宿泊して仕事を終わらせたら、横浜の新しい邸に移るんだ」
「ヨコハマ……? 新しいお部屋に移るの?」
また、たくさん本を読めるといいな。狭いお部屋でもいいから、今度はタマみたいな三毛猫を飼ってみたい。
旦那様と奥様が火事で亡くなってお金が沢山入ったんだって。薫様がなんのお仕事をしているのかわからない。
『電話機』を使って知らない言葉で誰かと話をしてる事があるけれど……その時は何だか、一也様みたいに怖くて話しかけられないの。
「あはは、そうだね。もう座敷牢じゃない……俺達と君の邸だ。でも、お仕置き部屋を作れば一也は喜ぶだろう、なんてね。楽しみだね、横浜なら君の綺麗な髪も隠さずにすむ」
「う、うん……そうなの?」
✤✤✤
『テイト』はとても人が多くて、高くて大きい立派な建物が一杯ある。地面を大きな『バス』が走っていて、私は薫様の服の裾を掴んだ。
ほっかむりを被っていると、目立ってしまうのか、ジロジロと見られて恥ずかしいの。すれ違いざまに、知らない人に目の色が違うことをヒソヒソと話されて……なんだか怖いよ。
「さぁ、メアリー。ここが銀座のパウリスタだ。ドウナツと珈琲が有名だよ」
「どう……なつ? 穴の空いた?」
私は目を輝かせて、薫様と一緒にお店に入っていくと、椅子に座った。女給さんがやってきて初めて見る珈琲と洋菓子を目にして目をキラキラと輝かせたの。
だって、とっても美味しそうなんだもん。
書生さんは甘いものが好きで、一也様は辛いものがお好きみたい。薫様は珈琲しか飲まないから甘いものはあまり好きじゃないのかも。
「コーヒー……に、苦い……」
「砂糖を入れても無理そうかい? なら、カルピスを頼もう。甘い飲み物なら大丈夫だろうから」
「ごめんなさい、薫様」
珈琲が十銭。
カルピスが十五銭するから、すごく申し訳ないことをしてしまった。薫様は今は優しく笑ってくれているし、怒ってないみたい。
鈴の音がして、何人か男のお客さんが入ってくると、ふとその中の一人が帽子を取って知らない言葉で私に話しかけてきた。
「Hello。Wheredidyoucomefrom?(こんにちは、君は何処からきたの?)」
「え、えと……あの?」
「ああ、日本語が話せるのかい。僕は文士でね。メリケンに興味があるんだ。ほっかむりしなくても、ここの来る奴らは異国人に偏見は無いよ。鴎外先生みたいに留学してた奴らもいるんだから」
そう言って、文士さんがほっかむりに触れられると金髪が肩についた感触がして恥ずかしくなる。文士さんって本を書いてるの人のこと?
鴎外の名前も聞いたことがある。
この人はどんな本を書かれてるんだろう、そう思って声をかけようとした。
「メアリー。カルピスが来たよ……すみません、これから用事があるので」
「ああ、すまないね。また此処で会えたらお話しをしよう、メアリー」
文士の男の人が去るのを、薫様はとても冷たい目で追うと、無言のまま私を見つめるの。私、いけないことをしたのかな……書生さんとはあまり話すなって言われてるけど。
珈琲を静かに飲む薫様を見ながら甘いドウナツを食べカルピスを飲む。
それで、すっかり喉が渇いてしまってお水を飲むと、だんだんとお手洗いに行きたくなってきて……もじもじと太腿を擦り合わせた。
「薫様、あの……」
「それじゃあ、そろそろ出ようか」
お手洗いに行きたいと言う前に、薫様が立ち上がったから、私も慌てて立ち上がる。
ほっかむりをするのも忘れて、薫様の後ろを付いていったの。
ここは知らない場所だし、一人ぼっちになっちゃう。
何だか、薫様さっきから怒ってるみたい……。
宿泊先にいけばお手洗いに行けるかな。
薫様は私の手首を掴むと、どんどん人のいない路地裏の奥へと行っちゃうから段々と怖くなってきたの。
「薫さ……っ」
「――――メアリー、駄目じゃないか。あんな何処の馬の骨かも分からない男に触れられるなんて。ふふ、あそこが純喫茶じゃなかったら、ピストルで撃ち殺していたよ」
汚れた壁に押し付けられ、私は震えるようにして顔をあげた。
眼鏡越しに見える濁った黒い瞳は、怖いのになんだかゾクゾクするような瞳で、一也様とは違う。薫様が口を塞ぐと、舌を絡めて口腔内を舐められ、私は体が震えた。
薫様の舌先はすごく、柔らかくて絡めたり舌でなぞられると頭がふわふわ、真っ白にになっちゃうの。
「んっ、んぅぅ……っ、はぁ、か、薫さ、ま……んんっ、んっ、ん、ふっ……はぁ、ゃ! 薫さま、待って、外で『アレ』はいや!」
「どうして? あぁ、俺としている所を見られたら恥ずかしいのかい。俺はそれをあの文士に書かれても良いけど、君は嫌なんだろ?」
手首を捕まれ押し付けられ、首筋を舐めあげられ耳を少し強く噛まれたら、何となくわかったの。
薫さまは、とても怒っていて、ここで『アレ』をして私を罰したいと思ってる。
『同じ人』なのに、薫様と一也様の手の動きも舌の動きも違うから、変な感じ……。
舌先で耳から首筋を舐められると、声が出そうになる。
薫様は背が高いから向こうは見えない、でも人の声も、車の音もして誰かに見られるのは嫌。
「んぁっ、はぁっ、ご、ごめんなさ、だって、人が通ると、アレは見られたらだめ、だから、んっ、ひっ、あっあっ、んぁっ」
「だったら、メアリー。きちんと口を抑えて喘がないようにしなくちゃ。んっ……言ってる側からこれだもんねぇ」
着物の隙間から胸が出てくると、薫様はそこに口を寄せる。大きな掌に揉まれたり、胸の先を舌で意地悪されたり、甘噛みされると気持よくなる。
声を出さないように口を抑えるけど、気持よくなってくると駄目。声が漏れて、指の腹で抓ったり触られると気持ちいい。
そうすると、すごく、お小水がしたくなって辛くて恥ずかしい。
ホテルや座敷牢で、お仕置きされるのは私が悪いから仕方ないけど、ここではだめ。
「~~~っっ、んっ、はぁ、や、やだ、薫さま、おねがい、今は……触ったら」
「触ったら、お漏らししちゃう?」
着物の裾を上げて、手が入り込むといやいやしてお願いする。
でも、薫様は私がお小水を我慢してる事を知って意地悪するように内股を撫でて刺激すると、亀裂を掌で覆うように押し付けてきたの。
爪先立ちして、私は薫様に抱きつく。
「はぁ……っ、おねが、薫さま、指を動かさないで、あ、あそこ、刺激しないで」
「俺がそんなお願い聞くとでも思う? 可愛いなメアリー……ほら、じっくり愛撫してあげるから、掌に出してごらん」
「い、いやぁ、がまん、我慢するっ」
亀裂の筋を指でなぞられ、小さな『粒』を擦られると頭が真っ白になる。その場所は刺激がすごく強くて、気持ち良すぎて甘い声が出ちゃう場所なの。
いつもの液体が奥から溢れて薫様が指を動かす度に、裏路地にくちゅ、くちゅ、って私の蜜の音が響いちゃう。
まだ、暗くなってないのに、誰かが来ちゃうかも知れないのに……。
「んあっ、あっあっ、やぁ、あっ、だめ、あっあっ、いっちゃう、そこ、ひっ、薫さま、んんゆ気持ちいい」
「頑固だなぁ、メアリー……愛液ばっかり溢れさせて。はぁ、俺を愛してるって言いながらイッたら許してあげてもいいよ」
指が奥で擦れて、小さな『粒』を親指で撫で回されると、ムズムズとしてお漏らししそうになる。すごく気持ちよくて、イクの我慢するのってどうしたらいいの?
だって、あの時の大きな声出したら通りの家の人も出てきてしまうもの。
わかんない……。
だめ、だめ、すごく気持ちいい、声が震えちゃう。
「あっ、はぁっ……!! 薫さま、愛してますっ、あっ、やっ、あっあっあっ、イク、――――ひぁぁっ!」
「はぁ……潮吹きじゃないよ、メアリー。もっと恥ずかしい事だ。ほら、今度は秘部を舐めてあげるから出してもいいよ」
「や、そ、そんな……だって、そんなこと、お顔に……許すっていったのにっっ」
妃咲のご長男様にそんな失礼な事なんて、到底できないのも薫様は知ってるのに。
膝まづくと、私の足を肩にかけて私のあそこを舐め始める。
舐められるの、恥ずかしくていや。
汚い場所だし、凄く感じちゃうけど。
だって、まじまじと見られて、舌がナメクジみたいに這うと凄く気持ちよくて声が我慢できなくなっちゃう。
薫様は濡れたあそこを丁寧に舐めて、円を描くように表面を舐めて深く口付けるように吸い付く。
じわじわと尿意が降りてくるような気がして必死にいやいやする。だってもし、薫様のお顔にお漏らししたら、もっと酷いお仕置きをされるもの……。
――――薫様は怖い。
一也様とは違う怖さがあるの。
上手く言えないけれど、怖い。
「メアリー、甘い香りがする。はぁ……あはは、泣くくらいなら俺以外の男と話したり可愛い笑顔を見せないでくれよ。はぁ……メアリーのここは綺麗だな…んん……可愛い」
「はぁ、ぁ、ぁんん、やぁ、あっあっ、薫さまぁ、はぁ、気持ちいい、んっ、んっ、許して、もう、話したりしませ、愛して、あっ、イクッ、はぁぁ、や、やぁっ!」
ヒクヒク腟内が動いて頭が真っ白になると、続けて何度も意識が飛んじゃう。必死にお小水を我慢する代わりに、透明のお水が飛び散ってしまって。
薫様は飛沫で濡れた眼鏡を取り、唇を舐めると薄く笑って立ち上がると囁くの。
「本当かな? 君は大好きな『書生』の事ばかり考えているだろ。俺は仕事上、人と交渉するから人の嘘は良くわかるんだ。メアリーは無垢だからね。
さぁ、さすがに頑固なメアリーも、魔羅で俺に突上げられたら犬のようにお漏らししちゃうよねぇ?」
私の体を壁に押し付け、薫様は男の人の魔羅を私の蜜を絡ませて挿入したの。頭の中で何かお星さまが光るような感覚がして、すごく奥まで届いてるのが分かった。
薫様の指先が、私との結合部に触れると腰を動かし始めて涙が溢れてがくがくと足が震えるのを感じた。
「あっ、ひっ! ああっ、深い、んぐっ、んぅ、んっ……薫さま、や、やら、ああっ、はぁっ、ああんっ、あっあっあっ!」
「はぁっ……んっ、メアリー、俺の魔羅と君の華が擦れる音に……くっ、混じって別の音がしてるね、突上げられ、たら、はぁ、我慢できないだろ?」
薫様が動くと、壁を引っ掻いて擦るように動いて気持ちよくて、先端が奥で当たるたびに、お小水を我慢できなくて、溢れてくるのを感じたの。
すごく恥ずかしくて、泣いていると薫様は構わず私の気持ちの良い場所を荒々しく突き上げてくるから、体が内側から壊れそうになっちゃう。
「はぁっ、あっ、ああっ、あんっ、やぁ、ひっく……お漏らししちゃった……あっ、はぁっ、あ、やあっ、ひっあ、イクッ、んっ、んっ、あ、――――ッッ!!」
「あはは、カルピスも水も飲んだから盛大にお漏らししちゃったね、メアリー。犬みたいに壁を濡らしちゃって破廉恥な子だ。さぁ、おいで。俺の首に抱きついてごらん」
薫様が男の人のアレを抜くと、向かい側の壁に私を押し付け抱き上げた。慌てて首元に抱きつくと、ぐっと挿入して腰を動かし始めたの。
一也様は私を縛るのがお好きだけど、薫様はなかなか満足してくれなくて何度も達してしまうの。
「メアリーは軽いな、ほら、っはぁ、奥まで入って俺をいやらしく締め付けてる。……はぁっ、んっ、今夜は一也にいたぶられるかも知れないなぁ。なんせ、俺を愛してると言ったんだ。でも、俺がこの体の主で、メアリーを一番愛してるんだから、当然だろ?」
「はっ、はぁっ、あっ、あんっ、あっ、くっ、はぁぁ、あん、気持ちいい、薫さま、ひっ、ああっ、あぅ、んっ、はっ、んん、もう、だめ、イクッ、あ、薫さま、愛してる、イクッ」
きっと、こんなこと言ったら一也様に叱られちゃう。ずっと逢えない書生さんはどうしているのかな、でも、もう、気持ちよくて何も考えられない。
恥ずかしい音が薫様との結合部から聞こえて、あそこがきゅうきゅう、きつくなってきて……もうだめ、何もかも解らなくなっちゃう。
「メアリー、種付けしてあげるね……はぁっ、一也や書生より………先に俺の子を妊むように」
「ひっ、あっ、―――――あっんんんッッ!!」
何かドロッとしたものが中に放たれた気がして、多分あの白いネトネトしたモノ――――。
一也様はお外に出したりしてたんだけど、薫様は違う。
「はぁ……はぁ……メアリー愛してる。乱暴なことをしてごめんね。帝都は油断ならないなぁ。早く俺たちの愛の巣に向かおうね」
薫様は気崩れた服を直すと、私を強く抱きしめ喉の奥で笑った。
何度も呼吸を乱しながら、薫様の胸元に頬を寄せた。
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