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【霧首島編】
第三十四話 災い①
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俺と間宮先生はようやく村から離れて、霧首海神神社へと向かうことにする。
生活している人間と、死んだ人間が混じる集落から出ると、ようやく肩の力が抜けてきた。今、何時だろうと腕時計を見ると、うっかり忘れてしまったことに気付いて、俺は舌打ちした。
海に囲まれた離島と言うことを除いても、台風の影響でだいぶ風が強くなってきているな。
もう、ポツポツ降り出してきているし、本降りになる前に民宿に帰りたい。
「間宮先生、風が強くなってきたから急ぎません? 俺さっきからすげぇ嫌な予感がするんで」
「そうだね、本降りになりそうだから早く済ませよう。霧首海神神社は、神主以外は特別な時にしか島民は入れないことになっている、と武重さんは言っていたよね。これは僕の予想なんだけど、この島にはどうやら寺がないようなんだ。だから、神道の葬式をするんじゃないかなって思っている」
「え? ああ……そういや、墓は家の敷地内にありましたね。無縁仏の集合場所はあったけど、寺の説明は受けてないっすね。寺なんて観光地なんだし」
――――待てよ。
それじゃあ、神崎の葬式って霧首海神神社でやってるのか。そこに葉月もいる可能性があるんじゃねぇの、と間宮先生に告げる間もなく、岬にある赤い鳥居が見えてきた。道は舗装されているけど、鳥居までは長めの古い階段が伸びていて、俺たちは島民たちに気付かれないように慎重に登っていく。
鳥居をくぐるとその先には参道と木造の大きめの祠があり、喪服を来た集団が海に向かって一列に並んでいた。どうやらドンピシャで葬式の時間帯に間に合ったみたいだな。
防風林まで俺たちは小走りに走ると、ちょうど隠れられそうな茂みがあったんで、俺と間宮先生は姿勢を低くし身を隠した。ここで、バレないように連中の様子を伺う。
傘をささなくても小雨を防げそうだし。
「神崎裕貴が喪主のようだね。本家と分家筋らしい人が集まってる。うん、葉月さんもいるよ。あれは、神崎さんの棺桶かな?」
神崎裕貴を中心にして、海に並行に喪服姿の島民が立っているのは異様な光景だった。神崎の隣には、車椅子のおばさんがいて隣の挙動不審な女の手をしっかりと握っている。恐らく年齢からしてこのおばさんと、挙動不審な女は娘っぽいな。一瞬、女は顔だけをこちらに向けたが、ニタニタ笑っていて正気に思えなかった。
障害を持っているというよりも、何かを切っ掛けにして気が狂れてしまったような気がするんだが、もちろん確証はない。
神崎の隣には、ハンカチを持って傘を差し、立ち尽くす葉月がいる。
「間宮先生、なんか変じゃないっすか。神道の葬式ってこんな感じでしたっけ」
「うん。この島独特な風習なんだろう。もしかすると、葬式……、いわゆる『魂送り』が奇祭だったのかもしれない。僕の知人がこの島に来て気が狂れてしまったのは、あれを見たのが原因だったのかな。いや、でも日記には明確に贄と書いてあったし……。うーん」
全身真っ黒の狩衣、頭にはなにかの葉っぱのようなものをつけて、垂らしてる。あれ、海藻を乾燥させたものかな。女の長い髪みたいで不気味だ。いや、そんなことよりこの島に渡っておかしくなった知人が、これを見ていたとしたら、俺たちもやばくね?
「それがガチなら間宮先生、やばいって」
「し、静かに。僕たちなら大丈夫だよ。お守りだって持って来てるし、安藤さんもこの島の出身じゃないのに参加してるだろう」
なんの根拠があって、と言いかけたんだが間宮先生の目には説得力があった。先生の言い分も分からなくもない。
呪いなんて気にせず、どこかぶっ飛んでないと民俗学はできねぇのかもな。俺はもう後戻りも出来ないので、予備の数珠を握りしめて葬式を見守るしかねぇ。
神崎裕貴は、棺桶に向かい独特な調子で歌を歌っている……っていうか、祝詞みたいだな。あのお祓い棒はなんだったか……大麻だったっけ、それを熱心に小雨の中、振っていた。
それから、数人の男で棺桶にぐるぐると鎖のようなものを巻く。たぶん、あれには重りみてぇのなものがついてるんだろうけど、まるで棺桶から死者が蘇ってこないようにしているみたいで、気味が悪い。
「あいつら、あれからどうするんですかね」
「あの祝詞は、この島特有のもののようだけれど。僕が聞き取れる限り、奉納するという言葉が入っていた。たぶん、遺体を棺桶ごと海に沈めるつもりなんじゃないかな」
「え、でもそれって法律違反でしょ」
「うん。船員が船で亡くなった場合を除いては日本では禁止されているよ。だけどここは日本の憲法は通用しないようだね?」
どこかで聞いたことのあるようなセリフだな。
けど、間宮先生の予想は当たっていて祝詞が終わると、親族たちが棺桶を持ちそのまま崖から海に向けて、勢いをつけて投げ落とした。
波の音に混じって、ザパンと何か大きな物体が海面に落ちた音がする。
葉月や親族たちは、それを見守るように手を合わせると啜り泣いていた。しばらく故人との思い出話に花を咲かせているような雰囲気だったが、一組、また一組と岬から離れ、階段を降りていく。
俺たちは茂みに隠れて、あいつらに見つからないように息を殺した。茂みからは傘が見えるだけで、誰が通っているのかもこちらから判断することはできない。ただ、誰かが通り過ぎる度に、啜り泣く声とボソボソと囁く島民たちの声が聞こえる。
「どんな形でも、綾人様が霧首島に帰ることができて良かったわね」
「そうだな。贄として俺たちを助けてくれたんだ。綾人様には、感謝してもしきれない」
神崎綾人の子供の頃の思い出話の中に、とんでもねぇことを囁いている奴らがいる。そうだよな、この島の全員が水葬なら墓なんて存在してねぇし。つまり、神崎綾人の遺体は人身御供の贄として、海に投げ捨てられたってわけか。
何人もの島民が、階段を降りていくのを肌で感じながら、俺たちは体を微動だにさせず息を潜めていた。
あの、車椅子のおばさんを降ろしているのか、数人の踏ん張るような声とねぎらいの言葉が聞こえてくる。もう、最後かな?
そう思っていると、足音とともに聞き覚えのある男の声がした。
「葉月さん、お疲れでしょう? これで綾人もようやく安心して、天国に行けると思います。今日は本当にありがとうございました。これから数日は天気が荒れるようなので、しばらくゆっくりと本家で休んで下さい」
「は、はい……。ありがとうございます、裕貴さん」
「戸惑うことも多いと思いますが、大丈夫ですよ。僕との結婚のお話は別にしても、僕は本家の当主として、葉月さんをサポートしたいと思っていますので、遠慮なく相談してください」
――――結婚!?
神崎裕貴の言葉に、俺は思わず茂みから飛び出しそうになったが、それを察したのか間宮先生に肩を掴まれて、押し込められた。
おいおい、とんでも展開過ぎんだろ、普通自分の弟の彼女と葬式で結婚話なんて出るか?
いや……もしかして、葉月が実は妊娠してるのがバレたとか?
頭の中で堂々巡りをしていると、ガサガサと茂みが揺れて俺は死ぬほどビビった。辛うじて間宮先生に口を抑えられたが、それでも俺は冷汗が止まらなかった。
茂みから屈むようにして顔だけ覗かせたのは、神崎裕貴でも、葉月でもない。小雨に濡れた後れ毛を気にせず、ニタニタと笑う目の焦点が合わない、あの着物の女がいたからだ。
――――こいつ、さっきの、女だ。
生活している人間と、死んだ人間が混じる集落から出ると、ようやく肩の力が抜けてきた。今、何時だろうと腕時計を見ると、うっかり忘れてしまったことに気付いて、俺は舌打ちした。
海に囲まれた離島と言うことを除いても、台風の影響でだいぶ風が強くなってきているな。
もう、ポツポツ降り出してきているし、本降りになる前に民宿に帰りたい。
「間宮先生、風が強くなってきたから急ぎません? 俺さっきからすげぇ嫌な予感がするんで」
「そうだね、本降りになりそうだから早く済ませよう。霧首海神神社は、神主以外は特別な時にしか島民は入れないことになっている、と武重さんは言っていたよね。これは僕の予想なんだけど、この島にはどうやら寺がないようなんだ。だから、神道の葬式をするんじゃないかなって思っている」
「え? ああ……そういや、墓は家の敷地内にありましたね。無縁仏の集合場所はあったけど、寺の説明は受けてないっすね。寺なんて観光地なんだし」
――――待てよ。
それじゃあ、神崎の葬式って霧首海神神社でやってるのか。そこに葉月もいる可能性があるんじゃねぇの、と間宮先生に告げる間もなく、岬にある赤い鳥居が見えてきた。道は舗装されているけど、鳥居までは長めの古い階段が伸びていて、俺たちは島民たちに気付かれないように慎重に登っていく。
鳥居をくぐるとその先には参道と木造の大きめの祠があり、喪服を来た集団が海に向かって一列に並んでいた。どうやらドンピシャで葬式の時間帯に間に合ったみたいだな。
防風林まで俺たちは小走りに走ると、ちょうど隠れられそうな茂みがあったんで、俺と間宮先生は姿勢を低くし身を隠した。ここで、バレないように連中の様子を伺う。
傘をささなくても小雨を防げそうだし。
「神崎裕貴が喪主のようだね。本家と分家筋らしい人が集まってる。うん、葉月さんもいるよ。あれは、神崎さんの棺桶かな?」
神崎裕貴を中心にして、海に並行に喪服姿の島民が立っているのは異様な光景だった。神崎の隣には、車椅子のおばさんがいて隣の挙動不審な女の手をしっかりと握っている。恐らく年齢からしてこのおばさんと、挙動不審な女は娘っぽいな。一瞬、女は顔だけをこちらに向けたが、ニタニタ笑っていて正気に思えなかった。
障害を持っているというよりも、何かを切っ掛けにして気が狂れてしまったような気がするんだが、もちろん確証はない。
神崎の隣には、ハンカチを持って傘を差し、立ち尽くす葉月がいる。
「間宮先生、なんか変じゃないっすか。神道の葬式ってこんな感じでしたっけ」
「うん。この島独特な風習なんだろう。もしかすると、葬式……、いわゆる『魂送り』が奇祭だったのかもしれない。僕の知人がこの島に来て気が狂れてしまったのは、あれを見たのが原因だったのかな。いや、でも日記には明確に贄と書いてあったし……。うーん」
全身真っ黒の狩衣、頭にはなにかの葉っぱのようなものをつけて、垂らしてる。あれ、海藻を乾燥させたものかな。女の長い髪みたいで不気味だ。いや、そんなことよりこの島に渡っておかしくなった知人が、これを見ていたとしたら、俺たちもやばくね?
「それがガチなら間宮先生、やばいって」
「し、静かに。僕たちなら大丈夫だよ。お守りだって持って来てるし、安藤さんもこの島の出身じゃないのに参加してるだろう」
なんの根拠があって、と言いかけたんだが間宮先生の目には説得力があった。先生の言い分も分からなくもない。
呪いなんて気にせず、どこかぶっ飛んでないと民俗学はできねぇのかもな。俺はもう後戻りも出来ないので、予備の数珠を握りしめて葬式を見守るしかねぇ。
神崎裕貴は、棺桶に向かい独特な調子で歌を歌っている……っていうか、祝詞みたいだな。あのお祓い棒はなんだったか……大麻だったっけ、それを熱心に小雨の中、振っていた。
それから、数人の男で棺桶にぐるぐると鎖のようなものを巻く。たぶん、あれには重りみてぇのなものがついてるんだろうけど、まるで棺桶から死者が蘇ってこないようにしているみたいで、気味が悪い。
「あいつら、あれからどうするんですかね」
「あの祝詞は、この島特有のもののようだけれど。僕が聞き取れる限り、奉納するという言葉が入っていた。たぶん、遺体を棺桶ごと海に沈めるつもりなんじゃないかな」
「え、でもそれって法律違反でしょ」
「うん。船員が船で亡くなった場合を除いては日本では禁止されているよ。だけどここは日本の憲法は通用しないようだね?」
どこかで聞いたことのあるようなセリフだな。
けど、間宮先生の予想は当たっていて祝詞が終わると、親族たちが棺桶を持ちそのまま崖から海に向けて、勢いをつけて投げ落とした。
波の音に混じって、ザパンと何か大きな物体が海面に落ちた音がする。
葉月や親族たちは、それを見守るように手を合わせると啜り泣いていた。しばらく故人との思い出話に花を咲かせているような雰囲気だったが、一組、また一組と岬から離れ、階段を降りていく。
俺たちは茂みに隠れて、あいつらに見つからないように息を殺した。茂みからは傘が見えるだけで、誰が通っているのかもこちらから判断することはできない。ただ、誰かが通り過ぎる度に、啜り泣く声とボソボソと囁く島民たちの声が聞こえる。
「どんな形でも、綾人様が霧首島に帰ることができて良かったわね」
「そうだな。贄として俺たちを助けてくれたんだ。綾人様には、感謝してもしきれない」
神崎綾人の子供の頃の思い出話の中に、とんでもねぇことを囁いている奴らがいる。そうだよな、この島の全員が水葬なら墓なんて存在してねぇし。つまり、神崎綾人の遺体は人身御供の贄として、海に投げ捨てられたってわけか。
何人もの島民が、階段を降りていくのを肌で感じながら、俺たちは体を微動だにさせず息を潜めていた。
あの、車椅子のおばさんを降ろしているのか、数人の踏ん張るような声とねぎらいの言葉が聞こえてくる。もう、最後かな?
そう思っていると、足音とともに聞き覚えのある男の声がした。
「葉月さん、お疲れでしょう? これで綾人もようやく安心して、天国に行けると思います。今日は本当にありがとうございました。これから数日は天気が荒れるようなので、しばらくゆっくりと本家で休んで下さい」
「は、はい……。ありがとうございます、裕貴さん」
「戸惑うことも多いと思いますが、大丈夫ですよ。僕との結婚のお話は別にしても、僕は本家の当主として、葉月さんをサポートしたいと思っていますので、遠慮なく相談してください」
――――結婚!?
神崎裕貴の言葉に、俺は思わず茂みから飛び出しそうになったが、それを察したのか間宮先生に肩を掴まれて、押し込められた。
おいおい、とんでも展開過ぎんだろ、普通自分の弟の彼女と葬式で結婚話なんて出るか?
いや……もしかして、葉月が実は妊娠してるのがバレたとか?
頭の中で堂々巡りをしていると、ガサガサと茂みが揺れて俺は死ぬほどビビった。辛うじて間宮先生に口を抑えられたが、それでも俺は冷汗が止まらなかった。
茂みから屈むようにして顔だけ覗かせたのは、神崎裕貴でも、葉月でもない。小雨に濡れた後れ毛を気にせず、ニタニタと笑う目の焦点が合わない、あの着物の女がいたからだ。
――――こいつ、さっきの、女だ。
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