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【龍月編】
誘拐①
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――――龍月は、鳴麗の気持ちを受け止め、自分の気持ちに嘘をつくことを辞めた。
両親にきちんと挨拶し、これまで以上に、真剣に仕事をして彼女を幸せにしようと決心した。
蛟族の陳は、玄天上帝の統治の転覆を企てている。
これまでの地道な調べで、ようやく貧民窟に転落した霊獣や、虐げられた狗族や同族から資金を巻き上げ、物資を横取りしている物的証拠を抑える事ができた。
あとは陳の身柄を確保すれば、内乱の種を無事に摘む事ができ、玄天上帝の救いの手が中抜きされることなく、彼らに向けられるだろう。
龍月は、部下と共に宮廷を歩いていたが、ふと鳴麗の様子が気になり、書庫整理をする女官たちの元へと向かった。
たしか昨晩、幸せ過ぎて興奮し、よく眠れないだろうから、いつもより早く起きて宮廷の書庫整理をがんばると意気込んでいた。
今ごろ腹を空かせているだろうと、自然に笑みが溢れる。だが、数人の女官たちはいるが、鳴麗の姿が見えない。
「若晴。いつも私の妹が世話になっている。鳴麗は奥の方で書庫の整理をしているのか?」
「はっっ!! ろ、龍月様!! 龍月様が直々にこちらにいらっしゃるなんて! あ、あの、私のお名前までご存知で感激ですっっ」
鳴麗の会話に出てくる若晴のことは前々から知っていた。義妹と年齢の近い彼女は、女官の位で言えば、まだまだ下っ端の方であるが、真面目な働きで評判も良かった。彼女は憧れの龍月に突然声をかけられ、驚いたように飛び上がる。
赤面して、舞い上がり、まじまじと美人な龍月と彼とは対象的な無骨な部下を交互に見ていたが、ふと我に返って、この場所に鳴麗が居ないのかという質問に、不思議そうに首を傾げる。
「い、いいえ。鳴麗はまだ書庫に来ていませんよ。あの子、寝坊する子じゃないし、もしかして病に伏せっているのかなって、皆で心配していたんです。鳴麗はこちらに向かってたんですか?」
「なんだって……? 鳴麗は宮廷に来ていないのか?」
「は、はい」
鳴麗は無断で仕事をさぼるような性格ではない。ましてや、龍月と一緒に働くことをずっと夢見て勉学に励んでいたのだから、仕事は責任をもってやるだろう。
まさか、昨晩の交尾で体調を崩したのかもしれない。そう思って、龍月は明け方の記憶を辿ってみたが隣でくっつき、すやすやと眠る幸せそうな寝顔しか思い浮かばない。
「まさか……嫌な予感がする。兵を集めておいてくれ……もし、鳴麗が屋敷に居なければ、陳の身柄を取り押さえるっ……!」
龍月は焦りを抑えきれず、玄天上帝と高級官吏に『隻影』の件で急ぐと離席を伝えるよう部下に命令した。
龍月は宮廷を飛び出し、走るよりも先に天馬で屋敷へと向かった。そして荒々しく赤い格子戸の扉を開けると、転がるようにして部屋へと入る。
「鳴麗! いるのかっ……返事をしなさい!」
だが、自分の声が虚しく部屋に響くだけで誰かがいるような気配はない。荒らされたような様子もなく、途方に暮れて拳を握りしめる。
ふと机の上を見ると、そこには朝方にはなかった、手紙が置いてあった。
もしや、鳴麗の書き置きかと思った龍月はそれを取って目を通し、ぐしゃりと紙を握り潰す。
『お前の妹、鳴麗は預かった。無事に返して欲しくば、金を用意し、これ以上我々の邪魔をするな。玄天上帝と妹の命、どちらが大切かよく考えろ。 隻影の蛟より』
龍月は、この香西のどこに隠れようとも、鳴麗を必ず救い出す。そして可愛い妹を拐かした陳を、後悔させてやるという怒りに燃えて、唇を噛み締めた。
✤✤✤
「ん……んぅ……?」
肌寒く、地面の硬い感触に鳴麗は思わず眉をひそめて気が付いた。うっすらと目を開けると、そこには角が生え、全身赤い鱗に覆われた蛟族、そして狗族と思われるような霊獣たちが数人いる。
この霊獣たちは誰だろう、自分は一体どれくらい眠っていたのだろうと不安になった。
彼らは、賭け事をしたり、剣を磨いているようで、状況がまるで飲み込めない。見知らぬ場所に連れてこられた鳴麗は、口枷をされ、体を縄で縛られて、冷たい床に転がされている。
そう言えば、宮廷に向かう途中で後ろから誰かに襲われた事を思い出した。鳴麗は自分が誘拐されてしまったのだと悟ると、目を見開いて体をもぞもぞと動かす。
「んっ、んんぅーーー!!?!」
「どうやら、人質が目覚めたようだね。大人しくしな。もし、あたしの前で泣きわめいたりなんかしたら、尻尾の先をちょん切ってやるよ」
「ふん、あのすました玄武の糞には、似てねぇな……。普通の小娘だぜ」
強面の大きな雌と雄の蛟が屈み込み、飛刀を鳴麗の顔の前まで持ってくると、ぺろりと自分の唇を舐めて悪態をついた。
鳴麗は恐怖のあまり耳をぺったりと頬にくっつけて青褪め、ガクガクと震える。人質として自分は、この悪い霊獣たちに捕まったんだと思うと、涙が溢れてきた。
「ちょっと、やめなよ。その子に危害を加えないで。無事に返すのが約束だ。陳さんだって、危ない橋は渡りたく無いってさ」
「……?」
聞き覚えのある声がして、鳴麗は暗闇から姿を表した狗族の存在に驚愕し、目を見開いた。ゆったりと歩いてきたのは友人のカルマで、ますます鳴麗の頭は混乱する。
カルマが現れると、大柄の蛟たちはおずおずと鳴麗から離れた。
金色の大きな瞳をさらに見開き、信じられないと言った様子の鳴麗を抱き起こすと、カルマはすまなさそうにしながら口枷を外してやる。
「か、カルマ……な、なんで……なんで、ここに居るの? ねぇ、何がどうなってるの?」
「ごめん……。君は本当に良い子だし、鳴麗さんを、巻き込むつもりはなかったんだ。だけど、龍月が優秀過ぎたんだよ」
「どういう……こと?」
鳴麗には一体なんの話なのかわからないが、それがおそらく、龍月の仕事に関係しているのだろう、と言う事だけはわかる。
玄天上帝のお膝元にいて、側近として彼を護り、仕える兄は、何か彼らとの間で問題を起こしてしまったのか。口外できない仕事をしていたのは分かっていたが、義兄は自分が思うよりも危険な仕事に付いていて、影で暗躍していたのだろうか。
「カルマ、どうしてこんな事するの?」
両親にきちんと挨拶し、これまで以上に、真剣に仕事をして彼女を幸せにしようと決心した。
蛟族の陳は、玄天上帝の統治の転覆を企てている。
これまでの地道な調べで、ようやく貧民窟に転落した霊獣や、虐げられた狗族や同族から資金を巻き上げ、物資を横取りしている物的証拠を抑える事ができた。
あとは陳の身柄を確保すれば、内乱の種を無事に摘む事ができ、玄天上帝の救いの手が中抜きされることなく、彼らに向けられるだろう。
龍月は、部下と共に宮廷を歩いていたが、ふと鳴麗の様子が気になり、書庫整理をする女官たちの元へと向かった。
たしか昨晩、幸せ過ぎて興奮し、よく眠れないだろうから、いつもより早く起きて宮廷の書庫整理をがんばると意気込んでいた。
今ごろ腹を空かせているだろうと、自然に笑みが溢れる。だが、数人の女官たちはいるが、鳴麗の姿が見えない。
「若晴。いつも私の妹が世話になっている。鳴麗は奥の方で書庫の整理をしているのか?」
「はっっ!! ろ、龍月様!! 龍月様が直々にこちらにいらっしゃるなんて! あ、あの、私のお名前までご存知で感激ですっっ」
鳴麗の会話に出てくる若晴のことは前々から知っていた。義妹と年齢の近い彼女は、女官の位で言えば、まだまだ下っ端の方であるが、真面目な働きで評判も良かった。彼女は憧れの龍月に突然声をかけられ、驚いたように飛び上がる。
赤面して、舞い上がり、まじまじと美人な龍月と彼とは対象的な無骨な部下を交互に見ていたが、ふと我に返って、この場所に鳴麗が居ないのかという質問に、不思議そうに首を傾げる。
「い、いいえ。鳴麗はまだ書庫に来ていませんよ。あの子、寝坊する子じゃないし、もしかして病に伏せっているのかなって、皆で心配していたんです。鳴麗はこちらに向かってたんですか?」
「なんだって……? 鳴麗は宮廷に来ていないのか?」
「は、はい」
鳴麗は無断で仕事をさぼるような性格ではない。ましてや、龍月と一緒に働くことをずっと夢見て勉学に励んでいたのだから、仕事は責任をもってやるだろう。
まさか、昨晩の交尾で体調を崩したのかもしれない。そう思って、龍月は明け方の記憶を辿ってみたが隣でくっつき、すやすやと眠る幸せそうな寝顔しか思い浮かばない。
「まさか……嫌な予感がする。兵を集めておいてくれ……もし、鳴麗が屋敷に居なければ、陳の身柄を取り押さえるっ……!」
龍月は焦りを抑えきれず、玄天上帝と高級官吏に『隻影』の件で急ぐと離席を伝えるよう部下に命令した。
龍月は宮廷を飛び出し、走るよりも先に天馬で屋敷へと向かった。そして荒々しく赤い格子戸の扉を開けると、転がるようにして部屋へと入る。
「鳴麗! いるのかっ……返事をしなさい!」
だが、自分の声が虚しく部屋に響くだけで誰かがいるような気配はない。荒らされたような様子もなく、途方に暮れて拳を握りしめる。
ふと机の上を見ると、そこには朝方にはなかった、手紙が置いてあった。
もしや、鳴麗の書き置きかと思った龍月はそれを取って目を通し、ぐしゃりと紙を握り潰す。
『お前の妹、鳴麗は預かった。無事に返して欲しくば、金を用意し、これ以上我々の邪魔をするな。玄天上帝と妹の命、どちらが大切かよく考えろ。 隻影の蛟より』
龍月は、この香西のどこに隠れようとも、鳴麗を必ず救い出す。そして可愛い妹を拐かした陳を、後悔させてやるという怒りに燃えて、唇を噛み締めた。
✤✤✤
「ん……んぅ……?」
肌寒く、地面の硬い感触に鳴麗は思わず眉をひそめて気が付いた。うっすらと目を開けると、そこには角が生え、全身赤い鱗に覆われた蛟族、そして狗族と思われるような霊獣たちが数人いる。
この霊獣たちは誰だろう、自分は一体どれくらい眠っていたのだろうと不安になった。
彼らは、賭け事をしたり、剣を磨いているようで、状況がまるで飲み込めない。見知らぬ場所に連れてこられた鳴麗は、口枷をされ、体を縄で縛られて、冷たい床に転がされている。
そう言えば、宮廷に向かう途中で後ろから誰かに襲われた事を思い出した。鳴麗は自分が誘拐されてしまったのだと悟ると、目を見開いて体をもぞもぞと動かす。
「んっ、んんぅーーー!!?!」
「どうやら、人質が目覚めたようだね。大人しくしな。もし、あたしの前で泣きわめいたりなんかしたら、尻尾の先をちょん切ってやるよ」
「ふん、あのすました玄武の糞には、似てねぇな……。普通の小娘だぜ」
強面の大きな雌と雄の蛟が屈み込み、飛刀を鳴麗の顔の前まで持ってくると、ぺろりと自分の唇を舐めて悪態をついた。
鳴麗は恐怖のあまり耳をぺったりと頬にくっつけて青褪め、ガクガクと震える。人質として自分は、この悪い霊獣たちに捕まったんだと思うと、涙が溢れてきた。
「ちょっと、やめなよ。その子に危害を加えないで。無事に返すのが約束だ。陳さんだって、危ない橋は渡りたく無いってさ」
「……?」
聞き覚えのある声がして、鳴麗は暗闇から姿を表した狗族の存在に驚愕し、目を見開いた。ゆったりと歩いてきたのは友人のカルマで、ますます鳴麗の頭は混乱する。
カルマが現れると、大柄の蛟たちはおずおずと鳴麗から離れた。
金色の大きな瞳をさらに見開き、信じられないと言った様子の鳴麗を抱き起こすと、カルマはすまなさそうにしながら口枷を外してやる。
「か、カルマ……な、なんで……なんで、ここに居るの? ねぇ、何がどうなってるの?」
「ごめん……。君は本当に良い子だし、鳴麗さんを、巻き込むつもりはなかったんだ。だけど、龍月が優秀過ぎたんだよ」
「どういう……こと?」
鳴麗には一体なんの話なのかわからないが、それがおそらく、龍月の仕事に関係しているのだろう、と言う事だけはわかる。
玄天上帝のお膝元にいて、側近として彼を護り、仕える兄は、何か彼らとの間で問題を起こしてしまったのか。口外できない仕事をしていたのは分かっていたが、義兄は自分が思うよりも危険な仕事に付いていて、影で暗躍していたのだろうか。
「カルマ、どうしてこんな事するの?」
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