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拾、傾国の華―其の参―
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桜花の香を嗅ぐ度に、懐かしい子供時代を思い浮かべる。
朔にとっては美しいが欲深い母も、酒に酔っては暴力をふるう父も、若菜を蔑むながら、義姉の稼いだ金で贅沢をする兄弟姉妹も、血の繋がっているだけの、赤の他人でしかなかった。そんな息苦しい家の中で、唯一安らげる場所は姉のいる部屋だけだった。
懐かしい姉の部屋で、大人になった若菜を押し倒すと、獣じみた劣情が体の奥から溢れ出してくるのを感じた。若菜から香る柔らかな優しい天上の華の香りのせいだろうか。
決して体が目的では無いし大事に扱いたいのに、この所ずっと、若菜が欲しくて欲しくて仕方が無い。
「朔ちゃん、どうしたの……?」
「今日は、色々と……我慢出来そうに無い……激しくしてしまいそうだ。若菜……気を失いそうになるくらい求めたら、止めてくれ」
「さく……? んっ、んっ……はぁっ、んっ……」
義弟の名前を呼ぶ間もなく、唇を塞がれた。強引に若菜の、小さな舌先絡み取り、唇を離して宙で器用に舐られると頭の奥からズンと、快感が押し寄せてくる。まるで、朔の唾液は媚薬のようで、流れ込んでくると体が熱くなってくる。
今まで口付けをしてきて、これほど気持ち良く感じた事など無いのに、舌先を絡め取られるだけで、花弁から少し
「あふっ、朔ちゃん、なんだか……んんっ、んぅ、はぁ、んぅ、はぁ、はぁ……苦しいよ」
「ああ、すまん……、口付けする度に若菜の甘い声が舌先から伝わってくるから、もっと欲しくなるんだ……俺に合わせて舌を絡ませてみて……ん、はぁ……唾液も甘い……姉さん愛してる」
若菜が、朔の服を握りしめ激しい口付けに抗議をすると、朔の大人びた黒曜石の瞳が細められ下唇をやんわりと唇に含んだ。
優しく啄むように口付け、若菜の土御門一門が身に着ける巫女服の帯を緩めた。白い肌から湯上がり香りが鼻孔を擽る。
若菜の耳元に唇を寄せると、吐息を優しく吹きかけ、片方の指の腹で耳朶を撫でる。小さく甘い声がしたかと思うと、巧みな舌先で耳筋をゆっくりと舐め、丁寧に耳の裏に移動し、最後に耳朶を甘噛みする。
「はぁっ、んんん、ぁ、あっ! 朔ちゃん、耳は、力が入らなくな、あっ、はぁっ……ぁん、はぁん」
「姉さん、耳を舐めたら凄く可愛く喘ぐから意地悪したくなるんだ。何だか、接吻した時から甘い香りがしてるけど、まさかまだ……濡れてないよな?」
「そ、そんな事、なぃ、はぁっ、んんん、耳はだめ、だめなの……はぁっ、んん」
耳を舐められるのが弱点な若菜は、思わす反射的に体を反らしてしまう。それを追い掛けるように、首筋に舌先を這わせると、白絹のような肌に赤い痕を付けていく。再び若菜の体を自分の元に戻して、丹念に首と鎖骨に舌先を優しく這わせて、性感帯を刺激していく。
若菜は思わす彼の頭を抱きしめて、背中を反らした。朔は若菜の華奢な腰を抱いて、胸の間に舌を這わされると若菜はうっとりと目を細めた。年下の恋人に既に舌先一つで翻弄されてしまっているのに、それが心地良い。
「はぁっ、んんっ、朔ちゃ……あっ、はぁっ朔ちゃんの舌、気持ちいい……」
「最近は随分と素直だな、姉さん……俺の舌、気持ちいい? もっと気持ち良くなってくれ…」
乳房の側面から、白衣と襦袢を剥がして白桃を舐めるように、舌の表面で下から上へと優しく乳房の形に合わせて舐める。もう片方の掌は、白衣の中でじんわりと揉まれ、若菜は大きく呼吸を乱した。胸の奥のつぼを揉むように優しく指圧されると、どうしようもなく甘い声が溢れる。愛してる人に触れられる心地よさはとてつもなく幸せで、若菜の胸の蕾は直ぐに固くなって実った。
「はぁっ、はぁっ、あっ……んんっ、だって……んあっ、やぁん、朔ちゃんの指も舌も気持ちいい……大好き、大好きだよ」
「……っ、そういう顔をするな……。今日は……駄目だ、理性が飛ぶ」
そう言うと、若菜の固くなった桜色の蕾に甘噛みする。敏感な部分を突然刺激されて、蜜色の瞳を見開いて体を固くさせた。
「~~~~っっ!」
その瞬間、初めて胸の蕾で軽く達してしまい、真っ赤になって目を伏せた。日に日に感じやすくなって、愛してる人に触れられただけで直ぐに達してしまうなんて、あまりに淫らだと目を伏せた。だが、朔は口端で笑みを楽しげに浮かべると、若菜の白衣を取り払い、乳輪を辿るように舌先で円を描いて、中心の固くなった蕾を焦らすように舐めた。
もう片方の指先は、胸を揉みしだいて、親指の腹で優しく先端を愛撫した。
「姉さんは、ここでも気をやれるんだな……感じやすくて可愛い。だめだ、ん……はぁ、姉さんの女陰からの蜜の香りがすると、狂う……はぁっ……」
「やぁっ、ぁっ、あぁっ、あっ、あっあっ、ぁん、やぁ、そこばっかり、されたら、意地悪、しないで、はぁ、あっあっあっ」
器用に舌先がうねって桜色の乳頭を刺激すると、またしても鼓動が早くなり朔の頭を抱きしめて、背中を反らすと気をやってしまう。ぐったりとする若菜の胸の蕾から舌先を離すと、唾液が銀糸が橋をかけた。熱っぽい表情で、朔は着物を脱ぐ。荒い呼吸のまま、若菜は均整の取れた胸元に手を差し伸べた。
「朔ちゃん……ばっかり、ずる、い……私も舐めてあげたい」
「俺は、若菜の女陰を舐めたくて仕方ないが……やってみるか?」
朔は笑ってそう言うと、若菜の体を抱いて反転させる。義弟の体の上に乗る事になった若菜は頬を染めながら、朔の胸元に舌を這わせた。
若菜の緋袴越しに臀部を撫でながら、乳輪を舐める様子を眺めていた。擽ったい感覚だが、徐々に朔の吐息が漏れ始める。豊かな乳房が体に触れ、心地よさで朔は目を細めた。
「はぁ……、はぁ……ん、姉さんの舌、気持ちいいな……柔らかい……」
「ん、ん……朔ちゃん……気持ちいい? 私だって出来るんだから」
朔に愛撫されたように、若菜は朔の乳輪を舐め固くなった蕾を舌先で舐めた。朔の感じる顔が嬉しくて、猫のように舐めていると優しく頭を撫でられ嬉しくなる。
腹部で、むくむくと陰茎が勃起してくるのを感じると、若菜は頬を染めながら細い指先で着物越しに陰茎を無でた。着物越しにも猛って波打つ魔羅に若菜は頬を染めて、吐息を乱した。
「っはぁ、若菜、はぁ、遊女みたいに、そんな事をしなくてもいいんだぞ……はぁ、ん……ぁっ」
「何時も、ん、私ばっかりして……貰ってるから……私もしたい……ん」
遊女のように手慣れた手付きではないが、幼い頃を思い出すような義姉の部屋で、舐められ手淫をされるのは堪らず、思わす朔は切なげに表情を歪めた。するりと着物の中に若菜の白魚を手が忍び込み、己の猛った魔羅を扱いていると思うだけでビクビクと陰茎が、物欲しそうに震える。早漏でもないが、普段義姉がすることの無い積極的な愛撫に感じて、ついに果ててしまった。
「っ、……はぁっ!」
「朔ちゃん、気をやってしまったの? 凄く可愛かった……ふふっ」
若菜が頬を染め、濡れた自分の指先を見ると呼吸を乱した朔が精液を拭き取り、強引に若菜を引き寄せると、形勢逆転で布団に寝かせ緋袴を脱がせた。恥ずかしそうにする若菜を太腿を開くと、朔は瞳を細めて言った。
開かれた薄桃色の亀裂は愛液に濡れ、きらきらと行灯の光に輝いている。芳しい上質で甘露な霊力の香りを嗅ぐと、体の奥底にある嗜虐と、暗闇の中に眠る何かを呼び起こされるようなゾクゾクとした快感を感じる。
「今度は、俺の番だな……あれだけ、煽ったんだからどうなるかわかってるよな、姉さん……俺の魔羅を舐めてこんなに愛液を溢れさせたのか? それとも、俺に虐められたくてしたの?」
「ち、違うよ、ひっ、あっ、はぁぁっ、あんっ、あっあ、やぁぁっ……! 朔ちゃん、やぁ、いつもと違っ」
朔の舌先が、愛液に濡れた大陰唇を舐めとると、まるで媚薬を伴うように無垢な花弁を丹念に舐め始めた。重なった花弁を掘り起こすように舌先で弄り、舌全体で張り付くように舐める。抵抗を許さないように華奢な両足を肩にかけると、愛液を貪るように器用に舐めた。
その度に若菜はガクガクと体を揺らせる。花弁全体に、まるで軟体生物が張り付いているように蠢いて波打つ。
「あっ、やっやっやっ、やぁっ、んん! 朔ちゃん、ふぁ、あっ、あっあっ! だめ、弱いとこばっかり、あんん、また、いっちゃう!」
「何度でも気をやっていい……んっ、……はぁ」
またしても絶頂に達してしまった若菜は、荒い呼吸を付いた。朔の中指と人差し指が愛液で濡れる花奥に挿入されると、舌先はそのまま梅花色に充血した花芯に絡め取られ、慎重に舌先でなめ取り、痛みを与え無いように吸いあげた。恥丘に上唇をつけ、朔は、下から上へとねっとりと花弁を舐めあけだ。
指に絡みつく愛液を感じて、指を動かすと相変わらず狭く、吸盤のように吸い付いて締め付ける天上の名器にうっとりとする。指から感じる心地良さで、また己の魔羅が劣情に勃起するのを感じた。
「ゃ、やぁ、ま、またっ、あ、ああっ! ほんとにそこ、だめ、そこ、舐めたら、気持ち良くて、おかしくなっちゃう、あぁ、あんん、あっあっあっ……朔ちゃん、もうだめ、許してっ」
すすり泣くように喘いで、若菜は絶頂に達する。眞液が飛び散りそれを丹念に舐められ、余韻で蜜色の瞳をぼんやりと潤ませながら、体を震わせた。不意に濡れた指先を菊座に塗付け、中指を挿入されると、慌てて腰を引こうとする。
「ゃ、や、朔ちゃん……お尻はいや」
「そうか? 姉さんは此処でも感じるだろ……。俺が……俺が初めて奪った場所だ」
朔はうっとりと艶のある声で呟くと、優しく腸内を愛撫した。愛液のお陰で狭くピッタリと張り付く狭い空間も指を動かす事ができた。上下に動かし、傷付けないように円を描くと、舌先で蜜穴から花芯まで舐める。
膣内に感じた快感とは別の、異物感と出入口で擦れる心地よさ、そして口淫の愛撫にまたしても若菜は歓声の声をあげた。
「はっ、あっ、あぁっ、だめ、こんなの……お尻でなんて、感じるの……やめ、……んんっ、やぁっ、ふっ、……やぁぁんっ!」
「はぁ……、若菜、そんなに甘い声を、だして……隣の忠徳や、沙絵に聞こえてしまうぞ」
「――――っ、んん……んぅー!」
朔の言葉に若菜は両手で口を塞いだ。若菜を追い詰めるように、蜜穴に挿入された舌先と菊座の指が淫らに蠢くと、若菜の肌に玉のような汗が滲み、紅潮に染まっていく。戦慄く内股を撫で、ちらりと若菜を見ると必死に達するのを我慢しているようだった。その表情が愛らしく、指の動きを早めると堪らず、足の先を突っ走り絶頂に達した。
大量に溢れた愛液を絡めとって舌先を離すと、朔は自分の指先で唇を拭き、舐めとった。
黒曜石のような瞳の奥に、紅い色が渦巻く。
「まるで媚薬みたいな蜜だ……こんなに清浄の気を放ってるのに、俺をこんなにも焚きつける……俺だけの若菜、全部、俺だけのものだ……姉さんを傷付ける奴は許さない……愛してる……誰よりも俺が愛してる……、俺から姉さんを奪う奴は……全員」
「朔ちゃん……? どうしたの……? 私も愛してるよ。ずっと一緒だよ」
殺す、と口にしかけて朔はハッと我に返った。心配そうに若菜が息を切らして両手で包み込んでくれたからだ。優しい蜜色の瞳を見ると、まるで憑き物が落ちるように、気持ちが楽になる。
若菜をぎゅっと抱きしめると、柔らかな稲穂の髪を梳く。着物を全て脱ぎ、お互い裸体になると若菜の頬を無でた。
「大丈夫だ……、ごめん。四つん這いになって……」
「う、うん、でも……朔ちゃんの顔が見れないと、不安になるの」
「わかってる、それは最後にな。それにほら、姿見があるだろう」
優しく言われ、四つん這いになると目の前に姿見がある事に気付き頬を染めた。自分と背後に立つ朔が見えて、羞恥に目をそらした。朔の亀頭が濡れた亀裂を擦り、愛液を纏うとゆっくりと膣内へと挿入される。
朔の魔羅は少し大きく、根本まで挿入されると頬を染めて目を見開き、愛液を飛び散らせた。待ち望んでいた愛する朔の魔羅は、淫らな音を立てて、狭い漣のように脈打つ極楽浄土の花奥を上下に進んでいく。
挿入しただけで、先走りの精液を垂らしてしまいそうだったが、先程一度達してしまったので持ちこたえられそうだ。腰を動かす度に、ずちゅ、ずちゅ、と淫らな音が響いて、若菜甘く喘ぐ。
「あっ、あっあっあっ、やっ、やぁ、やっやっ、さくちゃ、深い、あぁっ、や、んんっ、あ、あぁっ、やだ、鏡、恥ずかしい、んぁぁっ」
「はぁっ、はっ、若菜の、淫らで可愛い姿が映ってるな……っ、きつ、姉さんまだ動き始めたばかりなのに、きつい……、はぁっ」
緩やかに深く突き上げ、上部を擦りたてると、若菜の腕がカクンと折れ、布団を握りしめた。お尻を高くあげるような形になる。
吐息を乱しながら、若菜の体に四つん這いになって覆い被さると朔は、黒豹のように腰を動かせ極上の蜜壺を貪った。
鏡に写った自分は淫らで、朔が腰を動かす度に魔羅から与えられる心地よさに鳴いた。今日は、何時もより激しくて何時もより感じている。
「あっ、あんっ、あぁあっ、はぁぁ、あ、そこそんなに擦、ったら、んぁ、さく、あ、イク、やだ、またいっっっ!!!」
「――――ッ!!」
若菜が大きく猫のように背中を反らすと、絶頂に達する。蛸壺のような肉の壁が魔羅全体を締め付け、ミミズ千匹のように蠕動すると、朔は、呻いて布団を握りしめた。我慢でぎす花弁に白濁した液体を注ぎ込んだが、まだ衰える事を知らずに、繋がったまま若菜を背後から膝に乗せる。
絶頂に達した余韻で、目を潤ませ頬を染めて荒い呼吸を繰り返す若菜は、慌てたように彼の首に後ろ手に捕まる。
二人の結合部からこぼれ落ちた、白濁した液体を見て、若菜は頬を染めて目を反らした。
「ちゃんと見てくれ、若菜……ほら、俺の魔羅が愛してる所を……可愛いな、ヒクヒクして俺のものを受け入れて……愛してる……はぁ、わかっ、な……」
「ああっ、やっやっやっ、ひぁ、だめ、そこも触りながら突かれ、たら、あんん、やだ、ゃ、あっ、ああっ、ひっ、―――ッ!」
愛液と自らの精液を絡ませた指先で、花芯を捏ねるように指の腹で円を描くように撫で、下から腰を突き上げると、桜貝が潮を吹くように愛液を飛び散らせる。恥ずかしい結合部の動きに若菜は頬を染めて鏡に映る恍惚とした表情の朔と目線を合わせた。
その瞬間、感じ易い若菜は、堪らず達して朔の、胸板に倒れ込んだ。
「はあ、姉さん……気をやりすぎだろ。俺と夜伽するの本当に好きだな……っ、はぁ……可愛い、姉さん、本当に……っ」
「あっ、あぅ、すき、でも、もう、無理、許して、お願い、あんんっ、直ぐに気をやっちゃうから、あぁっ、やぁ、やぁっ」
若菜の腰を抱いたまま、後方に倒れ込むと若菜の花芯を撫でながら激しく腰を動かした。朔の体の上で喉をのけぞらせ、蜜色の瞳から涙が飛び散った。もう感じすぎておかしくなってしまいそうだ。何度絶頂に達しても、また次から次へと快楽が押し寄せてくる。
朔の指先が、胸の蕾を摘んで撫でられると堪らず敏感に反応して花弁を収縮させた。
黒豹のように欲望のまま、攻め立てる朔もいよいよ、極楽浄土の名器に三度目の絶頂を迎えようとしていた。
「っ、はぁ、若菜、一緒に、気をやろう、って……姉さんの膣内、俺の魔羅を溶かしそうだ……っ、はぁ!」
「やぁ、あっあっあっやっ、さくちゃ、一緒に、いきたい、一緒に、もう、ああ、やら、あっ、ああっ、あんんん、やっ、ああぁっ!!」
激しく太腿がぶつかり合う音と、蜜が絡まり合う音がして二人は同時に達して、若菜の膣内に白濁した液体が注がれる。体を小刻みに震わせようやく陰茎が抜かれると、汗ばんだ若菜の体を優しく下ろして、組敷くと抱き締めたまま、挿入する。こんな風に、猛っている朔は初めて見る。
「はぁぁっ! んん、もう、やだぁ、朔ちゃん、できな……」
「若菜……が、可愛いから悪い……このままゆっくり動かしたら鎮まるから……」
ピッタリと、体を抱き寄せ優しく口付けると、緩やかに腰を浅く動かす。だが若菜にとってはそのゆったりとした速度が、気持ち良く腰を淫らに左右に動かされると、朔の背中に抱き付いて無意識に腰を動かしてしまう。もう、やめたいのに、巧みな朔の動きに感じて、喘いでしまう。
「っあ、はぁっ、だめだ、若菜……たたでさえ、締め付けて吸い込んでくるのに動いたらっ、んんっ、はぁ、蕩けそう、姉さん、イクッ」
「つ、やっやっやっ、あぁ、気持ちいい、もう、あっ、さくちゃん、わたしもう、あっ、だめ、変に、あぁ、好き、んんんっ!」
若菜は口付けられた瞬間、組敷かれた朔の体の下で、背中を反らして絶頂に達すると意識を手放した。
✤✤✤✤
――――ふと、何かの気配を感じて朔は目を覚ました。
時刻は分からないが、この感覚は丑三つ時位だろうか。隣の若菜は健やかな寝息を立ててぐっすりと眠っている。義姉を起こさないように起き上がると、ゆるりと襖を開けて書斎を見るがそこには誰もいなかった。だが、書斎と庭を繋いでいる縁側、障子で仕切られた向こう側からか細い女の声が聞こえてきた。
「其処に居るのは朔かい……部屋に居なくて探してたんだヨ……」
聞き覚えのある声だ。
だが、声の主はとうにこの陰陽寮を後にした筈だが。眉間にシワを寄せながら朔は、溜め息をつくと言う。
「――――お鶴、こんな夜更けに何だ。お前はこの屋敷を去ったんだろ」
そう言って障子を開けると、そこには四つん這いになり、手も足もアメンボウのように細く鋭利になった間接を突き上げ、掌はペタリと床に貼り付いているお鶴の姿が目に入った。
毒々しい赤い舌先はベロリと長く、そして細い刺が付いている。髪は乱れて人間の頃の美しさは失われていた。
乱れた着物から覗く青白い形の良い乳房だけが、この異形に変わり果てた姿の中で唯一の人間らしい部分で返って不気味に見えた。
「……っ……お鶴、お前その姿はっ……どうしたんだ」
流石の朔も馴染みだった女の変わり果てた姿に言葉を失い、思わず後退した。
中級妖魔に取り憑かれたのだろうか。ならば、普通は神隠しに合うか、精神を蝕み廃人のようになって死亡したりする。これは下級の天魔に取り憑かれ、こうなったのではないかと察した。
でなければ、生きた人間の体がここまで変異するなんて霊力は、中級妖魔でも無理だ。
『アンタの事が忘れられ……ないンだよぉァァ……、また抱いとくれよォウ……! アンタの事を愛してるのヨぁ!」
「――――心の隙魔に入り込まれたのか」
ズンズンと部屋に入ってくる『お鶴だった』存在に印を結び、陰陽五行の九文切りをすると一旦軽く吹き飛ばされるが、やはり妖魔とは違い火傷のようなものはするものの、怯む事無く此方に向かってくる。術が刻まれた退魔の刀は自室に置いてあり、かなり不利な状況だ。
『ひどぃぃぃぃ、あの女のせぃかぃ! そうだろう? そこに居るんだろゥお前の姉が………殺してやる殺してやる殺してやる』
激昂したお鶴が、殺気を放ちながら部屋に入ってくる。しかし、若菜の事に触れた瞬間、殺すと叫んだ瞬間とてつもない怒りが体を支配した。
「――――若菜を殺すだと?」
若菜を殺す?
若菜を殺すだと?
この世で一番愛してる人を傷付ける等、例え過去に関わりがあった女でも許し難い。
若菜に、指一本この愚かで穢れた化け物に触れさせたくない。
若菜を絶対に傷付けさせない、俺が守る。
絶対に許さない。
絶対に許さない。
絶対にユルセナイ。
ゼッタイニユルサナイ
朔の頭が項垂れた自分ににじりよって若菜の寝室に向かおうとする下級天魔を、ゆっくりと顔を上げて目を細めた。
その漆黒の瞳に深紅の炎が混じり合っている。深淵の底から此方を覗くようなビリビリとした恐怖を感じる。そして人間であった時のお鶴が、見たことも無いような、凍り付いた表情でゆっくりと腕を組み、左に頭を掲げて目を見開いて笑った。
【失せろ……下等が】
瞬間部屋を揺らす程の波動が放たれ、お鶴は庭園の外壁に激突する位弾かれた。四肢は傷だらけで、紫色の血が滴り落ちている。
その声音は紛れもなく朔のものだが、まるで別人のようだった。硬直したお鶴はまるで、朔を畏れ怯えるような表情で、姿勢を低くしギィギィと鳴きながら後退して庭から塀を飛び越え、逃げ出していた。
下らない物を見たかのように鼻で笑った瞬間、背後から眠そうな目を擦りながら、襖を開けた若菜が声をかけた。
「んん、朔ちゃん……どうしたの?」
「あ、いや…少し水を飲みに行っただけだ、姉さん。起こしたか……? ごめんな」
ふと意識を取り戻したように朔は背後を振り返った。姉に名前を呼ばれるまでの数秒、記憶が全くない。まるで白昼夢のように、お鶴の姿は無くなり本当に寝惚けて居たのかもしれないと思う程だった。だが、それが現実のものだと思う根拠は若菜の一言があったからだ。
「朔ちゃん、寒いよ。縁側の障子閉めて」
「あ、あぁ、すまない」
朔は息を飲み、障子を閉めると若菜の肩を安心させるように抱き寄せ寝室へと戻っていく。
若菜は、不思議そうに彼を見つめたが、眠けに負け、そのまま二人で再び布団の中に入った。
――――塀を飛び越えた下級の天魔が、逃げるように体を引きずり蠢いていると、ゆらりと闇夜から人影が現れお鶴が立ち止まる。
背は高く、鍛えられたしなやかな肉体に闇の底のような漆黒の髪を総髪結いをし、前髪から僅かに見える金色の瞳、陶器のように青白い肌、耳は僅かに尖って見える。
至って出で立ちは普通の都人なのだが、人間離れした美しさが、返って違和感を感じさせる服装に思える。
だが彼は普通の人間ではなく、上級天魔だ。
彼は静かにお鶴の所までやってくると、相変わらず感情の読めない表情で見下ろし、眉を潜めた。
『……ギィ……霧雨サマ……、おた……すけ』
『――――身の程を知れ、愚か者が朔は第六天魔王様の器よ』
その言葉に、お鶴は脅えて悲鳴をあげたが次の瞬間、霧雨により散り散りに煙となって消滅させられていた。軽く溜め息をつくと、不意に霧雨は屋敷の方を見た。
『まさか、サク様が一瞬出てくるとはな……あの人間の感情が、激しく動いたようだが。一体どうしたと言うのだ……?』
霧雨は独り言めいた。
あれは怒りか、憎悪にも似た怒りだ。
それが瞬間的に、あの二人を結びつけたのかも知れない。しかし封印が解けぬ限り、あの器を支配することは叶わぬだろう。
だが、良い傾向だ。
封印が解け、あの方の魂が解き放たれても、器である朔が心を開け放さなければ、自分の肉体にする事は出来ないのだから。
仏頂面の霧雨の唇にふと笑みが浮かんだ。
『後2つ……、呪煌々を入手すれば娑婆世界も天魔界も、再び貴方の支配下になりまする。今暫くお待ち頂こう』
そう言うと、まるで濃い霧が立ち込めるようにその場に集まりそして音もなく掻き消されていった。
朔にとっては美しいが欲深い母も、酒に酔っては暴力をふるう父も、若菜を蔑むながら、義姉の稼いだ金で贅沢をする兄弟姉妹も、血の繋がっているだけの、赤の他人でしかなかった。そんな息苦しい家の中で、唯一安らげる場所は姉のいる部屋だけだった。
懐かしい姉の部屋で、大人になった若菜を押し倒すと、獣じみた劣情が体の奥から溢れ出してくるのを感じた。若菜から香る柔らかな優しい天上の華の香りのせいだろうか。
決して体が目的では無いし大事に扱いたいのに、この所ずっと、若菜が欲しくて欲しくて仕方が無い。
「朔ちゃん、どうしたの……?」
「今日は、色々と……我慢出来そうに無い……激しくしてしまいそうだ。若菜……気を失いそうになるくらい求めたら、止めてくれ」
「さく……? んっ、んっ……はぁっ、んっ……」
義弟の名前を呼ぶ間もなく、唇を塞がれた。強引に若菜の、小さな舌先絡み取り、唇を離して宙で器用に舐られると頭の奥からズンと、快感が押し寄せてくる。まるで、朔の唾液は媚薬のようで、流れ込んでくると体が熱くなってくる。
今まで口付けをしてきて、これほど気持ち良く感じた事など無いのに、舌先を絡め取られるだけで、花弁から少し
「あふっ、朔ちゃん、なんだか……んんっ、んぅ、はぁ、んぅ、はぁ、はぁ……苦しいよ」
「ああ、すまん……、口付けする度に若菜の甘い声が舌先から伝わってくるから、もっと欲しくなるんだ……俺に合わせて舌を絡ませてみて……ん、はぁ……唾液も甘い……姉さん愛してる」
若菜が、朔の服を握りしめ激しい口付けに抗議をすると、朔の大人びた黒曜石の瞳が細められ下唇をやんわりと唇に含んだ。
優しく啄むように口付け、若菜の土御門一門が身に着ける巫女服の帯を緩めた。白い肌から湯上がり香りが鼻孔を擽る。
若菜の耳元に唇を寄せると、吐息を優しく吹きかけ、片方の指の腹で耳朶を撫でる。小さく甘い声がしたかと思うと、巧みな舌先で耳筋をゆっくりと舐め、丁寧に耳の裏に移動し、最後に耳朶を甘噛みする。
「はぁっ、んんん、ぁ、あっ! 朔ちゃん、耳は、力が入らなくな、あっ、はぁっ……ぁん、はぁん」
「姉さん、耳を舐めたら凄く可愛く喘ぐから意地悪したくなるんだ。何だか、接吻した時から甘い香りがしてるけど、まさかまだ……濡れてないよな?」
「そ、そんな事、なぃ、はぁっ、んんん、耳はだめ、だめなの……はぁっ、んん」
耳を舐められるのが弱点な若菜は、思わす反射的に体を反らしてしまう。それを追い掛けるように、首筋に舌先を這わせると、白絹のような肌に赤い痕を付けていく。再び若菜の体を自分の元に戻して、丹念に首と鎖骨に舌先を優しく這わせて、性感帯を刺激していく。
若菜は思わす彼の頭を抱きしめて、背中を反らした。朔は若菜の華奢な腰を抱いて、胸の間に舌を這わされると若菜はうっとりと目を細めた。年下の恋人に既に舌先一つで翻弄されてしまっているのに、それが心地良い。
「はぁっ、んんっ、朔ちゃ……あっ、はぁっ朔ちゃんの舌、気持ちいい……」
「最近は随分と素直だな、姉さん……俺の舌、気持ちいい? もっと気持ち良くなってくれ…」
乳房の側面から、白衣と襦袢を剥がして白桃を舐めるように、舌の表面で下から上へと優しく乳房の形に合わせて舐める。もう片方の掌は、白衣の中でじんわりと揉まれ、若菜は大きく呼吸を乱した。胸の奥のつぼを揉むように優しく指圧されると、どうしようもなく甘い声が溢れる。愛してる人に触れられる心地よさはとてつもなく幸せで、若菜の胸の蕾は直ぐに固くなって実った。
「はぁっ、はぁっ、あっ……んんっ、だって……んあっ、やぁん、朔ちゃんの指も舌も気持ちいい……大好き、大好きだよ」
「……っ、そういう顔をするな……。今日は……駄目だ、理性が飛ぶ」
そう言うと、若菜の固くなった桜色の蕾に甘噛みする。敏感な部分を突然刺激されて、蜜色の瞳を見開いて体を固くさせた。
「~~~~っっ!」
その瞬間、初めて胸の蕾で軽く達してしまい、真っ赤になって目を伏せた。日に日に感じやすくなって、愛してる人に触れられただけで直ぐに達してしまうなんて、あまりに淫らだと目を伏せた。だが、朔は口端で笑みを楽しげに浮かべると、若菜の白衣を取り払い、乳輪を辿るように舌先で円を描いて、中心の固くなった蕾を焦らすように舐めた。
もう片方の指先は、胸を揉みしだいて、親指の腹で優しく先端を愛撫した。
「姉さんは、ここでも気をやれるんだな……感じやすくて可愛い。だめだ、ん……はぁ、姉さんの女陰からの蜜の香りがすると、狂う……はぁっ……」
「やぁっ、ぁっ、あぁっ、あっ、あっあっ、ぁん、やぁ、そこばっかり、されたら、意地悪、しないで、はぁ、あっあっあっ」
器用に舌先がうねって桜色の乳頭を刺激すると、またしても鼓動が早くなり朔の頭を抱きしめて、背中を反らすと気をやってしまう。ぐったりとする若菜の胸の蕾から舌先を離すと、唾液が銀糸が橋をかけた。熱っぽい表情で、朔は着物を脱ぐ。荒い呼吸のまま、若菜は均整の取れた胸元に手を差し伸べた。
「朔ちゃん……ばっかり、ずる、い……私も舐めてあげたい」
「俺は、若菜の女陰を舐めたくて仕方ないが……やってみるか?」
朔は笑ってそう言うと、若菜の体を抱いて反転させる。義弟の体の上に乗る事になった若菜は頬を染めながら、朔の胸元に舌を這わせた。
若菜の緋袴越しに臀部を撫でながら、乳輪を舐める様子を眺めていた。擽ったい感覚だが、徐々に朔の吐息が漏れ始める。豊かな乳房が体に触れ、心地よさで朔は目を細めた。
「はぁ……、はぁ……ん、姉さんの舌、気持ちいいな……柔らかい……」
「ん、ん……朔ちゃん……気持ちいい? 私だって出来るんだから」
朔に愛撫されたように、若菜は朔の乳輪を舐め固くなった蕾を舌先で舐めた。朔の感じる顔が嬉しくて、猫のように舐めていると優しく頭を撫でられ嬉しくなる。
腹部で、むくむくと陰茎が勃起してくるのを感じると、若菜は頬を染めながら細い指先で着物越しに陰茎を無でた。着物越しにも猛って波打つ魔羅に若菜は頬を染めて、吐息を乱した。
「っはぁ、若菜、はぁ、遊女みたいに、そんな事をしなくてもいいんだぞ……はぁ、ん……ぁっ」
「何時も、ん、私ばっかりして……貰ってるから……私もしたい……ん」
遊女のように手慣れた手付きではないが、幼い頃を思い出すような義姉の部屋で、舐められ手淫をされるのは堪らず、思わす朔は切なげに表情を歪めた。するりと着物の中に若菜の白魚を手が忍び込み、己の猛った魔羅を扱いていると思うだけでビクビクと陰茎が、物欲しそうに震える。早漏でもないが、普段義姉がすることの無い積極的な愛撫に感じて、ついに果ててしまった。
「っ、……はぁっ!」
「朔ちゃん、気をやってしまったの? 凄く可愛かった……ふふっ」
若菜が頬を染め、濡れた自分の指先を見ると呼吸を乱した朔が精液を拭き取り、強引に若菜を引き寄せると、形勢逆転で布団に寝かせ緋袴を脱がせた。恥ずかしそうにする若菜を太腿を開くと、朔は瞳を細めて言った。
開かれた薄桃色の亀裂は愛液に濡れ、きらきらと行灯の光に輝いている。芳しい上質で甘露な霊力の香りを嗅ぐと、体の奥底にある嗜虐と、暗闇の中に眠る何かを呼び起こされるようなゾクゾクとした快感を感じる。
「今度は、俺の番だな……あれだけ、煽ったんだからどうなるかわかってるよな、姉さん……俺の魔羅を舐めてこんなに愛液を溢れさせたのか? それとも、俺に虐められたくてしたの?」
「ち、違うよ、ひっ、あっ、はぁぁっ、あんっ、あっあ、やぁぁっ……! 朔ちゃん、やぁ、いつもと違っ」
朔の舌先が、愛液に濡れた大陰唇を舐めとると、まるで媚薬を伴うように無垢な花弁を丹念に舐め始めた。重なった花弁を掘り起こすように舌先で弄り、舌全体で張り付くように舐める。抵抗を許さないように華奢な両足を肩にかけると、愛液を貪るように器用に舐めた。
その度に若菜はガクガクと体を揺らせる。花弁全体に、まるで軟体生物が張り付いているように蠢いて波打つ。
「あっ、やっやっやっ、やぁっ、んん! 朔ちゃん、ふぁ、あっ、あっあっ! だめ、弱いとこばっかり、あんん、また、いっちゃう!」
「何度でも気をやっていい……んっ、……はぁ」
またしても絶頂に達してしまった若菜は、荒い呼吸を付いた。朔の中指と人差し指が愛液で濡れる花奥に挿入されると、舌先はそのまま梅花色に充血した花芯に絡め取られ、慎重に舌先でなめ取り、痛みを与え無いように吸いあげた。恥丘に上唇をつけ、朔は、下から上へとねっとりと花弁を舐めあけだ。
指に絡みつく愛液を感じて、指を動かすと相変わらず狭く、吸盤のように吸い付いて締め付ける天上の名器にうっとりとする。指から感じる心地良さで、また己の魔羅が劣情に勃起するのを感じた。
「ゃ、やぁ、ま、またっ、あ、ああっ! ほんとにそこ、だめ、そこ、舐めたら、気持ち良くて、おかしくなっちゃう、あぁ、あんん、あっあっあっ……朔ちゃん、もうだめ、許してっ」
すすり泣くように喘いで、若菜は絶頂に達する。眞液が飛び散りそれを丹念に舐められ、余韻で蜜色の瞳をぼんやりと潤ませながら、体を震わせた。不意に濡れた指先を菊座に塗付け、中指を挿入されると、慌てて腰を引こうとする。
「ゃ、や、朔ちゃん……お尻はいや」
「そうか? 姉さんは此処でも感じるだろ……。俺が……俺が初めて奪った場所だ」
朔はうっとりと艶のある声で呟くと、優しく腸内を愛撫した。愛液のお陰で狭くピッタリと張り付く狭い空間も指を動かす事ができた。上下に動かし、傷付けないように円を描くと、舌先で蜜穴から花芯まで舐める。
膣内に感じた快感とは別の、異物感と出入口で擦れる心地よさ、そして口淫の愛撫にまたしても若菜は歓声の声をあげた。
「はっ、あっ、あぁっ、だめ、こんなの……お尻でなんて、感じるの……やめ、……んんっ、やぁっ、ふっ、……やぁぁんっ!」
「はぁ……、若菜、そんなに甘い声を、だして……隣の忠徳や、沙絵に聞こえてしまうぞ」
「――――っ、んん……んぅー!」
朔の言葉に若菜は両手で口を塞いだ。若菜を追い詰めるように、蜜穴に挿入された舌先と菊座の指が淫らに蠢くと、若菜の肌に玉のような汗が滲み、紅潮に染まっていく。戦慄く内股を撫で、ちらりと若菜を見ると必死に達するのを我慢しているようだった。その表情が愛らしく、指の動きを早めると堪らず、足の先を突っ走り絶頂に達した。
大量に溢れた愛液を絡めとって舌先を離すと、朔は自分の指先で唇を拭き、舐めとった。
黒曜石のような瞳の奥に、紅い色が渦巻く。
「まるで媚薬みたいな蜜だ……こんなに清浄の気を放ってるのに、俺をこんなにも焚きつける……俺だけの若菜、全部、俺だけのものだ……姉さんを傷付ける奴は許さない……愛してる……誰よりも俺が愛してる……、俺から姉さんを奪う奴は……全員」
「朔ちゃん……? どうしたの……? 私も愛してるよ。ずっと一緒だよ」
殺す、と口にしかけて朔はハッと我に返った。心配そうに若菜が息を切らして両手で包み込んでくれたからだ。優しい蜜色の瞳を見ると、まるで憑き物が落ちるように、気持ちが楽になる。
若菜をぎゅっと抱きしめると、柔らかな稲穂の髪を梳く。着物を全て脱ぎ、お互い裸体になると若菜の頬を無でた。
「大丈夫だ……、ごめん。四つん這いになって……」
「う、うん、でも……朔ちゃんの顔が見れないと、不安になるの」
「わかってる、それは最後にな。それにほら、姿見があるだろう」
優しく言われ、四つん這いになると目の前に姿見がある事に気付き頬を染めた。自分と背後に立つ朔が見えて、羞恥に目をそらした。朔の亀頭が濡れた亀裂を擦り、愛液を纏うとゆっくりと膣内へと挿入される。
朔の魔羅は少し大きく、根本まで挿入されると頬を染めて目を見開き、愛液を飛び散らせた。待ち望んでいた愛する朔の魔羅は、淫らな音を立てて、狭い漣のように脈打つ極楽浄土の花奥を上下に進んでいく。
挿入しただけで、先走りの精液を垂らしてしまいそうだったが、先程一度達してしまったので持ちこたえられそうだ。腰を動かす度に、ずちゅ、ずちゅ、と淫らな音が響いて、若菜甘く喘ぐ。
「あっ、あっあっあっ、やっ、やぁ、やっやっ、さくちゃ、深い、あぁっ、や、んんっ、あ、あぁっ、やだ、鏡、恥ずかしい、んぁぁっ」
「はぁっ、はっ、若菜の、淫らで可愛い姿が映ってるな……っ、きつ、姉さんまだ動き始めたばかりなのに、きつい……、はぁっ」
緩やかに深く突き上げ、上部を擦りたてると、若菜の腕がカクンと折れ、布団を握りしめた。お尻を高くあげるような形になる。
吐息を乱しながら、若菜の体に四つん這いになって覆い被さると朔は、黒豹のように腰を動かせ極上の蜜壺を貪った。
鏡に写った自分は淫らで、朔が腰を動かす度に魔羅から与えられる心地よさに鳴いた。今日は、何時もより激しくて何時もより感じている。
「あっ、あんっ、あぁあっ、はぁぁ、あ、そこそんなに擦、ったら、んぁ、さく、あ、イク、やだ、またいっっっ!!!」
「――――ッ!!」
若菜が大きく猫のように背中を反らすと、絶頂に達する。蛸壺のような肉の壁が魔羅全体を締め付け、ミミズ千匹のように蠕動すると、朔は、呻いて布団を握りしめた。我慢でぎす花弁に白濁した液体を注ぎ込んだが、まだ衰える事を知らずに、繋がったまま若菜を背後から膝に乗せる。
絶頂に達した余韻で、目を潤ませ頬を染めて荒い呼吸を繰り返す若菜は、慌てたように彼の首に後ろ手に捕まる。
二人の結合部からこぼれ落ちた、白濁した液体を見て、若菜は頬を染めて目を反らした。
「ちゃんと見てくれ、若菜……ほら、俺の魔羅が愛してる所を……可愛いな、ヒクヒクして俺のものを受け入れて……愛してる……はぁ、わかっ、な……」
「ああっ、やっやっやっ、ひぁ、だめ、そこも触りながら突かれ、たら、あんん、やだ、ゃ、あっ、ああっ、ひっ、―――ッ!」
愛液と自らの精液を絡ませた指先で、花芯を捏ねるように指の腹で円を描くように撫で、下から腰を突き上げると、桜貝が潮を吹くように愛液を飛び散らせる。恥ずかしい結合部の動きに若菜は頬を染めて鏡に映る恍惚とした表情の朔と目線を合わせた。
その瞬間、感じ易い若菜は、堪らず達して朔の、胸板に倒れ込んだ。
「はあ、姉さん……気をやりすぎだろ。俺と夜伽するの本当に好きだな……っ、はぁ……可愛い、姉さん、本当に……っ」
「あっ、あぅ、すき、でも、もう、無理、許して、お願い、あんんっ、直ぐに気をやっちゃうから、あぁっ、やぁ、やぁっ」
若菜の腰を抱いたまま、後方に倒れ込むと若菜の花芯を撫でながら激しく腰を動かした。朔の体の上で喉をのけぞらせ、蜜色の瞳から涙が飛び散った。もう感じすぎておかしくなってしまいそうだ。何度絶頂に達しても、また次から次へと快楽が押し寄せてくる。
朔の指先が、胸の蕾を摘んで撫でられると堪らず敏感に反応して花弁を収縮させた。
黒豹のように欲望のまま、攻め立てる朔もいよいよ、極楽浄土の名器に三度目の絶頂を迎えようとしていた。
「っ、はぁ、若菜、一緒に、気をやろう、って……姉さんの膣内、俺の魔羅を溶かしそうだ……っ、はぁ!」
「やぁ、あっあっあっやっ、さくちゃ、一緒に、いきたい、一緒に、もう、ああ、やら、あっ、ああっ、あんんん、やっ、ああぁっ!!」
激しく太腿がぶつかり合う音と、蜜が絡まり合う音がして二人は同時に達して、若菜の膣内に白濁した液体が注がれる。体を小刻みに震わせようやく陰茎が抜かれると、汗ばんだ若菜の体を優しく下ろして、組敷くと抱き締めたまま、挿入する。こんな風に、猛っている朔は初めて見る。
「はぁぁっ! んん、もう、やだぁ、朔ちゃん、できな……」
「若菜……が、可愛いから悪い……このままゆっくり動かしたら鎮まるから……」
ピッタリと、体を抱き寄せ優しく口付けると、緩やかに腰を浅く動かす。だが若菜にとってはそのゆったりとした速度が、気持ち良く腰を淫らに左右に動かされると、朔の背中に抱き付いて無意識に腰を動かしてしまう。もう、やめたいのに、巧みな朔の動きに感じて、喘いでしまう。
「っあ、はぁっ、だめだ、若菜……たたでさえ、締め付けて吸い込んでくるのに動いたらっ、んんっ、はぁ、蕩けそう、姉さん、イクッ」
「つ、やっやっやっ、あぁ、気持ちいい、もう、あっ、さくちゃん、わたしもう、あっ、だめ、変に、あぁ、好き、んんんっ!」
若菜は口付けられた瞬間、組敷かれた朔の体の下で、背中を反らして絶頂に達すると意識を手放した。
✤✤✤✤
――――ふと、何かの気配を感じて朔は目を覚ました。
時刻は分からないが、この感覚は丑三つ時位だろうか。隣の若菜は健やかな寝息を立ててぐっすりと眠っている。義姉を起こさないように起き上がると、ゆるりと襖を開けて書斎を見るがそこには誰もいなかった。だが、書斎と庭を繋いでいる縁側、障子で仕切られた向こう側からか細い女の声が聞こえてきた。
「其処に居るのは朔かい……部屋に居なくて探してたんだヨ……」
聞き覚えのある声だ。
だが、声の主はとうにこの陰陽寮を後にした筈だが。眉間にシワを寄せながら朔は、溜め息をつくと言う。
「――――お鶴、こんな夜更けに何だ。お前はこの屋敷を去ったんだろ」
そう言って障子を開けると、そこには四つん這いになり、手も足もアメンボウのように細く鋭利になった間接を突き上げ、掌はペタリと床に貼り付いているお鶴の姿が目に入った。
毒々しい赤い舌先はベロリと長く、そして細い刺が付いている。髪は乱れて人間の頃の美しさは失われていた。
乱れた着物から覗く青白い形の良い乳房だけが、この異形に変わり果てた姿の中で唯一の人間らしい部分で返って不気味に見えた。
「……っ……お鶴、お前その姿はっ……どうしたんだ」
流石の朔も馴染みだった女の変わり果てた姿に言葉を失い、思わず後退した。
中級妖魔に取り憑かれたのだろうか。ならば、普通は神隠しに合うか、精神を蝕み廃人のようになって死亡したりする。これは下級の天魔に取り憑かれ、こうなったのではないかと察した。
でなければ、生きた人間の体がここまで変異するなんて霊力は、中級妖魔でも無理だ。
『アンタの事が忘れられ……ないンだよぉァァ……、また抱いとくれよォウ……! アンタの事を愛してるのヨぁ!」
「――――心の隙魔に入り込まれたのか」
ズンズンと部屋に入ってくる『お鶴だった』存在に印を結び、陰陽五行の九文切りをすると一旦軽く吹き飛ばされるが、やはり妖魔とは違い火傷のようなものはするものの、怯む事無く此方に向かってくる。術が刻まれた退魔の刀は自室に置いてあり、かなり不利な状況だ。
『ひどぃぃぃぃ、あの女のせぃかぃ! そうだろう? そこに居るんだろゥお前の姉が………殺してやる殺してやる殺してやる』
激昂したお鶴が、殺気を放ちながら部屋に入ってくる。しかし、若菜の事に触れた瞬間、殺すと叫んだ瞬間とてつもない怒りが体を支配した。
「――――若菜を殺すだと?」
若菜を殺す?
若菜を殺すだと?
この世で一番愛してる人を傷付ける等、例え過去に関わりがあった女でも許し難い。
若菜に、指一本この愚かで穢れた化け物に触れさせたくない。
若菜を絶対に傷付けさせない、俺が守る。
絶対に許さない。
絶対に許さない。
絶対にユルセナイ。
ゼッタイニユルサナイ
朔の頭が項垂れた自分ににじりよって若菜の寝室に向かおうとする下級天魔を、ゆっくりと顔を上げて目を細めた。
その漆黒の瞳に深紅の炎が混じり合っている。深淵の底から此方を覗くようなビリビリとした恐怖を感じる。そして人間であった時のお鶴が、見たことも無いような、凍り付いた表情でゆっくりと腕を組み、左に頭を掲げて目を見開いて笑った。
【失せろ……下等が】
瞬間部屋を揺らす程の波動が放たれ、お鶴は庭園の外壁に激突する位弾かれた。四肢は傷だらけで、紫色の血が滴り落ちている。
その声音は紛れもなく朔のものだが、まるで別人のようだった。硬直したお鶴はまるで、朔を畏れ怯えるような表情で、姿勢を低くしギィギィと鳴きながら後退して庭から塀を飛び越え、逃げ出していた。
下らない物を見たかのように鼻で笑った瞬間、背後から眠そうな目を擦りながら、襖を開けた若菜が声をかけた。
「んん、朔ちゃん……どうしたの?」
「あ、いや…少し水を飲みに行っただけだ、姉さん。起こしたか……? ごめんな」
ふと意識を取り戻したように朔は背後を振り返った。姉に名前を呼ばれるまでの数秒、記憶が全くない。まるで白昼夢のように、お鶴の姿は無くなり本当に寝惚けて居たのかもしれないと思う程だった。だが、それが現実のものだと思う根拠は若菜の一言があったからだ。
「朔ちゃん、寒いよ。縁側の障子閉めて」
「あ、あぁ、すまない」
朔は息を飲み、障子を閉めると若菜の肩を安心させるように抱き寄せ寝室へと戻っていく。
若菜は、不思議そうに彼を見つめたが、眠けに負け、そのまま二人で再び布団の中に入った。
――――塀を飛び越えた下級の天魔が、逃げるように体を引きずり蠢いていると、ゆらりと闇夜から人影が現れお鶴が立ち止まる。
背は高く、鍛えられたしなやかな肉体に闇の底のような漆黒の髪を総髪結いをし、前髪から僅かに見える金色の瞳、陶器のように青白い肌、耳は僅かに尖って見える。
至って出で立ちは普通の都人なのだが、人間離れした美しさが、返って違和感を感じさせる服装に思える。
だが彼は普通の人間ではなく、上級天魔だ。
彼は静かにお鶴の所までやってくると、相変わらず感情の読めない表情で見下ろし、眉を潜めた。
『……ギィ……霧雨サマ……、おた……すけ』
『――――身の程を知れ、愚か者が朔は第六天魔王様の器よ』
その言葉に、お鶴は脅えて悲鳴をあげたが次の瞬間、霧雨により散り散りに煙となって消滅させられていた。軽く溜め息をつくと、不意に霧雨は屋敷の方を見た。
『まさか、サク様が一瞬出てくるとはな……あの人間の感情が、激しく動いたようだが。一体どうしたと言うのだ……?』
霧雨は独り言めいた。
あれは怒りか、憎悪にも似た怒りだ。
それが瞬間的に、あの二人を結びつけたのかも知れない。しかし封印が解けぬ限り、あの器を支配することは叶わぬだろう。
だが、良い傾向だ。
封印が解け、あの方の魂が解き放たれても、器である朔が心を開け放さなければ、自分の肉体にする事は出来ないのだから。
仏頂面の霧雨の唇にふと笑みが浮かんだ。
『後2つ……、呪煌々を入手すれば娑婆世界も天魔界も、再び貴方の支配下になりまする。今暫くお待ち頂こう』
そう言うと、まるで濃い霧が立ち込めるようにその場に集まりそして音もなく掻き消されていった。
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