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捌、月蝕は濃く―其の漆―
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「はぁ…………ん…………」
若菜は、子供のように体を小さくして荒い呼吸を整えていた。ピッタリと閉じた薄桃色の花弁からは、光明の放った白濁した欲望が流れ落ちる。
光明は美しい白髪の長い髪をかきあげると吐息を吐き、乱れた着物を整え上質な酒を一口煽り、喉を潤した。
「さて、夕霧。若菜に触れる許可を与えましょう……愛弟子の天上の華は濡れて、熟している。童貞から男になる良い機会です。混血の娘が初めてとは……中々無い経験でしょうがね」
そう言って笑うと夕霧のふわりとした黒髪を撫でた。夕霧は美しい緋色の着物で口許を隠すと頬を染める。光明を相手する時は、中性的な仕草をするが、やはり女性を相手にする時は意識が変わるのだろうか。
「有り難う御座います、光明さま。身に余る光栄です。若菜様を傷つけないよう気を付けますね……」
しっとりと潤んだ黒い半月の瞳でそう告げると、若菜に近付き胎児のようにまるまった体に覆い被さりそっと肩を押し、優しく横たえた。
呼吸を整えた若菜は、彼を見上げ、怯えたように頭を降って逃げようとした。
「い、いや……! 光明さま!」
「何ですか? 言ったでしょう……夕霧は乱暴には扱いませんよ」
光明は妖艶に微笑んで、若菜の助けを無視した。
彼が許可した美しい者が自分の宝物に触れ、愛でるのも、また彼の歪んだ欲望を満たすものなのだろうか。若菜の腕を掴んだ夕霧は、とても優しい笑顔で制する。思いの外強い力で、青褪め涙ぐむ若菜に、とても申し訳なさそうな表情で耳元で囁いた。
「ごめんなさい……。僕は、貴方を傷付けるつもりは無いのです。光明様のお望みには逆らえなくて……早く……終わらせます。初めてだけど乱暴にはしません」
「――――」
彼もまた、光明の命令に背けないのだろう。多額の金を郭に支払って身請けされている手前、師匠の要望を拒む事が出来ないのだろうか。一生、鎖で繋がれた奴隷のようなものかもしれない。
――――若菜は、諦めたように目を閉じた。
朔の事を思い浮かべていれば、苦痛も少しは軽くなるだろう。
僅かに震えて、目を閉じる若菜を見つめ、口端に笑みを浮かべた。夕霧は指を伸ばし、柔らかな唇の形を確かめるように触れる。親指を僅かに開いた唇に含ませ舌と歯を撫で、顎から首筋をゆっくりと撫でた。
まるで女の形を確かめるような、不可思議な仕草にうっすらと目を開けた。興味深く自分の体をくまなく見つめている夕霧に、頬を染め目を伏せた。
「若菜様……とても綺麗です……この乳房も…柔らかい……」
「……っ……」
掌で、若菜の乳房を確認するように撫で、鷲掴みにされると、若菜の体が敏感に震える。
その様子に夕霧はにっこりと微笑み、白い柔らかな乳房を揉んだ。
指先から見える愛らしい薄桃色の蕾に、ねっとりと舌を這わせた。女の体を知らぬ夕霧の愛撫はぎこちなく、快楽を伴うもので無いのだが、時折、若菜の心地良い場所を突く。
「………っ、………ふっ……」
若菜はきゅっと目を閉じ、決して、歓声をあげないように口を固く結んでいる。その様子に夕霧は笑って囁きかける。
「――若菜さま、此処が気持ちいいのですか?」
「……っちが……っ!」
否定した瞬間に、胸の蕾を再び舌先で舐めあげられ、若菜は切なく眉を潜め息を飲んで腰を浮かせた。その様子にクスクスと楽しそうに夕霧は笑うと、ゆっくりと乳房から手を離し、指の腹で臍までの道を辿るように撫でた。
「まるで、南蛮の陶器人形みたいに白いですね……。殿方とは違って、柔らかい……しっとりしています……」
「フフフ……、いつか若菜には、南蛮の女が着る服も着せてみたいものですねぇ。そう、女の肌は皆、柔らかく温かいのですよ」
まるで人形を品定めしているよう首を傾げて言う夕霧に、座椅子に持たれた光明は楽しげに助言をした。上品に酒を飲みながら、初々しく美しい二人の淫らな戯れを、余興のように見ている。
一方、じっくりと品定めするような動きに、若菜は、居心地の悪さを感じてただひたすら目を閉じ愛する義弟の朔の事ばかり考えていた。
不意にピッタリと閉じた両足を僅かに開かされると、赤面して体が震える。
「い、いや……っ……」
「若菜様、僕はまだ何もしていませんよ」
そうクスクス笑うと、閉じようとした太股を手の平で止め、撫でた。片手で若菜の左足抑えると右の手の平を恥丘で覆い、親指で陰裂の淵をこねるようになぞる。そして小さく現れた花芯の粒を押してみる。
「……っ……ぁっ……! っ……んっ……あっ」
「やっぱり、ここは我慢できなくて声が出ちゃうんですね……可愛い」
その言葉にはっとして目を見開くと赤面して彼を見つめる。無邪気に微笑みながら、夕霧はぱっくりと女陰を開けて、複雑で神秘的な華の構造を観察する。
つぅ、と垂れた光明の精液を便りに、夕霧は蜜穴に人差し指を挿入した。女性の膣内の事は良くわからないが、その感触は暖かく柔らかく絡み付いて、指先を締め付けてくる。
夕霧は敢えて指を動かさず、温もりと鼓動を感じるように少女の内部を味わっていた。
こういった風に膣内を触られるのは初めてで、まるで自分の膣内を検査されているような仕草に、意識がはっきりとした状態ではとてつもなく恥ずかしい。
「……っあ、っ……やっ、朔ちゃん……助けて……」
乱れた着物を握りしめ、震える声で小さく呻いた。すっと指先を抜くと夕霧は、首を傾げて若菜に体を寄せにっこり微笑みかける。
「――――朔様は恋人なんですよね? 種違いのご姉弟だとか。禁断の愛だなぁ~~、素敵です。――――でも、朔様にはごめんなさいですね」
軽い調子で言う夕霧の表情は、夜伽が始まる前との印象とは全く違っている。やはり童貞でも、元陰間と言う商売をしていたせいか、慣れているのだろうか。戸惑う若菜は何故か妙な違和感をひしひしと感じていた。
若菜の両足を体が入るくらい開くと、天を仰ぐ陰茎で、花弁の入口の場所を確認するように蜜口に押し当てる。
「あっ、やっ……、やめて! いやっ!」
「光明さまに先程沢山愛されて濡れてるから……大丈夫そう。若菜様、僕と一つになりましょうね」
「フフフ……。膣内には出さないように、と言っても童貞のお前では、若菜の天上の華はあまりに刺激的でしょうから、今回は大目に見てやりますよ」
「ふふふ……有難う御座います、光明様」
慌てる若菜の華奢な腰を引き寄せ、両手で太股を抑え込むと、可憐な花の入り口を裂いていく。先程の激しく淫らな夜伽のお陰で溢れ出た愛液を絡めて一気に根元まで挿入する。美少女にも思える少年の立派な逸物に貫かれた瞬間若菜はきゅっと目を閉じ甘い悲鳴をあげた。
「やぁんっっ……!」
「はぁっ……………!」
夕霧は挿入した瞬間、天井を見つめた。その瞳が一瞬、真紅に染まり鈍く光ると、ニヤリと口端に邪な笑みを浮かべて表情を元に戻すと、頬を染め、切ない愛らしい表情になる。
「はぁ、はぁ……す、凄い……吸い付いてきます。動いてないのに……溝の一つ一つが摩羅に絡んで……はぁ、先をブツブツが刺激して……女の子ってこんなに……気持ちいいのですか……っ」
既に、息も絶え絶えになりながら告げる夕霧に、光明は面白そうに笑って言った。
「若菜は特別ですよ。しかし、最初から最上級の花弁を味わってしまったら、他の女人では、満足行かなくなるかも知れませんねぇ。……クックックッ」
若菜は、必死に快楽に耐える彼を涙目で見つめた。自分の女陰の事は良くわからないが、女性の経験が無いなら直ぐにでも果ててくれるかも知れないと、彼等の会話や、陰陽寮での女中や女陰陽師達の会話で若菜はそう推測した。夕霧は若菜の体に密着させるようにして体を寄せると、両手を付きピンと両足を伸ばして覗き込む。
「僕、女の子とは初めてだけど、夜伽はお仕事なので……快楽には少し強いです……はぁ、直ぐに気をやらないように気を付けますね?」
まるで若菜の考えなどお見通しなように薄く笑うと、腰を動かし始めた。女人の気持ちの良い場所などまだ分からないとはいえ、艶かしく腰を動かされると、沸き上がる快楽に若菜は目を閉じ、彼を見ないようにして必死に両手で口を押さえ歓声を押し殺した。
「………っ、んっ……っ、んっ……ぅ……」
「あっ……ん、……はぁ、はぁ、はぁぁ……気持ちいい……んぁぁ、若菜様……僕の摩羅が蕩けてしまいそうです……だめ、だめですよ、はぁんん…可愛い鳴き声を光明さまにお聞かせ下さい」
若菜の手首を掴むと、強い力で引き剥がし布団に押し付けると不意に深く突き上げた。
「あっ……!はぁぁんん……!」
若菜が溜まらず甘い声をあげて蜜色の瞳を見開くと、光明は満足そうに目を細めた。
羞恥と屈辱で頬を染め、震えているその表情は幾度抱いても、堪らなく光明を刺激する。
何度抱いて穢しても、闇に堕ちる事の無い無垢なこの娘を、こうして夜伽をする度に支配し、壊し、穢して自分の元へと堕としたくなる。
だが何度試みても、それは叶わない。
そのジレンマが、光明を虜にする。
朔と交わるように、自分を誰よりも愛し、自ら求めるようになるまで蹂躙してやりたい。
夕霧は足を曲げると、若菜の両足を太股にかけ若菜の天上の華を貪るように腰を動かし、乳房を両手で寄せた、豊かな柔らかい胸の感触を楽しんでいた。若菜は甘い声をあげながらぎゅっと布団を握りしめている。
自分を見ないように目を閉じているのは、せめてもの可愛い抵抗か。
動かす度にミミズのような壁が絡まり根元と亀頭を締め付けてくる。突起したブツブツが擦れる度に夕霧は呻くような甘い声をあげてしまう。
柔らかな乳房、滑らかな雪のような心地よい肌、そして甘く上品な華の香り……。
客として来ていた坊主から香るような獣臭さなど皆無だ。体の体温が上がる度に言われぬ良い香りが鼻孔に漂う。
陰間の時は自分が受け手側になるのが通常で、自分が攻め手になるのは初めてだったが、自分が思うように快楽を貪れると言うのは良いものだった。また、この桜花の薫りと、体全身に漲る温もりは強い高い霊力の為だろうか。
何よりも夕霧を刺激したのは、怯えたように自分を見たあの目だ。拒絶されればされるほど、絶望の中で犯したくなる。
若菜がうっすらと彼を見ると、先程とは違いニヤニヤと残忍な笑みを浮かべているのに背筋が凍った。だが、その若菜の反応が更に夕霧を楽しませてしまう結果になるとは思いもしなかっただろう。
「あっ、やっ、んっ、あんっ…! ひっ、あっ…あんっ、あ、やっ、抜いてぇ……ゃ、もう、終わって、おわっ、ひぁぁっ! っ、や、やだ!」
腰を動かされると蜜の絡まる音が響き渡る。
不意に夕霧が顔を近付け唇を重ねようとすると、若菜は反射的に顔を背けた。
唇だけは奪われたくなかった、こうして反抗する事が唯一の自尊心を保てる事だった。絶対に口付けだけは彼にされたくない。夕霧は敢えて緩く腰を動かしながら、若菜の顎を掴みクスクスと笑いながら耳元で囁く。
「それ、傷付くなぁ……。はぁん……はぁ……まだまだ終わりませんよ。んぁ、それにしても……愛してる人にしか口付けさせ無いなんて……乙女ですね。はぁ、妬けちゃうなぁ」
「おやおや、嫌われましたねぇ夕霧。中々頑固な娘なのですよ。若菜、私の口付けは受け入れても夕霧の口付けは受け入れられないのですか?」
光明は満足そうに笑みを浮かべた。
『愛してる人にしか口付けさせない』その言葉と若菜の行動が、彼を大いに上機嫌にさせた。
彼女は頑なに認めては居ないが、自分に忠誠を尽くし愛しているのだろうと思っているのだ。
若菜は光明を見ると目を伏せきゅっと唇を閉じ、顎をつかむ夕霧の手首に手を添えると、もう片方の手は彼の胸板に置いたまま必死に快楽に耐えていた。
夕霧はチラリと満足そうな光明の様子を冷たく横目に見ると、若菜の首筋から耳朶にかけて舌先を這わせた。
「ひぁぁっ!あっ………っ…………んっ」
耳朶を舐めた瞬間、若菜の思わず甘い声をあげた。若菜はポタポタと涙を流し、心の中で何度も朔の名前を呼んだ。
目を閉じても耳元に荒い吐息を感じる。耳朶を舐めながら含み笑いを漏らすと光明に聞こえない程小さな声で囁いてきた。
「はぁ……朔様のお名前をどんなに唱えたって、若菜様のお万個、はぁ、はぁ……僕の珍宝でぐちょぐちょに濡れまくってますよ? はぁ、はぁ……っ、ほら、我慢しないで……イキ声を聴かせてくださいよ。
僕も……、そろそろ気をやりたいし、もっと極上お万個味わいたいので、激しくしますね?」
「……!? ゃ、言わないで……っ、やっ、あっ、あんっ、あぁんっ、はっ、やぁっ、やっやっやっ、はぁぁ、だめぇ!! そんなに動かさないで……! あっ、やぁぁ、やっあっあっあっ!」
美しい容姿の彼から、卑猥で毒々しい言葉が吐き出されると、驚いて赤面し目を見開いた。
目の前にあるのは、若菜の顔を涼しげに艷やかに微笑みかける美少年で、まるで先程の言葉は幻聴のようにも思える。
腰を抱き寄せ、自らの密着させたまま容赦なく激しく腰を動かしてきた。ようやく甘い声を出し始めた若菜にニヤリと微笑み、夕霧は蕩けた表情で喘ぐ。
「はぁっ……はぁっ、ぁ、若菜様の天上の華とても……気持ち良くて……僕、はぁぁ、あんっ……腰が動いちゃう……んっんっ、若菜様のなか、ヒクヒクして……僕、いっちゃいそう……光明さま宜しいですか?……んっっ」
貪るように魔羅で突き上げ上下に動かされると、若菜は膣内から徐々に沸き上がるゾクゾクとした快楽に甘い声をあげた。涙を流しながらいやいやと頭を降っても、白い肌には汗が浮かび、夕霧の陰茎に蜜を絡ませて徐々に締め付け始めている。
「あんっ、あんっ、はぁっ、あっあっあっ、や、やっ、やだぁ、いきたくな、ないのに、やぁ、あっあっ、あんっ……」
二人の甘い歓声に妖艶な笑みを浮かべた光明は言う。
「夕霧、お前は飲み込みの早い子ですねぇ。
賢い子は好きです。良いでしょうさぁ、……気をやりなさい」
夕霧はにっこりと笑うと、彼の手によって絶頂に達する事を拒む美少女の耳元で更に小さく囁いた。
「はぁ、はぁ……そぉだ、喜びなよ。法眼様が君を大変気に入ったみたいだ……良かったねぇ……んんっ、君のいやらしいお万個、気持ちよすぎてもう気をやりそう」
「……?? っんん! あっ、やっやっやっやっ、あっあっ、あっあぁぁ!」
若菜がよく分からないと言う表情をした瞬間、夕霧は体を起こし、両手で華奢な腰を両手で掴むと、先程より激しく腰を動かした。
「はぁ、はぁっ、はっ、はっ、はっ、すご、あぁっ、イク……!」
そう呻くと、若菜から摩羅を抜き、濡れた花弁に向けて射精した。ドロリと白濁液が落ちていく。解放された若菜は絶頂の直前に抜けとられ、切ない声をあげてガクガクと体を震わせた。寸止めされ行き場を失った快楽に若菜は呻いた。
「ご免なさい……若菜様、僕の方が先に気をやってしまいました」
申し訳なさそうに肩を竦める夕霧の側までくると、クスクス笑いながら髪を撫でた。
そして、悶える若菜を後ろから抱き起こして、両膝を抱え込むと猛った己の上に座らせる。
「ふぁぁっっ、あっんんっ! 光明さ……まっ……」
まるで夕霧に見せるように抱き抱えられると、寸止めされ爆発した快楽が沸き上がり、挿入されただけで光明の摩羅を淫らに締め付けた。
「童貞にしては…はぁ……頑張った方でしょう。
何よりお前は……私の情けも……頼らず、きちんと種を外に出した……合格ですよ。
さて……若菜、お前はしょうがない、愛弟子ですねぇ。童貞の相手とはいえ、私でないと気をやれ無いのでしょう……? いかせてあげますよ」
そう言うと華奢な若菜の体を抱えながら下から捏ね回すように淫らに突き上げた。
若菜は目を見開き、甘い歓声をあげ涙を弾け飛ばした。師匠が動く度に眞液が飛び散り数の子の粒がカリ首を刺激し、吸い付き二段構えで巾着のように締め付ける。
光明とて、数回腰をふっただけでもそのまま極楽浄土に行けそうな程の快感だ。
「あっ、やっっ、あんっ、あっあっあっあっ!やっ、光明さま、いっちゃう、やん、やだ、もうおかしくなっちゃ……あん、あ、やあぁぁん……!」
「はぁ……っ、良く解れた極楽浄土……だ、またお前の中に……私の精液を出してやりますからね…んっ、はぁ……っ!!」
若菜は足の指をピンと伸ばした瞬間、快楽の洪水が起こり絶頂に達した。薄桃色の花弁からまた白濁した液体が溢れ、淫らな音をさせて抜き取られるとぐったりと若菜は体の力を抜いて彼に寄りかかった。
荒い呼吸を繰り返す、愛らしい愛玩人形の顎を掴んで言う。
「寝てしまう前に夕霧の湯殿を借りなさい。朔の白檀の薫り、私の伽羅の薫り、そして夕霧の梅花の薫りで染まりきっていますからね」
「若菜様、お疲れでしょ? 僕、湯殿の用意をするように言っておきますから」
夕霧はにっこりと微笑み若菜をのぞきこんだ。
そして、光明に愛人のように軽く口付ける。
二人のその言葉に赤面し、胸を覆うずっしりとした疲労に言葉を失くしていた。
「んっ………………んんっ………」
不意に光明に唇を奪われ、舌を絡めとられると切なく眉をしかめる。抗えぬ鎖でがんじがらめにされるように口腔内を舌先に犯される快楽と嫌悪感に若菜は、震えた。
✤✤✤✤
若菜は疲れた体を引きずって、廊下を歩いていると、物陰から野菊が現れ驚いたように体を震わせた。
彼は、辺りを見渡すと若菜の元へと近寄り真剣な眼差しで見つめた。
「の、野菊さん……?」
「シッ、詩乃様……で御座いましたよね? 戯言と思われるかも知れませんが、どうかあの夕霧には気を付けて下さい。それにあの禍々しい宝珠にも……」
夕霧の名前を聞くだけで体が縮み上がってしまう。野菊の警告も今は虚しく感じられるが、その真剣な表情は無視できなかった。二重人格のような彼の性格のことを言っているのだろうかと、儚く若菜は微笑みを浮かべた。
「わかりました、ありがとう野菊さん」
「私は霊感が強くて……夕霧がこの郭にいた頃の事を良く知っています。……っ、これ以上は辞めておきます」
「野菊さん、待って!」
野菊は突然弾かれたように体を震わせ、若菜を見ずにすれ違って走り去ってしまった。
若菜は音を立てないように部屋へと戻ると、朔が背中を向け、深い眠りについていた。規則正しい寝息で背中が上下している。
体を隅々まで綺麗にした若菜は、梅花の香の中で淫靡な宴の後の濃い微睡みを堪能する二人から逃れた。若菜は涙をこらえて、彼の隣に座るとそのまま背中にぎゅっと抱き付いた。
とても自分が穢れた存在に思える。
命令とはいえ、あの夕霧と言う陰陽師見習いと、夜伽をした。罪悪感と嫌悪感、朔に嫌われてしまうかもしれない恐怖に体が震えて、涙が溢れてきた。
「ん………………。若菜…………どうしたんだ」
不意に寝惚けた声で名前を呼ぶと朔が寝返りを打ち若菜を、優しく抱き締めた。柔らかな白檀の薫りと、安心できる温もりを感じて抱きつくと、彼の心臓の音を聞くように胸に頬を当てた。
「うんん、怖い夢をみたの……大丈夫だよ」
――とても朔には言えなかった。
眠そうにしながら、若菜の髪を梳く朔が愛しくて悲しい。きっと夜の花街のように、あれは毒々しい悪夢に違いない。悪夢を見ただけの事、と忘れようと目を閉じた。再び寝息をたて始める義弟の鼓動を聞きながら若菜は、彼の背中を抱きしめた。
光明の霊力は、自分達には及ばぬほど強く、そして権力を持っている。
若菜も自分達の無力さを痛感していた。
誰か、此処から自分達を連れ出して欲しいと言う気持ちと、師がこんな淫らな遊びから目を覚ます事を祈る気持ちがひしめき合っている。
だが、最も強く願う事は、絶対に最愛の人は護りたい。そして大事な式神達も護らねなければいけないという想いだった。
若菜は、子供のように体を小さくして荒い呼吸を整えていた。ピッタリと閉じた薄桃色の花弁からは、光明の放った白濁した欲望が流れ落ちる。
光明は美しい白髪の長い髪をかきあげると吐息を吐き、乱れた着物を整え上質な酒を一口煽り、喉を潤した。
「さて、夕霧。若菜に触れる許可を与えましょう……愛弟子の天上の華は濡れて、熟している。童貞から男になる良い機会です。混血の娘が初めてとは……中々無い経験でしょうがね」
そう言って笑うと夕霧のふわりとした黒髪を撫でた。夕霧は美しい緋色の着物で口許を隠すと頬を染める。光明を相手する時は、中性的な仕草をするが、やはり女性を相手にする時は意識が変わるのだろうか。
「有り難う御座います、光明さま。身に余る光栄です。若菜様を傷つけないよう気を付けますね……」
しっとりと潤んだ黒い半月の瞳でそう告げると、若菜に近付き胎児のようにまるまった体に覆い被さりそっと肩を押し、優しく横たえた。
呼吸を整えた若菜は、彼を見上げ、怯えたように頭を降って逃げようとした。
「い、いや……! 光明さま!」
「何ですか? 言ったでしょう……夕霧は乱暴には扱いませんよ」
光明は妖艶に微笑んで、若菜の助けを無視した。
彼が許可した美しい者が自分の宝物に触れ、愛でるのも、また彼の歪んだ欲望を満たすものなのだろうか。若菜の腕を掴んだ夕霧は、とても優しい笑顔で制する。思いの外強い力で、青褪め涙ぐむ若菜に、とても申し訳なさそうな表情で耳元で囁いた。
「ごめんなさい……。僕は、貴方を傷付けるつもりは無いのです。光明様のお望みには逆らえなくて……早く……終わらせます。初めてだけど乱暴にはしません」
「――――」
彼もまた、光明の命令に背けないのだろう。多額の金を郭に支払って身請けされている手前、師匠の要望を拒む事が出来ないのだろうか。一生、鎖で繋がれた奴隷のようなものかもしれない。
――――若菜は、諦めたように目を閉じた。
朔の事を思い浮かべていれば、苦痛も少しは軽くなるだろう。
僅かに震えて、目を閉じる若菜を見つめ、口端に笑みを浮かべた。夕霧は指を伸ばし、柔らかな唇の形を確かめるように触れる。親指を僅かに開いた唇に含ませ舌と歯を撫で、顎から首筋をゆっくりと撫でた。
まるで女の形を確かめるような、不可思議な仕草にうっすらと目を開けた。興味深く自分の体をくまなく見つめている夕霧に、頬を染め目を伏せた。
「若菜様……とても綺麗です……この乳房も…柔らかい……」
「……っ……」
掌で、若菜の乳房を確認するように撫で、鷲掴みにされると、若菜の体が敏感に震える。
その様子に夕霧はにっこりと微笑み、白い柔らかな乳房を揉んだ。
指先から見える愛らしい薄桃色の蕾に、ねっとりと舌を這わせた。女の体を知らぬ夕霧の愛撫はぎこちなく、快楽を伴うもので無いのだが、時折、若菜の心地良い場所を突く。
「………っ、………ふっ……」
若菜はきゅっと目を閉じ、決して、歓声をあげないように口を固く結んでいる。その様子に夕霧は笑って囁きかける。
「――若菜さま、此処が気持ちいいのですか?」
「……っちが……っ!」
否定した瞬間に、胸の蕾を再び舌先で舐めあげられ、若菜は切なく眉を潜め息を飲んで腰を浮かせた。その様子にクスクスと楽しそうに夕霧は笑うと、ゆっくりと乳房から手を離し、指の腹で臍までの道を辿るように撫でた。
「まるで、南蛮の陶器人形みたいに白いですね……。殿方とは違って、柔らかい……しっとりしています……」
「フフフ……、いつか若菜には、南蛮の女が着る服も着せてみたいものですねぇ。そう、女の肌は皆、柔らかく温かいのですよ」
まるで人形を品定めしているよう首を傾げて言う夕霧に、座椅子に持たれた光明は楽しげに助言をした。上品に酒を飲みながら、初々しく美しい二人の淫らな戯れを、余興のように見ている。
一方、じっくりと品定めするような動きに、若菜は、居心地の悪さを感じてただひたすら目を閉じ愛する義弟の朔の事ばかり考えていた。
不意にピッタリと閉じた両足を僅かに開かされると、赤面して体が震える。
「い、いや……っ……」
「若菜様、僕はまだ何もしていませんよ」
そうクスクス笑うと、閉じようとした太股を手の平で止め、撫でた。片手で若菜の左足抑えると右の手の平を恥丘で覆い、親指で陰裂の淵をこねるようになぞる。そして小さく現れた花芯の粒を押してみる。
「……っ……ぁっ……! っ……んっ……あっ」
「やっぱり、ここは我慢できなくて声が出ちゃうんですね……可愛い」
その言葉にはっとして目を見開くと赤面して彼を見つめる。無邪気に微笑みながら、夕霧はぱっくりと女陰を開けて、複雑で神秘的な華の構造を観察する。
つぅ、と垂れた光明の精液を便りに、夕霧は蜜穴に人差し指を挿入した。女性の膣内の事は良くわからないが、その感触は暖かく柔らかく絡み付いて、指先を締め付けてくる。
夕霧は敢えて指を動かさず、温もりと鼓動を感じるように少女の内部を味わっていた。
こういった風に膣内を触られるのは初めてで、まるで自分の膣内を検査されているような仕草に、意識がはっきりとした状態ではとてつもなく恥ずかしい。
「……っあ、っ……やっ、朔ちゃん……助けて……」
乱れた着物を握りしめ、震える声で小さく呻いた。すっと指先を抜くと夕霧は、首を傾げて若菜に体を寄せにっこり微笑みかける。
「――――朔様は恋人なんですよね? 種違いのご姉弟だとか。禁断の愛だなぁ~~、素敵です。――――でも、朔様にはごめんなさいですね」
軽い調子で言う夕霧の表情は、夜伽が始まる前との印象とは全く違っている。やはり童貞でも、元陰間と言う商売をしていたせいか、慣れているのだろうか。戸惑う若菜は何故か妙な違和感をひしひしと感じていた。
若菜の両足を体が入るくらい開くと、天を仰ぐ陰茎で、花弁の入口の場所を確認するように蜜口に押し当てる。
「あっ、やっ……、やめて! いやっ!」
「光明さまに先程沢山愛されて濡れてるから……大丈夫そう。若菜様、僕と一つになりましょうね」
「フフフ……。膣内には出さないように、と言っても童貞のお前では、若菜の天上の華はあまりに刺激的でしょうから、今回は大目に見てやりますよ」
「ふふふ……有難う御座います、光明様」
慌てる若菜の華奢な腰を引き寄せ、両手で太股を抑え込むと、可憐な花の入り口を裂いていく。先程の激しく淫らな夜伽のお陰で溢れ出た愛液を絡めて一気に根元まで挿入する。美少女にも思える少年の立派な逸物に貫かれた瞬間若菜はきゅっと目を閉じ甘い悲鳴をあげた。
「やぁんっっ……!」
「はぁっ……………!」
夕霧は挿入した瞬間、天井を見つめた。その瞳が一瞬、真紅に染まり鈍く光ると、ニヤリと口端に邪な笑みを浮かべて表情を元に戻すと、頬を染め、切ない愛らしい表情になる。
「はぁ、はぁ……す、凄い……吸い付いてきます。動いてないのに……溝の一つ一つが摩羅に絡んで……はぁ、先をブツブツが刺激して……女の子ってこんなに……気持ちいいのですか……っ」
既に、息も絶え絶えになりながら告げる夕霧に、光明は面白そうに笑って言った。
「若菜は特別ですよ。しかし、最初から最上級の花弁を味わってしまったら、他の女人では、満足行かなくなるかも知れませんねぇ。……クックックッ」
若菜は、必死に快楽に耐える彼を涙目で見つめた。自分の女陰の事は良くわからないが、女性の経験が無いなら直ぐにでも果ててくれるかも知れないと、彼等の会話や、陰陽寮での女中や女陰陽師達の会話で若菜はそう推測した。夕霧は若菜の体に密着させるようにして体を寄せると、両手を付きピンと両足を伸ばして覗き込む。
「僕、女の子とは初めてだけど、夜伽はお仕事なので……快楽には少し強いです……はぁ、直ぐに気をやらないように気を付けますね?」
まるで若菜の考えなどお見通しなように薄く笑うと、腰を動かし始めた。女人の気持ちの良い場所などまだ分からないとはいえ、艶かしく腰を動かされると、沸き上がる快楽に若菜は目を閉じ、彼を見ないようにして必死に両手で口を押さえ歓声を押し殺した。
「………っ、んっ……っ、んっ……ぅ……」
「あっ……ん、……はぁ、はぁ、はぁぁ……気持ちいい……んぁぁ、若菜様……僕の摩羅が蕩けてしまいそうです……だめ、だめですよ、はぁんん…可愛い鳴き声を光明さまにお聞かせ下さい」
若菜の手首を掴むと、強い力で引き剥がし布団に押し付けると不意に深く突き上げた。
「あっ……!はぁぁんん……!」
若菜が溜まらず甘い声をあげて蜜色の瞳を見開くと、光明は満足そうに目を細めた。
羞恥と屈辱で頬を染め、震えているその表情は幾度抱いても、堪らなく光明を刺激する。
何度抱いて穢しても、闇に堕ちる事の無い無垢なこの娘を、こうして夜伽をする度に支配し、壊し、穢して自分の元へと堕としたくなる。
だが何度試みても、それは叶わない。
そのジレンマが、光明を虜にする。
朔と交わるように、自分を誰よりも愛し、自ら求めるようになるまで蹂躙してやりたい。
夕霧は足を曲げると、若菜の両足を太股にかけ若菜の天上の華を貪るように腰を動かし、乳房を両手で寄せた、豊かな柔らかい胸の感触を楽しんでいた。若菜は甘い声をあげながらぎゅっと布団を握りしめている。
自分を見ないように目を閉じているのは、せめてもの可愛い抵抗か。
動かす度にミミズのような壁が絡まり根元と亀頭を締め付けてくる。突起したブツブツが擦れる度に夕霧は呻くような甘い声をあげてしまう。
柔らかな乳房、滑らかな雪のような心地よい肌、そして甘く上品な華の香り……。
客として来ていた坊主から香るような獣臭さなど皆無だ。体の体温が上がる度に言われぬ良い香りが鼻孔に漂う。
陰間の時は自分が受け手側になるのが通常で、自分が攻め手になるのは初めてだったが、自分が思うように快楽を貪れると言うのは良いものだった。また、この桜花の薫りと、体全身に漲る温もりは強い高い霊力の為だろうか。
何よりも夕霧を刺激したのは、怯えたように自分を見たあの目だ。拒絶されればされるほど、絶望の中で犯したくなる。
若菜がうっすらと彼を見ると、先程とは違いニヤニヤと残忍な笑みを浮かべているのに背筋が凍った。だが、その若菜の反応が更に夕霧を楽しませてしまう結果になるとは思いもしなかっただろう。
「あっ、やっ、んっ、あんっ…! ひっ、あっ…あんっ、あ、やっ、抜いてぇ……ゃ、もう、終わって、おわっ、ひぁぁっ! っ、や、やだ!」
腰を動かされると蜜の絡まる音が響き渡る。
不意に夕霧が顔を近付け唇を重ねようとすると、若菜は反射的に顔を背けた。
唇だけは奪われたくなかった、こうして反抗する事が唯一の自尊心を保てる事だった。絶対に口付けだけは彼にされたくない。夕霧は敢えて緩く腰を動かしながら、若菜の顎を掴みクスクスと笑いながら耳元で囁く。
「それ、傷付くなぁ……。はぁん……はぁ……まだまだ終わりませんよ。んぁ、それにしても……愛してる人にしか口付けさせ無いなんて……乙女ですね。はぁ、妬けちゃうなぁ」
「おやおや、嫌われましたねぇ夕霧。中々頑固な娘なのですよ。若菜、私の口付けは受け入れても夕霧の口付けは受け入れられないのですか?」
光明は満足そうに笑みを浮かべた。
『愛してる人にしか口付けさせない』その言葉と若菜の行動が、彼を大いに上機嫌にさせた。
彼女は頑なに認めては居ないが、自分に忠誠を尽くし愛しているのだろうと思っているのだ。
若菜は光明を見ると目を伏せきゅっと唇を閉じ、顎をつかむ夕霧の手首に手を添えると、もう片方の手は彼の胸板に置いたまま必死に快楽に耐えていた。
夕霧はチラリと満足そうな光明の様子を冷たく横目に見ると、若菜の首筋から耳朶にかけて舌先を這わせた。
「ひぁぁっ!あっ………っ…………んっ」
耳朶を舐めた瞬間、若菜の思わず甘い声をあげた。若菜はポタポタと涙を流し、心の中で何度も朔の名前を呼んだ。
目を閉じても耳元に荒い吐息を感じる。耳朶を舐めながら含み笑いを漏らすと光明に聞こえない程小さな声で囁いてきた。
「はぁ……朔様のお名前をどんなに唱えたって、若菜様のお万個、はぁ、はぁ……僕の珍宝でぐちょぐちょに濡れまくってますよ? はぁ、はぁ……っ、ほら、我慢しないで……イキ声を聴かせてくださいよ。
僕も……、そろそろ気をやりたいし、もっと極上お万個味わいたいので、激しくしますね?」
「……!? ゃ、言わないで……っ、やっ、あっ、あんっ、あぁんっ、はっ、やぁっ、やっやっやっ、はぁぁ、だめぇ!! そんなに動かさないで……! あっ、やぁぁ、やっあっあっあっ!」
美しい容姿の彼から、卑猥で毒々しい言葉が吐き出されると、驚いて赤面し目を見開いた。
目の前にあるのは、若菜の顔を涼しげに艷やかに微笑みかける美少年で、まるで先程の言葉は幻聴のようにも思える。
腰を抱き寄せ、自らの密着させたまま容赦なく激しく腰を動かしてきた。ようやく甘い声を出し始めた若菜にニヤリと微笑み、夕霧は蕩けた表情で喘ぐ。
「はぁっ……はぁっ、ぁ、若菜様の天上の華とても……気持ち良くて……僕、はぁぁ、あんっ……腰が動いちゃう……んっんっ、若菜様のなか、ヒクヒクして……僕、いっちゃいそう……光明さま宜しいですか?……んっっ」
貪るように魔羅で突き上げ上下に動かされると、若菜は膣内から徐々に沸き上がるゾクゾクとした快楽に甘い声をあげた。涙を流しながらいやいやと頭を降っても、白い肌には汗が浮かび、夕霧の陰茎に蜜を絡ませて徐々に締め付け始めている。
「あんっ、あんっ、はぁっ、あっあっあっ、や、やっ、やだぁ、いきたくな、ないのに、やぁ、あっあっ、あんっ……」
二人の甘い歓声に妖艶な笑みを浮かべた光明は言う。
「夕霧、お前は飲み込みの早い子ですねぇ。
賢い子は好きです。良いでしょうさぁ、……気をやりなさい」
夕霧はにっこりと笑うと、彼の手によって絶頂に達する事を拒む美少女の耳元で更に小さく囁いた。
「はぁ、はぁ……そぉだ、喜びなよ。法眼様が君を大変気に入ったみたいだ……良かったねぇ……んんっ、君のいやらしいお万個、気持ちよすぎてもう気をやりそう」
「……?? っんん! あっ、やっやっやっやっ、あっあっ、あっあぁぁ!」
若菜がよく分からないと言う表情をした瞬間、夕霧は体を起こし、両手で華奢な腰を両手で掴むと、先程より激しく腰を動かした。
「はぁ、はぁっ、はっ、はっ、はっ、すご、あぁっ、イク……!」
そう呻くと、若菜から摩羅を抜き、濡れた花弁に向けて射精した。ドロリと白濁液が落ちていく。解放された若菜は絶頂の直前に抜けとられ、切ない声をあげてガクガクと体を震わせた。寸止めされ行き場を失った快楽に若菜は呻いた。
「ご免なさい……若菜様、僕の方が先に気をやってしまいました」
申し訳なさそうに肩を竦める夕霧の側までくると、クスクス笑いながら髪を撫でた。
そして、悶える若菜を後ろから抱き起こして、両膝を抱え込むと猛った己の上に座らせる。
「ふぁぁっっ、あっんんっ! 光明さ……まっ……」
まるで夕霧に見せるように抱き抱えられると、寸止めされ爆発した快楽が沸き上がり、挿入されただけで光明の摩羅を淫らに締め付けた。
「童貞にしては…はぁ……頑張った方でしょう。
何よりお前は……私の情けも……頼らず、きちんと種を外に出した……合格ですよ。
さて……若菜、お前はしょうがない、愛弟子ですねぇ。童貞の相手とはいえ、私でないと気をやれ無いのでしょう……? いかせてあげますよ」
そう言うと華奢な若菜の体を抱えながら下から捏ね回すように淫らに突き上げた。
若菜は目を見開き、甘い歓声をあげ涙を弾け飛ばした。師匠が動く度に眞液が飛び散り数の子の粒がカリ首を刺激し、吸い付き二段構えで巾着のように締め付ける。
光明とて、数回腰をふっただけでもそのまま極楽浄土に行けそうな程の快感だ。
「あっ、やっっ、あんっ、あっあっあっあっ!やっ、光明さま、いっちゃう、やん、やだ、もうおかしくなっちゃ……あん、あ、やあぁぁん……!」
「はぁ……っ、良く解れた極楽浄土……だ、またお前の中に……私の精液を出してやりますからね…んっ、はぁ……っ!!」
若菜は足の指をピンと伸ばした瞬間、快楽の洪水が起こり絶頂に達した。薄桃色の花弁からまた白濁した液体が溢れ、淫らな音をさせて抜き取られるとぐったりと若菜は体の力を抜いて彼に寄りかかった。
荒い呼吸を繰り返す、愛らしい愛玩人形の顎を掴んで言う。
「寝てしまう前に夕霧の湯殿を借りなさい。朔の白檀の薫り、私の伽羅の薫り、そして夕霧の梅花の薫りで染まりきっていますからね」
「若菜様、お疲れでしょ? 僕、湯殿の用意をするように言っておきますから」
夕霧はにっこりと微笑み若菜をのぞきこんだ。
そして、光明に愛人のように軽く口付ける。
二人のその言葉に赤面し、胸を覆うずっしりとした疲労に言葉を失くしていた。
「んっ………………んんっ………」
不意に光明に唇を奪われ、舌を絡めとられると切なく眉をしかめる。抗えぬ鎖でがんじがらめにされるように口腔内を舌先に犯される快楽と嫌悪感に若菜は、震えた。
✤✤✤✤
若菜は疲れた体を引きずって、廊下を歩いていると、物陰から野菊が現れ驚いたように体を震わせた。
彼は、辺りを見渡すと若菜の元へと近寄り真剣な眼差しで見つめた。
「の、野菊さん……?」
「シッ、詩乃様……で御座いましたよね? 戯言と思われるかも知れませんが、どうかあの夕霧には気を付けて下さい。それにあの禍々しい宝珠にも……」
夕霧の名前を聞くだけで体が縮み上がってしまう。野菊の警告も今は虚しく感じられるが、その真剣な表情は無視できなかった。二重人格のような彼の性格のことを言っているのだろうかと、儚く若菜は微笑みを浮かべた。
「わかりました、ありがとう野菊さん」
「私は霊感が強くて……夕霧がこの郭にいた頃の事を良く知っています。……っ、これ以上は辞めておきます」
「野菊さん、待って!」
野菊は突然弾かれたように体を震わせ、若菜を見ずにすれ違って走り去ってしまった。
若菜は音を立てないように部屋へと戻ると、朔が背中を向け、深い眠りについていた。規則正しい寝息で背中が上下している。
体を隅々まで綺麗にした若菜は、梅花の香の中で淫靡な宴の後の濃い微睡みを堪能する二人から逃れた。若菜は涙をこらえて、彼の隣に座るとそのまま背中にぎゅっと抱き付いた。
とても自分が穢れた存在に思える。
命令とはいえ、あの夕霧と言う陰陽師見習いと、夜伽をした。罪悪感と嫌悪感、朔に嫌われてしまうかもしれない恐怖に体が震えて、涙が溢れてきた。
「ん………………。若菜…………どうしたんだ」
不意に寝惚けた声で名前を呼ぶと朔が寝返りを打ち若菜を、優しく抱き締めた。柔らかな白檀の薫りと、安心できる温もりを感じて抱きつくと、彼の心臓の音を聞くように胸に頬を当てた。
「うんん、怖い夢をみたの……大丈夫だよ」
――とても朔には言えなかった。
眠そうにしながら、若菜の髪を梳く朔が愛しくて悲しい。きっと夜の花街のように、あれは毒々しい悪夢に違いない。悪夢を見ただけの事、と忘れようと目を閉じた。再び寝息をたて始める義弟の鼓動を聞きながら若菜は、彼の背中を抱きしめた。
光明の霊力は、自分達には及ばぬほど強く、そして権力を持っている。
若菜も自分達の無力さを痛感していた。
誰か、此処から自分達を連れ出して欲しいと言う気持ちと、師がこんな淫らな遊びから目を覚ます事を祈る気持ちがひしめき合っている。
だが、最も強く願う事は、絶対に最愛の人は護りたい。そして大事な式神達も護らねなければいけないという想いだった。
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