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参、狗神―中編―
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吉良は、眼前でガチガチになって固まっている【主様】を見た。
あやかしの世界でようやく自分の縄張りを持ち下級の妖魔達を纏め、歓楽街を仕切り商売も繁盛していた矢先に、運悪くあやかしの世界で密偵をしていた、あの腹黒い狐とこの小娘にはち合わせをしてしまった。
最初から術者と分かっていれば、犯して霊力を吸い尽くし、無残に惨殺すれば良かった。
人間の中でも、陰陽師は虫唾が走る位に嫌悪する存在で、出逢えば必ず男女問わず息の根を止めていたのだが、今回ばかりはそれを見抜けず、人間の女を好む妖魔も居るので、遊郭の楼主に頼んで遊女として仕込めば、それなりの銭になると踏んだが、運の付きである。
この小娘にはどうやら、木花之佐久夜毘売の強い加護があるようで、まんまと返り討ちに合い調伏されてしまった。
情けない事に、己の真名まで告げるハメになり、今こうして式神にされている。
どうにかこの女を殺せないかと苦々しく思っていたが、陰陽師にしては何処か間抜けで、のほほんとしたお人好しなので、憎しみをぶつけるのさえ何だか馬鹿らしくなってくる。
人間を憎めど人界の風景は懐かしいもので、この陰陽寮に渋々連れてこられたが、妖魔の世界よりも何処かきな臭い。
あやかしの世界に少々退屈していた吉良の前に、紅雀と言う艶っぽい良い女が現れた。
彼女の奔放でさっぱりとして小粋な性格も、情熱的な夜伽もピッタリと相性が良く、結果的には惚れた女と巡り会えた訳だが、気に入らないのはこの色気の欠片もない娘の事である。
『おいおい、お前は男を知らねェ生娘じゃあねェだろ。やっぱりガキにゃ夜伽のイロハは分からねェか?』
「そんなこと無いよ! ちゃ、ちゃんとわかるよ」
若菜は赤面して、朔の座椅子に座り直して煙管の煙を此方に向ける吉良を見つめる。
狼の耳は可愛らしく端正な顔立ちだが、表情が厳ついのでどうしても圧を感じ、蛇に睨まれた蛙のように緊張してしまう。
よくよく考えれば、由衛の場合は彼の方から迫ってくるが、自分から相手に迫るなんて初めての事だ。
ふと、若菜の背後に紅雀が回り込むと、若菜に助け舟を出すように耳元て囁いた。
『あの人、ああ見えても結構優しいんだよ。そう緊張しなくても大丈夫だからサ。
所で若菜は【一人せせり】をした事があるのかい?』
一人せせり、つまり自慰をした事があるかと問われ、同性と言えど耳まで紅くなってしまった。まず、自慰をしようものなら由衛に気付かれてしまうだろう。
それに、内気な若菜にはそんな事を聞けるような同性の友人も居なかったし、ましてや春画も見た事が無かったので、そもそもどうやれば良いかも分からなかった。
処女を喪失しても、自慰するような機会には恵まれ無かったので戸惑うばかりだった。
「う、ううん、それは無いよ」
『それなら、アタシがちょいと一肌脱いで教えてあげようじゃないの。女の体は女がよく知ってるんだからねェ。
きちんと自分の体のことは知っておかなくちゃいけないよ。
吉良にもたっぷり見せつけてあげなくちゃねェ』
「あっ……べ、……紅雀?」
妖艶な美女の体温を背中に感じると、紅雀の伽羅の香りが鼻を掠める。
紅雀が冷たい指先で帯を緩めて上半身を脱がすと、若菜の肌襦袢が見えた。
紅雀の魂胆を見抜くように、吉良は自分の顎に指を置くと楽しげに口角を釣り上げた。
若菜も器量だけ見れば可愛らしい娘だし、妖艶な美女と絡まり合う姿は淫らで美しい筈だ。
『こりゃいい良い余興になりそうじゃねェか』
『ちょいと変な事を考えているんじゃないでしょうねェ? 今日は若菜を手伝ってあげるだけサ…、この子の蜜でアンタを誘わなくちゃいけないんだから」
妖艶に微笑む紅雀が若菜の旗襦袢を脱がしていくと、華奢な丸みを帯びた肩が見え、そして豊かな白い乳房が見える。
薄桃色の乳輪も美しく桜の花びらのようだった。
『ガキの癖に、胸だけはいっちょ前に育ってやがるなァ』
吉良の言葉に、若菜は思わず自分の胸を隠してうなだれる。
この場に男女三人が居る、と言う非現実的な出来事に若菜はどう対処していいか分からなかった。
たが、吉良が興味を持ってくれた事には安堵する。このままでは固まったまま埒が明かず、一生吉良をその気にさせる事は出来なかったろう。
「ゃ、紅雀、は、……恥ずかしいよ……」
『あら、震えちゃって初心だねェ。傷一つ無い綺麗な肌じゃないか……朔が夢中になるのも良く分かるわ……それに、アンタのうなじからとってもいい香りがするのよねェ』
うっとりと目を細めて、若菜の稲穂の髪を流すと悪戯っぽくうなじに深紅の唇を押し当てると、僅かな熱い吐息を感じてゾクゾクと背中をを震わせた。
舌先が触れるかいなかでなぞられると、我慢しようとしても上擦った甘い声が唇から零れ落ちそうになる。
紅雀は冷たい指先で若菜の両手を取り、乳房を自分で揉み込むように添え、ゆっくりと押し上げると、ふっくらとした唇から甘い吐息が漏れ始めた。
男性とは違う、繊細で柔らかな胸の刺激に若菜は彼女の胸に体を預けると、姉のように優しく微笑みかけた。
女性とのまぐわい等、もちろん若菜には経験は無いが、初めての異性と夜伽するような緊張感は無い。
指導するように若菜の乳房を愛撫する紅雀の吐息も、心無しか熱い。
「はっ……ふっ、はぁっ、あっ……あふっ…」
『若菜は胸の奥を少し強く揉まれるのが好きみたいだねェ……ほら、自分の人差し指で胸の蕾を触れてごらんよ、天辺を指の腹で転がすように』
若菜は、言われるがまま人差し指の腹でやんわりと乳頭を撫でると思わず気持ちよさに、眉根を顰めて甘い吐息を吐いた。
指の腹で優しく撫でると、ムズムズとした歯痒い気持ち良さが体を突き抜け、拙い自分の愛撫よりも、舌先で慰めて貰いたい気持ちで一杯になる。
「はぁ、はぁん……くすぐったい……あ、んっ……」
酒を口元に運び、若菜の痴態を直視ししていた吉良だが、思いの外艶やかで甘い声を出す少女に少しばかり欲情した。
吉良の様子を伺うように紅雀は着物を捲りあげ、肌蹴させると、透き通るように白い太腿をゆっくりと開かせ狗神の視覚を刺激させるように見せ付けた。
そこには繁みの無い薄桃色の整った女陰が見える。
所謂【かわらけ】と言うもので、生まれ付き薄い体質なのだろうが、からかう様に吉良は笑って深紅の瞳を細める。
『何でぇ……お前の観音様は、まだ毛が生えてねぇのか』
「ち、違うよ……人より薄くて……言わないで」
ある意味、恥毛が生えていない事に劣等感がある若菜はとてつもなく恥ずかしくなって足を閉じようとしたが、紅雀に制される。
『吉良、もう!からかうのはおよしよ。【かわらけ】って言って生まれ付き薄い人間もいるのサ……可愛いじゃない、それを喜ぶ男もいるわ。若菜、自分で弄ってごらんよ』
冷たい指先が若菜の手を掴み、女陰まで導くと重なる花弁に押し当てるように擦りつけると、甘い吐息が漏れる。
吉良は、妖艶に茂った艶やかな椿の華に惹かれるが、不思議な事にこの娘に関しては、桜の花弁のような佇まいであるのに魅入られる。
それは、僅かに立ち込め始めた高貴な霊力のせいだろうか。
「はぁ………んっ、ぁ………あふっ……」
蜜穴には指を挿入せず、ピッタリと花芯を押し付けるようにして、ゆっくり女陰の表面を撫でられると、若菜の一番弱い蕾か刺激され、膣まで痺れるような快楽が突き抜けた。
それは、女性ならではの繊細な動きでじわり、じわりと追い詰められる。
睫毛を震わせ、控えめに喘ぐ若菜をうっとりと見つめると、妖艶に微笑んだ。
『ふふ、濡れてきたわね……そのまま指を動かしてごらんよ。はぁ………、なんて良い香りなんだい、人の主の霊力なんて味合う事は無いんだけどサ………まるで極楽浄土にいる気分だ』
指を離した紅雀は、思わず濡れた指を舐めてると惚けた顔をした。
自分ではどんな霊力の味や香りがするのか、皆目見当も付かないが式神や妖魔の人外、そして、陰陽師の中でも霊感が優れている者は惹きつけられるそうだ。
「はぁ、……あっ、ぁ……んっ……あ」
紅雀に指導された通り、ゆっくり指を動かすとやがて、薄桃色の花弁から淫らな水音がなり始め、内股が快感に戦慄き始める。
だが自分の指では、どうにも気持ちの良い場所を上手に探れず歯痒く切ない。
頬を上気させ、吉良に視線を向けるとニヤリと口角を上げる。
その真紅の瞳は狼のように鋭く輝いており、この部屋に広がる、嗅いだことの無い爽やかで高貴な香りに誘われ熱くなった体を冷やすように、吉良は上半身を肌蹴けさせた。
女性に指導されながら、自分の式神の前で自らを慰めるなんて、ふしだらで恥ずべき事なのに、考えれば考える程愛液が溢れてしまい、自分はおかしいのではないかと、不安に狩られてしまう。
『おい、嬢ちゃん。お前の蜜の香りがここまでしてきやがった……、我慢ならねぇ、【主様】の蜜を頂こうか』
『若菜、この人の舌使いはどんな女も骨抜きに出来る位だって、アタシのお墨付きさ。たっぷり蜜をこの人にあげて頂戴な。
――――アタシは此処でじっくり見てるからさ』
「えっ!? でも、紅雀……きゃっ!」
そう言うと、若菜から離れて妖艶に微笑み、楽しげに淫蕩な言葉を投げ掛けた。
確かに、先程まで吉良に見られていたと言うのにこの瞬間は恥ずかしく、また恋仲の彼女の前でなんて申し訳無い気持ちで一杯になる。
だが、当の紅雀も吉良も気にする様子も無く、狗のように四つん這いで躙り寄ると華奢な腰をグイッと引き寄せ、太腿を開かせた。
「ら、乱暴にしないで……吉良」
『安心しな、ガキを虐める趣味はねェ……』
緊張した様子で体を強張らせる若菜に、鼻で笑ってそう答える表情は、初めて出逢った時よりも柔らかく身を任せても大丈夫なような気がした。
若菜の太腿を押さえながら、犬科特有の分厚く長い舌先を華全体にペッタリと押し付け生き物のように蠕動させる。
花弁に吸い付くと滲み出る蜜を、隅々まで舐めとるように小陰唇を愛撫するように舐られると、若菜の背中が反り返り、思わず彼の髪を掴んで逃れようとした。
だが、びくともする筈が無く粗暴な雰囲気とは相反して、繊細な動きで、焦らずじっくりと生き物ように舌をくねらせる。
あられもない甘い声が次々に自分の意思に反して零れ落ち、大人の男の巧みな舌技は由衛とはまた違った快感を与えた。
「はっ、はぁっ、はぁん、やぁ、やっ、あうう、まって、まって、急に、そんなにしたら…はぁ、やぁ、やぁぁ」
『ハァ……ちゅ、何てぇ霊力だ。甘過ぎず、上品な口当たりで上質な酒みてェじゃねェか……ほらもっと溢れさせろ、俺は腹が減ってるんだ』
若菜の霊力を口にした瞬間、まるで薄荷湯に浸かったような全身を駆け巡る清浄な気と、体の奥底から漲るような力を感じた。
未だかつて人の精気や霊力を吸い取ってこれ程の高揚感と力を感じたことが無い。
陰陽師と式神の関係だからこそ、そう思えるのか、それとも彼女が特別だからか。
ペロリと舌先で己の唇を舐めると、挑発的な濡れた真紅の瞳が爛々と輝き態と内股を舌先で舐め、焦らすと膣内を確かめるように、人差し指と中指をするりと挿入する。
入り口で締め付けられ、まるで蛸のように吸いつき、快楽を享受しようと壁がミミズのように蠢いている。
これは無垢な若菜の性格に相反して、抱いた男を夢中にさせる魔性のものだ。
「はぁぁんっ、あっ、あうっ、き、ら、あっ、あん、あ、そこ、ひぁ! あぁん、やぁん」
蜜色の瞳をしっとりと濡らして、甘ったるく喘ぐ若菜の耳元まで唇を寄せると低く囁いた。
『俺はシマに遊郭を持っていてなァ、時々女郎の仕込みをしてたんだが、お前の観音様は巾着でミミズ千匹よ、上玉も上玉、男を狂わせちまう名器だぞ……ほら、気をやっちまいそうか?』
「やっやっやっ、あっあっ、うん、だめ、わたし、あぁ、やだ、きちゃう、頭が真っ白になっちゃう、あぁ、あんっ、やぁ、んんんん!!」
若菜は彼の腕に縋り付きながら、くちゅ、くちゅ、と先程より量の増えた愛液の淫らな音を響かせ追い詰めて行くと、若菜は堪らず快楽の涙を溢れさせ体を硬直させる。
勿体ねぇ、と吉良は言うと、絶頂に達した若菜のしとどに濡れた女陰を喉を鳴らして飲み干す。
その感も、達した余韻と舌先の感触でビクビクとうち震える若菜の、柔らかな乳房を揉みしだく。
砂糖菓子のような甘い声が小さく響くと、機嫌よく吉良の犬耳が動いた。
『ハァ……ありがとよ嬢ちゃん、だが俺の一物はどうやら収まりがつかねェ。【主様】らしい所を見せて貰わねぇとな』
『ふふふ、そうねぇ……狗神にはキチンと若菜が御主人様だって躾なくちゃね』
畳に横たわり息を乱す若菜の頭をクスクスと笑いながら、妖艶な美女が優しく撫でてやり、覗き込む吉良の表情は野生的で大人の色香が漂っている。
一体これから何が始まるんだろう――――。
ぼんやりと熱っぽい濡れた表情で二人を見ていた。
あやかしの世界でようやく自分の縄張りを持ち下級の妖魔達を纏め、歓楽街を仕切り商売も繁盛していた矢先に、運悪くあやかしの世界で密偵をしていた、あの腹黒い狐とこの小娘にはち合わせをしてしまった。
最初から術者と分かっていれば、犯して霊力を吸い尽くし、無残に惨殺すれば良かった。
人間の中でも、陰陽師は虫唾が走る位に嫌悪する存在で、出逢えば必ず男女問わず息の根を止めていたのだが、今回ばかりはそれを見抜けず、人間の女を好む妖魔も居るので、遊郭の楼主に頼んで遊女として仕込めば、それなりの銭になると踏んだが、運の付きである。
この小娘にはどうやら、木花之佐久夜毘売の強い加護があるようで、まんまと返り討ちに合い調伏されてしまった。
情けない事に、己の真名まで告げるハメになり、今こうして式神にされている。
どうにかこの女を殺せないかと苦々しく思っていたが、陰陽師にしては何処か間抜けで、のほほんとしたお人好しなので、憎しみをぶつけるのさえ何だか馬鹿らしくなってくる。
人間を憎めど人界の風景は懐かしいもので、この陰陽寮に渋々連れてこられたが、妖魔の世界よりも何処かきな臭い。
あやかしの世界に少々退屈していた吉良の前に、紅雀と言う艶っぽい良い女が現れた。
彼女の奔放でさっぱりとして小粋な性格も、情熱的な夜伽もピッタリと相性が良く、結果的には惚れた女と巡り会えた訳だが、気に入らないのはこの色気の欠片もない娘の事である。
『おいおい、お前は男を知らねェ生娘じゃあねェだろ。やっぱりガキにゃ夜伽のイロハは分からねェか?』
「そんなこと無いよ! ちゃ、ちゃんとわかるよ」
若菜は赤面して、朔の座椅子に座り直して煙管の煙を此方に向ける吉良を見つめる。
狼の耳は可愛らしく端正な顔立ちだが、表情が厳ついのでどうしても圧を感じ、蛇に睨まれた蛙のように緊張してしまう。
よくよく考えれば、由衛の場合は彼の方から迫ってくるが、自分から相手に迫るなんて初めての事だ。
ふと、若菜の背後に紅雀が回り込むと、若菜に助け舟を出すように耳元て囁いた。
『あの人、ああ見えても結構優しいんだよ。そう緊張しなくても大丈夫だからサ。
所で若菜は【一人せせり】をした事があるのかい?』
一人せせり、つまり自慰をした事があるかと問われ、同性と言えど耳まで紅くなってしまった。まず、自慰をしようものなら由衛に気付かれてしまうだろう。
それに、内気な若菜にはそんな事を聞けるような同性の友人も居なかったし、ましてや春画も見た事が無かったので、そもそもどうやれば良いかも分からなかった。
処女を喪失しても、自慰するような機会には恵まれ無かったので戸惑うばかりだった。
「う、ううん、それは無いよ」
『それなら、アタシがちょいと一肌脱いで教えてあげようじゃないの。女の体は女がよく知ってるんだからねェ。
きちんと自分の体のことは知っておかなくちゃいけないよ。
吉良にもたっぷり見せつけてあげなくちゃねェ』
「あっ……べ、……紅雀?」
妖艶な美女の体温を背中に感じると、紅雀の伽羅の香りが鼻を掠める。
紅雀が冷たい指先で帯を緩めて上半身を脱がすと、若菜の肌襦袢が見えた。
紅雀の魂胆を見抜くように、吉良は自分の顎に指を置くと楽しげに口角を釣り上げた。
若菜も器量だけ見れば可愛らしい娘だし、妖艶な美女と絡まり合う姿は淫らで美しい筈だ。
『こりゃいい良い余興になりそうじゃねェか』
『ちょいと変な事を考えているんじゃないでしょうねェ? 今日は若菜を手伝ってあげるだけサ…、この子の蜜でアンタを誘わなくちゃいけないんだから」
妖艶に微笑む紅雀が若菜の旗襦袢を脱がしていくと、華奢な丸みを帯びた肩が見え、そして豊かな白い乳房が見える。
薄桃色の乳輪も美しく桜の花びらのようだった。
『ガキの癖に、胸だけはいっちょ前に育ってやがるなァ』
吉良の言葉に、若菜は思わず自分の胸を隠してうなだれる。
この場に男女三人が居る、と言う非現実的な出来事に若菜はどう対処していいか分からなかった。
たが、吉良が興味を持ってくれた事には安堵する。このままでは固まったまま埒が明かず、一生吉良をその気にさせる事は出来なかったろう。
「ゃ、紅雀、は、……恥ずかしいよ……」
『あら、震えちゃって初心だねェ。傷一つ無い綺麗な肌じゃないか……朔が夢中になるのも良く分かるわ……それに、アンタのうなじからとってもいい香りがするのよねェ』
うっとりと目を細めて、若菜の稲穂の髪を流すと悪戯っぽくうなじに深紅の唇を押し当てると、僅かな熱い吐息を感じてゾクゾクと背中をを震わせた。
舌先が触れるかいなかでなぞられると、我慢しようとしても上擦った甘い声が唇から零れ落ちそうになる。
紅雀は冷たい指先で若菜の両手を取り、乳房を自分で揉み込むように添え、ゆっくりと押し上げると、ふっくらとした唇から甘い吐息が漏れ始めた。
男性とは違う、繊細で柔らかな胸の刺激に若菜は彼女の胸に体を預けると、姉のように優しく微笑みかけた。
女性とのまぐわい等、もちろん若菜には経験は無いが、初めての異性と夜伽するような緊張感は無い。
指導するように若菜の乳房を愛撫する紅雀の吐息も、心無しか熱い。
「はっ……ふっ、はぁっ、あっ……あふっ…」
『若菜は胸の奥を少し強く揉まれるのが好きみたいだねェ……ほら、自分の人差し指で胸の蕾を触れてごらんよ、天辺を指の腹で転がすように』
若菜は、言われるがまま人差し指の腹でやんわりと乳頭を撫でると思わず気持ちよさに、眉根を顰めて甘い吐息を吐いた。
指の腹で優しく撫でると、ムズムズとした歯痒い気持ち良さが体を突き抜け、拙い自分の愛撫よりも、舌先で慰めて貰いたい気持ちで一杯になる。
「はぁ、はぁん……くすぐったい……あ、んっ……」
酒を口元に運び、若菜の痴態を直視ししていた吉良だが、思いの外艶やかで甘い声を出す少女に少しばかり欲情した。
吉良の様子を伺うように紅雀は着物を捲りあげ、肌蹴させると、透き通るように白い太腿をゆっくりと開かせ狗神の視覚を刺激させるように見せ付けた。
そこには繁みの無い薄桃色の整った女陰が見える。
所謂【かわらけ】と言うもので、生まれ付き薄い体質なのだろうが、からかう様に吉良は笑って深紅の瞳を細める。
『何でぇ……お前の観音様は、まだ毛が生えてねぇのか』
「ち、違うよ……人より薄くて……言わないで」
ある意味、恥毛が生えていない事に劣等感がある若菜はとてつもなく恥ずかしくなって足を閉じようとしたが、紅雀に制される。
『吉良、もう!からかうのはおよしよ。【かわらけ】って言って生まれ付き薄い人間もいるのサ……可愛いじゃない、それを喜ぶ男もいるわ。若菜、自分で弄ってごらんよ』
冷たい指先が若菜の手を掴み、女陰まで導くと重なる花弁に押し当てるように擦りつけると、甘い吐息が漏れる。
吉良は、妖艶に茂った艶やかな椿の華に惹かれるが、不思議な事にこの娘に関しては、桜の花弁のような佇まいであるのに魅入られる。
それは、僅かに立ち込め始めた高貴な霊力のせいだろうか。
「はぁ………んっ、ぁ………あふっ……」
蜜穴には指を挿入せず、ピッタリと花芯を押し付けるようにして、ゆっくり女陰の表面を撫でられると、若菜の一番弱い蕾か刺激され、膣まで痺れるような快楽が突き抜けた。
それは、女性ならではの繊細な動きでじわり、じわりと追い詰められる。
睫毛を震わせ、控えめに喘ぐ若菜をうっとりと見つめると、妖艶に微笑んだ。
『ふふ、濡れてきたわね……そのまま指を動かしてごらんよ。はぁ………、なんて良い香りなんだい、人の主の霊力なんて味合う事は無いんだけどサ………まるで極楽浄土にいる気分だ』
指を離した紅雀は、思わず濡れた指を舐めてると惚けた顔をした。
自分ではどんな霊力の味や香りがするのか、皆目見当も付かないが式神や妖魔の人外、そして、陰陽師の中でも霊感が優れている者は惹きつけられるそうだ。
「はぁ、……あっ、ぁ……んっ……あ」
紅雀に指導された通り、ゆっくり指を動かすとやがて、薄桃色の花弁から淫らな水音がなり始め、内股が快感に戦慄き始める。
だが自分の指では、どうにも気持ちの良い場所を上手に探れず歯痒く切ない。
頬を上気させ、吉良に視線を向けるとニヤリと口角を上げる。
その真紅の瞳は狼のように鋭く輝いており、この部屋に広がる、嗅いだことの無い爽やかで高貴な香りに誘われ熱くなった体を冷やすように、吉良は上半身を肌蹴けさせた。
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『おい、嬢ちゃん。お前の蜜の香りがここまでしてきやがった……、我慢ならねぇ、【主様】の蜜を頂こうか』
『若菜、この人の舌使いはどんな女も骨抜きに出来る位だって、アタシのお墨付きさ。たっぷり蜜をこの人にあげて頂戴な。
――――アタシは此処でじっくり見てるからさ』
「えっ!? でも、紅雀……きゃっ!」
そう言うと、若菜から離れて妖艶に微笑み、楽しげに淫蕩な言葉を投げ掛けた。
確かに、先程まで吉良に見られていたと言うのにこの瞬間は恥ずかしく、また恋仲の彼女の前でなんて申し訳無い気持ちで一杯になる。
だが、当の紅雀も吉良も気にする様子も無く、狗のように四つん這いで躙り寄ると華奢な腰をグイッと引き寄せ、太腿を開かせた。
「ら、乱暴にしないで……吉良」
『安心しな、ガキを虐める趣味はねェ……』
緊張した様子で体を強張らせる若菜に、鼻で笑ってそう答える表情は、初めて出逢った時よりも柔らかく身を任せても大丈夫なような気がした。
若菜の太腿を押さえながら、犬科特有の分厚く長い舌先を華全体にペッタリと押し付け生き物のように蠕動させる。
花弁に吸い付くと滲み出る蜜を、隅々まで舐めとるように小陰唇を愛撫するように舐られると、若菜の背中が反り返り、思わず彼の髪を掴んで逃れようとした。
だが、びくともする筈が無く粗暴な雰囲気とは相反して、繊細な動きで、焦らずじっくりと生き物ように舌をくねらせる。
あられもない甘い声が次々に自分の意思に反して零れ落ち、大人の男の巧みな舌技は由衛とはまた違った快感を与えた。
「はっ、はぁっ、はぁん、やぁ、やっ、あうう、まって、まって、急に、そんなにしたら…はぁ、やぁ、やぁぁ」
『ハァ……ちゅ、何てぇ霊力だ。甘過ぎず、上品な口当たりで上質な酒みてェじゃねェか……ほらもっと溢れさせろ、俺は腹が減ってるんだ』
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未だかつて人の精気や霊力を吸い取ってこれ程の高揚感と力を感じたことが無い。
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ペロリと舌先で己の唇を舐めると、挑発的な濡れた真紅の瞳が爛々と輝き態と内股を舌先で舐め、焦らすと膣内を確かめるように、人差し指と中指をするりと挿入する。
入り口で締め付けられ、まるで蛸のように吸いつき、快楽を享受しようと壁がミミズのように蠢いている。
これは無垢な若菜の性格に相反して、抱いた男を夢中にさせる魔性のものだ。
「はぁぁんっ、あっ、あうっ、き、ら、あっ、あん、あ、そこ、ひぁ! あぁん、やぁん」
蜜色の瞳をしっとりと濡らして、甘ったるく喘ぐ若菜の耳元まで唇を寄せると低く囁いた。
『俺はシマに遊郭を持っていてなァ、時々女郎の仕込みをしてたんだが、お前の観音様は巾着でミミズ千匹よ、上玉も上玉、男を狂わせちまう名器だぞ……ほら、気をやっちまいそうか?』
「やっやっやっ、あっあっ、うん、だめ、わたし、あぁ、やだ、きちゃう、頭が真っ白になっちゃう、あぁ、あんっ、やぁ、んんんん!!」
若菜は彼の腕に縋り付きながら、くちゅ、くちゅ、と先程より量の増えた愛液の淫らな音を響かせ追い詰めて行くと、若菜は堪らず快楽の涙を溢れさせ体を硬直させる。
勿体ねぇ、と吉良は言うと、絶頂に達した若菜のしとどに濡れた女陰を喉を鳴らして飲み干す。
その感も、達した余韻と舌先の感触でビクビクとうち震える若菜の、柔らかな乳房を揉みしだく。
砂糖菓子のような甘い声が小さく響くと、機嫌よく吉良の犬耳が動いた。
『ハァ……ありがとよ嬢ちゃん、だが俺の一物はどうやら収まりがつかねェ。【主様】らしい所を見せて貰わねぇとな』
『ふふふ、そうねぇ……狗神にはキチンと若菜が御主人様だって躾なくちゃね』
畳に横たわり息を乱す若菜の頭をクスクスと笑いながら、妖艶な美女が優しく撫でてやり、覗き込む吉良の表情は野生的で大人の色香が漂っている。
一体これから何が始まるんだろう――――。
ぼんやりと熱っぽい濡れた表情で二人を見ていた。
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