132 / 135
126 暗闇の中の願い
しおりを挟む「そっか…そっか…あったら幸男君のおうちに取りに行こうかと思ったけど………ないなら仕方ないね。幸男君、自分で使っちゃったんだから自分で返そうか?」
「返…す?」
「うん、若いからすぐに身体で稼げるよ。3000万なんてあっという間だよ。ビッチな幸男君の為に楽しく稼げる所紹介してあげるよ」
「やだやだっ、やめろっ、お前が勝手にやった事だろ。自分で返せよ。いやだったら…あ゛がっ!!!」
いってぇぇぇぇぇっ!!!
武内の野郎 もう一発蹴りやがった。
手の上からだけどダメージがキツイ。
「あー、もしもし、そこに行く前に感づかれて今逃げそうなんで少し遅れます…はい、え!こっちに迎えに来てくれる?………ああ見えました。こっちです」
「や…めろっ!!」
痛い股間を庇いながら芋虫の様にはって逃げる。
黒塗りのワンボックスカーが目の前に滑り込んできてドアが開き、4人の男達が俺を取り囲んだ。
嘘だろ、マジでヤバイ人たちじゃないか。
「顔を見せろ」
部下と思われる男が俺の髪の毛を掴んで無理やり上を向かせる。
一番偉そうなスーツの男が俺の顔を覗きこんで一言
「なんだ。もっとブサイクかと思ったら綺麗な顔してるじゃないか」
「そうなんです。それに今18歳現役高校生で若いから体力もありますよ。3000万………いや俺の貯金も返してもらわなくちゃ、合計5000万円のお金を借りたいんです。もちろん支払いはこの子がします。」
「放せっ!やめろっ、こんな事して良いのかよ」
「良いんだよ。幸男君は俺以外のやつからも巻き上げていただろう。一体いくら使えば気が済むんだい?自分で働いてお金の有難みを知った方が良いよ」
「随分と性悪なんだな。こいつ、バラして売って良いのか?」
「ひっ………」
「ごめんなさい。大事な子なんで ウリでも風呂でも何しても良いんですけど…終わったら生かして俺に返して欲しいんです」
「んー、臓器売りだけはなしで、それ以外なら何してもいいってか?」
「あ、すみません。薬もなしでお願いします。戻って来ても役立たずじゃ困るし、年季が空けたら俺にも沢山奉仕して貰わなくちゃ駄目だから」
ニタァと眼鏡豚がいやらしく笑う。
「あのすみません。最短だとどのくらいで戻って来れますか?」
「最短か、頑張って10年ってところだな。戻すにしても5000じゃ、まともな状態で返せると保証できないぜ」
「それでも良いです」
「嫌だあああっ!!!誰かぁ、助けてっ!!だれかぁぁぁ!!」
人気が少なく治安の悪い裏路地に俺の叫び声が響き渡る。
「うるせえな、黙らせろ」
「嫌だあっ!!誰かぁ……んぐぐぐぐぐぅーーーーーッッ」
猿轡を嚙まされて厳つい男達に引きずられる。
脚をバタバタした抵抗も虚しく、黒塗りのワンボックスカーに放り込まれてしまった。
男達の肩越しに外を盗み見ると、パンパンの黒のスポーツバッグを部下が運んで眼鏡豚の足元に置いた。
「じゃあ、5000な」
「はい、有難うございます。幸男くーん、10年後 待ってるからねー💗」
暗くてクソ眼鏡豚の顔はよく見えないが聞こえてくる声は嬉しそうで悔しい。
男達が乗り込み、車のドアが全て閉まると目隠しをされる。
「んんんんんんっっっ!!!」
「殴られたくなければ大人しくしてろ」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
俺はどこに連れていかれるんだ。
あの糞野郎に手を出すんじゃなかった。
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう
本能でわかる。
暴れて抵抗したらもっとひどい目にあわされる。
ガタガタと身体の震えが止まらない。
「大事な商品だ。何もしねぇよ、俺達はな。仕事場でちゃんと働けよ」
何でこうなった?どうすれば良かったんだ?何がいけなかったんだ?
今まで自分がして来たこと全てを振り返っても原因がわからない。
大丈夫大丈夫、どうぜ親が捜索願を出してくれる。
すぐに警察も動いてくれて、こいつらを捕まえてくれる。
そしたら あることない事言って こいつら全員……地獄へ落としてやる!!!
心の中では雄弁に語っているが、身体の震えは増すばかり。
目隠しで何も見えず、どこに連れていかれるかもわからない。
これは夢だ。夢なんだ。
夢であって欲しいと強く願った。
END
10
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる