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しおりを挟むなんかコイツ 今夜は変な感じがする。
いつもはプレゼントした物はどうしたとか聞いてきたことなんて一度もなかった。
だいたい人通りも街灯も少ない路地裏に俺を連れてくるのはおかしくないか?
もうすぐクリスマスなんだぞ、キラキラ華やかなイルミネーションの所を選ぶのが普通じゃないか?
…普通じゃない…
そうだこれは普通じゃないぞ。
心臓がバクバクと音を鳴らし危険を知らせている。
背中に嫌な汗がじっとりと浮き上がる。
なんかヤバイ 嫌な胸騒ぎがする。
これ逃げた方が良いかも。
踵を返して今まで来た道へと駆け出した。
無言で走り出したのに眼鏡豚は俊敏に俺の腕を掴んだ。
クソッ!逃げ損ねた。
「幸男君、どこに行くの?そっちじゃないよ」
「た、武内社長、俺ちょっとトイレ行きたいな」
「この先にあるよ。そこまで我慢してくれるかな」
「ちょっと無理、さっきの角の店に入ってトイレ借りてくるね」
振りほどこうとしても凄い力で離さない。
「待ちなよ。本当はトイレなんか行きたくないくせに逃げるなよ」
「武内社長、離して!! 本当に漏れそうなんだって!!」
「駄目だ駄目だ幸男君、嘘はいけないよ。俺は今まで沢山プレゼントしたし、お小遣いもあげただろう。少しは俺の言うこと聞いてくれてもいいじゃないか」
「わかってるよ。言うこと聞くよ。聞くけどトイレにもいかせてくれないの?」
「トイレって言って逃げる気なのはわかってるんだよ?ダメだよ、今夜は幸男君を返してあげない」
チッ、マジでコイツ面倒、俺と寝る気満々じゃねえか。
冗談じゃねえ。
「お泊りすることを言っているの? 駄目だよ、俺まだ高校生だから家に帰らないと親が心配して警察呼んだりしちゃうでしょ? ねえ今日は帰らせて? それに俺の初めてを武内社長にあげるのは俺の誕生日って決めてたんだよ?それにそのへんの安いホテルじゃ嫌だよ。初めては1回しかないんだから。スイートに泊まって一生忘れられない誕生日にしたいんだ。ね? お願い💗」
かわい子ぶりっ子して、嘘八百並べて、どうやってここから逃げようと頭の中はフル回転。
「嘘言っちゃ駄目だって言っただろう。幸男くんは処女じゃないでしょ。俺 皆知ってるんだよ」
「えっ?」
コイツ 何を知っているんだ。
「はは、驚いてる驚いてる。俺 探偵使って身辺調査したんだよ。幸男君は俺には何もさせないくせに、パパ活して、この男達とホテルで何回もヤッてるじゃないか」
ずらりと並んだイケメンパパ達とのホテルに出入りする写真を見せつけられた。
くそ言い訳が出来ない。
畜生っ、臭い眼鏡豚と今夜寝るの確定かよ。
クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ!!!!
俺の身体が豚で汚れるっ!!
「ご、ごめんね、武内社長。武内社長は清純な子が好きだと思ったから俺みたいなのは駄目だと思って逃げてたんだ。でもこんな俺でもいいなら…」
「もう遅いよ、幸男君。今夜、あの時、俺とホテルに行ってくれたら君の浮気の事 許そうかと思ったんだよ。でも断ってくれたよな……このクソビッチがっ!!」
「ぐがぁっ………」
失禁するほど強く股間を蹴られて激痛で蹲り身動きがとれない。
「トイレの話は本当だったんだ。ごめんね、今まで裏切られていたから信じてあげられなかったよ」
「おぐぐ…」
「俺も嘘ついてたから謝らなくちゃ。本当は俺 社長じゃないんだ」
!!
「社長って言えば幸男君が俺に惚れてくれると思ってたからさ。でも幸男君 全然 俺になびいてくれないだろ。だから社長のふりして沢山お金使って幸男君の欲しい物買ってあげてたらやっと振り向いてくれたよね。他のパパ達の約束蹴っても俺に会いに来てくれた時は本当に嬉しかったなぁー」
コイツいつから俺のこと調べてたんだ?!
「将来の結婚の為にコツコツ貯めた貯金を全部使いきったけど、それでも幸男君の欲しい物は沢山あるから俺困っちゃってね。足りない分は会社の金を借りることにして幸男君にいっぱい貢いだんだよ」
そんなの頼んでねーよ!!!
「いつか返そうって思っているうちに、監査が入って俺が使い込んでいるのが会社にバレちゃった。それで会社クビになったんだ。幸男君に使ったお金、3000万円だったんだって。幸男君にこんなにいっぱい使っちゃってたことに自分でも驚いちゃったよ。今夜は幸男君に人生最後の良い思い出を貰って消えるつもりだったんだけど………」
「そ………んな……」
「こんな嘘つきで酷い幸男くん見てたら………なんか俺だけが死んじゃうの馬鹿らしくなっちゃってさ」
いやいやお前が勝手に会社の金横領したんだろ、俺関係ねーじゃん!
「ねえ、今まで幸男くんに使ったお金3000万円返してくれる?会社に返さなくちゃいけないからさ」
馬鹿野郎そんな大金返せるわけねーだろ。
大体お前が俺に社長だからなんでも買ってやるとか嘘ついてたのが悪いんじゃないか。
普通のリーマンだったらおねだりしねえよ。
そもそもお前が会社の金、横領しなきゃ良かったじゃないか。
「……全部…使ってない」
股間の痛みに耐えながら答えた。
「3,000万円あげたのに全部ないの?」
ないものはない無言で頷くしかなかった。
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