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67 火属性の魔物討伐 初日 ギリギリ勝利なんて
しおりを挟む俺達が盛った薬でセプター・バンテールのガードが固くなり、三日後俺達が根負けした。
そして今日 万全の体制ではないまま火属性の魔物討伐に行くこととなる。
昨日一日で、俺とエイプの立場は逆転した。
恐怖で支配されエイプに怯えて生活するようになった。
あれからウロタと会わない…きっとエイプにどこかに左遷させられたんだな。
でもそれくらいならいいじゃないか、エイプの顔を見なくて良いんだから羨ましいぜ。
俺なんか殺されるかも知れない恐怖の中、一晩中ずっとエイプに抱かれて腰がだるくて仕方ない。
今じゃ主導権はエイプに握られてるんだぞ。
あーあー、一人で逃げやがって。
ウロタを恨んだ。
たった一人儀式をしないというだけで、パーティー全体の戦闘力と防御が大幅に下がるから、他の勇者達も不安な顔をしている。
セプターの魔法石で作った装備のネックレスは俺が身につけなくちゃ効果は全く加護の効果は発動されない。
だから無理にでも身につけようとしたら ネックレスが攻撃してきて俺の手を切り裂いた。
『密契の儀式』をしない奴に身につける資格がないとネックレスにも拒絶されている。
畜生!俺は神子様だぞ!!
仕方なく セプターの魔法石で作った装備のネックレスは 唯一ネックレスにふれることが出来るセプター自身に装備させて、転送魔道士5人に火属性の魔物が生息するエリアに一瞬で送ってもらった。
そして儀式が大事だと言うことをこの討伐で思い知らされる。
今までの経験で一番最初の魔物は最弱で、なんの苦もなく退治出来るはずだった。
少なくとも今までの2回の討伐でそれは実証されていた。
最弱のはずの魔物が皆、中ボスクラスの強さを持っていてなかなか倒せない。
必死で戦い、どうにか最弱エリアの魔物を討伐し終わった頃には全員傷だらけで勝利喜ぶ元気などなかった。
魔物の異常な強さを肌で感じていたのが俺とフェリスで、ヒールしてもらいながら俺は愚痴を零した。
「ありえないだろ。全員で戦っているんだぞ。こんな最弱な魔物相手にギリギリ勝利なんておかしい!」
「み、神子様、や、やはりそうですか。わわ、私も魔物が強すぎると思いました」
「どういうことですか?」
聞き返してくるアリージャに答えながら皆に聞かせるように説明した。
「勇者全員が『祝福の儀式』と『密契の儀式』を受けていれば魔力向上して魔物は容易く倒せるはずなのです。そして神子様が水属性の防具を全て装備出来ていれば防御力も向上します。あの程度の魔物は本来怪我することはないのです」
勇者全員の視線が一斉にセプターに集まる。
「皆の言いたいことはわかった。魔物は このセプター・バンテールが全部倒す。それなら問題ないだろう」
「は?何を言っているんだ。そんなことは不可能だろう。最弱な魔物ですら全員で戦ってボロボロなのに死んだらどうするんだ!!今すぐ儀式を受けろ!」
セプターの胸倉を掴んで怒鳴りつけるガストーの言葉に皆同じ気持ちだった。
儀式さえすれば普通の勇者パーティーになる。
誰も文句は言わない。
「儀式はしない。俺がなんとかする」
「なんとか出来るわけ無いだろう!!死んでしまうぞ」
「儀式をするくらいなら死んだ方がマシだ」
この言葉に流石にカチンときた。
俺だってここで生きて行くために必要に迫られて男たちと寝ている。
そりゃ、最近では女と寝るより男と寝る方が気持ちいいって思えるようになってきたが、はじめから男好きだつたわけじゃない。
俺は命が惜しくて、ここで生活するために寝ていたのに、こんな言い方されてマジで腹がたった。
「セプターは俺の身体が汚くて抱いたら死んだ方がマシだと思っているんだな」
セプターの顔から血の気が引き、視線を外してつぶやく。
「いえ、けっしてそのようなことは思っておりません」
「思っていない?ははっ………そうか、いいだろう。これからの魔物討伐はお前が言ったとおり一人でやれ。俺達は誰ひとりとして手伝わない。みんなもそれで良いな」
「「「はい」」」
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