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13 いやっ!

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大浴場に着くと中からメイド達が出てきて、俺だけを連れて行こうとする。


やった! コイツなんか変な催眠術みたいなのをかけたんだ。助け出してくれ。


メイド達が触れようとすると俺の体が勝手に暴れてメイド達を叩いている。


「無礼者っ!!気安く近寄るなっ!!」
(わーっ、やめろ俺っ!!)


「きゃあっ!」
「おやめ下さい」
「神子様っ!」


なんでっ?! 俺はメイドさんに助けてもらいたいだけなのに!! はっ!!


まさかこれも…


エイプの催眠術のせいなのか??


「嫌だっ!!俺に触るなっ!!俺の体に触っていいのはエイプだけだっ!!」
(ちょっと待てーーっ!! 何、逆のことを言ってるんだ。エイプをどっかに行かさないと絶対変な事されるに決まってるんだ!メイドさん、助けてくれ!)

「いけません神子様。お体を清めませんと…ぎゃあっ!」


嘘っ!!足元にいたメイドの顔を思い切り蹴って一人気絶させちまった。
すげー鼻血が出てるーーっ。


「いやぁ、さわるな、エイプぅ、やめさせてぇ」
(どっから甘ったるい声出してんだよ。気持ち悪いー。そしてエイプにしがみつくなっ!!)


「儀式には必要なことですよ」


「いやだっ!」
(誰でもいい助けてくれっ!!)


助けて欲しいメイド達は俺に殴られたくなくて距離を置いちゃってる。

頼む、俺の体なんだから言うことを聞けよおぉぉっ!!!


「神子様、お風呂に入るだけです。抵抗しないで下さい」

「いやっ!」
(俺もいやっ!)

「仕方ありません。私が洗いましょうか」

「エイプ様が?!」

(なんだと?!)

「いくら大魔道士エイプ・フリーレル様でも神聖な神子様のお体を触れるなど許されません」

(そうだそうだ)

「貴女方はしているじゃないですか、それに儀式が終われば私も選ばれし12人の勇者のうちの一人ですから、後で必ず神子の体を触ることになります」

「…ですが、誰にも触らせるなと…」

「これはおかしい。誰の命令なんですか?」

「「「…………」」」


メイド達は一斉に下を向いてエイプに視線を合わさないようにしている。



「…まあ、誰の命令かはわかっていますけどね。わかりました。貴女達の命がかかっていそうな命令なのでしょう。それでは貴女達で頑張って下さい。」

(そうだ、みんなで頑張ろう。俺も協力するからメイドさん達、頑張れっ!!)

「神子様、お体を…」


そろそろとメイドの一人が手を差し伸べるけれど俺の体は全力拒否。


「いやだっ!!」
(嫌だじゃねえよっ!!助けてもらえっつーのっ!)


「どうします?ああ、貴女達に聞くべきじゃないですね。神子様、ご命令をここでは貴方が一番位が上です。貴方が命令すれば皆従い丸く収まるでしょう」


(えっ?俺、偉いの?じゃあエイプは部屋の外に出て行け…)
「みんな部屋の外に出て行け、私の体を洗うのはエイプに任せなさい」


(わあああっ、なに言ってんだよっっ!!)


「はい、神子様」


(待って待ってメイドさん達みんな待ってーーっ!!)


メイド達は顔を見合わせて頷き、全員外に出て行ってしまった。

 
 
 
 

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