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二人の王様
第53話 王様の采配
しおりを挟むナギの大声で俺と白山君はフリーズした。
あ、ナギ怒って…る?
「王様の岩崎渚が2番目の命令をする。緒方遥、白山明央の二人はこれから一ヶ月の間、恋人として付き合うこと、いいね!!」
胸を張ってナギが命令した。
「えっ?」//////
「い、岩崎先輩っ?! なんで?!…」//////
嬉しそうに驚く白山君と顔を赤らめて慌てる緒方の反応をみてナギの采配に納得した。
そうか、さっきからなんか引っかかると思ってたら、この二人は…
「どうしても俺とデートさせたかったら一ヶ月後また教室に来なよ。その時はデートしてあげるよ。」
「行こうナギ。…やっぱり俺の王様は宇宙一最高だ♡」
「その話はもうおしまい。もー、変なとこで揉めるんだから」
「変じゃない大事なことだよ。」
ナギの腰を抱いてドアの鍵を開けると耳を付けて聞いていた人達が雪崩れてきた。
その後にも野次馬が階段にいっぱいに埋め尽くしている。
「………」
先頭にいる数人はバツが悪そうにへらっと笑っているが顔が恐怖に引き攣っている。
「帰るから道開けてくれる?」
ナギが笑みを浮かべてお願いをすると、ザーッと避ける生徒達の間をゆっくりと歩いて階段を降りて行く。
俺達の通り過ぎた後は緒方たちの様子を見に行くために我先へと屋上のドアに群がっていった。
「あーあ、みんなにすっかり嫌われちゃったなぁ」
明るく話しているがナギの心は凄く傷ついているだろう。
だから俺だけでもナギの味方であることを教えてあげなくちゃな。
「でもさ、俺はその方が嬉しいな。」
「なっ!修斗酷い!!どうしてだよっ!!」
「誰もナギに近づいて誘惑してこないだろ。俺だけにナギを独り占めさせてよ。」
「修斗…」/////////
とは言っても卒業まで『モーゼ』は可愛そうだよな。
なにかいい方法無いかな。
「修斗なにか考え事?」
「え、まあちょっとね…」
ナギが不安そうな顔している。誤魔化さないと今日何かなかったかな…
「…あっ!!」
「何?どうしたの?」
「思い出した。小説の発売日とっくに過ぎちゃってた。まだあるかな。」
「あるんじゃない?俺も一緒に買い物に付き合うよ。」
俺の手を握り、隣で可愛く微笑む。
「有難う。」
もうコソコソ隠れるようになんて会わなくてもいい
クラウンゲームが始まる前の普通の日常が帰ってきた。
可愛い手が俺の手を引いて校舎から連れ出してくれる。
宇宙一可愛い王様の元に戻れたことを実感した。
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