【BL】王様の命令は絶対っ!!

yao

文字の大きさ
上 下
75 / 80
二人の王様

第50話 1日だけでいいから ー緒方遥 目線ー

しおりを挟む
 
 
 
 昨日まで三年生の教室にズカズカと入って行けたけど

 今日からは出来ない。

 
 校長先生から命令の権利を剥奪されているから、ボクは名だけの王様になっちゃった。

 あの計画が全部ダメになった時のために取っておいた三番目の命令すら使えない。


 岩崎先輩は怖いけど、どうしてもあの願いを叶えたくて お願いするために三年生の教室に来ている。


 ボクはyaoのアイコンの様に教室のドアの影から中を覗いてるけど見当たらない。



「まだ来てないのかな? 今日はお休みかな?」

「遥…朝じゃなくて帰りにした方がいい。」

「明央は帰っていいよ。それについてこないでって言ったじゃん。あ、あそこの人だかりの中にいるのかな?」

「でも遥………ひゅぅっ」

「明央、口笛なんか吹かないで」


 トトト、トンと遥の肩を叩く。


「ちょっとやめて…」


 肩を叩く手を払った。


「何してるの?」

「なにしてるってそれは……」

「誰を探してるのカナ?」


 聞き覚えのある声に振り向くと岩崎先輩と辻先輩が後に立っていた。


「いぎゃああああああぁぁぁぁぁ!!」


 コワイコワイコワイっっ!! 

 怖くてひっくり返って腰が抜けちゃったよ。

 岩崎先輩すっごく笑っているけど笑ってない気がする。

 本当に怖いっっ!!怖いいいいっ!! 


「もうここに来ちゃダメでしょ? 早く教室に戻りなね。」


 ボクの横をすり抜けて二人は教室に入り席に着いた。

 辻先輩が冷たい目でボクを睨む、でもすぐに岩崎先輩が話しかけると その視線は外れた。


 まるでボクのことなんかいなかったように無視された。


 どうしよう。

 言わなくちゃ。

 このまま、なにもかもダメなまま終わっちゃう。


 HR始まるギリギリまで悩んで覚悟を決めた。


「っ、岩崎先輩、ごめんなさいっ! 放課後お時間ください。」


 恥も外聞もなく大きな声ではっきりと、みんなの前で頭を下げてお願いした。

 教室が静まり返る。




 長い沈黙のあと、チャイムが鳴った。

 ボクはそれでも返事がもらえるまで頭を下げたまま動かなかった。





「……わかった。いいよ。でもこれで最後にして」


「はい。」

 良かったなんとか約束を取り付けた。





 
 放課後、再び三年生の教室に行後とすると白山明央がついて来る。

「なんでついてくるの?来ないで。」

「遥を一人にするとまた大変だから」

「いいんじゃない。緒方君がなにかしたら白山君に止めてもらおうよ。」


  にこぉ☆


「ひぅっ」


 教室の中にいると思っていたから心構えがなくて変な呼吸しちゃった。

 まさか前で待っているなんて………。



『ここにいては危険』って心臓がバクバクと凄い勢いで鳴っている。

 岩崎先輩が怒っているのはボクだけ、ボク以外の人にはこんなに怖いわけない。

 

 心配性の明央もボクの後についてきてるし、ボクが今朝お願いしたことを聞きつけて周りには野次馬がいっぱいいる。

 大丈夫、大丈夫だよね。


 タッタッタッと軽快な足音が岩崎先輩の傍に駆け寄ってきた。


「おまたせ、鍵を持ってきたよ。」

「修斗有難う、ここじゃ話出来ないから場所、移動しようか。」


 鍵を持っている辻先輩が先頭を歩き出し、ボク達はその後をついていく。




 話し合いの場所は屋上だった。

 屋上に出ると誰も入って来れない様にドアに鍵をかけた。

 辻先輩が冷たい瞳でボクを見下ろして口を開いた。


「それで、なんの話かな?」

「あの…一日だけで良いので、デートして貰いたいんです。」


 ぴくっと岩崎先輩の顳かみに血管が浮き上がる。


「………ねえ、それ本気で言ってるの? 俺、結構怒っているんだよ。」


「すみません。でも、思い出を作って欲しくて………岩崎先輩、明央とデートしてもらえませんか。」



「「「はぁぁっ!?」」」
 
 
 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

早く惚れてよ、怖がりナツ

ぱんなこった。
BL
幼少期のトラウマのせいで男性が怖くて苦手な男子高校生1年の那月(なつ)16歳。女友達はいるものの、男子と上手く話す事すらできず、ずっと周りに煙たがられていた。 このままではダメだと、高校でこそ克服しようと思いつつも何度も玉砕してしまう。 そしてある日、そんな那月をからかってきた同級生達に襲われそうになった時、偶然3年生の彩世(いろせ)がやってくる。 一見、真面目で大人しそうな彩世は、那月を助けてくれて… 那月は初めて、男子…それも先輩とまともに言葉を交わす。 ツンデレ溺愛先輩×男が怖い年下後輩 《表紙はフリーイラスト@oekakimikasuke様のものをお借りしました》

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々

BL
SECRET OF THE WORLD シリーズ《僕の名前はクリフェイド・シュバルク。僕は今、憂鬱すぎて溜め息ついている。なぜ、こうなったのか…。 ※シリーズごとに章で分けています。 ※タイトル変えました。 トラブル体質の主人公が巻き込み巻き込まれ…の問題ばかりを起こし、周囲を振り回す物語です。シリアスとコメディと半々くらいです。 ファンタジー含みます。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

処理中です...