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二人の王様
第48話 おはよう
しおりを挟むカーテンの色が明るくなり、窓の外には雀の小さなさえずりが聞こえてくる。
俺はベッドに腰掛けて眺める恋人の寝顔が愛おしくて仕方ない。
昨夜のナギは可愛かった。
俺に「抱いてほしい」必死になってすがりついてきたなんて初めてだ。
そんな事絶対無いのに、嫌いにならないでと泣いてた。
小さな不安すらなくなるほど、朝までいーーーっぱい愛しあったから大丈夫だよね。
もっと抱きたかったけど途中で安心したみたいに、がっくりとナギが寝ちゃったからそこで諦めた。
ナギを抱き上げて二人でシャワーを浴びてベッドに入ったのが2時間前。
今日は普通に学校があるからもう少し寝かせてあげたいけど、そろそろ学校に行く支度しないと…
小さく音のするキスの雨を降らしてナギを起こすと、ぼーっと俺を見ている。
「んむ、ちゅっ、あ、修斗?」
おまけのキスをおでこにチュッとする。
「おはよ、ナギ」
「おは…よう?」
可愛いな、寝ぼけてる。
眠くてしかたないみたいで頭が回ってないみたい。
俺はというと寝るのがもったいなくてずっとナギを見ていた。
「なんで? うちに修斗がいるの?」
「違うよ。ナギがうちに来ているの。いっぱいHしたの忘れちゃった?」
「!…」///////
今の一言で急に目が覚めたらしく真っ赤になって慌てて布団の中にもぐった。
「おはようのキスしてよ。」
「さっきしたじゃん」
「さっきは俺からだろ?ナギからのキスが欲しいんだけど」
「~~っ、これ以上はダメだよ~」
「キスしてくれなきゃ学校行かない。」
「も、もう仕方ないな………」
やっと布団から出てきて、キスしようとした所に勢いよく部屋のドアが開いた。
「おっはよー!!よく眠れたー??」
「わああああっ!!」
「何いきなり開けてんだっ!!」
これは俺のミス、ナギに夢中で 二人でシャワー浴びに行った後、鍵をかけ忘れてたんだ。
「岩崎くん、おはよう」
なっ、兄貴も入ってきた!
「なかなか起きてこないからさ、起こしにきちゃった☆てへ」
「おお、おはようございます。」
昨夜の事の後ろめたいのか、恥じらいながらナギが兄貴達に挨拶する。
「岩崎くん、尊いっ!!」
「解りみっ!」
「えっ?」
驚くナギの前で兄弟たちがグネグネしながら踊っている。
昨夜のドタドタと暴れていたのはこれだったんだな。
「朝から何バタバタしているの。健一と翼は遠いんだから早くしないと遅刻するわよっ」
ポカポカと母親に頭を叩かれて二人は部屋を追い出された。
「岩崎くん、はいこれ、Yシャツとを制服洗っておいたから。」
「すみません、有難うございます。」
「じゃあ、着替えて朝ごはんにしよう。」
制服に着替え終わってリビングに行くと兄貴と翼が出かけるところだ。
「ヤバイ!岩崎さんまたねー!」
「いってきまーす。」
ナギはいつも家でそう言われているのか二人に向かって手を振ってお見送りをする。
「いってらっしゃい。気をつけて。」
「くーーーっ!!」
「最高かよっ!!」
手を額に当てて天を仰いだり、背中を丸めて喜びを噛み締めている二人が憎らしい。
くそー、俺だって言われたこと無いのに~~。
「ナギ、ご飯冷めるから行くぞ!」
「あ、うん」
兄弟に嫉妬なんて子供みたいだけど、悔しくて強引にナギをリビングに連れてった。
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