【BL】王様の命令は絶対っ!!

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二人の王様

第42話 どうしよう ー岩崎渚 目線ー

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 浴槽にはられたお湯の湯気でお風呂場は白くぼやけている。
 
 教えられたとおりボタンで切り替えてシャワーを浴びはじめた。

 
 修斗のいじわる。

 男同士なんだからお風呂一緒に入ったって怪しまれないのに。

 本当に心配性なんだから


 ボディーソープをたっぷり泡立てたナイロンタオルで擦ったら肌がチクチクと痛い。

 身体中に細かなかすり傷があってボディーソープが染みているんだ。

 急いで頭から足の先まで綺麗にあらうとすぐに泡を流して急いで浴槽に浸かった。


「いた!」


 今度は違う所が痛みを訴えてくる。

 そこは脱衣所で修斗の指が入っていた場所。


「うー、ヒリヒリする。」


 いつもはローションでたっぷりと潤し、十分過ぎるほど丁寧にほぐしてから入れるから痛い事はなかった。

 でもあの時、濡らして調べたら身の潔白を証明出来ないから、これは嬉しい痛みなんだ。


「ちゃんと調べてもらえて良かったぁ。」


 これで俺達、別れるなんてことなくなったよね? 修斗♡



 嬉しくて顔が緩んじゃう。




 でもまだ一つ不安なことがある。


 緒方遥のこと。


『どうしてもっ、願い事を叶えたかったんです。』


 あんなふうにみんなの前で情熱的に自分の気持ちをぶつけるなんて俺には出来ない。



 だからって修斗を思う気持ちは誰にも負けないもん。


 小学生の頃、英会話の先生が『外国ではアピールしないと誰も見てくれない。話を聞いてくれない。ボディーランゲージなどを付け加えてオーバーなくらい主張することが大事です。』って言ってた。


 俺もアピールしなくちゃダメなのかな。

 自分と比べると

 緒方遥は年は若いし (1コだけだけど)

 ボディケア完璧だし (めちゃくちゃ髪とか肌綺麗)

 甘え上手だし (俺は甘えるの下手だ)

 自分がどれだけ好きか伝えることに必死なところがいじらしい。 (俺は伝えられてないと思う)


 うわあ~~、明らかに俺の方が劣っている気がする。


「ダメダメ!ネガティブモード無しっ!せっかく修斗の家に来てるんだもん。楽しい気持ちにならないとダメだ。」


 暗い顔してたら修斗が心配しちゃう。

 スマイルスマイル。

 浴室内の鏡に向かって口角の両端を手で押し上げて笑い顔を作った。

 顔の横にある傷だらけの手が目に入る。


「あー手がぼろぼろ…俺もボディケアしようかな。やっぱり怪我だらけよりツヤツヤな肌が……!!」



 ちょっと待って!


 冷静になって大変なことに今 気がついた。


「俺、…暴れた所、修斗に見られた…?!」


 記憶がほとんどないけど、多分見られたよね?

 どうしよう、修斗にだけは知られたくなかったのに、どうしよう、どうしようっ


 修斗、さっき身体を調べる時もちょっと見ただけで積極的じゃなかった。

 だって俺が言わなくちゃ中まで調べる気がなかったよね。

 ちゃんと調べてってお願いした時だって『え?そこまでするのっ?』って驚いていた。

 お風呂一緒に入ろうって言った時なんか、即 断られた。


 


 それって………


 

 学校を壊したり、人を殴ったりするような人は嫌い…


 だよね。


 俺もそんな奴が友達なんて嫌だ。


 ましてや 俺 修斗の恋人じゃんか。


 




 「どうしよう、修斗に嫌われ…」



 顔を手で覆い、そこから先の言葉が怖くて言えない。



 指の隙間から涙がぼろぼろとお湯の中に消えていった。



  
 
  
 
 

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