【BL】王様の命令は絶対っ!!

yao

文字の大きさ
上 下
64 / 80
二人の王様

第39話 じゃあ、まったねー☆

しおりを挟む
 
 
 
 
 校長先生から会議室にいる全員に今回のことに関して固く口止めされた。


 ここにいる人達は、口外するつもりはないと思うけど一応念の為ってことなのか。

 それにしても今回のクラウンゲームが警察沙汰になるとは思っても見なかった。

 ナギのことを中学生の頃からのずっと逆恨みしてたなんて………なんてやつだよ。


 緒方遥は俺達に会釈すると白山明央君に連れられて帰っていった。


「思っていたより大事おおごとだったんだねぇ。でも無事に解決できて良かったよん♪」

「あ、東條麗矢先輩、渡辺琉仁先輩、今日は本当に有難うございました。」

「有難うございました。」


 遅れてナギもお礼を言った。


「俺達は大したことしてないから、困った時はいつでも相談して来なさい。」

「はい、有難うございます。」


 照れくさそうに渡辺先輩が去ると東條麗矢先輩が俺のところに来て耳打ちした。


「あのさー今度から相談は俺の方にしてくれる? リューが心配し過ぎてHさせてくれなくなっちゃうから困っちゃうんだー❤」

「!!!!!」

 
 電話した時…なんか変だとは思っていたけど、やっぱり……/////


「何している。置いていくぞ。」

「待ってー!後でリューのスマホから俺の電話番号送るからー。じゃあ、まったねー☆」

「……すみませんでした。」


 俺は申し訳なくて深々と頭を下げて見送った。



「それじゃあ俺達も帰ろうか。…!」


 改めて見るとナギは酷い格好をしていた。

 細かく砕けた落ち葉が髪の毛に沢山絡まっているし、顔や制服には全て土汚れが付いている。

 Yシャツのボタンは上から下まで全て弾け飛んで開けっ放しになっている。

 小さな両拳はボクサーのバンテージのように包帯が巻かれていた。


「ナギ、その…手は大丈夫?」

「…うん平気……あの………あのね……修斗…俺…」


「渚っ!」


 女性が叫び、スリッパをパタパタと鳴らしながら駆け寄ってくる。


「お母さんっ!!」

「渚、体は大丈夫なの?」


 ナギの身体をチェックしたあと、まわりを見回して探している。


「怪我した人はどこにいるの?」

「みんな大丈夫だよ。かすり傷だって。修斗が助けてくれたんだ。」

「辻修斗君?電話くれて有難う。渚がいつもお世話になってます。今日の被害が最小限で済んだのも辻君が助けてくれたおかげなのね。本当に有難う。」

「いえ、俺は、そんな大したことしてないですから、頭を上げて下さい。」


 本当に俺は何もしてない。

 犯人を捕まえたのはナギと白山明央だから


「事情聴取が今やっと終わったところです。今日はもう疲れていますから帰りましょう」

「そうなのね、有難うございました。さ、帰りましょう。渚。」


 ナギのお母さんがナギの手を取って出口に向かう。

 元気なく手を引かれるままついていくナギが急に振り返り俺のところへ戻ってきた。


「…修斗っ、俺、本当に…なんにもないから…!」

「!…わかったから、今日はゆっくり休んで。」

「ヤダ、修斗に本当になんでもないって知ってもらいたい。このまま帰ったらきっと俺達………」


 その先の言葉は言わなくても分かった。


「そんな事ならないよ。」

「修斗…俺の身体全部調べて欲しい。」


 ふわっ?!W h a t ?!


「わ…分かった。わかったからそれはまた今度っということで…」

「今日じゃなくちゃダメえっ!! 今日じゃなくちゃ証明できないじゃない。」


 確かにその方が確実に証明は出来るだろうけど、こんな状況では流石に無理だろう?

 お母さんいるんだよ?!


「渚、辻くんを困らせてはダメよ。」

 ナギのお母さんがナギを説得しに戻って来た。

「修斗お願いっ」


 俺は大きく溜め息をつくと、しがみつくナギを引き剥がした。


「!!しゅ…と…いやっ…」

「ナギ」

「……やっ…」

「俺んちに来る?」


 はっと驚いた顔をしたナギはすぐにクシャッと笑い泣きしながら返事をくれた。


「…………うん行く…」
 
 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

玩具にされた子供

Neu(ノイ)
BL
R-18/虐待/近親相姦/暴力/ショタ/バッドエンド/死ネタ/etc. 【父親×息子】 パパもママも、僕のことが嫌いなんだ。 僕は産まれて来てはいけなかったんだ。 だって、パパは僕のお尻に痛い注射をするし。 嫌がると殴られるから、毎日我慢するしかなくて。 ママは僕の顔も見てくれない。 顔が合うと、叩かれる。 お前なんか消えてしまえとか、ひどい言葉も一杯投げられた。 ご飯も水も、ろくにくれないんだ。 僕なんか死んでも良いって、思っているんでしょ? ねえ、ひどくするなら、何で僕のことを、産んだの? 要らない子なら、最初から産まないでくれたら良かったのに。 *不定期更新。 性描写があります故、高校生含む18歳未満の方は、自己責任に於いて判断をお願い致します。 当方では、如何なる不利益を被られましても責任が取れませんので、予めご理解下さいませ。 タイトル横に*印がある頁は性的描写を含みますので、お気を付け下さい。 此方の作品は、作者の妄想によるフィクションであり、実際のものとは一切の関係も御座いません。 また、作者は専門家ではありませんので、間違った解釈等あるかと思います。 以上のことご理解頂けたらと思います。

目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件

水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。 そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。 この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…? ※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)

プライド

東雲 乱丸
BL
「俺は屈しない! 」男子高校生が身体とプライドを蹂躙され調教されていく… ある日突然直之は男達に拉致され、強制的に肉体を弄ばれてしまう。 監禁されレイプによる肉体的苦痛と精神的陵辱を受ける続ける直之。 「ヤメてくれー! 」そう叫びながら必死に抵抗するも、肉体と精神の自由を奪われ、徐々に快楽に身を委ねてしまう。そして遂に―― この小説はR-18です。 18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします。 エロのみのポルノ作品です。 過激な生掘り中出しシーン等を含む暴力的な性表現がありますのでご注意下さい。 詳しくはタグを確認頂き、苦手要素が含まれる方はお避け下さい。 この小説はフィクションです。 登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 また皆様に於かれましては、性感染症防止の観点からもコンドームを着用し、セーファーセックスを心掛けましょう。

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

処理中です...