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二人の王様
第39話 じゃあ、まったねー☆
しおりを挟む校長先生から会議室にいる全員に今回のことに関して固く口止めされた。
ここにいる人達は、口外するつもりはないと思うけど一応念の為ってことなのか。
それにしても今回のクラウンゲームが警察沙汰になるとは思っても見なかった。
ナギのことを中学生の頃からのずっと逆恨みしてたなんて………なんてやつだよ。
緒方遥は俺達に会釈すると白山明央君に連れられて帰っていった。
「思っていたより大事だったんだねぇ。でも無事に解決できて良かったよん♪」
「あ、東條麗矢先輩、渡辺琉仁先輩、今日は本当に有難うございました。」
「有難うございました。」
遅れてナギもお礼を言った。
「俺達は大したことしてないから、困った時はいつでも相談して来なさい。」
「はい、有難うございます。」
照れくさそうに渡辺先輩が去ると東條麗矢先輩が俺のところに来て耳打ちした。
「あのさー今度から相談は俺の方にしてくれる? リューが心配し過ぎてHさせてくれなくなっちゃうから困っちゃうんだー❤」
「!!!!!」
電話した時…なんか変だとは思っていたけど、やっぱり……/////
「何している。置いていくぞ。」
「待ってー!後でリューのスマホから俺の電話番号送るからー。じゃあ、まったねー☆」
「……すみませんでした。」
俺は申し訳なくて深々と頭を下げて見送った。
「それじゃあ俺達も帰ろうか。…!」
改めて見るとナギは酷い格好をしていた。
細かく砕けた落ち葉が髪の毛に沢山絡まっているし、顔や制服には全て土汚れが付いている。
Yシャツのボタンは上から下まで全て弾け飛んで開けっ放しになっている。
小さな両拳はボクサーのバンテージのように包帯が巻かれていた。
「ナギ、その…手は大丈夫?」
「…うん平気……あの………あのね……修斗…俺…」
「渚っ!」
女性が叫び、スリッパをパタパタと鳴らしながら駆け寄ってくる。
「お母さんっ!!」
「渚、体は大丈夫なの?」
ナギの身体をチェックしたあと、まわりを見回して探している。
「怪我した人はどこにいるの?」
「みんな大丈夫だよ。かすり傷だって。修斗が助けてくれたんだ。」
「辻修斗君?電話くれて有難う。渚がいつもお世話になってます。今日の被害が最小限で済んだのも辻君が助けてくれたおかげなのね。本当に有難う。」
「いえ、俺は、そんな大したことしてないですから、頭を上げて下さい。」
本当に俺は何もしてない。
犯人を捕まえたのはナギと白山明央だから
「事情聴取が今やっと終わったところです。今日はもう疲れていますから帰りましょう」
「そうなのね、有難うございました。さ、帰りましょう。渚。」
ナギのお母さんがナギの手を取って出口に向かう。
元気なく手を引かれるままついていくナギが急に振り返り俺のところへ戻ってきた。
「…修斗っ、俺、本当に…なんにもないから…!」
「!…わかったから、今日はゆっくり休んで。」
「ヤダ、修斗に本当になんでもないって知ってもらいたい。このまま帰ったらきっと俺達………」
その先の言葉は言わなくても分かった。
「そんな事ならないよ。」
「修斗…俺の身体全部調べて欲しい。」
ふわっ?!
「わ…分かった。わかったからそれはまた今度っということで…」
「今日じゃなくちゃダメえっ!! 今日じゃなくちゃ証明できないじゃない。」
確かにその方が確実に証明は出来るだろうけど、こんな状況では流石に無理だろう?
お母さんいるんだよ?!
「渚、辻くんを困らせてはダメよ。」
ナギのお母さんがナギを説得しに戻って来た。
「修斗お願いっ」
俺は大きく溜め息をつくと、しがみつくナギを引き剥がした。
「!!しゅ…と…いやっ…」
「ナギ」
「……やっ…」
「俺んちに来る?」
はっと驚いた顔をしたナギはすぐにクシャッと笑い泣きしながら返事をくれた。
「…………うん行く…」
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