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二人の王様
第26話 孤独な王様
しおりを挟む「あー❤いたいた。修斗お昼食べよー。」
昼食の時間になると緒方遥がでかい弁当箱を持って教室に来た。
俺が呼び捨てにされていることでクラスメイトが殺気立つ。
「修斗ってなんで呼び捨てなのよっ」
「呼びたいって言ったらいいよって言ってくれたんだもん❤」
「はぁ?どうせ命令で無理やりでしょっ!!」
緒方と揉めている人たちは放おって置いて楽しくランチをすることにした。
「あー腹減った。早く食おうぜ。」
「うん。俺もお腹ペコペコ、授業中鳴っちゃうかと思ったよ。」
………
「あー!!ボクを待たないでなんで食べ始めてんの?!酷いよ。」
「腹減ってるから!早く食わないと時間なくなるぞ。」
プンプン怒りながら俺の隣に座った。
緒方が何をしても全く気にならない。
1ヶ月我慢すれば命令は消えてしまうんだから嫌なことも我慢もできる。
俺とナギは逃げずに緒方遥と一緒に食べることにした。
「ねえねえ、ボクのお弁当食べて♡」
「残したらおふくろに怒られるから1つだけな。」
「はい、あーん❤」
仕方なく緒方がフォークで刺した唐揚げを口に入れた。
「美味しい?」
「普通。」
「もー、一生懸命作ったのにい。」
俺と緒方のやり取りに干渉せず、自分の弁当を黙々と食べているナギをじっと見つめる。
ぴったりとくっついたり、腕にしがみついても何も反応しない。
周りのクラスメイトの方がギャーギャーうるさい。
「………なんか変。岩崎先輩、なんで何も言わないの。」
「だって今朝読んだクラウンゲームのルールブックで色々分かって安心したからだよ。」
「安心?安心てなんだよ。」
緒方遥の口調がいつもと違う。こっちが素の方なんだろう。
「俺から説明するよ写メで撮ってきたから
1. 相手の意志にそぐわない強制的な命令、恋人になれなどの場合の命令の効果は1ヶ月間で解消される。
2. 相手の意志にそぐわない強制的な命令、恋人になれなどの場合は最低限のつきあいで良い。
3. 同じ人に同じ命令は1度限りで2度は使用出来ない。
4. そして王様の命令は校内のみ有効である。
………ということが明記されている。」
「だから緒方の命令は文化祭の日からだから…えーと、今日で13日経過しているでしょ。修斗が恋人でいる期間は後17日なんだよ。」
「!…嘘っ!」
緒方は椅子から立ち上がり俺達ではなく別の方向へ振り向いて睨みつけた。
その視線の先は高橋 税がいる。
なんで高橋を見ているんだ?
「なんだ。良かったな。辻」
「心配だったのよ、修斗くん、本当に良かったわ。」
クラスメイトが口々に喜んでくれている。
「なんでだよ。せっかく、頑張ったのに…」
味方がいない孤独な王様は悔しそうな顔で肩が震えている。
「………大丈夫。後17日間もあるんでしょ?修斗を落としてみせるよ。それに命令はまだ残っているんだから❤」
ナギと同時に溜め息をついた。
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