【BL】王様の命令は絶対っ!!

二人の王様

第２0話 恋人

 
 
 
「何いってんのぉ？ボク達恋人同士なんだよぉ。二人っきりでイチャイチャしたいじゃない❤ここは気を利かせて岩崎先輩が早く帰るところでしょ！」

「イチャイチャ?!」


　ヤバイこのままだとナギがキレる。

　本人曰く『中学生の時、キレて1クラス丸々破壊した』と言っていたから、屋上でそんなことになったら大変だ。


「緒方いいかげんにしろ！ナギは俺の親友で俺達はお前より一学年上だ。後輩のお前にそんな言い方される筋合いはない。」

「修斗」

「………」

「それに急に恋人になれとか、言われて俺は迷惑だからやめてくれ。」

「………ふふ、やだー、辻先輩、王様の命令は絶対って知らないの？言うこと聞かなきゃいけないんだよ？」

「解っている。けど男同士で付き合うなんて、言われて抵抗なく付き合えるわけないだろ。」

「えー？そんなの関係ないでしょ？ボクその辺の女の子より絶対可愛いんだから大丈夫でしょ❤」


　上目遣いで見つめてくる。

　緒方が可愛くポーズをとっているけど俺にはなんの効果もない。


「そうか？そうでもないぞ。」


　だってナギの方が100倍可愛いからな❤


　さっきまで余裕で可愛らしい魅力的な笑顔を振りまいていた緒方の表情はみるみる変わり


「……っんだよ。どいつもこいつもっ!!」


　顔に似合わないドスの利いた声で悪態をつき俺達を驚かせる。

　本人は聞こえないように言ったつもりのようだがこっちに丸聞こえだ。

　緒方は気を取り直して再び笑顔で俺の腕に抱きついてきた。


「辻先輩、でも命令は命令だよ。ボクのいう事を聞かなくちゃね❤ここは岩崎先輩がずっといるみたいだから静かな所へ行こうよ。」


　ぐいぐいと俺をどこかへ連れて行こうとする。

　その反対側でナギも俺の腕を捉まえて必死に抵抗する。


「やめろよ。修斗が嫌がっているだろ!!」

「岩崎先輩、邪魔って言っているでしょ!!ボク達のことは放って置いてよ!!」

「僕達って…、好きな人に無理矢理言うこと聞かせるなんておかしいよ。」

「！……あれれ～～？もしかして岩崎先輩、辻先輩のこと好きだったのぉ？わー、残念だったね。去年王様だったんだからポップコーンなんかじゃなくてボクみたいに恋人になってって命令すればよかったのにぃ～。」


　意地悪そうにナギに顔を近づけて嫌味たっぷりな言葉を浴びせる。


　頭に血が登ったナギがに怒鳴り返す。



「命令したよっ！！修斗は俺と付き合っているんだからねっ！！」