27 / 80
二人の王様
第3話 遅刻
しおりを挟む「いててっ!ナギごめんっ!いててっ。」
「辻修斗のバカバカバカッ!!」
怒ってポカポカと叩いているがナギの小さな拳はたいしてきいていない。
「緊張は…?…」
「してないっ!」
「良かった。」
少し前までガチガチに緊張していたが、二人だけの打ち合わせをいっぱいしたおかげでいつも通りのナギに戻っている。
これならゲーム開始の挨拶も司会進行も余裕でこなせるだろう。
だが、打ち合わせが長引いたせいで現在、クラウンゲームに遅刻している最中だ。
「全然良くないっ!…た、立てなくなるまでするなんて酷い。」
お姫様抱っこでゲーム会場に運ばれているナギは耳を赤く染めて俺の胸にしがみつく。
「ごめん。ナギが可愛…じゃなくて好きすぎて止まんなかった。」
「……………っ…………辻修斗のバカぁーーー!!」
誰もいない廊下に急ぐ足音とナギの声が響き渡った。
*************************************
全力疾走の甲斐あってクラウンゲームには15分の遅刻ですんだ。
「ごめんなさい。遅くなりました。」
二人で謝りながらゲームの関係者入口から入ると、ナギを待ち構えていた生徒会役員達に一斉に睨まれた。
「遅いよ!王様!!早く朝礼台に上がって!!」
ナギに肩を貸して朝礼台の下まで一緒に行くと、今度はまたゲーム参加者の2年生達の視線がこっちに集中する。
あまりにも冷たい視線に「遅れてすみません」とまた謝った。
去年のクラウンゲームのメダル認証方式が学校側にも生徒にもが好評だったため、今までの力ずくで奪い取る形ではなく、今年からメダル認証方式が正式採用になった。
朝礼台の上には、二人で作った金色の王冠がすでにセッティングされており、照明を浴びてキラキラと光を放っている。
バーコードもドローン操縦も生徒会役員がスタンバイ済みで、前年度の王様ナギが挨拶とスタートの号令を出すだけになっていた。
ふらつく足取りでナギはゆっくりと朝礼台に上り、机の上にある低いスタンドに乗っているマイクに手にとった。
「2年生の皆さん、遅くなって申し訳ありません。暗くなってきていますので今すぐゲームを始めたいと思います。」
ナギは待たされてイライラしているみんなの気持ちを察して挨拶を省いた。
すぐに始まると分かった2年生達から嬉しそうな歓声と拍手が上がる。
「それではルール説明です。ドローンからメダルが落とされます。メダルは参加者の人数分だけしかありません。」
ナギは朝礼台下にある色々な機材とパソコンがのったテーブルを指し示す。
「こちらの受付でクラスと名前を言ってメダルをチェックして下さい。メダルは一人1枚となっています。2枚持ってきた方は失格です。準備は良いですか?それではクラウンゲームのスタートです。」
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる