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二人の王様
第1話 クラウンゲームの前に
しおりを挟む「どうしよう。めちゃくちゃ緊張する。」
「大丈夫だよ。みんなゲームの事に夢中でナギの事を見ている人は少ないから。」
目の前で青い顔をして震えている恋人に、辻 修斗は落ち着かせようと優しく声をかけている。
今日は文化祭最終日、クラウンゲーム開催日だ。
恋人の岩崎 渚は前年度クラウンゲームの王様だったから、今年のゲームの司会進行を任されている。
その大役が自分に務まるか不安で仕方ないらしい。
「本当に大丈夫?今からでも生徒会の人に頼めないかな?」
「司会進行は毎年前年度の王様がするって決まっているから無理だよ。」
「でも俺…」
少し潤んだ瞳で俺を見つめる仕草が………ああもう、なんて可愛いんだっ。
「………ナギ、こっち来て、打ち合わせしよう。」
「打ち合わせって?」
俺はナギの手を引いて防音設備の整った生徒会室に入った。
「挨拶が不安なのか?大丈夫だよ。あんなにたくさん練習したんだから」
「でも…」
「じゃあ聞いててあげるから言ってみて」
ナギは暗記していた挨拶をスラスラと完璧に話す。
「ほら大丈夫じゃないか。」
「だって、ここには俺と修斗しかいないじゃないか。壇上から大勢の人の前で言うんだよ。あの上に立つと思うと緊張しちゃって…ほらこんなに手が震えている。」
渚が可愛い両手を差し出してきた。
「そんなに心配なら俺が緊張しない魔法をかけてあげるよ。」
細い腰を優しく包み込んで引き寄せ、キスをしようとしたら渚の両手に口を塞がれた。
「ダメ!俺 開始の挨拶とゲームの号令かけるんだよ。そんなことして遅刻したらヤダ。」
俺がナニをしようとしているかバレていらしい。
「大丈夫だよ。ゲーム開始までまだ時間あるし、それに生徒会役員には携帯番号を教えてあるから集合時間に来なかったら電話がかかってくるよ。」
再びナギの腰を抱き寄せて、柔らかい頬や唇にキスの雨を沢山降らす。
「も、や、修斗!おねだりしてもダメッ、んっ、ダメだったら…ぁ……ンンッ………んう、」
本気で抗議していないであろう可愛い唇に愛する許可をもらうため深く口づけする。
「ッ、んっ、……ん」
漏れる声と共に可愛い舌が俺の気持ちに応えてくれた。
恋人のベルトを緩め、ズボンの隙間から左手を後ろに侵入させるとピクリとナギの体が震えた。
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