【BL】王様の命令は絶対っ!!

yao

文字の大きさ
上 下
3 / 80
王様の命令は絶対っ!!

第3話 可愛い大福

しおりを挟む




あれから外は結構強めの雨が降り続いている。

天気予報で明日は晴れると言っていたけど……本当かな?

修斗はバスケ部の用事があるからって途中で分かれて俺一人で教室に戻った。

みんな明日の準備に追われて教室の飾りつけをしている。

そこに校内放送を報せるチャイムが急に流れてきた。



≪ピンポンパンポ~ン≫



『生徒会副会長の渡辺わたなべ 琉仁りゅうじんです。2年生にお知らせがあります。』

『ハーイ!!みんなのアイドル生徒会長の東條とうじょう 麗矢れいやもいるよん♪』

『こら、放送で遊ぶな。マイクを返せ。』

『いいじゃん。いいじゃん。俺も校内放送でしゃべってみたかったんだ♪やっほー♡重大発表があるよん♡』

『何を話す気だ。返せ。』

『ふっふっふっ♡ それはぁ、副会長と俺……。』

『こらっ!!やめ……』

生徒会役員の二人がドタバタとマイクの取り合いの実況放送している。

クラスメイト達は頭の上に?マークを浮かべて不思議な放送の感想を話している。

「なにしてんだろう?」

「さあ?」


ゴンッ! という音の後に、ハウリングが響く。

その音にかぶせるように、後ろで生徒会長の痛がる声をマイクは残さず拾っていた。


『コホン、お騒がせしました。生徒会副会長の渡辺です。この所、クラウンゲームに関してヒントを出して欲しいとの多くのストーカー行為……じゃなく要望が多かったので、不公平がないように2年生全員にヒントを出します。ヒントは、私は可愛い大福が好きだ。 以上です。』


≪ポンパンポンピ~ン≫


本当に不思議な放送だった。

クラス全員の作業の手が止まり、文化祭の準備そっちのけでざわついている。

「?????」

「なんなんだ?今の放送……」

「副会長 可愛い大福が好きって小さい大福のことかな?」

「もしかしたら大福をプレゼントしたら王冠の隠し場所教えてくれるかも…」

「……………」

「……………」


ガタンッ!!


なぜか一斉にみんなが立ち上がって買い出し係だった俺の所に飛んできた。

「なあなあ、買い出しする物あるだろう?俺買いにいってきてやるよ。」

「あ‼ 私もっ‼‼」

かかりでもないのにみんな優しいなぁ。みんなの優しさに感謝しながら俺は断った。

「有難う。大丈夫だよ。今日は午後から雨になるって天気予報が出てたから昨日のうちに俺が買い出しに行って全部そろっているよ。」

「あ、そうなんだ……。」

皆があからさまに しゅんと元気がなくなって作業に戻る。

だが、すぐに思い立ったように席を立ちあがり


「あ!俺、トイレに行ってくる!!」

「私、職員室に行かなくちゃ!」

「先生に呼ばれてて……」


などと理由をつけて みんなは教室からいなくなってしまった。



がらんとした教室には俺一人だけ取り残された。



「………………。もー、なんだよー。みんなさぼってー。全然優しくないじゃんか~~。」

そこへ修斗が戻って来た。

「可愛い大福か…可愛い……」

「修斗っ!」

「ん?あれ?ナギ、一人か?」

「そうだよ。もー、これじゃ作業、進まないよ。みんなどこに行ったんだよ。」

「ああ……大福を買いに行ったんだろ。………あの人はそんな単純なことしないと思うけど……」

「? 大福?なんで?」





************ 1時間後 ************




大量の大福を手に持ってクラスメイトが戻って来た。

「なんであんなに怒るかな。自分で言ったくせに。」

「なんだよー。もー、この大雨の中買いに行ったのに!!大福って言ったじゃんかー。」

「私なんか老舗の所まで行って買ってきたのよー。酷いわ。」

「でかいから いけないのかな。」

「でかくても小さくても味は一緒じゃんか」

皆は口々に文句を言っているが文句を言いたいのは俺の方だよ。

「もう‼ 時間がないのにみんなどこに行ってたんだよ?!」

「い、岩崎……あははっ、差し入れ、そう差し入れしようかなって思って買い物に行ってきたんだよ!」

「そうそう!! 疲れたときは甘いものが一番だから!!食べて食べて!!」

机の上にはコンビニで売っている物から、老舗の包み紙に丁寧にくるまっている物まで様々な大福が並べられた。

100個以上あるかも知れない。

「凄い、本当に修斗が言ってた通りになった。」

「………やっぱりな………」

修斗は小さく何かを呟いて考え込んでいる。

自分の予想が当たったのに全然嬉しくなさそうだった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

チャラ男会計目指しました

岬ゆづ
BL
編入試験の時に出会った、あの人のタイプの人になれるように………… ――――――それを目指して1年3ヶ月 英華学園に高等部から編入した齋木 葵《サイキ アオイ 》は念願のチャラ男会計になれた 意中の相手に好きになってもらうためにチャラ男会計を目指した素は真面目で素直な主人公が王道学園でがんばる話です。 ※この小説はBL小説です。 苦手な方は見ないようにお願いします。 ※コメントでの誹謗中傷はお控えください。 初執筆初投稿のため、至らない点が多いと思いますが、よろしくお願いします。 他サイトにも掲載しています。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

処理中です...