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38 また一気飲み

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この世界はなにかにつけて紅茶を良く飲むんだけど、それは他の飲み物の文化がないんだよね。

材料はあるのに不思議だよ。

レモンはお酢の代わりとか紅茶の風味づけにしか使わないんだ。

コックのソーダイさんもレモネードの作り方知らなかったし、水と砂糖とレモンで簡単に作って飲んでたら、みんな興味深々でおすそ分けしたら大好評。

大声で『うまーい』なんて騒ぐもんだからセプター様にも見つかっちゃって………結局、お屋敷の全員が気に入ってくれたから良かったよ。

いつも作りたてというのは良いんだけど常温でぬるいんだ。

今日は夕食の時に冷たいの飲みたいなって思ったから、朝作ったレモネードをボトルに詰めて籠に入れ、井戸の中で冷やしている。

入れて2時間位しか立っていないからまだ冷えてないだろうな。

だってさ氷魔法を使える人ないし、原始的だけど冷やすのそれしかないんだもん。

この世界には冷蔵庫がないから仕方ないよね。

今日はみんなにも冷たいのを飲もうとボトルを4つ作ったから1本くらい出しても平気だろう。それに後で1本作り直せばいいし大丈夫大丈夫。


ソーダイさんに来客用のグラスを2つ出してもらってレモネードを注ぐとなにか物足りない気がする。

なんだろう?


「あ!そうだ!!」


レモンの木から1つもいで真ん中のところを薄くスライスして喫茶店とかの食品サンプルみたいにグラスの縁にレモンを刺して完成させた。うん、可愛いね。

これをマリーさんに持っていって貰えばOK………て、マリーさんセプター様の部屋じゃん!!

とほほ………またあそこに逆戻りかぁ。




「失礼します。おまたせしました。レモネードでございます。」


可愛いレモネードの登場に二人の目はキラキラになった。


「このままですと飲みづらいので飾りはスプーンでグラスの中に入れてお飲み下さい。」

「こうか?」

「はい。」


レモンの飾りに子供のようにテンションが上がるセプター様は言われたとおりスプーンでグラスの中に入れている。


この世界ではジュースのグラスに飾り付けすることは普通しないからね。

チェリーとストローがないのが残念だ。


「飲み物に飾りつけするなんて初めて見るな。」


サオマ様はじっと観察したり、香りを嗅いだりしている。


「ん💗前に飲んだときもうまかったけど冷やすと、もっとスッキリして旨いな。」

「冷えていますか?それは良かったです。」


飾りからレモンとはわかっているみたいだけど、セプター様の『旨い』という言葉にサオマ様も恐る恐る口をつける。


きっと酸っぱいものがお嫌いなんだな。

…と見ていたら…また一気に飲みしてるよ!!
 
 
 
 
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