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28 えーー!

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今朝も寝坊してマリーさんに起こされてバタバタとセプター様のお部屋へダッシュ。

そしてハーマンさんに睨まれながらの憂鬱な朝食タイムが始まりました。

主人と同じテーブル同じ食事をとる使用人おれマジで空気最悪。

パン一切れだけでいいから使用人の休憩所で誰にも気兼ねせず一人でご飯が食べたいです。




苦痛な朝食が終わり食後のお茶になった時、俺は水を頼んだ。


「どうしたリーフお茶は飲まないのか?」


紅茶飲みたいです。飲みたいですけどーー。


「すみません。俺、お茶飲むと眠れない体質みたいです。昨日も今日も明け方に寝ついて、少ししか寝ていません。毎回マリーさんに起こしてもらって迷惑をかけていますので、これからは自分で起きられるようにお水を貰います。」

「そうか、それは残念だな。」


この世界に来てから紅茶の美味しさに目覚めて大好きになったのに、まさかカフェインが敵になるなんて思わなかったよ。

ジュースとか炭酸とか味のあるもの飲みたいなー。

多分あるにはあるんだろうけど………



きっとお高いんでしょうねー。(心の中でなんかの通販番組のお決まりのセリフを入れてしまう)


使用人の分際で贅沢なお願いが出来るわけない。

はー、なんかストレスがたまるなぁ。


「………………。」


俺の顔をじっと見てセプター様が悲しそうに微笑む。

なんで?


「俺の顔になにかついてますか?」

「いやそうじゃない、髪の色は元に戻ってしまったんだな。」

「ああ、日付が変わったと同時に元の色になりました。」

「そうか、目の方はどうだ?」


すっかり忘れてた。


「オークト様の魔法は凄いですね。1日経ってるのにまだ見えています。」

「彼の魔法は特別な魔法だからな。」

「?」

「簡単に言うとリーフは彼に目の手術してもらったんだ。」

「本当に?あの短い時間で?凄い。ドーナツ2個とキャンディなんてお礼にもならないよ。どうしよう…」


いつかお会いした時、ちゃんとしたお礼をしなくちゃ。なにをあげれば喜ぶかな。


「リーフ、オークト様にドーナツ2個もあげたのか!?」

「だってセプター様を心配して魔法学園から来てくれたし、俺の目を治してもくれし、それに数があわなかったから…」

「数があわないとは?」

「ドーナツは6つあって、セプター様でしょ、オークト様、ハーマンさんに、御者さん、そして俺で5人だったからドーナツ1つ余ってて………」


俺は指を折りながら名前をあげていくと、ムッとして食べたかったって顔してる。


「あのー、今日ウィッグを取りに行って、その足でドーナツを買いに行きます。チョコレートドーナツはいくつ買ってきましょうか?」

「………2つ、チョコレートも食べたいけど他の味も試してみたい。」


んんんっ!!

すねて大人気なかったと恥じらいながらのおねだり!! 可愛いですセプター様っっ!!


「わかりました。チョコレート2つとあとは美味しそうなものを2つ選んできます。」


あ、ちょっと笑った嬉しそう。セプター様の機嫌が直ったみたいで良かった。


「旦那様、大金を持たせてリーフを一人で行かせるのは危険です。買い物には私が同行したいと思います。」


え!ハーマンさん?一緒に来るの?俺、一人で行けるよ?


「それなら俺が一緒に…」

「いいえ、お仕事で忙しい旦那様のお手を煩わせるわけには参りません。私が行きます。」


えーーーーーーーっ! 行きたくなーいっ!!
 
 
 
 
 
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