25 / 55
24 2人目の攻略対象
しおりを挟む床屋から出ると道には買い物客が増えて混み合いだしている。
「ハーマンはまだ馬車に戻って来てないようだから、少し町を見ていくか?」
「はい💗」
やったー。あのドーナツ屋さんに行きたかったんだ。色々買って食べくらべしようっと💗あとはー
………………
「あーーーっ!!」
「なんだ!リーフ何があった!!」
「…何でもありません…」
はあー、俺、ドーナツ屋さんに行ってもお金持ってないから、なにも買えないじゃん。
セプター様のご厚意でウィッグとか色々お金出してもらっているのに、これ以上甘えるわけにはいかないよ。
それにそんな事したら………ハーマンさんに思いっきり叱られる。
この髪で怒られるのもう確定だけどさー、ああ憂鬱ー。
「どうした?急に元気がなくなったな。」
あ、顔に出ちゃってた?俺は使用人なんだからセプター様に気を使わせちゃ駄目だ。
「元気ですよ。ほら、めちゃくちゃ元気です。セプター様、次はどこに行きますか?」
「ふむ、そういえば小腹が空いたな。何か食べようか。」
わ💗わ💗わ💗 それならドーナツ屋さんに連れてってくれないかなー💗
「あ、あー、あ、あれ? だ、誰かと思ったらバンテール様じゃないですか。(棒読み)」
濃い紫のフードを目深に被った顔が見えない怪しい人がおどおどと声をかけてきた。
ローブの胸には皇室の魔道士のマークがある。
皇室魔道士!!
失礼のないように使用人らしくセプター様の斜め後ろに控えて深々と頭を下げると俺は地面しか見えない。
「オークト様、こんなところでお会いするなんて奇遇ですね。」
オークトって、あの フェリス・オークト?!
大魔道士エイプ・フリーレルの次に治癒魔法に長けた男で、選ばれし12人のうちの一人の攻略対象じゃないかっ!!
この怪しい格好って神子様の祝福を受ける前の貴重な『もっさり』バーション?!
凄い短い期間しか出会えないレアバージョンじゃん。
見たことなかったからフェリス・オークトってわかんなかった。
やばいやばい、なんでこんな所にいるんだよ。
あなたは魔法学園でいつも薬作る為に部屋こもっている人でしょ?!
なんでこんな町中にいるのーーー!!
セプター様の後ろに隠れようと足を少しずつじりじりと横に動かして移動する。
「じょ、上級ポーションの薬草が切れたから買いに来たんです。 ま、前にお使いに行かせたら鮮度が良くなかったから。 き、今日は自分で買いに来たんです。 バ、バンテール様も何か買い物ですか?」
「急ぎの用があって…今、執事に行かせているところです。」
「そ、そうなんですか。………そ、その後ろにいる子供は誰なんですか?」
ひえええっ!! 話が急にこっち来たーーーっ!!
「………使用人だ。」
「へ、へえー。 い、今どきそんな古い視力矯正道具を使っているなんて珍しい。 こ、この辺りの子供じゃないね。」
嘘ーー、メガネでバレるなんて…はっ、そう言えばこの世界にメガネかけている人、誰もいないじゃん。
目が悪い人いないのか?!
「視力矯正道具とは?」
「め、目にかけている道具です。か、彼はそれで目を見えるようにしているんです。そ、そうでしょう?」
「リーフ、本当なのか?」
メガネを古い道具と言われてむっとしたけど、仕方無しに頷いた。
「…ファッションだとばかり思っていた。」
「は、はは、 バ、バンテール様は面白い方ですね。」
フェリス・オークトは俺達の横を見て微笑んだ。
「こ、こちらにあるのはバンテール様の馬車ですよね。 の、乗せていただけませんか。 お、お話したいことがあります。 つ、ついでに彼の目も診てあげますから、 さ、さあ、乗りましょう。」
馬車のドアを開けて待たれたら、セプター様と俺は乗り込むしかなかった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

竹林にて清談に耽る~竹姫さまの異世界生存戦略~
月芝
ファンタジー
庭師であった祖父の薫陶を受けて、立派な竹林好きに育ったヒロイン。
大学院へと進学し、待望の竹の研究に携われることになり、ひゃっほう!
忙しくも充実した毎日を過ごしていたが、そんな日々は唐突に終わってしまう。
で、気がついたら見知らぬ竹林の中にいた。
酔っ払って寝てしまったのかとおもいきや、さにあらず。
異世界にて、タケノコになっちゃった!
「くっ、どうせならカグヤ姫とかになって、ウハウハ逆ハーレムルートがよかった」
いかに竹林好きとて、さすがにこれはちょっと……がっくし。
でも、いつまでもうつむいていたってしょうがない。
というわけで、持ち前のポジティブさでサクっと頭を切り替えたヒロインは、カーボンファイバーのメンタルと豊富な竹知識を武器に、厳しい自然界を成り上がる。
竹の、竹による、竹のための異世界生存戦略。
めざせ! 快適生活と世界征服?
竹林王に、私はなる!

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる