巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います!

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14 冗談と執事

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「ノックしてからいつまでも入ってこないで、一体何をしている。旦那様をお待たせするな。」


硬い声に二人で急いで深くお辞儀する。


「お、おはようございます。遅くなって申し訳ありません」

「お前はマリーと何をしていたんだ。」

「あの、すみません。俺、寝坊してマリーさんに起こしてもらって そのまま来ちゃったんです。身なりがちゃんとしてないのにセプター様にお会いするのは駄目と顔を拭かれてました。すみません。」

「本当か、マリー」

「はい、おまたせして申し訳ありません。彼が顔も洗わず、飛び出して行くものですから」

「そんなことはノックする前に………」

「ハーマン、もう良いから、早く中に入りなさい。」

「失礼します。セプター様、おはようございます。遅くなって申し訳ありません。」


マリーさんも俺と一緒に深々と頭を下げた。


「ハーマン、今日の朝食はこの部屋でとる。彼の分もここに持ってきてくれ。一緒に食べることにしよう。」


ひいっ、なんて冗談を言うんですか。


「承知しました。」


ダメダメ!!ハーマンさん、それセプター様の冗談ですよ。


俺はプルプルと小刻みに首を振って拒否したのに、ハーマンさんは俺達を睨らんで出ていった。


怖い…昨日あったときからハーマンさんにはよく思われてないって思ってたけど、今ので完璧に嫌われちゃった。


「慣れていないから仕方ないかもしれないが、明日からはもう少し早く起きなさい。」

「はい、すみません。あの…、冗談ですよね。」

「冗談?何のことだ。」

「朝食のことです。」


昨日マリーさんから聞いたここの使用人の食事の時間は、主人であるセプター様が食事が終わった後、順番にグループ分けされた従業員が専用の食堂で食べる事になっている。

それは主人にいつ呼ばれても良いように必ず誰かが傍で控えているためだ。

それなのに高貴な貴族と使用人が一緒に食べるなんて絶対ありえないですけどー。

しかも俺は新参者だから食べるのは使用人の中では一番最後のはずですよね。ね、マリーさん…ってハーマンさんと行っちゃったのぉっ?!


「使用人は食べる場所と時間が決まっているって昨日聞きました。俺が貴族の方と食事をとるなんて…」

「そうか?俺は貴族といっても下の方だからな。別に気にしなくても良いと思うぞ。俺が一緒に食べたいんだ。いいだろう?」


セプター様ぁ、爵位が下でも上でも絶対に駄目だと思います。

それに他の使用人たちに虐められちゃう。ときまほ💗に来てまでイジメられるのは嫌ですよっ!!


「ん?タイはどうした?」

「すみません。結び方がわからなくて…あ、」

「じっとしてなさい。」


俺の手の中のタイを取って綺麗な長い指が襟元を優しく触れる。


「これでいい。これも早く覚えるようにな。」

「はい。結んでいただいて有難うございます。」



とほほほ、セプター様に結んで貰っちゃったよ。


絶対ハーマンさんに怒られる。




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