巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います！

１２ 俺の名前…

　
　
　



「ひいいっ　俺　殺されるんですかーー??!!」


セプター様の真剣な顔に驚いて、壁にぶつかるまで後退りすると笑われてしまった。


「ははは、誰がそんな事するか、神子様が降臨されたということは、ごく一部の人間しか知らない事なんだよ。」


えー、あんなド派手に召喚されて登場しているのに？　皆にバレてると思うよ？


「じゃあ、俺はどうなるんですか？」

「仕方ない。神子様の事が公になるまで、しばらくこの屋敷にいてもらおうか。」


屋敷？　ここは魔法学園じゃないってことか。

良かった。

公になるまでこの屋敷にいていいってことは、神子様がゲームクリアまでここで待ってても良いってこと？

それって住む場所探さなくていいってことだよね。

めちゃくちゃ助かっちゃうー。


………ちょっと危険だけど……ゲームを知っている俺なら大丈夫。逃げ切れるよね。



「わかりました。しばらくお世話になります。ここにいる間、なにかお手伝いさせて下さい。」

「手伝い？」

「俺の故郷では『働かざる者食うべからず』という言葉があります。置いていただくんですから何かお手伝いをさせて下さい。掃除とか教えていただければ何でもやります。」

「いいだろう。ああ、紹介がまだだったな、俺はこの屋敷の主　セプター・バンテールだ。」


はい、よーく知ってます。


「俺の名前は　坂………」




待てよ。


セプター様はうっかり屋さんだぞ。
さっきみたいにポロッと浜中の前で俺の名前を言ってしまうかも知れない。
偽名を名乗ろうか…良いのが浮かばないな………そしたらゲームのデフォルト名を名乗るのどうかな？
いやいや、あれは駄目だろ、ガッツリ日本人名じゃんか。(ちなみにデフォルト名は【愛野ミカちゃん】)
考えろ、頭をフル回転させるんだ。


「どうした自分の名前を忘れたのか?」

「えっと、その、俺の名前の発音はとても言いづらいのでセプター様が呼びやすい名前で呼んで下さい。」


いいぞ俺、上手く逃げた。

この世界の人に名前をつけてもらえば違和感ない名前になるはずだよな！


「言いづらい名前？どんな名前なんだ。言ってみろ。」


うっ、そう来ちゃうよねー。そこまで考えてなかった…うーん、よし！


「俺の名前は　サぐぅーあがぁっタッッキぃーミぐぅいぃヒぅぐぅいコぉぉぉっ………と言います。」


めちゃくちゃな発音と凄く聞き取りづらい感じで名乗ったけど、もう一度名前を言えと言われても同じように言えない自信がある。(どんな自信だ)

セプター様は困ったように顔をしかめた。


「うーん、確かに長いし、なんて言っているか…その掴みどころがない名前だな。よし、良いだろう俺が考えてやる。」

「はい、有難うございます。」


俺は無事、セプター様のお屋敷で働くことになった。ヤッター💗