巻き添えで異世界召喚させられた?!世界を救うのは主人公にまかせてモブの俺は全力で逃げたいと思います！

１０ セプター様とBL？

　
　
「わああああああああああああああああああああっ！！」


ヤバイ　ヤバイ　ヤバイぞっ!!

浜中の奴、勇者じゃなくてヒロインとして召喚されたのか?!
神様、性別ぐらい確認してから召喚してくれっっ!!
いやいや、女の子でもこの世界は絶対に駄目だろっっ!!
一生懸命あの場所から逃げたのに　なんで攻略対象に捕まってんだよ。
しかも部屋で二人きりなんてマジでヤバイっ!!
ありえないんですけどーーー！！

セプター様は大好きだけどBLは嫌だあああぁぁぁっ!!


「どうしたんだ、待てっ!!」


待てと言われて待つ奴はいないっ!!

一番近い窓を急いで開けて右足を乗せて勢いよくそこから飛び出した。


「せーのっ…と………あれ？」


窓から地面に着地するはずの足がぷらーんと宙に浮き、かわりにセプター様の逞しい腕がガッチリと俺の腰に回されている。


「ふうっ、危なかった。急にどうしたんだ。」

「ひっ!!　嫌だぁぁぁ!!　放してくれっ!!」


セプター様の手を振り切ろうと闇雲に暴れまくると　わずかに腕の力が弱まり下にずれる。

このまま暴れれば降りられそうだ。俺は夢中で暴れた。


「放して、放してくれぇ。」

「やめろ、死ぬ気かっ、イテ、暴れるな。落ち着け　下を見ろーー！」


え…下？


言われるがまま、視線を落とすとすぐ下にあるはずの地面が、20メートルほど離れた場所にあった。

セプター様を見上げれば窓枠を掴んだ片腕で二人分の体重を支えている。

あのまま捕まえてもらわなかったら俺は…。血の気が引く。


「…ひっ!!…たすけて…」

「わかっている。じっとしていろよ。」

「はい………うわっ」


俺の体は宙を飛び、部屋の中へ投げ入れられた。

受け身も取れず無様に床に落ちた。


「いてててっ」


ひらりと窓から格好良く舞い戻ったセプター様が俺を床から立ち上がらせながら怒る。


「お前は一体何に怯えてるんだ。死ぬところだったぞ」

「う………うわあああ」

「泣くな、もう大丈夫だ、君を傷つけることはしないから安心しろ。」


さすが推しー!!　紳士だよぉぉぉ。


「君に一体何があったんだ」




優しく問われるがまま半分ウソで半分本当のことを話した。



「…じゃあ整理すると、人拐ひとさらいに誘拐されてここがどこだかもわからないまま、必死に逃げ回っていた時に、目が覚めたらこの部屋で　また人拐ひとさらいに連れてこられたかと思って驚いて逃げたということで良いのか。」

「はい。」

「人拐ひとさらいから逃げた場所が、たまたま神子召喚の魔法陣の近くだったってことか………」


セプター様はブツブツと何か独り言を言って納得しているようだった。




本当の【ときまほ💗】のプロローグは　１００年に一度、魔法陣が書かれた祭壇に神子ヒロインが召喚されるムービーでが流れ、魔法学園をバックにして画面いっぱいにタイトルカットインしてくる。

格好良いんだよ。コレ💗

はじめはメインルートしかアイコンが開いていないんだよね。

神子は用意されていた魔法学園の特別室で暮らすことになり、選ばれし１２人の勇者達と親睦を深め、そして弱かった魔力をたかめて魔物討伐に向かう。



…はずなんだけどさー。

俺も浜中も男だし、森の中に呼び出されてるのもおかしいし、ゲームと違うことだらけなんだけど。


おかしいと言えば、この部屋もそうだ。

ここはセプター様の部屋なのか？

ゲームの中で見た学園の部屋とかなり違う気がするんだよね。