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俺は浜中の背中に嫌々声をかける。


「散々俺を虐めていたのに助けろっていうのかよ。」

「ごめん。悪かった。もう虐めたりしないから助けてくれっ!!」


ううーん………。
今までが今までだけに、なんか信用出来ないんだよな。


「………本当にイジメないか?」

「イジメないっ、イジメないから助けてくれぇっ!!」

「…わかった」


こっちを振り向くことも出来ない浜中は胸まで沈んでいて必死に手をバンザイしている。

浜中を助けて恩を着せて、虐めなくなればいいかと手を伸ばした。


腕を掴もうとした時、ふと一抹の不安が頭をよぎる。


コイツ、助けたら本当に俺をイジメなくなるかな?



今まで散々嘘をついたり、だましたりして俺に酷いことしてきたのに約束を守るかな?


う~~~ん。


「坂井っっ!!………早くっ………っ、………助け…ろ…、…バカッ!!!」



悩んでいる間にかなり沈んで口が出たり入ったりして言葉が跡切れ跡切れになりながらも、いつもどおりに上から目線で俺を怒鳴りつける。


「………」


おかげで頭の中が冷静になった。


助けるか、どうしようか悩んでいたけど、浜中は勇者として呼ばれているだけで死ぬわけじゃない。

コイツをここで助けたら召喚している異世界の人達が困るじゃん。


それに浜中が異世界に行ったら………




✨🌟 こっちの世界 めちゃくちゃ平和じゃないか! 🌟✨




どうせ助けても助けなくてもコイツにはイジメられるんだ。

それならコイツのいない平和を楽しみたいじゃん。


そう考えたら、神様が浜中を召喚した理由に納得できた。


神様は俺の為に浜中を異世界に連れてってくれるんですね。

有難うございます!

それなら余計なことはしないで、生暖かい目でコイツを見送ってやりますね💗



静かになったなと思ったら 頭の上の方まで埋まり耳障りな浜中の声が聞こえなくなっていた。

出ているのはジタバタ振っている二の腕だけ。



見苦しいなー、早く行けばいいのに………

あっ? 浜中の手にあるの俺のスマホじゃん!!


「人のスマホ異世界に持っていくな。返せ。」


魔法陣の縁ギリギリのところに立って、浜中の手にあるスマホだけを捕まえた。


「よし捕まえた、って何しっかり握ってんだよ。」


浜中の手はまるでスマホにくっついているかの如く、両手で引っ張っても凄い力で離れない。


「俺のスマホ返せって!」


スマホに気を捕らわれていると、浜中のもう一方の手が俺の手首を掴んで魔法陣に引きずり込んだ。


「ばかやめろ放せっ!!誰か助けてくれっ!!」


魔法陣の色が赤と青の斑模様に光りだした。


怖いもの見たさで戻ってきたクラスメイトに助けを求めるけど、ドアの外から覗き込んでくるだけで助けてくれる気配もない。

浜中ですら助けない連中が俺を助けるわけがなかった。


さっきまで飲み込むスピードがゆっくりだったはずなのに急に早くなって肩まで一気に引き込まれる。


「早いっ、なんでっ??」


手近にあった机の脚を掴んで留まろうとしたけど空振って隣の椅子の脚を掴んだ。

何もないよりはましと思って引き寄せたが、俺が触れた瞬間から椅子も一緒に魔法陣の中に沈んでしまった。






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