22 / 22
小休憩
時には昔のⅠ
しおりを挟む
こつこつこつこつ......。
エレベーターを降りると、ルーカスはカフェに向かって歩き出した。
「どこだどこだ......説明書は」
耳をすませば前方から彼、ファットの声がした。
彼女はそれを聞いてもじっと黙ったまま歩く。
少し歩いて、小さな入り口を抜ける。一気に別世界だ。
――――――――――――――――
「おっと、誰か来たみたいですよ」
アシスタントのリーク。そしてそれに気づいたマスター。
「......ルーカス。どうした」
「いや......。特に用はないけどちょっとね」
彼女はごまかしているのか、なにも考えていないのか。
「まあ、一杯コーヒーでも」
「ありがとう」
マスターはそれを聞くとつらつらと温度が周りにまで伝わりそうな、温かいコーヒーをコップに淹れた。
「......それにしてもやっぱりここだけ雰囲気違うわね」
「そうか」
「はい、これどうぞ」
リークはその温かいコーヒーを木でできたカウンターに置いた。
「ありがとう」
彼女はお礼を言うとすぐにコーヒーを口へ運ぶ。
まだ熱かったのか、少し驚いた顔を見せた。
そして静かになる。静寂が訪れて少しすると
「懐かしいな......昔のことが」
マスターが幾千に散らばる星々を眺めながらぽつりそう言った。
「いきなりなによ、まあ色々あったわ」
「結構、その話気になります......」
リークはその話の続きを聞きたくて誘い出した。
そしてまた、マスターが口を開いた。
「ルーカスが初めての旅。そしてそこから地球へ帰る時に起きたこと」
彼女が初めて、今とは別の研究員のアシスタントとして旅をした頃。
どこへ旅をしたのかはこの前話した、「タイタン」と似通ったところ。
その頃はコミュニケーションを取ることもままならず、一人寂しそうにしていた。
「......それでもなんとか、みんなとは仲良くなれたのではないか?」
「あまり記憶にないけどね......」
「この前から気になっていましたが、何故記憶が消えているのですか?」
リークはまた興味津々にその話にのめりこんでいった。
「ただ、一つ覚えていることがあるの......多分死にかけていた」
「ここからは私が説明しようか、彼女もそのうち思い出すであろう」
エレベーターを降りると、ルーカスはカフェに向かって歩き出した。
「どこだどこだ......説明書は」
耳をすませば前方から彼、ファットの声がした。
彼女はそれを聞いてもじっと黙ったまま歩く。
少し歩いて、小さな入り口を抜ける。一気に別世界だ。
――――――――――――――――
「おっと、誰か来たみたいですよ」
アシスタントのリーク。そしてそれに気づいたマスター。
「......ルーカス。どうした」
「いや......。特に用はないけどちょっとね」
彼女はごまかしているのか、なにも考えていないのか。
「まあ、一杯コーヒーでも」
「ありがとう」
マスターはそれを聞くとつらつらと温度が周りにまで伝わりそうな、温かいコーヒーをコップに淹れた。
「......それにしてもやっぱりここだけ雰囲気違うわね」
「そうか」
「はい、これどうぞ」
リークはその温かいコーヒーを木でできたカウンターに置いた。
「ありがとう」
彼女はお礼を言うとすぐにコーヒーを口へ運ぶ。
まだ熱かったのか、少し驚いた顔を見せた。
そして静かになる。静寂が訪れて少しすると
「懐かしいな......昔のことが」
マスターが幾千に散らばる星々を眺めながらぽつりそう言った。
「いきなりなによ、まあ色々あったわ」
「結構、その話気になります......」
リークはその話の続きを聞きたくて誘い出した。
そしてまた、マスターが口を開いた。
「ルーカスが初めての旅。そしてそこから地球へ帰る時に起きたこと」
彼女が初めて、今とは別の研究員のアシスタントとして旅をした頃。
どこへ旅をしたのかはこの前話した、「タイタン」と似通ったところ。
その頃はコミュニケーションを取ることもままならず、一人寂しそうにしていた。
「......それでもなんとか、みんなとは仲良くなれたのではないか?」
「あまり記憶にないけどね......」
「この前から気になっていましたが、何故記憶が消えているのですか?」
リークはまた興味津々にその話にのめりこんでいった。
「ただ、一つ覚えていることがあるの......多分死にかけていた」
「ここからは私が説明しようか、彼女もそのうち思い出すであろう」
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

SFサイドメニュー
アポロ
SF
短編SF。かわいくて憎たらしい近未来の物語。
★
少年アンバー・ハルカドットオムは宇宙船飛車八号の船内コロニーに生まれました。その正体は超高度な人工知能を搭載された船の意思により生み出されたスーパーアンドロイドです。我々人類はユートピアを期待しています。彼の影響を認めれば新しい世界を切り開けるかもしれない。認めなければディストピアへ辿り着いてしまうかもしれない。アンバーは、人間の子どもになる夢を見ているそうです。そう思っててもいい?
★
完結後は2024年のnote創作大賞へ。
そのつもりになって見直し出したところいきなり頭を抱えました。
気配はあるプロト版だけれど不完全要素がやや多すぎると猛省中です。
直すとしても手の入れ方に悩む部分多々。
新版は大幅な改変になりそう。
3024年宇宙のスズキ
神谷モロ
SF
俺の名はイチロー・スズキ。
もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。
21世紀に生きていた普通の日本人。
ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。
今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。
※この作品はカクヨムでも掲載しています。
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
あめの みかな
ファンタジー
教会は、混沌の種子を手に入れ、神や天使、悪魔を従えるすべを手に入れた。
後に「ラグナロクの日」と呼ばれる日、先端に混沌の種子を埋め込んだ大陸間弾道ミサイルが、極東の島国に撃ち込まれ、種子から孵化した神や天使や悪魔は一夜にして島国を滅亡させた。
その際に発生した混沌の瘴気は、島国を生物の住めない場所へと変えた。
世界地図から抹消されたその島国には、軌道エレベーターが建造され、かつての首都の地下には生き残ったわずかな人々が細々とくらしていた。
王族の少年が反撃ののろしを上げて立ち上がるその日を待ちながら・・・
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる