4 / 22
タイタンにて
タイタン道中膝栗毛Ⅲ
しおりを挟む
「【クソ政府!お前達の命令には従わねえよこの野郎】............いやおいおいおい?なんだこれマーシェル......。まあ、政府がクソなのは分かるけどな、俺の評価だだ下がりじゃないか。」
ファットのほわっとした顔が曇る。まあ評価を気にするのは彼なりの理由がある。
ファットが地球にいた頃は、バリバリの研究者として皆から信頼されていた。
大学時代から天文学の研究を始めたころ、彼の友達が「研究者は、総合評価によって左右される」
と言われ続け、評価を決して下げないように、それだけは守り続けている。
そして今回、やっとの思いで政府からのタイタンの研究要請が来たのであった。
そういうこともあり彼は彼なりに自分のプライドもある。だから決して、
「ファットって太っているからfatなの?」
とか言ってはならない。もし口を零すと、最新技術で殺しにかかってくるはず。
だが、目の前のことに夢中なるのが得意だから、ちょっとのことでは反応しないはずだ。
なんやかんやあり、すなわち、矛盾が多い人間である。そして彼の顔は曇ったままだ。
すると目を大きくしたマーシェルが、興味津々に彼を見ながら話す。
「ねえねえ、ファットさん! もしかして......ファットって太ってるからfatなの??」
「............」
こいつ。ついに言ってしまいました。
どうやら今回は沈黙で終わり、殺人鬼具は作動しなかった模様。
「命拾いをしたわね、マーシェル」
ルーカスの冷淡な声がした。
こんなふうに、マーシェルも典型的なバカ正直で、空気を読むことはまずない。
逆に言うと、そこが彼女のチャームポイントなのか。
どうやら、そんな天然な彼女がここにいる理由は、過去に「未来の手引き」として作文を作らないといけないからだとか。
しかしほぼお荷物状態で、テレビを見てただ宇宙旅行を楽しんでいるだけである。
そして大きな窓を眺め、ひとりでにぶつぶつと喋っていた人もあり。
「木星はすぐそこだ、ここから土星までどうなるのだろうか。きっちりと隕石認識システムをこの宇宙船は搭載しているのだろうか......」
彼女の名前はルーカス。いつも冷静な心持ちを目指しているが、案外中身は心配性。ファットの秘書として、ここに乗ってきた。
けどこれは研究だから、秘書というかアシスタントというか。
なんやかんや二人を軽蔑しているように見えるが、それも彼女なりのコミュニケーションである。
「この宇宙船、本当にボロいなあ......。飼い主に似たのか?? あのファットに」
彼女の出す言葉は辛辣で、対話するとメンタルが鍛えられる。
もしかすると、いろいろな方面からみるとこの宇宙船より、彼女のほうが「有能」なのでは......と。
髪が短く服も自由気ままで活発な女の子のマーシェル、起伏が激しく他に意外な一面を持つファット。そしてトゲトゲのアシスタントである、ルーカス。
この三人とともに、タイタンへ目指す。
あの未開拓の地へ......。
ファットのほわっとした顔が曇る。まあ評価を気にするのは彼なりの理由がある。
ファットが地球にいた頃は、バリバリの研究者として皆から信頼されていた。
大学時代から天文学の研究を始めたころ、彼の友達が「研究者は、総合評価によって左右される」
と言われ続け、評価を決して下げないように、それだけは守り続けている。
そして今回、やっとの思いで政府からのタイタンの研究要請が来たのであった。
そういうこともあり彼は彼なりに自分のプライドもある。だから決して、
「ファットって太っているからfatなの?」
とか言ってはならない。もし口を零すと、最新技術で殺しにかかってくるはず。
だが、目の前のことに夢中なるのが得意だから、ちょっとのことでは反応しないはずだ。
なんやかんやあり、すなわち、矛盾が多い人間である。そして彼の顔は曇ったままだ。
すると目を大きくしたマーシェルが、興味津々に彼を見ながら話す。
「ねえねえ、ファットさん! もしかして......ファットって太ってるからfatなの??」
「............」
こいつ。ついに言ってしまいました。
どうやら今回は沈黙で終わり、殺人鬼具は作動しなかった模様。
「命拾いをしたわね、マーシェル」
ルーカスの冷淡な声がした。
こんなふうに、マーシェルも典型的なバカ正直で、空気を読むことはまずない。
逆に言うと、そこが彼女のチャームポイントなのか。
どうやら、そんな天然な彼女がここにいる理由は、過去に「未来の手引き」として作文を作らないといけないからだとか。
しかしほぼお荷物状態で、テレビを見てただ宇宙旅行を楽しんでいるだけである。
そして大きな窓を眺め、ひとりでにぶつぶつと喋っていた人もあり。
「木星はすぐそこだ、ここから土星までどうなるのだろうか。きっちりと隕石認識システムをこの宇宙船は搭載しているのだろうか......」
彼女の名前はルーカス。いつも冷静な心持ちを目指しているが、案外中身は心配性。ファットの秘書として、ここに乗ってきた。
けどこれは研究だから、秘書というかアシスタントというか。
なんやかんや二人を軽蔑しているように見えるが、それも彼女なりのコミュニケーションである。
「この宇宙船、本当にボロいなあ......。飼い主に似たのか?? あのファットに」
彼女の出す言葉は辛辣で、対話するとメンタルが鍛えられる。
もしかすると、いろいろな方面からみるとこの宇宙船より、彼女のほうが「有能」なのでは......と。
髪が短く服も自由気ままで活発な女の子のマーシェル、起伏が激しく他に意外な一面を持つファット。そしてトゲトゲのアシスタントである、ルーカス。
この三人とともに、タイタンへ目指す。
あの未開拓の地へ......。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
刻の唄――ゼロ・クロニクル――
@星屑の海
SF
遙か彼方の未来、人類の活動圏が天の川銀河全土に広がって二十万年の時を経た時代。二度の銀河全土を覆う動乱の時代を経た人類は、局所的な紛争はあるものの比較的平和な時代を生きていた。人工知能に代表されるインテリジェンスビーングが高度に進化した時代、それらに対抗するため作られた戦士キャバリアー達がグラディアートという戦闘兵器を用い戦いの主役となっていた。
零・六合は一年半前、ある存在に敗れ旅の巡礼者となり戦いから身を引いていたのだが、旅の途中ボルニア帝国の内乱に巻き込まれてしまう。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
【おんJ】 彡(゚)(゚)ファッ!?ワイが天下分け目の関ヶ原の戦いに!?
俊也
SF
これまた、かつて私がおーぷん2ちゃんねるに載せ、ご好評頂きました戦国架空戦記SSです。
この他、
「新訳 零戦戦記」
「総統戦記」もよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる