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1章 2人の出会い
特別編:経験すべきこと
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午後2時20分
必死の拍手と応援が混ざる、巨大でがっしりとした試合会場にて。
「山崎君は次の試合だよね。 自分なりに、頑張ってきて!! 応援してるよ」
「ありがとうな。よし、頑張ってくるぞ。 後で海影の試合も見に行くから!」
彼は固く大きい声で海影に喋りかけた。
そして海影は彼の試合の次。どうやら次に2人が面と向かって会うのは、お互いの試合が終わってからになる。
彼女はもちろん、彼も高校に入ってからは始めての試合だから少し固くなる。
それでも彼は、海影に笑顔を見せた。
今日の日に対する、彼の気持ちの現れだろう。
2時40分
「ピピーッ」
「よろしくお願いします」
ついに、瀬上vs都月咲花との鋭いタフな戦いがスタートした。
観覧席には、少し緊張した面持ちの彼女がポツンと座っている。
他の女子バレーボール部員は、次の試合に向けてみんなで喋っているが彼女だけ、自分自身が余裕な訳でもないのに試合をじっくり観戦していた。
どうやら、レギュラーは全員3年生で彼はベンチに座っている。
大きい声で先輩達を奮い立たせるような応援をした。もちろん海影も。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とげ高のスパイクが決まり、形勢はこちらの方へ。歓声が大きくなり始める頃。
試合はどちらも譲らない状況になっており、今は最終の5ゲーム目。
ということはお互いのスコアは2-2で、やはりどちらも動揺しているような。1回戦でこんなに苦労をするとは誰も思っていなかったのだろう。
それに応え海影も必死に応援する。
その声はきっちりと彼の耳に届いていた。形勢もとげ高よりで、あいつが誰かの選手と変われと言わんばかりの状態。
案の定、3年の休憩がてらレギュラー1人と山崎は交代した。
海影は、やっと見れるとワクワクした顔付きで彼を目で追う。
が、現実はそこまで甘くはなかったのである。
さすがの彼も1年生では強い方だったけど、今相手にしているのは、ほぼ3年生。ガタイの面から見ても技術の面から見ても明らかに負けていた。
彼に重い現実が乗ってきたと同時に、海影本人も、間もなく始まる試合が怖くなり始めた。
4時40分
なんとか、僅差で渡月高校が勝った。
周りが喜びと、悔しみ、悲しみでザワつく。混沌としていた。
そして、彼も点数を入れることが出来たが......。
「練習不足だ......。枠を超えると、俺は何もできていない。これからも練習もっとしていかないと」
ポツリとガッカリしたような声を落とした。試合自体は勝てたが、彼は自分に納得出来なかったのだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5時00分
「ピー」
「よろしくお願いします!」
女子バレーの試合が始まった。残念ながら、顧問はこの試合には来れなかった。
とまあ、そんなことをいつまでも引きずっている場合ではない。自分達で試合を作っていかないと。
今回勝負する学校は大橋高校。都月高校の方が、実力で言えば上である。しかし今回ばかりはどうなるか分からない。
海影は掛け時計を見るフリをして、ギャラリーでの山崎の姿を探していた。
「どこだろう......? 見てくれているのかな」
「あっ!」
海影と彼は一瞬目があったが、向こうが照れくさそうに逸らした。
海影は彼を見た瞬間、安堵の微笑をもらした。やっぱり彼を見たら安心するのだろう。短い期間ながら一生懸命やって来た仲間であり............好きな人....なのだから。
海影は、力強い応援をしてますます会場を盛り上げて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
時間は進み、きっちりとしたスコアの差も出始めた。
2対0ということになる。
0は、まさかまさかの都月高校となっていた。絶体絶命だ。やはり顧問が居ないと何も出来ないのか。そう海影は思いながらも試合に出させてもらった。
「プレッシャーなんかに、押し潰されないで!!!」
山崎が海影に大きい声で伝えるが、それが本当に彼女に伝わっているのかは分からない。
それで彼女は彼女なりの本気を出した。形だけかもしれないが、スパイクにも挑戦した。それも入らずにいて、
6時00分 結果、残念ながら1回戦負けとなった。
「ここで、初心者と言って逃げ出してはならないな。 これを糧にしてもっと努力していこう」
彼女の顔は強い志と、希望で満ちていた。
「海影は、俺が思っていたよりも強い......」 と、思うほどに。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
都月高校の男子バレー部は、その後どんどん勝って行き、明日の試合に出場できる。女子バレー部の今回の大会は、厳しい現実だが、ここで終わりになる。
しかし彼女は明日も山崎のことを、男子バレー部のことを応援しに行く。
性別は違えど、一緒に戦う仲間だったから最後まで応援したい。私達の分まで必死に頑張って欲しい。
見てもらうばっかりではなくて、時には私も励ましてあげたい。支え合える人だから。
そんな思いもあり、彼女は明日も見に行くらしい。
きっと、嬉しいだろう彼も。休みの日までして、わざわざ来てくれるのだから。
そしてなぜか2人の試合後に、おつかれなの悔しいだのと言った会話を交わすことはなかった。
必死の拍手と応援が混ざる、巨大でがっしりとした試合会場にて。
「山崎君は次の試合だよね。 自分なりに、頑張ってきて!! 応援してるよ」
「ありがとうな。よし、頑張ってくるぞ。 後で海影の試合も見に行くから!」
彼は固く大きい声で海影に喋りかけた。
そして海影は彼の試合の次。どうやら次に2人が面と向かって会うのは、お互いの試合が終わってからになる。
彼女はもちろん、彼も高校に入ってからは始めての試合だから少し固くなる。
それでも彼は、海影に笑顔を見せた。
今日の日に対する、彼の気持ちの現れだろう。
2時40分
「ピピーッ」
「よろしくお願いします」
ついに、瀬上vs都月咲花との鋭いタフな戦いがスタートした。
観覧席には、少し緊張した面持ちの彼女がポツンと座っている。
他の女子バレーボール部員は、次の試合に向けてみんなで喋っているが彼女だけ、自分自身が余裕な訳でもないのに試合をじっくり観戦していた。
どうやら、レギュラーは全員3年生で彼はベンチに座っている。
大きい声で先輩達を奮い立たせるような応援をした。もちろん海影も。
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とげ高のスパイクが決まり、形勢はこちらの方へ。歓声が大きくなり始める頃。
試合はどちらも譲らない状況になっており、今は最終の5ゲーム目。
ということはお互いのスコアは2-2で、やはりどちらも動揺しているような。1回戦でこんなに苦労をするとは誰も思っていなかったのだろう。
それに応え海影も必死に応援する。
その声はきっちりと彼の耳に届いていた。形勢もとげ高よりで、あいつが誰かの選手と変われと言わんばかりの状態。
案の定、3年の休憩がてらレギュラー1人と山崎は交代した。
海影は、やっと見れるとワクワクした顔付きで彼を目で追う。
が、現実はそこまで甘くはなかったのである。
さすがの彼も1年生では強い方だったけど、今相手にしているのは、ほぼ3年生。ガタイの面から見ても技術の面から見ても明らかに負けていた。
彼に重い現実が乗ってきたと同時に、海影本人も、間もなく始まる試合が怖くなり始めた。
4時40分
なんとか、僅差で渡月高校が勝った。
周りが喜びと、悔しみ、悲しみでザワつく。混沌としていた。
そして、彼も点数を入れることが出来たが......。
「練習不足だ......。枠を超えると、俺は何もできていない。これからも練習もっとしていかないと」
ポツリとガッカリしたような声を落とした。試合自体は勝てたが、彼は自分に納得出来なかったのだろう。
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5時00分
「ピー」
「よろしくお願いします!」
女子バレーの試合が始まった。残念ながら、顧問はこの試合には来れなかった。
とまあ、そんなことをいつまでも引きずっている場合ではない。自分達で試合を作っていかないと。
今回勝負する学校は大橋高校。都月高校の方が、実力で言えば上である。しかし今回ばかりはどうなるか分からない。
海影は掛け時計を見るフリをして、ギャラリーでの山崎の姿を探していた。
「どこだろう......? 見てくれているのかな」
「あっ!」
海影と彼は一瞬目があったが、向こうが照れくさそうに逸らした。
海影は彼を見た瞬間、安堵の微笑をもらした。やっぱり彼を見たら安心するのだろう。短い期間ながら一生懸命やって来た仲間であり............好きな人....なのだから。
海影は、力強い応援をしてますます会場を盛り上げて行った。
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時間は進み、きっちりとしたスコアの差も出始めた。
2対0ということになる。
0は、まさかまさかの都月高校となっていた。絶体絶命だ。やはり顧問が居ないと何も出来ないのか。そう海影は思いながらも試合に出させてもらった。
「プレッシャーなんかに、押し潰されないで!!!」
山崎が海影に大きい声で伝えるが、それが本当に彼女に伝わっているのかは分からない。
それで彼女は彼女なりの本気を出した。形だけかもしれないが、スパイクにも挑戦した。それも入らずにいて、
6時00分 結果、残念ながら1回戦負けとなった。
「ここで、初心者と言って逃げ出してはならないな。 これを糧にしてもっと努力していこう」
彼女の顔は強い志と、希望で満ちていた。
「海影は、俺が思っていたよりも強い......」 と、思うほどに。
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都月高校の男子バレー部は、その後どんどん勝って行き、明日の試合に出場できる。女子バレー部の今回の大会は、厳しい現実だが、ここで終わりになる。
しかし彼女は明日も山崎のことを、男子バレー部のことを応援しに行く。
性別は違えど、一緒に戦う仲間だったから最後まで応援したい。私達の分まで必死に頑張って欲しい。
見てもらうばっかりではなくて、時には私も励ましてあげたい。支え合える人だから。
そんな思いもあり、彼女は明日も見に行くらしい。
きっと、嬉しいだろう彼も。休みの日までして、わざわざ来てくれるのだから。
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