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鏡花水月 花言葉の導④ー3
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「じゃあ、お姉さんと契約したらボクもお姉さん達を助けたり出来るって事ですか?」
そんな三人のやり取りの横で、アリスはそう聞いた。
それは、彼がずっと考えてきたことでもある。
幻想図書館にいたときは特に必要がなかったが、こうして外に出てみると一切戦えない非戦闘員というのは肩身が狭い。それに、戦えないと言うのはいざという時何も出来ないと言うことだ。それをアリスは痛感している。だから、戦えるようになるのなら、自分の身を自分で守れるなら、それが一番のはずだ。
アリスはギュッ、と服の裾を握る。それから、オルメカをじっ、と見つめた。その視線に気づいたオルメカはニコッと笑いブックボックスから魔導書を取り出す。
「ホントに魔法使えるようになるかはわかんないけど、やってみるだけやってみようか!」
☆
ビューっと夜空を舞う。街の外へと飛び出したフクロウの姿となった悪魔ストラス。
上空からソロモンが言っていた衛兵達を探す。
しばらくしてその目的の集団を見つけた。
街の東側の門の前、フロル・ローダンセの街と隣街を繋ぐ街道に集まっているようだった。ストラスは聞き耳を立てる為に集団の近くの木の枝に留まる。バサバサと羽音を立てて留まったところで、人間達は気にも止めず、何やら話し込んでいた。
衛兵らしき者の一人が口を開く。それに続いて、周りの衛兵達も会話に加わる。
「まただ。またやられた」
「くそっ。これで今月何件目だ?五件目くらいじゃないか?」
「街の住民も住民だ…!だからあれほど夜に出歩くなと…」
「おい!聞いたか?花畑の方でもあったそうだぞ」
「何!?それは本当か?!して、被害者は!?」
「ああ、花畑に向かう途中の道でだそうだ。被害者は一名。だが、花畑のあちこちにも中身の無いものが発生しているらしい」
「中身の無いものだと?それじゃ、この街道の先にある山小屋と同じか」
「確か、あそこが発生源と思われているんだったな」
「その筈だ。だがあそこは先発隊が行っているはずだぞ。我々はここで門を守らなければならない任務がある。それにー…」
門を固める衛兵の一人が何かを言いかけたとき、街道の先から複数の「うわああああ」「やめろおおおお」などと言った悲鳴が聞こえた。
この悲鳴に衛兵達は声の方を向いてサッと剣を構える。
「なんだ!?今の悲鳴は!森小屋の先発隊か!?」
「おい!見に行くぞ!二人は門に残れ!残りは続け!!」
衛兵の隊長らしき人物が周りの者に指示を出す。それに部下と思われる者達が二つ返事で頷き従う。そのまま、残れと言われた二人を除いて他の衛兵達は悲鳴が上がった方へと走り去っていく。
この様子を見ていたストラスは首を回しながら考えた後、先に走り去って行った衛兵達の後を追った。
☆
「うわあああああっ」
悪魔ストラスが追って行った先で、走り去って行っていた衛兵を上空から見つけた時、ちょうどその者達が悲鳴を上げたところだった。
とは言え、特に戦っているわけでも、怪我しているわけでも、襲われている訳でもない様子。では一体、何に悲鳴を上げたのかと視線の先を追うと、そこに広がっていたのは、結晶の山。
森小屋を覆うように広がった結晶と、その周辺で結晶に捕らえられた衛兵達だった。みな、逃げ惑ったかのような体勢で、その表情は恐怖に満ちたものだった。この惨状を見て、到着した様子を見に来た衛兵達が悲鳴を上げたようだ。
ストラスは森小屋の周辺の木々の枝に留まり、結晶化した森小屋と衛兵を注視する。
森小屋は入口の扉を残し、全体が結晶化してしまっている。また、森小屋の扉は少し開いているようだ。扉の周りに結晶がないということは、少なくとも結晶化後も誰かが出入りしていた可能性は高い。
そんな風に考えながら森小屋を観察しているストラスの下で、衛兵達が二手に分かれて動き出した。ひとつは小屋の中の確認を。もうひとつは結晶化した仲間の救出だ。だが、結晶は剣や炎も魔法でも傷ひとつ付けられないようで、衛兵の中には半泣きで剣を振るう者もいた。
…人間とはかくも愚かだな。
悪魔ストラスがその必死な様子を見て浮かんだ感想はそんなものだった。
闇雲に剣を振るったところでただの自然物ではないこの結晶体を破壊することは不可能だ。魔法を使ったとしてもその術者の力量によっては太刀打ちできないだろう。
…あの人間ども…魔法が使えない奴が多いようだな。あれでは結晶を破壊することはまず不可能。加えてあの程度の魔法使いか…。
木々の上から冷静に眺めているストラスは首を回しながらホォーホォーと鳴く。見た目は頭に王冠を乗せた、ただのフクロウでしかない。衛兵達は気にすることなく結晶を壊そうと躍起になっている。
その一方で、森小屋の中に入っていった衛兵達に動きがない。出てくるわけでもなく、しーんと静まり返っている。
バサッと翼を広げ、悪魔ストラスは開いた扉の隙間に羽音を消して忍び込む。スルッと小屋の中に入り、入った直後で浮遊する。その視界に飛び込んだ光景はストラスの想像に難くないものだった。
小屋の中にはひとつのベッドと、机と椅子。あとひとつの箪笥。それだけだ。あとは衣紋掛けがあるが使われていないように見える。とても質素な部屋だ。以前の使用者は寝る為だけに使っていたのだろうか。そんな部屋の中央で、先に入っていた衛兵達が結晶化していた。
ストラスはその結晶がある床の方から微かに魔力の残り香を感じる。机の上に留まり、その魔力式を分析しようと意識を集中する。が、その直後、小屋の外で大きく魔力が動くのを感じた。
…あの人間どもも結晶化したか…。
扉からこそっと外の様子を窺う。するとそこには、予想した通り、剣を振るった姿のまま結晶化した衛兵達の姿があった。だが、周囲に人気はない。術者は近くにいなくてもいい魔法と言うことか。それか、結晶の下から魔力を感じるあたり、魔法トラップを仕掛けていたのかもしれない。
ひとまず、悪魔ストラスはソロモン達の元に戻ることにした。
そんな三人のやり取りの横で、アリスはそう聞いた。
それは、彼がずっと考えてきたことでもある。
幻想図書館にいたときは特に必要がなかったが、こうして外に出てみると一切戦えない非戦闘員というのは肩身が狭い。それに、戦えないと言うのはいざという時何も出来ないと言うことだ。それをアリスは痛感している。だから、戦えるようになるのなら、自分の身を自分で守れるなら、それが一番のはずだ。
アリスはギュッ、と服の裾を握る。それから、オルメカをじっ、と見つめた。その視線に気づいたオルメカはニコッと笑いブックボックスから魔導書を取り出す。
「ホントに魔法使えるようになるかはわかんないけど、やってみるだけやってみようか!」
☆
ビューっと夜空を舞う。街の外へと飛び出したフクロウの姿となった悪魔ストラス。
上空からソロモンが言っていた衛兵達を探す。
しばらくしてその目的の集団を見つけた。
街の東側の門の前、フロル・ローダンセの街と隣街を繋ぐ街道に集まっているようだった。ストラスは聞き耳を立てる為に集団の近くの木の枝に留まる。バサバサと羽音を立てて留まったところで、人間達は気にも止めず、何やら話し込んでいた。
衛兵らしき者の一人が口を開く。それに続いて、周りの衛兵達も会話に加わる。
「まただ。またやられた」
「くそっ。これで今月何件目だ?五件目くらいじゃないか?」
「街の住民も住民だ…!だからあれほど夜に出歩くなと…」
「おい!聞いたか?花畑の方でもあったそうだぞ」
「何!?それは本当か?!して、被害者は!?」
「ああ、花畑に向かう途中の道でだそうだ。被害者は一名。だが、花畑のあちこちにも中身の無いものが発生しているらしい」
「中身の無いものだと?それじゃ、この街道の先にある山小屋と同じか」
「確か、あそこが発生源と思われているんだったな」
「その筈だ。だがあそこは先発隊が行っているはずだぞ。我々はここで門を守らなければならない任務がある。それにー…」
門を固める衛兵の一人が何かを言いかけたとき、街道の先から複数の「うわああああ」「やめろおおおお」などと言った悲鳴が聞こえた。
この悲鳴に衛兵達は声の方を向いてサッと剣を構える。
「なんだ!?今の悲鳴は!森小屋の先発隊か!?」
「おい!見に行くぞ!二人は門に残れ!残りは続け!!」
衛兵の隊長らしき人物が周りの者に指示を出す。それに部下と思われる者達が二つ返事で頷き従う。そのまま、残れと言われた二人を除いて他の衛兵達は悲鳴が上がった方へと走り去っていく。
この様子を見ていたストラスは首を回しながら考えた後、先に走り去って行った衛兵達の後を追った。
☆
「うわあああああっ」
悪魔ストラスが追って行った先で、走り去って行っていた衛兵を上空から見つけた時、ちょうどその者達が悲鳴を上げたところだった。
とは言え、特に戦っているわけでも、怪我しているわけでも、襲われている訳でもない様子。では一体、何に悲鳴を上げたのかと視線の先を追うと、そこに広がっていたのは、結晶の山。
森小屋を覆うように広がった結晶と、その周辺で結晶に捕らえられた衛兵達だった。みな、逃げ惑ったかのような体勢で、その表情は恐怖に満ちたものだった。この惨状を見て、到着した様子を見に来た衛兵達が悲鳴を上げたようだ。
ストラスは森小屋の周辺の木々の枝に留まり、結晶化した森小屋と衛兵を注視する。
森小屋は入口の扉を残し、全体が結晶化してしまっている。また、森小屋の扉は少し開いているようだ。扉の周りに結晶がないということは、少なくとも結晶化後も誰かが出入りしていた可能性は高い。
そんな風に考えながら森小屋を観察しているストラスの下で、衛兵達が二手に分かれて動き出した。ひとつは小屋の中の確認を。もうひとつは結晶化した仲間の救出だ。だが、結晶は剣や炎も魔法でも傷ひとつ付けられないようで、衛兵の中には半泣きで剣を振るう者もいた。
…人間とはかくも愚かだな。
悪魔ストラスがその必死な様子を見て浮かんだ感想はそんなものだった。
闇雲に剣を振るったところでただの自然物ではないこの結晶体を破壊することは不可能だ。魔法を使ったとしてもその術者の力量によっては太刀打ちできないだろう。
…あの人間ども…魔法が使えない奴が多いようだな。あれでは結晶を破壊することはまず不可能。加えてあの程度の魔法使いか…。
木々の上から冷静に眺めているストラスは首を回しながらホォーホォーと鳴く。見た目は頭に王冠を乗せた、ただのフクロウでしかない。衛兵達は気にすることなく結晶を壊そうと躍起になっている。
その一方で、森小屋の中に入っていった衛兵達に動きがない。出てくるわけでもなく、しーんと静まり返っている。
バサッと翼を広げ、悪魔ストラスは開いた扉の隙間に羽音を消して忍び込む。スルッと小屋の中に入り、入った直後で浮遊する。その視界に飛び込んだ光景はストラスの想像に難くないものだった。
小屋の中にはひとつのベッドと、机と椅子。あとひとつの箪笥。それだけだ。あとは衣紋掛けがあるが使われていないように見える。とても質素な部屋だ。以前の使用者は寝る為だけに使っていたのだろうか。そんな部屋の中央で、先に入っていた衛兵達が結晶化していた。
ストラスはその結晶がある床の方から微かに魔力の残り香を感じる。机の上に留まり、その魔力式を分析しようと意識を集中する。が、その直後、小屋の外で大きく魔力が動くのを感じた。
…あの人間どもも結晶化したか…。
扉からこそっと外の様子を窺う。するとそこには、予想した通り、剣を振るった姿のまま結晶化した衛兵達の姿があった。だが、周囲に人気はない。術者は近くにいなくてもいい魔法と言うことか。それか、結晶の下から魔力を感じるあたり、魔法トラップを仕掛けていたのかもしれない。
ひとまず、悪魔ストラスはソロモン達の元に戻ることにした。
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