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綺麗な人
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『魔法、ですか?』
『あぁ、暮羽には魔法がかけられている』
『それは……』
『危険なものではない。ごくありふれた魔法だ。親が子の成長を祈願する時に使われる類いのな』
『祈願、ですか』
『余程暮羽の事が大事だったんだろう。ありふれた魔法でも、その力はお前と同等かそれ以上、と言った所か』
『私と同等、ですか。誰が何の為に。それに、それだけの魔力を持っていながら私達が知らないと言うのも不思議な話ですね』
『此れは俺の憶測に過ぎないが、その人物は暮羽の家族では無いかと思っている』
『クレハ様の?』
『とても優しい魔法だ。しかし、恋情は一切含まれていなかった。家族愛、と言った所か』
『家族。まさかとは思いますが、クレハ様の家族がこの世界の何処かに居ると、陛下は仰りたいのですか?』
『暮羽を見つけた城の中に居るのは間違いない』
『……あの城の中に?』
『あぁ、リューイ。もう一度あの城を探れ。暮羽に魔法をかけた人物を捜せ』
『捜すだけで宜しいので?』
『後はお前の判断に任せる。万が一、暮羽に危害を及ぼす存在なら、あの五月蝿い猿諸共始末しても構わん』
『……陛下の仰せのままに……』
暮羽? どうしたんだ?
大丈夫だからな。何があっても、俺が暮羽を護ってやるからな、だから笑え。
暮羽は本当に寂しがりやの甘えん坊だなぁ、其処が可愛いから良いけど、いい加減兄離れしないと将来困る事になるぞ?
ごめんな、暮羽。でも、ちゃんと帰って来るから、だからそんなに泣くな。ほら、約束。
めん、な……守れ、なくて……ごめ……たより、ない、兄ちゃんで……ごめん……
「…………」
夢を見た。大好きだった兄が一緒にいた時の夢。暮羽は兄が大好きで、ずっと兄と一緒にいた記憶がある。優しくて、何時も護ってくれて、寂しい時はずっと一緒にいてくれた。怪我をした時は両親以上に心配してくれて、怪我の手当をしてくれた。風邪をひいた時だって、学校を休んで迄、暮羽に付きっきりで看病をしてくれた。まだ幼くて、記憶が曖昧になってはいるけれど、兄と一緒に過ごした日々の記憶を暮羽は持っていた。何時も一緒に居てくれた兄。何時も優しくしてくれた兄。
大好きで大好きで、ずっと一緒にいたかったのに、高校生になった兄は実家を出て、学校の寮へ行ってしまった。長期休暇には帰ると言っていたにも関わらず、暮羽は兄と離れたくなくて、最後迄兄に抱きついて泣きじゃくっていたのを覚えてる。
いやだ! にいさんのうそつき!
嘘吐きだと言って泣き喚いて、大嫌いだと心にも思っていない事を言って兄を困らせて……
結局、まともに兄を見送る事が出来なかった。兄が困惑したような顔をして「約束する」と言っても信じられず、兄が離れてしまう事が嫌で嫌で、「消えちゃえ」と幼い暮羽は言ってしまった。勿論、心から思っていた訳ではない。兄と離れたくなかったから、ずっと一緒だと約束したのに、家を出て行ってしまう兄がどうしても許せなくて、幼い暮羽は大好きだった兄に「きえろ」と言うのが精一杯だった。本当に消えてほしい訳じゃなかった。本当に消える何て思ってなかった。兄が行方不明になったと暮羽の家族の元に連絡が来たのは、兄が高校に入って初めて夏休みが始まる少し前だった。
けれど妙な事に、兄が学園から去った形跡は一切無いと学園側は言う。自殺した形跡も無ければ、学園から去った形跡もない。まるで兄の存在だけがこの世界から消えてしまったようだと言う大人達の会話を耳にした時、暮羽は「自分のせいだ」と言って大人達が大事な話をしている時にも関わらず、泣いて謝り続けた。
おれが、きえろっていったから、だからにいさんは……おれの、せいで……ごめん、なさ……ごめんなさい。
「こ、のは……兄さん」
会いたい。会って、ちゃんと謝りたい。でも、何処にいるか分からない。生きているのか、死んでいるのかすら分からない。けれど、兄はこの世界に居る気がする。この世界の何処かで、生きている気がする。この世界に来た時、誰かの啜り泣く声を聞いた。意識が朧げで本当にそうだったかは確認のしようがないけど、でも、何か温かいものに包まれた記憶が、かすかに残っている。
「兄がいるのか?」
「ぁ」
兄の事を考えている暮羽に魔王は声をかける。突然の事に驚いて固まっている暮羽の頭に手を置き優しく撫でながら、魔王は「コノハと言うのは誰だ?」と問う。暮羽は話すべきかどうか悩み、魔王の顔を見る事も出来ず俯いてしまう。今にも泣いてしまいそうな悲痛な表情をする暮羽を優しく包み込むように抱き締め、魔王は彼の頭や背中を撫でながら、「大丈夫だ」と言った。暫くすると暮羽は落ち着き、ぽつり、ぽつり、と兄について話し始めた。歳の離れた兄が居る事。兄が高校に入る迄はとても仲が良かった事。兄が大好きだった事。とても優しくて、頼りになる自慢の兄だった事。高校に行く前に、兄と離れたくなくて心にも無い酷い言葉を言ってしまった事。言った言葉が現実になり、兄が突然行方不明になった事。生きているのか死んでいるのかすら分からない事。全て話し終えると、魔王は暮羽の頭を優しく撫で、小さく微笑む。
「やはり、家族だったんだな」
「え?」
一人納得したような台詞を言い、魔王は少し何かを考えるような素振りを見せる。何を考えているのか分からない暮羽はただ魔王から説明される迄待つ事しか出来ない。しかし、魔王は直ぐに暮羽に顔を向け、優しい笑みを浮かべる。
「兄の名はコノハで間違いないな?」
「え?は、はい……間違い、ないです」
暮羽の答えに魔王は「そうか」と答え、暮羽の頭を撫でる。不安そうに魔王を見詰める暮羽を安心させる為に、魔王はもう一度、暮羽の体を抱き締めた。
ぃや……おねが……もう、やめ。
ちが、おれは……そんなつもりは……いっ!
やめて……もう、こんなこと、したく、ない。
やめ、それはっ……やだ! やめ、いやっ!
痛い、苦しい、もう嫌だ、疲れた、生きていたって何も良い事なんかない、ずっとこんな日々が続く位ならいっそ……
死んだ方がマシだ。
「…………」
見慣れない建物。見慣れない衣装。何もかもがこの世界とはかけ離れた世界。その世界に琥之羽が居た。その世界で、琥之羽は何時も泣いていた。何時も何時も暴力を受け、言葉で罵られ、琥之羽は独り、その理不尽過ぎる仕打ちに耐えていた。耐えて耐えて耐え続けて、常に助けを求めていたのに、誰かに助けて欲しかったのに、誰も助けてはくれず、ずっと独り、理不尽な仕打ちを受け続けた。
暴力だけならまだマシだ。それだけではなかった。嫌だと何度も言っているにも関わらず、無数の手が琥之羽を押さえつけ、衣服を無理矢理奪い、彼の心と体に一生消えない深い傷を負わせた。体中を這い回る手が気持ち悪くて、感じたく無いのに、体は言う事を聞かず痛みと快楽を与えられ、琥之羽は都合の良い性欲処理の玩具同然に扱われていた。泣いても許してくれず、嫌だと言ってもその手は止めてはくれず、嫌がれば嫌がる程、酷い扱いを受けた。体を暴かれ、言いたく無い言葉を言わされ続け、『淫乱』だと『男娼』だと罵られる。毎日毎日暴力と性的暴行を繰り返されるだけの日々に、琥之羽は耐え切れなかった。
耐え切れなかった彼は、見慣れぬ建物の一番高い場所から飛び降りて自殺した。最後の時でさえも、彼はずっと泣いていた。
「コノハ」
スゥスゥと今は安らかに眠る琥之羽を見、ルイスは彼の頭を優しく撫でる。彼に触れた瞬間、ルイスの中に彼の記憶が流れ込んで来た。それは余りにも堪え難く、許し難い。記憶の中の彼が痛めつけられていても、ルイスは助ける事は出来ない。助けてと泣いていても、彼に手を差し伸べる事は出来ない。過去の記憶は、誰も変える事は出来ない。過去の出来事は変える事は出来ないと頭では理解していても、涙を浮かべて必死に抵抗している琥之羽を無理矢理押さえつける手を、いやらしく彼の体を撫で回す手を、彼に触れる者全てを、ルイスは許せなかった。
今直ぐに助けたいのに、助けられない。彼に不躾に触れる無数の手を、彼を嘲笑し、罵り続ける周囲の人間を、今直ぐこの手で葬り去りたいのに、これは全て過去の出来事故に、ルイスが手を出す事は出来ない。
「本当に、歯がゆいですね」
過去を変える事は出来ない。彼を痛めつけた者全てに報復したいと思っても、生きている世界が違う為、ルイスが報復する事は出来ない。
頭では分かっているのに、やはり許せない。もっと早くに気付くべきだった。もっと早くに彼を見付けるべきだった。クレハ様をこの城から連れ出したあの時に気付いていたのなら、クレハ様と一緒に、彼も連れ去っていたのに……
「仮定の話をしても無駄ですね。まずは、陛下に報告致しましょうか」
クレハ様の家族を見付けた、と。彼がクレハ様に危害を加える事は絶対に有り得ないと言う事を。
「こちらの方が魅力的だと言うのに、残念ですね」
琥之羽の頭を優しく撫で、彼の髪にそっと触れる。艶のある漆黒の髪を一房手に取り、ルイスはそれに優しくキスをする。出会った時は黒髪では無かった。恐らく、魔法で髪の色を変えていたのだろうとルイスは憶測する。眠りの魔法を掛けた拍子に、その魔法が解け、彼の本来の姿が露になったのだろう。
「綺麗な方、ですね」
クレハ様を可愛いと表現するならば、コノハは綺麗。あの時見せた微笑みが頭から離れない。慈愛に満ちた彼の微笑みが、綺麗で、愛おしくて。けれど、何処か悲しみが混じった笑みに、胸が締め付けられそうになる。何かに怯える姿を見た時、涙を流して必死に何かから逃げようとする姿を見た時、その恐怖を取り除きたいと、ルイスは思った。何かに怯え悲痛に泣き叫ぶ彼を安心させたくて、少し強引に抱き締めた。その時に流れてきた彼の記憶がルイスの庇護欲を更に駆り立てた。護りたい、彼の中にある恐怖を取り除きたい、今迄辛い思いをしていた分、彼の全てを愛して、甘やかしたい。
「まさか、人間を好きになるとは思いませんでしたね」
そう言うものの、琥之羽を見詰めるルイスの表情は何処迄も慈愛に満ちていた。
「黒髪、だったんですね」
「貴方が黒髪黒目の忌み子だと言う事が周囲にバレたら、大変な事になりますね」
「周囲にバレるのは嫌なのでしょう?」
「賢い貴方なら、言葉にせずとも分かりますよね?」
あぁ、やっぱりな。綺麗な微笑みを向けて楽しそうに言うルイスを見て、琥之羽はそう思った。急に抱き締められ、急にキスをされ、強制的に眠らされ、目が覚めたら見知らぬ部屋のベッド。ルイスに指摘され、髪と目の色が元の黒に戻っている事を知り、琥之羽は焦る。この世界で黒と言う色がどれ程嫌われているかは十分理解している。黒髪黒目の人間は周りから忌み嫌われている。見付かったら即殺されてしまう。殺されずとも、今迄のように何事も無くただ平穏な日々を過ごす事は出来ない。
また、あの日々を繰り返すのか? また、あの地獄に突き落とされるのか? また、また……誰かの言いなりになって、従わなければならないのか……
心は嫌だと悲鳴を上げているのに、琥之羽の口からは「何をすればいいですか?」と言う、相手の条件を呑む言葉を発する事しか出来なかった。その言葉を聞いた途端、ルイスはとても嬉しそうな表情を琥之羽に向け、明るい口調で言った。「私に護られて下さい」と。
自分に取ってきっと良く無い条件を出して来るに違いないと身構えていた琥之羽は、一瞬何を言われたのか分からず、は?と素っ頓狂な声を出してしまう。状況を理解していない琥之羽の頬に手を添え、ルイスは慈愛に満ちた笑みを琥之羽に向ける。
「必ず、貴方を護ります。何があっても私が貴方を護ります」
真剣な表情で琥之羽を見詰めるルイスに、琥之羽はどうすれば良いか分からなくなる。何が起こったのかも、何を言われたのかも理解出来ず、ただ今の状況に困惑する事しか出来ない。利用されているだけ、こんなの全て嘘だ、信じたら必ず痛い目を見る、優しい顔をして、優しい言葉をかけて、最後の最後で絶望の淵へ突き落とすに違い無い。何時もそうだった。何時だってそうだった。助けるフリをして、本当は心の中で嘲笑っている。
あんな言葉を信じる何て、やっぱりお前は馬鹿な奴だ。お前に味方なんている訳ないのに。本気で信じるとは思ってなかった。面白いものが見れた。良い時間潰しが出来たね! 本当、この平凡の馬鹿さと言ったら笑っちゃうね!
クス、クス。
他人の言葉を信じて、優しくしてくれた人を信じて、情けなく縋り付いて、この人ならと思った矢先に、実は全て嘘でしたと言って、ゲラゲラと笑う。一度体験しても学習せず、何度も何度も同じ事を繰り返して、何度も何度も同じように騙されたと後になって気付いて、悔しいのか悲しいのかも分からなくなる程追い詰められて、もう誰も信じないと言い聞かせた筈だった。
「コノハ……」
「え?」
優しく頬を撫でられ、その手が琥之羽の顎を捕らえ、強制的に顔を上に向けられる。視界に入ったのは驚く程整ったルイスの顔。至近距離で見詰められ、琥之羽は驚き、目を見開く。直ぐにルイスと距離を取ろうとしたが、そうなる前に背中に手を回され強い力で引き寄せられてしまう。強く強く抱き締められ、気が付くと琥之羽は再びルイスに口を塞がれていた。
「ん!?」
塞がれたのは一瞬だった。ルイスは琥之羽に触れるだけのキスをして、直ぐに離した。何が起こったのか分からず、琥之羽はただ呆然としたまま、ルイスに身を委ねる事しか出来ない。恐怖心からか、それ以外の感情のせいか、先程から心臓の音が五月蝿い。顔に熱が集まっているような気がする。けれど、混乱したままの琥之羽は顔を隠す余力すら無かった。ルイスはそんな琥之羽をベッドに優しく座らせると、彼の目の前に片足を付く。執事や従者が主に忠誠を誓うような紳士的な体勢を取り、琥之羽の手を自分の手に乗せ、ルイスは手の甲にキスを落とし、優しい笑顔を琥之羽に向ける。
「私が貴方を、愛しても良いですか?」
困惑しきった琥之羽の頭は、ルイスの理解不能な行動と発言によって更に混乱し、暫くその場から動く事が出来なかった。
ルイスが来てから、琥之羽の日常は一変した。以前は狭い物置のような部屋を使っていたが、ルイスが「貴方一人だと心配です」と真剣な顔で言い、同室になる事を提案したのだ。当然、琥之羽は断った。他人と関わる事を極端に嫌う琥之羽に取って、赤の他人と同じ部屋で過ごすのは拷問に近かった。
ルイスに迷惑がかかると言うのも理由の1つだが、彼と同室になる事でまた厄介事に巻き込まれるかもしれないと言うのが断る理由の大半を占めていた。何度も断り続ける琥之羽にルイスは悲しそうな表情をして「私の事は、嫌いですか?」と聞く。突然の問いかけに琥之羽は困惑し、言葉を詰まらせる。はっきりと「嫌いだ」と言えたら良いのに、それが出来ない。突然抱き締めて、いきなりキスをしてきたと言うのに、琥之羽はルイスを嫌いになれなかった。
私が貴方を、愛しても良いですか?
「っ」
目覚めた後のやり取りを思い出し、琥之羽はルイスを直視出来ず俯いてしまう。心臓の音が早くなり、顔に熱が集まる。今までこんな事は起こらなかったのに、急に自分の事が分からなくなり、困惑する。俯いたまま、全く動かなくなってしまった琥之羽を心配し、ルイスはゆっくりと琥之羽に近づき、そっと彼の頬を撫でる。
「コノハ?」
ルイスの声に我に返った琥之羽は咄嗟に顔を上げる。至近距離で心配そうに見つめてくるルイスに琥之羽は更に顔に熱が集まるのを感じた。
「そんな可愛い顔で見詰めないで下さい」
ルイスは懲りずにまた琥之羽を抱き締める。何度も「可愛い」と言われ、琥之羽はどうすれば良いか分からず、彼の腕の中で困惑したまま、動く事が出来なかった。
「良いですか。貴方はとても綺麗で可愛い方なのです。髪と目の色が黒いから何だと言うんです? こんなにも魅力的だと言うのに、この国の人間共の目は節穴なのですか? クレハ様にした仕打ちと言い、コノハに対する扱いと言い……」
ブツブツと呟くルイスに唖然とする琥之羽だったが、ルイスの口から「クレハ」と言う単語を聞いた途端、驚きの余り硬直する。
「暮羽を、知っているんですか?」
震える声でルイスに問うと、ルイスは一瞬固まり、しまったとでも言いたそうな表情をした。ルイスの反応を見た琥之羽は、彼が暮羽の事を知っていると確信した。ルイスを問い詰めようとした時、口元に人差し指を当てられ、ゆっくりとその指を自分の口元に移動させた。
聞くな。
ルイスの動作で、暮羽の事は聞いてはならないと察し、琥之羽は口を噤んだ。
『あぁ、暮羽には魔法がかけられている』
『それは……』
『危険なものではない。ごくありふれた魔法だ。親が子の成長を祈願する時に使われる類いのな』
『祈願、ですか』
『余程暮羽の事が大事だったんだろう。ありふれた魔法でも、その力はお前と同等かそれ以上、と言った所か』
『私と同等、ですか。誰が何の為に。それに、それだけの魔力を持っていながら私達が知らないと言うのも不思議な話ですね』
『此れは俺の憶測に過ぎないが、その人物は暮羽の家族では無いかと思っている』
『クレハ様の?』
『とても優しい魔法だ。しかし、恋情は一切含まれていなかった。家族愛、と言った所か』
『家族。まさかとは思いますが、クレハ様の家族がこの世界の何処かに居ると、陛下は仰りたいのですか?』
『暮羽を見つけた城の中に居るのは間違いない』
『……あの城の中に?』
『あぁ、リューイ。もう一度あの城を探れ。暮羽に魔法をかけた人物を捜せ』
『捜すだけで宜しいので?』
『後はお前の判断に任せる。万が一、暮羽に危害を及ぼす存在なら、あの五月蝿い猿諸共始末しても構わん』
『……陛下の仰せのままに……』
暮羽? どうしたんだ?
大丈夫だからな。何があっても、俺が暮羽を護ってやるからな、だから笑え。
暮羽は本当に寂しがりやの甘えん坊だなぁ、其処が可愛いから良いけど、いい加減兄離れしないと将来困る事になるぞ?
ごめんな、暮羽。でも、ちゃんと帰って来るから、だからそんなに泣くな。ほら、約束。
めん、な……守れ、なくて……ごめ……たより、ない、兄ちゃんで……ごめん……
「…………」
夢を見た。大好きだった兄が一緒にいた時の夢。暮羽は兄が大好きで、ずっと兄と一緒にいた記憶がある。優しくて、何時も護ってくれて、寂しい時はずっと一緒にいてくれた。怪我をした時は両親以上に心配してくれて、怪我の手当をしてくれた。風邪をひいた時だって、学校を休んで迄、暮羽に付きっきりで看病をしてくれた。まだ幼くて、記憶が曖昧になってはいるけれど、兄と一緒に過ごした日々の記憶を暮羽は持っていた。何時も一緒に居てくれた兄。何時も優しくしてくれた兄。
大好きで大好きで、ずっと一緒にいたかったのに、高校生になった兄は実家を出て、学校の寮へ行ってしまった。長期休暇には帰ると言っていたにも関わらず、暮羽は兄と離れたくなくて、最後迄兄に抱きついて泣きじゃくっていたのを覚えてる。
いやだ! にいさんのうそつき!
嘘吐きだと言って泣き喚いて、大嫌いだと心にも思っていない事を言って兄を困らせて……
結局、まともに兄を見送る事が出来なかった。兄が困惑したような顔をして「約束する」と言っても信じられず、兄が離れてしまう事が嫌で嫌で、「消えちゃえ」と幼い暮羽は言ってしまった。勿論、心から思っていた訳ではない。兄と離れたくなかったから、ずっと一緒だと約束したのに、家を出て行ってしまう兄がどうしても許せなくて、幼い暮羽は大好きだった兄に「きえろ」と言うのが精一杯だった。本当に消えてほしい訳じゃなかった。本当に消える何て思ってなかった。兄が行方不明になったと暮羽の家族の元に連絡が来たのは、兄が高校に入って初めて夏休みが始まる少し前だった。
けれど妙な事に、兄が学園から去った形跡は一切無いと学園側は言う。自殺した形跡も無ければ、学園から去った形跡もない。まるで兄の存在だけがこの世界から消えてしまったようだと言う大人達の会話を耳にした時、暮羽は「自分のせいだ」と言って大人達が大事な話をしている時にも関わらず、泣いて謝り続けた。
おれが、きえろっていったから、だからにいさんは……おれの、せいで……ごめん、なさ……ごめんなさい。
「こ、のは……兄さん」
会いたい。会って、ちゃんと謝りたい。でも、何処にいるか分からない。生きているのか、死んでいるのかすら分からない。けれど、兄はこの世界に居る気がする。この世界の何処かで、生きている気がする。この世界に来た時、誰かの啜り泣く声を聞いた。意識が朧げで本当にそうだったかは確認のしようがないけど、でも、何か温かいものに包まれた記憶が、かすかに残っている。
「兄がいるのか?」
「ぁ」
兄の事を考えている暮羽に魔王は声をかける。突然の事に驚いて固まっている暮羽の頭に手を置き優しく撫でながら、魔王は「コノハと言うのは誰だ?」と問う。暮羽は話すべきかどうか悩み、魔王の顔を見る事も出来ず俯いてしまう。今にも泣いてしまいそうな悲痛な表情をする暮羽を優しく包み込むように抱き締め、魔王は彼の頭や背中を撫でながら、「大丈夫だ」と言った。暫くすると暮羽は落ち着き、ぽつり、ぽつり、と兄について話し始めた。歳の離れた兄が居る事。兄が高校に入る迄はとても仲が良かった事。兄が大好きだった事。とても優しくて、頼りになる自慢の兄だった事。高校に行く前に、兄と離れたくなくて心にも無い酷い言葉を言ってしまった事。言った言葉が現実になり、兄が突然行方不明になった事。生きているのか死んでいるのかすら分からない事。全て話し終えると、魔王は暮羽の頭を優しく撫で、小さく微笑む。
「やはり、家族だったんだな」
「え?」
一人納得したような台詞を言い、魔王は少し何かを考えるような素振りを見せる。何を考えているのか分からない暮羽はただ魔王から説明される迄待つ事しか出来ない。しかし、魔王は直ぐに暮羽に顔を向け、優しい笑みを浮かべる。
「兄の名はコノハで間違いないな?」
「え?は、はい……間違い、ないです」
暮羽の答えに魔王は「そうか」と答え、暮羽の頭を撫でる。不安そうに魔王を見詰める暮羽を安心させる為に、魔王はもう一度、暮羽の体を抱き締めた。
ぃや……おねが……もう、やめ。
ちが、おれは……そんなつもりは……いっ!
やめて……もう、こんなこと、したく、ない。
やめ、それはっ……やだ! やめ、いやっ!
痛い、苦しい、もう嫌だ、疲れた、生きていたって何も良い事なんかない、ずっとこんな日々が続く位ならいっそ……
死んだ方がマシだ。
「…………」
見慣れない建物。見慣れない衣装。何もかもがこの世界とはかけ離れた世界。その世界に琥之羽が居た。その世界で、琥之羽は何時も泣いていた。何時も何時も暴力を受け、言葉で罵られ、琥之羽は独り、その理不尽過ぎる仕打ちに耐えていた。耐えて耐えて耐え続けて、常に助けを求めていたのに、誰かに助けて欲しかったのに、誰も助けてはくれず、ずっと独り、理不尽な仕打ちを受け続けた。
暴力だけならまだマシだ。それだけではなかった。嫌だと何度も言っているにも関わらず、無数の手が琥之羽を押さえつけ、衣服を無理矢理奪い、彼の心と体に一生消えない深い傷を負わせた。体中を這い回る手が気持ち悪くて、感じたく無いのに、体は言う事を聞かず痛みと快楽を与えられ、琥之羽は都合の良い性欲処理の玩具同然に扱われていた。泣いても許してくれず、嫌だと言ってもその手は止めてはくれず、嫌がれば嫌がる程、酷い扱いを受けた。体を暴かれ、言いたく無い言葉を言わされ続け、『淫乱』だと『男娼』だと罵られる。毎日毎日暴力と性的暴行を繰り返されるだけの日々に、琥之羽は耐え切れなかった。
耐え切れなかった彼は、見慣れぬ建物の一番高い場所から飛び降りて自殺した。最後の時でさえも、彼はずっと泣いていた。
「コノハ」
スゥスゥと今は安らかに眠る琥之羽を見、ルイスは彼の頭を優しく撫でる。彼に触れた瞬間、ルイスの中に彼の記憶が流れ込んで来た。それは余りにも堪え難く、許し難い。記憶の中の彼が痛めつけられていても、ルイスは助ける事は出来ない。助けてと泣いていても、彼に手を差し伸べる事は出来ない。過去の記憶は、誰も変える事は出来ない。過去の出来事は変える事は出来ないと頭では理解していても、涙を浮かべて必死に抵抗している琥之羽を無理矢理押さえつける手を、いやらしく彼の体を撫で回す手を、彼に触れる者全てを、ルイスは許せなかった。
今直ぐに助けたいのに、助けられない。彼に不躾に触れる無数の手を、彼を嘲笑し、罵り続ける周囲の人間を、今直ぐこの手で葬り去りたいのに、これは全て過去の出来事故に、ルイスが手を出す事は出来ない。
「本当に、歯がゆいですね」
過去を変える事は出来ない。彼を痛めつけた者全てに報復したいと思っても、生きている世界が違う為、ルイスが報復する事は出来ない。
頭では分かっているのに、やはり許せない。もっと早くに気付くべきだった。もっと早くに彼を見付けるべきだった。クレハ様をこの城から連れ出したあの時に気付いていたのなら、クレハ様と一緒に、彼も連れ去っていたのに……
「仮定の話をしても無駄ですね。まずは、陛下に報告致しましょうか」
クレハ様の家族を見付けた、と。彼がクレハ様に危害を加える事は絶対に有り得ないと言う事を。
「こちらの方が魅力的だと言うのに、残念ですね」
琥之羽の頭を優しく撫で、彼の髪にそっと触れる。艶のある漆黒の髪を一房手に取り、ルイスはそれに優しくキスをする。出会った時は黒髪では無かった。恐らく、魔法で髪の色を変えていたのだろうとルイスは憶測する。眠りの魔法を掛けた拍子に、その魔法が解け、彼の本来の姿が露になったのだろう。
「綺麗な方、ですね」
クレハ様を可愛いと表現するならば、コノハは綺麗。あの時見せた微笑みが頭から離れない。慈愛に満ちた彼の微笑みが、綺麗で、愛おしくて。けれど、何処か悲しみが混じった笑みに、胸が締め付けられそうになる。何かに怯える姿を見た時、涙を流して必死に何かから逃げようとする姿を見た時、その恐怖を取り除きたいと、ルイスは思った。何かに怯え悲痛に泣き叫ぶ彼を安心させたくて、少し強引に抱き締めた。その時に流れてきた彼の記憶がルイスの庇護欲を更に駆り立てた。護りたい、彼の中にある恐怖を取り除きたい、今迄辛い思いをしていた分、彼の全てを愛して、甘やかしたい。
「まさか、人間を好きになるとは思いませんでしたね」
そう言うものの、琥之羽を見詰めるルイスの表情は何処迄も慈愛に満ちていた。
「黒髪、だったんですね」
「貴方が黒髪黒目の忌み子だと言う事が周囲にバレたら、大変な事になりますね」
「周囲にバレるのは嫌なのでしょう?」
「賢い貴方なら、言葉にせずとも分かりますよね?」
あぁ、やっぱりな。綺麗な微笑みを向けて楽しそうに言うルイスを見て、琥之羽はそう思った。急に抱き締められ、急にキスをされ、強制的に眠らされ、目が覚めたら見知らぬ部屋のベッド。ルイスに指摘され、髪と目の色が元の黒に戻っている事を知り、琥之羽は焦る。この世界で黒と言う色がどれ程嫌われているかは十分理解している。黒髪黒目の人間は周りから忌み嫌われている。見付かったら即殺されてしまう。殺されずとも、今迄のように何事も無くただ平穏な日々を過ごす事は出来ない。
また、あの日々を繰り返すのか? また、あの地獄に突き落とされるのか? また、また……誰かの言いなりになって、従わなければならないのか……
心は嫌だと悲鳴を上げているのに、琥之羽の口からは「何をすればいいですか?」と言う、相手の条件を呑む言葉を発する事しか出来なかった。その言葉を聞いた途端、ルイスはとても嬉しそうな表情を琥之羽に向け、明るい口調で言った。「私に護られて下さい」と。
自分に取ってきっと良く無い条件を出して来るに違いないと身構えていた琥之羽は、一瞬何を言われたのか分からず、は?と素っ頓狂な声を出してしまう。状況を理解していない琥之羽の頬に手を添え、ルイスは慈愛に満ちた笑みを琥之羽に向ける。
「必ず、貴方を護ります。何があっても私が貴方を護ります」
真剣な表情で琥之羽を見詰めるルイスに、琥之羽はどうすれば良いか分からなくなる。何が起こったのかも、何を言われたのかも理解出来ず、ただ今の状況に困惑する事しか出来ない。利用されているだけ、こんなの全て嘘だ、信じたら必ず痛い目を見る、優しい顔をして、優しい言葉をかけて、最後の最後で絶望の淵へ突き落とすに違い無い。何時もそうだった。何時だってそうだった。助けるフリをして、本当は心の中で嘲笑っている。
あんな言葉を信じる何て、やっぱりお前は馬鹿な奴だ。お前に味方なんている訳ないのに。本気で信じるとは思ってなかった。面白いものが見れた。良い時間潰しが出来たね! 本当、この平凡の馬鹿さと言ったら笑っちゃうね!
クス、クス。
他人の言葉を信じて、優しくしてくれた人を信じて、情けなく縋り付いて、この人ならと思った矢先に、実は全て嘘でしたと言って、ゲラゲラと笑う。一度体験しても学習せず、何度も何度も同じ事を繰り返して、何度も何度も同じように騙されたと後になって気付いて、悔しいのか悲しいのかも分からなくなる程追い詰められて、もう誰も信じないと言い聞かせた筈だった。
「コノハ……」
「え?」
優しく頬を撫でられ、その手が琥之羽の顎を捕らえ、強制的に顔を上に向けられる。視界に入ったのは驚く程整ったルイスの顔。至近距離で見詰められ、琥之羽は驚き、目を見開く。直ぐにルイスと距離を取ろうとしたが、そうなる前に背中に手を回され強い力で引き寄せられてしまう。強く強く抱き締められ、気が付くと琥之羽は再びルイスに口を塞がれていた。
「ん!?」
塞がれたのは一瞬だった。ルイスは琥之羽に触れるだけのキスをして、直ぐに離した。何が起こったのか分からず、琥之羽はただ呆然としたまま、ルイスに身を委ねる事しか出来ない。恐怖心からか、それ以外の感情のせいか、先程から心臓の音が五月蝿い。顔に熱が集まっているような気がする。けれど、混乱したままの琥之羽は顔を隠す余力すら無かった。ルイスはそんな琥之羽をベッドに優しく座らせると、彼の目の前に片足を付く。執事や従者が主に忠誠を誓うような紳士的な体勢を取り、琥之羽の手を自分の手に乗せ、ルイスは手の甲にキスを落とし、優しい笑顔を琥之羽に向ける。
「私が貴方を、愛しても良いですか?」
困惑しきった琥之羽の頭は、ルイスの理解不能な行動と発言によって更に混乱し、暫くその場から動く事が出来なかった。
ルイスが来てから、琥之羽の日常は一変した。以前は狭い物置のような部屋を使っていたが、ルイスが「貴方一人だと心配です」と真剣な顔で言い、同室になる事を提案したのだ。当然、琥之羽は断った。他人と関わる事を極端に嫌う琥之羽に取って、赤の他人と同じ部屋で過ごすのは拷問に近かった。
ルイスに迷惑がかかると言うのも理由の1つだが、彼と同室になる事でまた厄介事に巻き込まれるかもしれないと言うのが断る理由の大半を占めていた。何度も断り続ける琥之羽にルイスは悲しそうな表情をして「私の事は、嫌いですか?」と聞く。突然の問いかけに琥之羽は困惑し、言葉を詰まらせる。はっきりと「嫌いだ」と言えたら良いのに、それが出来ない。突然抱き締めて、いきなりキスをしてきたと言うのに、琥之羽はルイスを嫌いになれなかった。
私が貴方を、愛しても良いですか?
「っ」
目覚めた後のやり取りを思い出し、琥之羽はルイスを直視出来ず俯いてしまう。心臓の音が早くなり、顔に熱が集まる。今までこんな事は起こらなかったのに、急に自分の事が分からなくなり、困惑する。俯いたまま、全く動かなくなってしまった琥之羽を心配し、ルイスはゆっくりと琥之羽に近づき、そっと彼の頬を撫でる。
「コノハ?」
ルイスの声に我に返った琥之羽は咄嗟に顔を上げる。至近距離で心配そうに見つめてくるルイスに琥之羽は更に顔に熱が集まるのを感じた。
「そんな可愛い顔で見詰めないで下さい」
ルイスは懲りずにまた琥之羽を抱き締める。何度も「可愛い」と言われ、琥之羽はどうすれば良いか分からず、彼の腕の中で困惑したまま、動く事が出来なかった。
「良いですか。貴方はとても綺麗で可愛い方なのです。髪と目の色が黒いから何だと言うんです? こんなにも魅力的だと言うのに、この国の人間共の目は節穴なのですか? クレハ様にした仕打ちと言い、コノハに対する扱いと言い……」
ブツブツと呟くルイスに唖然とする琥之羽だったが、ルイスの口から「クレハ」と言う単語を聞いた途端、驚きの余り硬直する。
「暮羽を、知っているんですか?」
震える声でルイスに問うと、ルイスは一瞬固まり、しまったとでも言いたそうな表情をした。ルイスの反応を見た琥之羽は、彼が暮羽の事を知っていると確信した。ルイスを問い詰めようとした時、口元に人差し指を当てられ、ゆっくりとその指を自分の口元に移動させた。
聞くな。
ルイスの動作で、暮羽の事は聞いてはならないと察し、琥之羽は口を噤んだ。
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