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「暮羽! 皆を騙す何て最低だ! ちゃんと謝れよ!」
「愛輝、これで分かっただろ? コイツは俺達に近付く為に優しいお前を利用したんだ」
「最低ですよね。愛輝の優しさに付け込んで、親友のフリをする何て……」
「愛輝ちゃん、もうこんな最低な人間とは関わらないで? ボクが居れば十分じゃん?」
「で、でも、それじゃあ、暮羽が可哀想だ! 暮羽は俺の親友だ! 俺が居なくなれば、暮羽は友達が居なくなっちゃうだろ! 友達が居ないなんて、暮羽が可哀想だ!」
「愛輝」
「愛輝は優し過ぎるんです。愛輝は騙されていたんですよ? それなのに……」
「そうだぜ、愛輝。こんな最低な人間何か放って置けよ。愛輝には俺が居れば良いじゃねーか」
「そ、そんな、仲間外れは、駄目、何だからな! そ、それに! 俺は皆と仲良くなりたいんだ!」
「愛輝……」
うっとりと愛輝と呼ばれた少年を見詰める生徒会役員。愛輝を盲目的に慕う彼等は愛輝の事を純真無垢で心優しい少年だと思い込んでいた。誰が相手であろうとも物怖じしない態度が、役職や立場等一切気にせず対等に接してくれる姿が、愛輝の全てが愛おしいと、生徒会役員達は彼を妄信的に慕っている。生徒会役員達に囲まれ、「優しい」「可愛い」「愛らしい」と口々に言われ、彼は口では否定するものの、頬を赤く染め、嬉しそうにしていた。
この場面だけ見れば、少女漫画のような甘ったるい空気なのかもしれないが、その場にはもう一人居た。先程迄生徒会役員達にまともに立つ事すら侭ならない程殴られ、蹴られ、制服はボロボロで、意識を保つのがギリギリ、その生徒の姿は酷い有様だった。
直ぐにでも治療を受けなければならない程痛めつけられている生徒を他所に、生徒会役員達も愛輝と呼ばれた少年も、彼の事等見向きもしない。大事な『親友』が傷だらけで、動く事すら出来ない状況に迄追い込まれていると言うのに、愛輝は『親友』には一切目を向けず、生徒会役員達と楽しそうに話して笑っている。
「暮羽! 何時迄其処で寝てんだよ!? そんな所で寝たら汚いだろう! 早く立てよ!」
漸く終わったのか、愛輝が彼に気付き声を掛けるが、彼の言葉は傷だらけの『親友』に対して言う台詞には到底思えない程、辛辣なものだった。暮羽は寝たくて寝ている訳では無い。毎日繰り返される暴力と、先程迄理不尽な理由で痛めつけられたせいで、起き上がりたくても起き上がれない。その事を伝えようと声を出そうとしても、口からは空気の抜ける音しか出ず、声を発する事も出来ない。
「何やってんだよ! さっさと起きろよ! 皆行っちゃうぞ!」
さっさと行ってほしい。
暮羽は心の中でそう思った。自由に動かす事の出来ない体。散々痛めつけた人達とずっと一緒にいたいと思う人間はいない。そもそも、暮羽がこの理不尽な暴力を受けているのは愛輝のせいだと言うのに、当の本人はそれにすら気付いていない。
生徒会役員達は皆、暮羽を睨みつけ、「トロい」「のろま」「役立たず」と罵っている。誰も暮羽の怪我等気にも留めない。もし、この怪我が原因で暮羽が命を落としたとしても、きっと彼等は権力を使って都合の良いように書き換えるに違いない。朦朧とする意識の中、暮羽はそう思った。
彼等に助けを求める気等、暮羽には最初から無かった。寮の同室者となっただけで『親友だ』と喚かれ付き纏われ、行きたくも無い生徒会室に無理矢理引き摺られ、関わりたくもない生徒会役員達と関わって、愛輝が『親友』だと口にする度に、愛輝に連れ回される度に、暮羽は生徒会役員達に睨まれ、敵意を向けられた。些細な嫌がらせから始まり、教材や私物を盗まれボロボロに引き裂かれ、親衛隊に迄敵視され、理不尽な仕打ちはどんどんエスカレートして行き、毎日毎日殴られ蹴られが当たり前の日常に変わってしまった。
これだけ痛め付けられていても、こんなに辛い思いをしていても、愛輝は暮羽の怪我にも気付かない。まともに歩ける状態では無いと言うのに、そんな暮羽を無理矢理連れ回し、途中で転べば非難され、そして生徒会役員や親衛隊の怒りを買い、また暴力を振われる。毎日毎日その繰り返しで、暮羽の体はもう限界ギリギリの所迄追い詰められていた。そんな状態になっても、愛輝は暮羽の傷には気付かない。
「おい! 早く起きろって!」
「いい加減にしろよ! 何時迄も愛輝を待たすんじゃねぇよ! このクズが!」
ドゴッ、と言う音と共に腹部に激しい痛みを感じ、暮羽は声を上げる事も出来ず、地面を転がる。しかし、転がった場所が悪かった。
暮羽が転がった場所に、冷たいコンクリートの感触は無かった。霞んだ視界で生徒会役員達が顔を真っ青にしている姿を最後に、暮羽の体は下へと落ちて行く。
あぁ、俺……死ぬんだ……
愛輝に無理矢理連れ回され、理不尽な理由で敵視され、殴られて、散々痛めつけられて、最後は屋上から突き落とされるなんて……
本当は、誰かに助けてほしかった。誰かに『助けて』と言いたかった。でも、言えなかった。言った所で、誰も助けてくれない。
死にたく、ない、なぁ……
そう心の中では思うものの、暮羽にはどうする事も出来ず……ただ、涙を流す事しか出来なかった。
『おぉ、神子様』
『神子様、どうか、どうかこの国をお救い下さい』
『美しい。これほど迄に美しい神子を見たのは初めてだ』
『神子様』
『神子様』
『無礼者め。神子であるアイラに不躾に触れようとは……』
『黒い髪に、黒い目……コヤツは、間違いなく忌み子で御座いますな』
『何故このような穢らわしい忌み子がこの神殿に居るんだ?』
『召喚の儀は正しく行われた筈ですが……』
『フン、穢らわしい存在め。今此所で貴様を殺しても構わんが、アイラがお前を殺すなと言うからな。アイラに感謝しろ、忌み子』
『この忌み子は如何なさいますか?』
『地下牢にでも入れておけ』
『畏まりました』
暮羽は薄暗い地下牢に閉じ込められていた。屋上から蹴り落とされた時、暮羽は死を覚悟した。しかし、何時迄経っても衝撃はなく、気が付くと見知らぬ神殿らしき建物の中に愛輝と共に居た。其処に何人もの人々が訪れ、愛輝を目にした人々は口々に『神子様』と呼び、誰もが愛輝を褒め讃えた。彼等の話によると、此所は異世界で、国を救うべく別の世界から『神子』を召喚したのだと。神子とは、この世界を救う救世主である事、その神子こそが愛輝であると言う事。彼は何処に行っても愛されるんだ、と他人事のように暮羽が考えていると、この国の人々は暮羽を見て一瞬にして顔を忌々しそうに歪めた。
『忌み子』
『不幸を齎す』
『殺す』
『地下牢』
朦朧とする意識の中で、暮羽が辛うじて聞き取れたのは自分に取って良くない言葉の単語だけだった。黒い髪に黒い目をしていると言うだけで、地下牢に閉じ込められ、怪我の手当もされず、来た時のままの姿で暮羽は此所へ放り込まれてしまった。地下牢に閉じ込められて何日か。日の光が差し込まない地下牢では時間の感覚が分からず、今が昼なのか夜なのか、暮羽が知る術は無い。食事は与えられるものの、どれもこれもが残飯ばかりで、時には腐ったものを出された事もあった。怪我の手当もされず、まともな食事さえ儘ならず、暮羽の体は来た時よりも更に痩せ細ってしまった。
地下牢生活をし始めて数週間。暮羽はもう立つ事すら出来ない程体が弱り切っていた。怪我は悪化し、体は痩せこけ、意識を保つ事すら儘ならず、暮羽は何時死んでも可笑しくない状況だった。朦朧とする意識の中、突然暮羽の耳に何かが聞こえる。
ァ……ニ……ァ……ニャァ……
直ぐ近くで聞こえる何かに、虚ろな目を音のする方へゆっくりと向ける。
「ぁ……」
牢屋越しに、何かが居る。暮羽はゆっくりとその場所へ手を伸ばす。恐る恐る腕を伸ばし、黒い何かに触れると、黒い何かはまた『ニャァ』と鳴く。
猫……黒い、猫だ。
暮羽の前に現れたのは黒猫だった。何故こんな地下牢に黒猫が居るのか。黒は不吉な色じゃなかったのか、疑問に思う事は多々あるが、暮羽はそれ以上に黒猫の存在に酷く安心した。伸ばした腕をゆっくりと動かし、黒猫を優しく撫でると、黒猫は嫌がる素振りは見せず、暮羽の手に擦り寄り、再び『ニャァ』と鳴く。今迄、理不尽な仕打ちばかり受けていた暮羽は例え相手が猫であったとしても、擦り寄って来てくれる事が嬉しかった。
「……ね、こ……あり……が、と」
この時、暮羽は初めて笑顔を見せた。安心したような、大切なものを慈しむような、そんな優しさに満ちた笑顔だった。暮羽の笑顔を見た瞬間、黒猫の体がビクリと震える。しかし、意識が朦朧としている暮羽は猫を撫でる気力も失い、その儘意識を失ってしまう。
気を失った暮羽に、黒猫は慌てて彼の元へ走り寄る。体中傷だらけで、着ているものはボロボロ。体は痩せ細り、顔色も悪い。しかし、暮羽の胸が上下に動いているのを確認し、黒猫は少しだけ安堵した。暮羽が撫でてくれた細い手に自分の頭を擦り付け、ペロリとひと舐めすると黒猫はその場から姿を消した。
「遅かったですね。陛下」
「あぁ」
「人間共が神子を召喚した噂は本当だったんですか?」
「あぁ」
「となれば、近い未来に人間共が此所へ攻め込むかもしれませんね」
「あぁ」
「人間如きに手子摺るとは思っておりませんが、人間のする事は何処迄も醜いですからね。用心するに越した事は無いですよ」
「あぁ」
「陛下?」
「あぁ」
「陛下? 聞いておられるのですか?」
「…………」
「陛下!」
「リューイ」
「はい」
「花嫁を迎え入れる。準備をして置け」
「はあ!?」
陛下の言葉に、リューイと呼ばれた男は驚き目を見開く。冗談で言っている訳ではない。彼は本当に花嫁を迎える気なのだ。彼の表情や態度を見ればそれは一目瞭然で。だからこそリューイは驚いた。陛下と呼ばれた男は、何に対しても無関心で、花嫁に等一切の興味を示さなかった。他の者達が何度か『花嫁は如何なさいますか?』と伺った事があったが、全て『興味無い』と言い捨てていた。そんな男の口から、はっきりと『花嫁を迎え入れる』と言われれば、誰だって驚く事だろう。それ程迄に、この男は何に対しても無関心なのだ。
「花嫁、ですか。唐突ですね。そのご様子だと、花嫁となる者は既に決めておられるのですね」
「あぁ」
「そうですか。それで、相手は誰なんです?」
「人間だ」
「は?」
リューイは再び驚き、男を凝視する。男の「人間」と言う言葉に、リューイは信じられないと言いたそうな顔をする。花嫁を迎え入れると言う発言だけでも衝撃的なのに、その花嫁が誰かと問えば「人間」だと言う。
「人間は嫌いではなかったのですか?」
「人間は皆耳障りで鬱陶しいに決まっているだろう」
「ならば何故……」
「だが、あの人間は違う」
「…………」
「あの人間は、俺の花嫁だ」
そう断言し、柔らかな表情をする。今迄ずっと無表情で不機嫌そうにしていた男が、此所迄表情を崩す姿を見るのは子供の頃から一緒にいたリューイでさえもこれが初めてだった。
陛下は本気で人間を花嫁として迎え入れる気だと、リューイは思った。この男の表情を此所迄崩させる相手に、リューイは興味を抱いた。相手が人間ならば尚更に……
「貴方のする事に五月蝿く言う気はありませんが、人間を陛下の花嫁に迎える事を、他の者達が納得するのでしょうか」
此所には人間を嫌悪する者も数多く存在する。住処を奪われた者。家族を殺された者。捕らえられ玩具にされた者。人間に対し興味も無ければ敵意も無い者も確かに存在するが、此所にいる者達は人間に対して何かしら深い恨みを持った者がほとんどである。だからこそ、リューイは念の為、彼等を統べる男に対して、釘を刺した。
「愚問だ。直ぐに気に入る」
「で、ですが、相手は人間……」
「会えば分かる。俺のする事に口出しする輩は根刮ぎ排除するだけだ」
「…………」
ダークグレイの瞳に仄暗い闇が垣間見え、リューイは戦慄し体を強張らせた。この男は有言実行。言った事は必ず行動に移す。相手が誰であろうと、文句を言う輩は全て排除し、自分に従う者しか護らない。
「魔王であるこの俺に異見すると言う事は、死を覚悟していると言う意と同意だ」
冷酷で残虐。しかし、鋭く冷たい雰囲気を醸し出す魔王の姿は、誰が見ても「美しい」と見惚れる程美麗なものだった。
可哀想に……
陛下に此所迄気に入られた人間は、二度と彼から逃げ出す事は出来ないだろう。捕らえられたが最後、永遠にこの男に囚われ、意思等関係無く、骨の髄迄侵されて行くのだろうと思うと、リューイは彼に気に入られた人間に同情した。
地下牢に閉じ込められて数週間。暮羽の扱いは最初と何一つ変わらず、食事は何時も残飯か腐りかけのものばかり。怪我の手当もされる事無く、食事を運びに来た人々は皆暮羽の姿を見て顔を歪め「汚い」と言って罵った。時々、愛輝や彼の取り巻きが暮羽の元へ訪れるが、暮羽を地下牢から出す気は一切無く、暮羽を見て好き勝手罵って、満足したら帰ると言うのが常だった。
『暮羽は不幸を齎す忌み子何だってな! 皆に不幸を齎す何て駄目なんだぞ! そんな事してるから此所に閉じ込められたんだろ! そう言うの良くないんだぞ!』
『神子様、あまり忌み子に近付かないで下さい。何時何をされるか分かったものではありませんからね』
『そうだぞ? アイラ。こんな不気味で気持ち悪い忌み子何かと一緒にいたら綺麗なお前が穢されちまうだろうが』
『な、何言ってんだよ!? お、俺はそう言うの気にしないぞ! そ、それに、暮羽は俺の親友だ!』
『神子様は優しいねぇ。こんな忌み子何かを気にかける何てさ……』
暮羽にはどれも聞き慣れた言葉だった。環境は違えど、暮羽に対する仕打ちは前の世界の生徒会役員と何一つ変わらない。違うと言えば、暴力を振るわれる事はないと言う事だけだった。幸い、この世界の人間達は余程黒を恐れ忌み嫌っているのか、触れる事すら気味悪がり、暮羽に触ろうとする者はいない。その為、暮羽に取ってはこちらの方がマシと言えばマシだった。こんな理不尽な扱いをされ、存在自体を全否定され、嫌われ、敵意を向けられ、暮羽は何時も思っていた。
どうして俺だけが、こんな扱いを受けなきゃならないんだ。
何で、俺ばっかり辛い思いをしなきゃいけないんだ。
全部全部、広瀬愛輝が暮羽の同室者になってから可笑しくなった。今迄ずっと平穏に過ごしていたのに、愛輝が同室になってから、暮羽の地獄は始まった。嫌だと言っても無理矢理連れ回し、断っても全く聞く耳を持たず、何かに付けて『親友だろ』と言って、縛り付けて。そのくせ、生徒会役員達に敵視され理不尽な理由で暴力を受けている事にも気付かず、親衛隊達に痛めつけられても、壮絶な苛めに遭っても、愛輝は全く気付かずに、まるで全て暮羽が悪いと言うような発言ばかりする。
そんな愛輝の存在が鬱陶しいと何度も思った。いっそ消えてしまえば良いのにと思った事だって何度もある。それ程迄に、暮羽は愛輝の事を恨み、嫌悪していた。
もう、放っておいてほしい、それが暮羽が一番望む事だった。もう関わらないでほしい。振り回さないでほしい。
「ニャァ」
「……ね……こ?」
暮羽が物思いに耽っていると、突然猫の鳴き声が聞こえた。声のする方へ視線を向けると、其処には見慣れた黒い猫が居た。何処から来たのかは分からない。初めて会ったその日から、この黒猫は毎日のように暮羽の元へ訪れている。何をする訳でもない。擦り寄ってくる猫の体を撫で、食べられるものがあれば、食べ物を猫に全て譲り、また猫を撫でる。数十分程猫を撫で、撫でている途中で意識を手放し、気が付くと猫はいなくなり、そしてまた猫が訪れる。そんな日々が毎日続いていた。今日もやってきた黒猫に、暮羽は酷く痩せ細った腕を伸ばし、骨と皮だけになってしまった手で猫を撫でる。
猫は大人しく、暮羽に甘えるように擦り寄って来る。そんな些細な猫の仕草が、暮羽はとても嬉しかった。全てから敵視され続けた事もあり、こう言った好意に満ちた行動をする猫が、暮羽に取って唯一の生きる糧になっていた。黒猫を優しく撫で続け、数十分後には暮羽は意識を手放してしまった。そんな暮羽の様子を黒猫はジッと見詰め、初めて会った時よりも痩せ細った暮羽へ歩み寄り、彼の頬をペロリと舐める。
こんなに痩せてしまって……もう直ぐだ。もう直ぐ、お前を此所から連れ出せる。だからもう少し、後少しだけ……
「必ず、迎えに来る。それまで、もう少しだけ、耐えてくれ」
黒猫から人へと変わった男は暮羽の頭を優しくひと撫でし、其処へキスを落とす。暮羽に優しい笑みを向け、「お前は、俺が幸せにする」と言い、男は一瞬にして地下牢から姿を消した。
「愛輝、これで分かっただろ? コイツは俺達に近付く為に優しいお前を利用したんだ」
「最低ですよね。愛輝の優しさに付け込んで、親友のフリをする何て……」
「愛輝ちゃん、もうこんな最低な人間とは関わらないで? ボクが居れば十分じゃん?」
「で、でも、それじゃあ、暮羽が可哀想だ! 暮羽は俺の親友だ! 俺が居なくなれば、暮羽は友達が居なくなっちゃうだろ! 友達が居ないなんて、暮羽が可哀想だ!」
「愛輝」
「愛輝は優し過ぎるんです。愛輝は騙されていたんですよ? それなのに……」
「そうだぜ、愛輝。こんな最低な人間何か放って置けよ。愛輝には俺が居れば良いじゃねーか」
「そ、そんな、仲間外れは、駄目、何だからな! そ、それに! 俺は皆と仲良くなりたいんだ!」
「愛輝……」
うっとりと愛輝と呼ばれた少年を見詰める生徒会役員。愛輝を盲目的に慕う彼等は愛輝の事を純真無垢で心優しい少年だと思い込んでいた。誰が相手であろうとも物怖じしない態度が、役職や立場等一切気にせず対等に接してくれる姿が、愛輝の全てが愛おしいと、生徒会役員達は彼を妄信的に慕っている。生徒会役員達に囲まれ、「優しい」「可愛い」「愛らしい」と口々に言われ、彼は口では否定するものの、頬を赤く染め、嬉しそうにしていた。
この場面だけ見れば、少女漫画のような甘ったるい空気なのかもしれないが、その場にはもう一人居た。先程迄生徒会役員達にまともに立つ事すら侭ならない程殴られ、蹴られ、制服はボロボロで、意識を保つのがギリギリ、その生徒の姿は酷い有様だった。
直ぐにでも治療を受けなければならない程痛めつけられている生徒を他所に、生徒会役員達も愛輝と呼ばれた少年も、彼の事等見向きもしない。大事な『親友』が傷だらけで、動く事すら出来ない状況に迄追い込まれていると言うのに、愛輝は『親友』には一切目を向けず、生徒会役員達と楽しそうに話して笑っている。
「暮羽! 何時迄其処で寝てんだよ!? そんな所で寝たら汚いだろう! 早く立てよ!」
漸く終わったのか、愛輝が彼に気付き声を掛けるが、彼の言葉は傷だらけの『親友』に対して言う台詞には到底思えない程、辛辣なものだった。暮羽は寝たくて寝ている訳では無い。毎日繰り返される暴力と、先程迄理不尽な理由で痛めつけられたせいで、起き上がりたくても起き上がれない。その事を伝えようと声を出そうとしても、口からは空気の抜ける音しか出ず、声を発する事も出来ない。
「何やってんだよ! さっさと起きろよ! 皆行っちゃうぞ!」
さっさと行ってほしい。
暮羽は心の中でそう思った。自由に動かす事の出来ない体。散々痛めつけた人達とずっと一緒にいたいと思う人間はいない。そもそも、暮羽がこの理不尽な暴力を受けているのは愛輝のせいだと言うのに、当の本人はそれにすら気付いていない。
生徒会役員達は皆、暮羽を睨みつけ、「トロい」「のろま」「役立たず」と罵っている。誰も暮羽の怪我等気にも留めない。もし、この怪我が原因で暮羽が命を落としたとしても、きっと彼等は権力を使って都合の良いように書き換えるに違いない。朦朧とする意識の中、暮羽はそう思った。
彼等に助けを求める気等、暮羽には最初から無かった。寮の同室者となっただけで『親友だ』と喚かれ付き纏われ、行きたくも無い生徒会室に無理矢理引き摺られ、関わりたくもない生徒会役員達と関わって、愛輝が『親友』だと口にする度に、愛輝に連れ回される度に、暮羽は生徒会役員達に睨まれ、敵意を向けられた。些細な嫌がらせから始まり、教材や私物を盗まれボロボロに引き裂かれ、親衛隊に迄敵視され、理不尽な仕打ちはどんどんエスカレートして行き、毎日毎日殴られ蹴られが当たり前の日常に変わってしまった。
これだけ痛め付けられていても、こんなに辛い思いをしていても、愛輝は暮羽の怪我にも気付かない。まともに歩ける状態では無いと言うのに、そんな暮羽を無理矢理連れ回し、途中で転べば非難され、そして生徒会役員や親衛隊の怒りを買い、また暴力を振われる。毎日毎日その繰り返しで、暮羽の体はもう限界ギリギリの所迄追い詰められていた。そんな状態になっても、愛輝は暮羽の傷には気付かない。
「おい! 早く起きろって!」
「いい加減にしろよ! 何時迄も愛輝を待たすんじゃねぇよ! このクズが!」
ドゴッ、と言う音と共に腹部に激しい痛みを感じ、暮羽は声を上げる事も出来ず、地面を転がる。しかし、転がった場所が悪かった。
暮羽が転がった場所に、冷たいコンクリートの感触は無かった。霞んだ視界で生徒会役員達が顔を真っ青にしている姿を最後に、暮羽の体は下へと落ちて行く。
あぁ、俺……死ぬんだ……
愛輝に無理矢理連れ回され、理不尽な理由で敵視され、殴られて、散々痛めつけられて、最後は屋上から突き落とされるなんて……
本当は、誰かに助けてほしかった。誰かに『助けて』と言いたかった。でも、言えなかった。言った所で、誰も助けてくれない。
死にたく、ない、なぁ……
そう心の中では思うものの、暮羽にはどうする事も出来ず……ただ、涙を流す事しか出来なかった。
『おぉ、神子様』
『神子様、どうか、どうかこの国をお救い下さい』
『美しい。これほど迄に美しい神子を見たのは初めてだ』
『神子様』
『神子様』
『無礼者め。神子であるアイラに不躾に触れようとは……』
『黒い髪に、黒い目……コヤツは、間違いなく忌み子で御座いますな』
『何故このような穢らわしい忌み子がこの神殿に居るんだ?』
『召喚の儀は正しく行われた筈ですが……』
『フン、穢らわしい存在め。今此所で貴様を殺しても構わんが、アイラがお前を殺すなと言うからな。アイラに感謝しろ、忌み子』
『この忌み子は如何なさいますか?』
『地下牢にでも入れておけ』
『畏まりました』
暮羽は薄暗い地下牢に閉じ込められていた。屋上から蹴り落とされた時、暮羽は死を覚悟した。しかし、何時迄経っても衝撃はなく、気が付くと見知らぬ神殿らしき建物の中に愛輝と共に居た。其処に何人もの人々が訪れ、愛輝を目にした人々は口々に『神子様』と呼び、誰もが愛輝を褒め讃えた。彼等の話によると、此所は異世界で、国を救うべく別の世界から『神子』を召喚したのだと。神子とは、この世界を救う救世主である事、その神子こそが愛輝であると言う事。彼は何処に行っても愛されるんだ、と他人事のように暮羽が考えていると、この国の人々は暮羽を見て一瞬にして顔を忌々しそうに歪めた。
『忌み子』
『不幸を齎す』
『殺す』
『地下牢』
朦朧とする意識の中で、暮羽が辛うじて聞き取れたのは自分に取って良くない言葉の単語だけだった。黒い髪に黒い目をしていると言うだけで、地下牢に閉じ込められ、怪我の手当もされず、来た時のままの姿で暮羽は此所へ放り込まれてしまった。地下牢に閉じ込められて何日か。日の光が差し込まない地下牢では時間の感覚が分からず、今が昼なのか夜なのか、暮羽が知る術は無い。食事は与えられるものの、どれもこれもが残飯ばかりで、時には腐ったものを出された事もあった。怪我の手当もされず、まともな食事さえ儘ならず、暮羽の体は来た時よりも更に痩せ細ってしまった。
地下牢生活をし始めて数週間。暮羽はもう立つ事すら出来ない程体が弱り切っていた。怪我は悪化し、体は痩せこけ、意識を保つ事すら儘ならず、暮羽は何時死んでも可笑しくない状況だった。朦朧とする意識の中、突然暮羽の耳に何かが聞こえる。
ァ……ニ……ァ……ニャァ……
直ぐ近くで聞こえる何かに、虚ろな目を音のする方へゆっくりと向ける。
「ぁ……」
牢屋越しに、何かが居る。暮羽はゆっくりとその場所へ手を伸ばす。恐る恐る腕を伸ばし、黒い何かに触れると、黒い何かはまた『ニャァ』と鳴く。
猫……黒い、猫だ。
暮羽の前に現れたのは黒猫だった。何故こんな地下牢に黒猫が居るのか。黒は不吉な色じゃなかったのか、疑問に思う事は多々あるが、暮羽はそれ以上に黒猫の存在に酷く安心した。伸ばした腕をゆっくりと動かし、黒猫を優しく撫でると、黒猫は嫌がる素振りは見せず、暮羽の手に擦り寄り、再び『ニャァ』と鳴く。今迄、理不尽な仕打ちばかり受けていた暮羽は例え相手が猫であったとしても、擦り寄って来てくれる事が嬉しかった。
「……ね、こ……あり……が、と」
この時、暮羽は初めて笑顔を見せた。安心したような、大切なものを慈しむような、そんな優しさに満ちた笑顔だった。暮羽の笑顔を見た瞬間、黒猫の体がビクリと震える。しかし、意識が朦朧としている暮羽は猫を撫でる気力も失い、その儘意識を失ってしまう。
気を失った暮羽に、黒猫は慌てて彼の元へ走り寄る。体中傷だらけで、着ているものはボロボロ。体は痩せ細り、顔色も悪い。しかし、暮羽の胸が上下に動いているのを確認し、黒猫は少しだけ安堵した。暮羽が撫でてくれた細い手に自分の頭を擦り付け、ペロリとひと舐めすると黒猫はその場から姿を消した。
「遅かったですね。陛下」
「あぁ」
「人間共が神子を召喚した噂は本当だったんですか?」
「あぁ」
「となれば、近い未来に人間共が此所へ攻め込むかもしれませんね」
「あぁ」
「人間如きに手子摺るとは思っておりませんが、人間のする事は何処迄も醜いですからね。用心するに越した事は無いですよ」
「あぁ」
「陛下?」
「あぁ」
「陛下? 聞いておられるのですか?」
「…………」
「陛下!」
「リューイ」
「はい」
「花嫁を迎え入れる。準備をして置け」
「はあ!?」
陛下の言葉に、リューイと呼ばれた男は驚き目を見開く。冗談で言っている訳ではない。彼は本当に花嫁を迎える気なのだ。彼の表情や態度を見ればそれは一目瞭然で。だからこそリューイは驚いた。陛下と呼ばれた男は、何に対しても無関心で、花嫁に等一切の興味を示さなかった。他の者達が何度か『花嫁は如何なさいますか?』と伺った事があったが、全て『興味無い』と言い捨てていた。そんな男の口から、はっきりと『花嫁を迎え入れる』と言われれば、誰だって驚く事だろう。それ程迄に、この男は何に対しても無関心なのだ。
「花嫁、ですか。唐突ですね。そのご様子だと、花嫁となる者は既に決めておられるのですね」
「あぁ」
「そうですか。それで、相手は誰なんです?」
「人間だ」
「は?」
リューイは再び驚き、男を凝視する。男の「人間」と言う言葉に、リューイは信じられないと言いたそうな顔をする。花嫁を迎え入れると言う発言だけでも衝撃的なのに、その花嫁が誰かと問えば「人間」だと言う。
「人間は嫌いではなかったのですか?」
「人間は皆耳障りで鬱陶しいに決まっているだろう」
「ならば何故……」
「だが、あの人間は違う」
「…………」
「あの人間は、俺の花嫁だ」
そう断言し、柔らかな表情をする。今迄ずっと無表情で不機嫌そうにしていた男が、此所迄表情を崩す姿を見るのは子供の頃から一緒にいたリューイでさえもこれが初めてだった。
陛下は本気で人間を花嫁として迎え入れる気だと、リューイは思った。この男の表情を此所迄崩させる相手に、リューイは興味を抱いた。相手が人間ならば尚更に……
「貴方のする事に五月蝿く言う気はありませんが、人間を陛下の花嫁に迎える事を、他の者達が納得するのでしょうか」
此所には人間を嫌悪する者も数多く存在する。住処を奪われた者。家族を殺された者。捕らえられ玩具にされた者。人間に対し興味も無ければ敵意も無い者も確かに存在するが、此所にいる者達は人間に対して何かしら深い恨みを持った者がほとんどである。だからこそ、リューイは念の為、彼等を統べる男に対して、釘を刺した。
「愚問だ。直ぐに気に入る」
「で、ですが、相手は人間……」
「会えば分かる。俺のする事に口出しする輩は根刮ぎ排除するだけだ」
「…………」
ダークグレイの瞳に仄暗い闇が垣間見え、リューイは戦慄し体を強張らせた。この男は有言実行。言った事は必ず行動に移す。相手が誰であろうと、文句を言う輩は全て排除し、自分に従う者しか護らない。
「魔王であるこの俺に異見すると言う事は、死を覚悟していると言う意と同意だ」
冷酷で残虐。しかし、鋭く冷たい雰囲気を醸し出す魔王の姿は、誰が見ても「美しい」と見惚れる程美麗なものだった。
可哀想に……
陛下に此所迄気に入られた人間は、二度と彼から逃げ出す事は出来ないだろう。捕らえられたが最後、永遠にこの男に囚われ、意思等関係無く、骨の髄迄侵されて行くのだろうと思うと、リューイは彼に気に入られた人間に同情した。
地下牢に閉じ込められて数週間。暮羽の扱いは最初と何一つ変わらず、食事は何時も残飯か腐りかけのものばかり。怪我の手当もされる事無く、食事を運びに来た人々は皆暮羽の姿を見て顔を歪め「汚い」と言って罵った。時々、愛輝や彼の取り巻きが暮羽の元へ訪れるが、暮羽を地下牢から出す気は一切無く、暮羽を見て好き勝手罵って、満足したら帰ると言うのが常だった。
『暮羽は不幸を齎す忌み子何だってな! 皆に不幸を齎す何て駄目なんだぞ! そんな事してるから此所に閉じ込められたんだろ! そう言うの良くないんだぞ!』
『神子様、あまり忌み子に近付かないで下さい。何時何をされるか分かったものではありませんからね』
『そうだぞ? アイラ。こんな不気味で気持ち悪い忌み子何かと一緒にいたら綺麗なお前が穢されちまうだろうが』
『な、何言ってんだよ!? お、俺はそう言うの気にしないぞ! そ、それに、暮羽は俺の親友だ!』
『神子様は優しいねぇ。こんな忌み子何かを気にかける何てさ……』
暮羽にはどれも聞き慣れた言葉だった。環境は違えど、暮羽に対する仕打ちは前の世界の生徒会役員と何一つ変わらない。違うと言えば、暴力を振るわれる事はないと言う事だけだった。幸い、この世界の人間達は余程黒を恐れ忌み嫌っているのか、触れる事すら気味悪がり、暮羽に触ろうとする者はいない。その為、暮羽に取ってはこちらの方がマシと言えばマシだった。こんな理不尽な扱いをされ、存在自体を全否定され、嫌われ、敵意を向けられ、暮羽は何時も思っていた。
どうして俺だけが、こんな扱いを受けなきゃならないんだ。
何で、俺ばっかり辛い思いをしなきゃいけないんだ。
全部全部、広瀬愛輝が暮羽の同室者になってから可笑しくなった。今迄ずっと平穏に過ごしていたのに、愛輝が同室になってから、暮羽の地獄は始まった。嫌だと言っても無理矢理連れ回し、断っても全く聞く耳を持たず、何かに付けて『親友だろ』と言って、縛り付けて。そのくせ、生徒会役員達に敵視され理不尽な理由で暴力を受けている事にも気付かず、親衛隊達に痛めつけられても、壮絶な苛めに遭っても、愛輝は全く気付かずに、まるで全て暮羽が悪いと言うような発言ばかりする。
そんな愛輝の存在が鬱陶しいと何度も思った。いっそ消えてしまえば良いのにと思った事だって何度もある。それ程迄に、暮羽は愛輝の事を恨み、嫌悪していた。
もう、放っておいてほしい、それが暮羽が一番望む事だった。もう関わらないでほしい。振り回さないでほしい。
「ニャァ」
「……ね……こ?」
暮羽が物思いに耽っていると、突然猫の鳴き声が聞こえた。声のする方へ視線を向けると、其処には見慣れた黒い猫が居た。何処から来たのかは分からない。初めて会ったその日から、この黒猫は毎日のように暮羽の元へ訪れている。何をする訳でもない。擦り寄ってくる猫の体を撫で、食べられるものがあれば、食べ物を猫に全て譲り、また猫を撫でる。数十分程猫を撫で、撫でている途中で意識を手放し、気が付くと猫はいなくなり、そしてまた猫が訪れる。そんな日々が毎日続いていた。今日もやってきた黒猫に、暮羽は酷く痩せ細った腕を伸ばし、骨と皮だけになってしまった手で猫を撫でる。
猫は大人しく、暮羽に甘えるように擦り寄って来る。そんな些細な猫の仕草が、暮羽はとても嬉しかった。全てから敵視され続けた事もあり、こう言った好意に満ちた行動をする猫が、暮羽に取って唯一の生きる糧になっていた。黒猫を優しく撫で続け、数十分後には暮羽は意識を手放してしまった。そんな暮羽の様子を黒猫はジッと見詰め、初めて会った時よりも痩せ細った暮羽へ歩み寄り、彼の頬をペロリと舐める。
こんなに痩せてしまって……もう直ぐだ。もう直ぐ、お前を此所から連れ出せる。だからもう少し、後少しだけ……
「必ず、迎えに来る。それまで、もう少しだけ、耐えてくれ」
黒猫から人へと変わった男は暮羽の頭を優しくひと撫でし、其処へキスを落とす。暮羽に優しい笑みを向け、「お前は、俺が幸せにする」と言い、男は一瞬にして地下牢から姿を消した。
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