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番外編「結婚式」
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エルフの王シトロニエとの交流はとても参考になり、有意義な時間を過ごすことができた。彼とは伴侶の可愛さについてずっと言い争っていたが、最終的にはお互いに手を取り合って「お前やるな?」と言う謎の友情が生まれた。
赫焉もシトロニエも伴侶が人間と言う共通点がある。それに加え、ドラゴンもエルフも長寿で、寿命もほぼ同じ。長い時を生きる者同士、共感することも多く、何時しか二人は親友と呼べる程の仲にまでなっていた。何がどうしてそうなった? という水陰と緋炎の指摘は当然スルーされた。
「赫焉殿の国は良いな。人間を伴侶として認めてくれるのだから」
「エルフは人間が嫌いだと聞いている。カナタを認めておらぬ者も多いのか?」
「そうだな。何度カナタを失いそうになったか分からん。いっそ、大樹の森を捨てて二人でひっそりと暮らせる場所へ逃げようかとも思ったが、私のこの容姿では目立ってしまう。周囲に怯えながら逃亡生活をするくらいなら、エルフの王としてカナタを伴侶にした方が良いと思ったのだが、やはり認めない者は多い」
「ショウやアキラには何も言わぬだろう?」
「貴方が怖くて言えないが正しい。本当は直ぐにでも式を挙げたいが、カナタが狙われる可能性が高くて出来ないのが現状だ」
「ならば、我に良い考えがあるぞ?」
「考え?」
「あぁ」
赫焉は自信満々に笑って、シトロニエにあることを提案した。その後、赫焉達は再び天竜国へと戻った。
大樹の森を訪れてから約一ヶ月程経った頃、赫焉と将は天竜国で結婚式を挙げた。赫焉は袴姿で、将は白無垢姿で民達の前に現れ、彼らは大きな歓声を挙げて二人を祝福した。少し離れた場所にはタキシード姿のシトロニエと、ウエディングドレス姿の彼方。
大樹の森で結婚式が出来ないなら、天竜国ですればいい。赫焉からそう提案されたシトロニエは、少し迷いはしたものの、やはりちゃんと結婚式を挙げて彼方への愛を証明したいと告げ、赫焉の提案を受け入れた。大樹の森では歓迎されなかったのに、天竜国では将だけでなく彼方も民達に認められて、彼は嬉しくて泣いてしまった。
「カナタは何を着ても似合うな。今日のカナタはすごく可愛くて、綺麗で、誰よりも愛おしい」
「シトさんも、すごく綺麗で、格好いいです」
「カナタ!」
「わ!」
あまりの可愛さにシトロニエは我慢できず彼方を強く抱きしめる。突然抱きしめられて驚きはしたものの、彼の愛が伝わってそっと抱きしめ返す。愛しい人の腕の中で、彼方は嬉しくてまた涙を流した。
「ショウ。これからもずっと、我の傍にいてくれ。我の愛しい伴侶」
「はい。一緒に居ます。赫焉さん」
照れたように笑う将は誰よりも可愛くて、赫焉は我慢できず彼に口付けた。二組の仲の良さを見せ付けられた民達は「お幸せに!」と祝福の言葉を叫ぶ。多くの民達から祝福され、結婚式を挙げて良かったと赫焉とシトロニエは優しい笑みを浮かべた。
赫焉もシトロニエも伴侶が人間と言う共通点がある。それに加え、ドラゴンもエルフも長寿で、寿命もほぼ同じ。長い時を生きる者同士、共感することも多く、何時しか二人は親友と呼べる程の仲にまでなっていた。何がどうしてそうなった? という水陰と緋炎の指摘は当然スルーされた。
「赫焉殿の国は良いな。人間を伴侶として認めてくれるのだから」
「エルフは人間が嫌いだと聞いている。カナタを認めておらぬ者も多いのか?」
「そうだな。何度カナタを失いそうになったか分からん。いっそ、大樹の森を捨てて二人でひっそりと暮らせる場所へ逃げようかとも思ったが、私のこの容姿では目立ってしまう。周囲に怯えながら逃亡生活をするくらいなら、エルフの王としてカナタを伴侶にした方が良いと思ったのだが、やはり認めない者は多い」
「ショウやアキラには何も言わぬだろう?」
「貴方が怖くて言えないが正しい。本当は直ぐにでも式を挙げたいが、カナタが狙われる可能性が高くて出来ないのが現状だ」
「ならば、我に良い考えがあるぞ?」
「考え?」
「あぁ」
赫焉は自信満々に笑って、シトロニエにあることを提案した。その後、赫焉達は再び天竜国へと戻った。
大樹の森を訪れてから約一ヶ月程経った頃、赫焉と将は天竜国で結婚式を挙げた。赫焉は袴姿で、将は白無垢姿で民達の前に現れ、彼らは大きな歓声を挙げて二人を祝福した。少し離れた場所にはタキシード姿のシトロニエと、ウエディングドレス姿の彼方。
大樹の森で結婚式が出来ないなら、天竜国ですればいい。赫焉からそう提案されたシトロニエは、少し迷いはしたものの、やはりちゃんと結婚式を挙げて彼方への愛を証明したいと告げ、赫焉の提案を受け入れた。大樹の森では歓迎されなかったのに、天竜国では将だけでなく彼方も民達に認められて、彼は嬉しくて泣いてしまった。
「カナタは何を着ても似合うな。今日のカナタはすごく可愛くて、綺麗で、誰よりも愛おしい」
「シトさんも、すごく綺麗で、格好いいです」
「カナタ!」
「わ!」
あまりの可愛さにシトロニエは我慢できず彼方を強く抱きしめる。突然抱きしめられて驚きはしたものの、彼の愛が伝わってそっと抱きしめ返す。愛しい人の腕の中で、彼方は嬉しくてまた涙を流した。
「ショウ。これからもずっと、我の傍にいてくれ。我の愛しい伴侶」
「はい。一緒に居ます。赫焉さん」
照れたように笑う将は誰よりも可愛くて、赫焉は我慢できず彼に口付けた。二組の仲の良さを見せ付けられた民達は「お幸せに!」と祝福の言葉を叫ぶ。多くの民達から祝福され、結婚式を挙げて良かったと赫焉とシトロニエは優しい笑みを浮かべた。
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