14 / 15
番外編「結婚式」
しおりを挟む
エルフの王シトロニエとの交流はとても参考になり、有意義な時間を過ごすことができた。彼とは伴侶の可愛さについてずっと言い争っていたが、最終的にはお互いに手を取り合って「お前やるな?」と言う謎の友情が生まれた。
赫焉もシトロニエも伴侶が人間と言う共通点がある。それに加え、ドラゴンもエルフも長寿で、寿命もほぼ同じ。長い時を生きる者同士、共感することも多く、何時しか二人は親友と呼べる程の仲にまでなっていた。何がどうしてそうなった? という水陰と緋炎の指摘は当然スルーされた。
「赫焉殿の国は良いな。人間を伴侶として認めてくれるのだから」
「エルフは人間が嫌いだと聞いている。カナタを認めておらぬ者も多いのか?」
「そうだな。何度カナタを失いそうになったか分からん。いっそ、大樹の森を捨てて二人でひっそりと暮らせる場所へ逃げようかとも思ったが、私のこの容姿では目立ってしまう。周囲に怯えながら逃亡生活をするくらいなら、エルフの王としてカナタを伴侶にした方が良いと思ったのだが、やはり認めない者は多い」
「ショウやアキラには何も言わぬだろう?」
「貴方が怖くて言えないが正しい。本当は直ぐにでも式を挙げたいが、カナタが狙われる可能性が高くて出来ないのが現状だ」
「ならば、我に良い考えがあるぞ?」
「考え?」
「あぁ」
赫焉は自信満々に笑って、シトロニエにあることを提案した。その後、赫焉達は再び天竜国へと戻った。
大樹の森を訪れてから約一ヶ月程経った頃、赫焉と将は天竜国で結婚式を挙げた。赫焉は袴姿で、将は白無垢姿で民達の前に現れ、彼らは大きな歓声を挙げて二人を祝福した。少し離れた場所にはタキシード姿のシトロニエと、ウエディングドレス姿の彼方。
大樹の森で結婚式が出来ないなら、天竜国ですればいい。赫焉からそう提案されたシトロニエは、少し迷いはしたものの、やはりちゃんと結婚式を挙げて彼方への愛を証明したいと告げ、赫焉の提案を受け入れた。大樹の森では歓迎されなかったのに、天竜国では将だけでなく彼方も民達に認められて、彼は嬉しくて泣いてしまった。
「カナタは何を着ても似合うな。今日のカナタはすごく可愛くて、綺麗で、誰よりも愛おしい」
「シトさんも、すごく綺麗で、格好いいです」
「カナタ!」
「わ!」
あまりの可愛さにシトロニエは我慢できず彼方を強く抱きしめる。突然抱きしめられて驚きはしたものの、彼の愛が伝わってそっと抱きしめ返す。愛しい人の腕の中で、彼方は嬉しくてまた涙を流した。
「ショウ。これからもずっと、我の傍にいてくれ。我の愛しい伴侶」
「はい。一緒に居ます。赫焉さん」
照れたように笑う将は誰よりも可愛くて、赫焉は我慢できず彼に口付けた。二組の仲の良さを見せ付けられた民達は「お幸せに!」と祝福の言葉を叫ぶ。多くの民達から祝福され、結婚式を挙げて良かったと赫焉とシトロニエは優しい笑みを浮かべた。
赫焉もシトロニエも伴侶が人間と言う共通点がある。それに加え、ドラゴンもエルフも長寿で、寿命もほぼ同じ。長い時を生きる者同士、共感することも多く、何時しか二人は親友と呼べる程の仲にまでなっていた。何がどうしてそうなった? という水陰と緋炎の指摘は当然スルーされた。
「赫焉殿の国は良いな。人間を伴侶として認めてくれるのだから」
「エルフは人間が嫌いだと聞いている。カナタを認めておらぬ者も多いのか?」
「そうだな。何度カナタを失いそうになったか分からん。いっそ、大樹の森を捨てて二人でひっそりと暮らせる場所へ逃げようかとも思ったが、私のこの容姿では目立ってしまう。周囲に怯えながら逃亡生活をするくらいなら、エルフの王としてカナタを伴侶にした方が良いと思ったのだが、やはり認めない者は多い」
「ショウやアキラには何も言わぬだろう?」
「貴方が怖くて言えないが正しい。本当は直ぐにでも式を挙げたいが、カナタが狙われる可能性が高くて出来ないのが現状だ」
「ならば、我に良い考えがあるぞ?」
「考え?」
「あぁ」
赫焉は自信満々に笑って、シトロニエにあることを提案した。その後、赫焉達は再び天竜国へと戻った。
大樹の森を訪れてから約一ヶ月程経った頃、赫焉と将は天竜国で結婚式を挙げた。赫焉は袴姿で、将は白無垢姿で民達の前に現れ、彼らは大きな歓声を挙げて二人を祝福した。少し離れた場所にはタキシード姿のシトロニエと、ウエディングドレス姿の彼方。
大樹の森で結婚式が出来ないなら、天竜国ですればいい。赫焉からそう提案されたシトロニエは、少し迷いはしたものの、やはりちゃんと結婚式を挙げて彼方への愛を証明したいと告げ、赫焉の提案を受け入れた。大樹の森では歓迎されなかったのに、天竜国では将だけでなく彼方も民達に認められて、彼は嬉しくて泣いてしまった。
「カナタは何を着ても似合うな。今日のカナタはすごく可愛くて、綺麗で、誰よりも愛おしい」
「シトさんも、すごく綺麗で、格好いいです」
「カナタ!」
「わ!」
あまりの可愛さにシトロニエは我慢できず彼方を強く抱きしめる。突然抱きしめられて驚きはしたものの、彼の愛が伝わってそっと抱きしめ返す。愛しい人の腕の中で、彼方は嬉しくてまた涙を流した。
「ショウ。これからもずっと、我の傍にいてくれ。我の愛しい伴侶」
「はい。一緒に居ます。赫焉さん」
照れたように笑う将は誰よりも可愛くて、赫焉は我慢できず彼に口付けた。二組の仲の良さを見せ付けられた民達は「お幸せに!」と祝福の言葉を叫ぶ。多くの民達から祝福され、結婚式を挙げて良かったと赫焉とシトロニエは優しい笑みを浮かべた。
1,739
お気に入りに追加
2,405
あなたにおすすめの小説

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。

弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。

オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています
八神紫音
BL
魔道士はひ弱そうだからいらない。
そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。
そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、
ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。
愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる
彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。
国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。
王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。
(誤字脱字報告は不要)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる