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第一部
囲い込みは隠密に3
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俺とユベール様の想いが通じ合ったと知ったステラさん達はそれはもう大喜びで、出された料理もかなり豪華だった。何時もは青いドレスを着せられるのに、今日ユベール様が持ってきたドレスは純白。宝石もダイヤモンドのみ。何故か手袋とベールまで用意されているんだけど、これって誰がどう見てもウエディングドレス、だよな?
「俺とジャノの想いが通じ合った記念です! 今から結婚式の予習をしてもいいと思いませんか!?」
「気が早すぎませんか!? 俺、好きって言っただけで結婚するとは言ってませんよ!?」
「ジャノ。俺とあんな甘い夜を過ごしたのに、今更他の男で満足するんですか?」
「無邪気な子どものような笑顔でえげつないこと言わないでください!」
俺、本当にユベール様のことが好きなんだろうか。今更俺の出した答えに自信がなくなってきたぞ? いや、ユベール様がヤバい人っていうのは薄々気付いていたけどさ。それでも好きになったのも事実だけどさ。でも、だからと言っていきなりウエディングドレスが出てくるとは思わないだろ! というかウエディングドレスも用意してたとか最早ホラーでしかないじゃん!
「着てください! ジャノ! このドレスを着て、公爵邸を一周しましょう!」
「公開処刑って言葉知ってます!?」
「大丈夫です! ジャノが疲れて歩けないなら、俺が抱き上げて歩くので!」
「どっちにしても公開処刑!」
必死に断ろうとしたが、ユベール様にゴリ押しされて俺はウエディングドレスを着せられてしまった。手袋も嵌められ、宝飾品も飾られ、ベールを付けられ、俺の目は更に死んだ。
「まあ! お美しいですわ! ジャノ様!」
「ステラさん。それ、褒めてないです」
「本当のことですよ! ありがとうございます。ジャノ様! ユベール坊っちゃまの想いを受け入れてくださって!」
「まだ恋人の段階の筈なんですけど」
「ジャノ様。諦めてください」
「ぅう。レイモンさあん。俺、逃げたいですう」
「逃げたらユベール様に監禁されますよ?」
「…………」
ユベール様ならガチで監禁しそうで怖い。レイモンさん、真面目な顔をして言わないでください。不安になってきた。俺、このままユベール様と結ばれていいのかな? 大丈夫かな? やっていけるのかな?
「マリッジブルーですか?」
「既に結婚すること前提!?」
怖い、怖いよお、公爵家。俺がビクビク怯えていると、ユベール様が着替えを済ませて俺の部屋に入ってきた。白いタキシード姿だった。何故?
「さあジャノ! この姿で公爵邸を一周しましょう!」
「やあああああああああああああああ! レイモンさああああああああん! 助けてえぇえええええええええええええ!」
「ユベール様とお幸せに」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ俺をユベール様がキスをして黙らせ、俺がとろんとしている間に姫抱きにする。そして、ユベール様は断言した通り、この格好で公爵邸を一周した。どんなに時間がかかろうが一周したのだ。公爵邸に仕える人達に見せびらかす為に。すれ違う度に「おめでとうございます!」と祝福された。中にはバラの花びらを散らす人もいた。フラワーシャワーだっけ? も、もう止めて。恥ずかしいから、本当に止めて! ユベール様!
「ジャノ。俺が貴方を幸せにしますから、怯えないでください」
「ひ、ひゃい」
俺って、かなりチョロいかも。ユベール様にそう言われただけで「大丈夫なんだ」って思ってしまうのだから。だって、だってユベール様が格好いいんだもん! こんなにも麗しい方から「幸せにする」って言われたら断れる訳ないじゃん! 自分の気持ちに気付いた後なら尚更! 恋は盲目って、本当だったんだな。俺、どんどんユベール様のことを好きになってる。恥ずかしくて俯いていると、ユベール様に「ジャノ、顔を上げて?」と言われ、ユベール様の顔を見る。
「やはり貴方は、私だけの大天使様です。ジャノ」
ちゅ、と啄ばむようなキスをされ、俺は「ユ、ユベール様。これ以上、俺の心を虜にしないでください」と言ってしまった。ユベール様は一瞬固まった後、俺を更に強くギュウギュウと抱きしめる。可愛い可愛いと何度も呟いて、嬉しそうに微笑んで。そんな顔を見たら、俺ももっと好きになって。
「ユベール様と幸せになりたい、です」
「俺も、ジャノと幸せになりたい」
想いを伝え合った瞬間、周囲から大きな歓声が響いた。みんなから「おめでとう」と言われ、祝福され、ラナ様とクレマン様まで駆け付けて来て「ありがとう!」とお礼を言われ、俺は恥ずかしくて顔を隠してしまった。そんな俺のおでこにちゅ、と口付けて、ユベール様はまた「可愛い」と呟いた。ユベール様、俺、幸せすぎて限界です!
◇
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
第一部完結です。明日からは第二部となります。
また、お気に入り登録、感想、いいね、エールなど、本当にありがとうございます! とても励みになります。
「俺とジャノの想いが通じ合った記念です! 今から結婚式の予習をしてもいいと思いませんか!?」
「気が早すぎませんか!? 俺、好きって言っただけで結婚するとは言ってませんよ!?」
「ジャノ。俺とあんな甘い夜を過ごしたのに、今更他の男で満足するんですか?」
「無邪気な子どものような笑顔でえげつないこと言わないでください!」
俺、本当にユベール様のことが好きなんだろうか。今更俺の出した答えに自信がなくなってきたぞ? いや、ユベール様がヤバい人っていうのは薄々気付いていたけどさ。それでも好きになったのも事実だけどさ。でも、だからと言っていきなりウエディングドレスが出てくるとは思わないだろ! というかウエディングドレスも用意してたとか最早ホラーでしかないじゃん!
「着てください! ジャノ! このドレスを着て、公爵邸を一周しましょう!」
「公開処刑って言葉知ってます!?」
「大丈夫です! ジャノが疲れて歩けないなら、俺が抱き上げて歩くので!」
「どっちにしても公開処刑!」
必死に断ろうとしたが、ユベール様にゴリ押しされて俺はウエディングドレスを着せられてしまった。手袋も嵌められ、宝飾品も飾られ、ベールを付けられ、俺の目は更に死んだ。
「まあ! お美しいですわ! ジャノ様!」
「ステラさん。それ、褒めてないです」
「本当のことですよ! ありがとうございます。ジャノ様! ユベール坊っちゃまの想いを受け入れてくださって!」
「まだ恋人の段階の筈なんですけど」
「ジャノ様。諦めてください」
「ぅう。レイモンさあん。俺、逃げたいですう」
「逃げたらユベール様に監禁されますよ?」
「…………」
ユベール様ならガチで監禁しそうで怖い。レイモンさん、真面目な顔をして言わないでください。不安になってきた。俺、このままユベール様と結ばれていいのかな? 大丈夫かな? やっていけるのかな?
「マリッジブルーですか?」
「既に結婚すること前提!?」
怖い、怖いよお、公爵家。俺がビクビク怯えていると、ユベール様が着替えを済ませて俺の部屋に入ってきた。白いタキシード姿だった。何故?
「さあジャノ! この姿で公爵邸を一周しましょう!」
「やあああああああああああああああ! レイモンさああああああああん! 助けてえぇえええええええええええええ!」
「ユベール様とお幸せに」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ俺をユベール様がキスをして黙らせ、俺がとろんとしている間に姫抱きにする。そして、ユベール様は断言した通り、この格好で公爵邸を一周した。どんなに時間がかかろうが一周したのだ。公爵邸に仕える人達に見せびらかす為に。すれ違う度に「おめでとうございます!」と祝福された。中にはバラの花びらを散らす人もいた。フラワーシャワーだっけ? も、もう止めて。恥ずかしいから、本当に止めて! ユベール様!
「ジャノ。俺が貴方を幸せにしますから、怯えないでください」
「ひ、ひゃい」
俺って、かなりチョロいかも。ユベール様にそう言われただけで「大丈夫なんだ」って思ってしまうのだから。だって、だってユベール様が格好いいんだもん! こんなにも麗しい方から「幸せにする」って言われたら断れる訳ないじゃん! 自分の気持ちに気付いた後なら尚更! 恋は盲目って、本当だったんだな。俺、どんどんユベール様のことを好きになってる。恥ずかしくて俯いていると、ユベール様に「ジャノ、顔を上げて?」と言われ、ユベール様の顔を見る。
「やはり貴方は、私だけの大天使様です。ジャノ」
ちゅ、と啄ばむようなキスをされ、俺は「ユ、ユベール様。これ以上、俺の心を虜にしないでください」と言ってしまった。ユベール様は一瞬固まった後、俺を更に強くギュウギュウと抱きしめる。可愛い可愛いと何度も呟いて、嬉しそうに微笑んで。そんな顔を見たら、俺ももっと好きになって。
「ユベール様と幸せになりたい、です」
「俺も、ジャノと幸せになりたい」
想いを伝え合った瞬間、周囲から大きな歓声が響いた。みんなから「おめでとう」と言われ、祝福され、ラナ様とクレマン様まで駆け付けて来て「ありがとう!」とお礼を言われ、俺は恥ずかしくて顔を隠してしまった。そんな俺のおでこにちゅ、と口付けて、ユベール様はまた「可愛い」と呟いた。ユベール様、俺、幸せすぎて限界です!
◇
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