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第4章
デート2
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「あの黒い髪の子、誰だろう?」
「ユリウス様の知り合いかしら?」
「あの子、髪は黒いけど、可愛いよな……」
「ユリウス様の知り合いじゃなかったら、口説いてたのになぁ」
「綺麗だよなぁ。あんな服、初めて見たけど、あの子にすごく似合ってるし」
「あの子と話したいけど……」
「やめとけ、相手がユリウス様じゃ勝ち目ねぇよ」
「だよなぁ」
ユリウス達の姿を遠目で見ながら、ヒソヒソと話す街の人達。夕の姿はとても目立ち、彼等の話題は何処へ行っても夕の事だった。「可愛い」、「綺麗」、「美しい」等、夕を賞賛する声。中には「口説きたい」や、「一緒にお茶したい」と言う者も居て、ユリウスは気が気ではなかった。
少しでも目を離してしまったら、夕が攫われるのではないか。街の人々に話しかけられて、連れて行かれるのではないか。自分が綺麗だと言う自覚がない夕は、街の人々を恐れている。それが不幸中の幸いだったかもしれない。
何時も一緒に居る鈴は城に残り、頼りになるリベルテはシンジュと買い物を楽しんでおり、夕が頼れるのはユリウスのみ。隠れるように背中に抱きついたり、顔を赤くして涙目で見詰めてきたり、普段では決して甘える事のない夕が、少しだけ甘えてくれる事が、ユリウスはとても嬉しかった。
嬉しい反面、周囲の人々に嫉妬もしていた。夕が1人になるのを見計らったかのように、何人かの男達が夕に話し掛けようとした。彼等が声をかける前に、ユリウスが夕に近付き、そっとを抱き寄せると、彼等はピタリと動きを止めた。夕に優しい笑みを見せた後、男達に視線を向ける。
優しい表情ではなく、凍て付くような冷たい視線。少し殺気の混じった目を見て、男達は顔を真っ青にして、その場から去って行った。
それは一度や二度では無く、今日で何回目かも分からぬ程、ユリウスは夕に近付こうとする者を遠ざけた。
「ユウさん! これ、すっごく美味しいです! 食べてみてください!」
「え? 良いのか?」
「はい! あの、その代わり、ユウさんの、一口食べても良いですか?」
「分かった。じゃあ、一口」
「はい!」
「ん? 美味いな。これって……」
「桃のシャーベットです。ユウさんのは何ですか?」
「俺のは林檎。ほら」
「ん……あ、本当だ。甘酸っぱくて、美味しいです」
「良かった。にしても、シンジュは本当に美味そうに食べるな」
「だって、とても美味しいから……」
「…………」
「…………」
リベルテ達が買い物を終え、美味しいと評判のスイーツ専門のお店に寄り、それぞれスイーツを食べていた。シンジュは桃のシャーベット。夕は林檎のシャーベット。リベルテとユリウスは苺とラズベリーのクレープ。
手に持っているクレープは一口も食しておらず、リベルテとユリウスは夕とシンジュに視線を向けたままだった。
「天使……天使が、目の前に……何あれ、可愛い。凄く可愛い……」
「流石、俺の夕だな。普段でも十分可愛いが、今日はより一層可愛く見える」
仲良く食べ合いっこをして、嬉しそうな笑顔で話す夕とシンジュに見惚れ、二人は緩んだ表情をして、可愛い姿を堪能し続けた。
何時の間にかシャーベットを食べ終わったシンジュと夕がユリウス達を見た。
「リベルさま? 食べないんですか?」
「ユリウス様? クレープ、嫌いなんですか?」
一口も食されていないクレープを見て、二人が疑問に思い問いかけると、ユリウスとリベルテは「あ、あぁ」と言ってクレープを口にした。
良かった。嫌いだった訳じゃないんですね。
ふんわりと微笑む夕とシンジュ。二人のあまりの可愛らしい表情に、思わずクレープを落としそうになる。クレープを口にしつつも、視線はずっと二人に向けられたまま。
ユリウスとリベルテがクレープを食べ終わるまで、夕とシンジュはとても楽しそうに会話をしていた。今度はあのお店に行ってみたい、一緒に見に行きたいと笑顔で話す二人。シンジュと話していく内に、夕も緊張しなくなり、何時ものように自然に笑うようになった。
二人は楽しそうに笑い合っている。それはとても喜ばしい事だが、変な虫がつかないかと不安にもなる。ユリウスとリベルテだけでなく、近くにいた街の人々も二人に見惚れていた。
「リベルさま、クリームが……」
「ユリウス様も、どうしたんですか? クリーム、付いてますよ?」
「…………」
「…………」
二人に見惚れながら食べていたせいで、ユリウスもリベルテも口の周りにクリームが付いていた。夕とシンジュは少し驚いたような表情をして、「此処に付いてますよ?」と言って自分の口元を指差した。
親切に教えてくれる二人。しかし、ユリウスとリベルテは固まったまま動かない。可愛い姿で、可愛い仕草をする二人。少し困ったような笑顔も可愛くて……
「リベルさま」
「ユリウス様」
名前を呼ばれたと同時に、柔らかい何かが口元に当たる。ゆっくりと何かを掬うように触られ、暫くしたら離れて行った。
「な!?」
「え!?」
ペロリ。指に付いたクリームを舐め取る二人の姿を見て、ユリウスとリベルテは咄嗟に俯いた。「このクリーム美味しいですね」、「今度来た時は俺達もクレープ頼んでみるか?」と話す二人。シンジュはリベルテを見、夕はユリウスを見て、口を開いた。
「リベルさま、ごめんなさい。急に、あんな事をして……」
「済みません。急に。でも、あのまま放置するのもどうかと思って……」
シンジュがリベルテの口元に付いたクリームを指で掬い取り、夕がユリウスの口元に付いたクリームを指で掬い取った。それを理解したのは、二人が指に付いたクリームを舐め取った時。
「兄上、どうしよう。シンジュが可愛過ぎて辛い」
「同意見だ。ユウが可愛過ぎて、俺も辛い」
自分からはあまり触れて来ない二人が自分から触れてきた。その事実が嬉しくて、リベルテとユリウスは暫くその場を動く事が出来なかった。
「ユリウス様の知り合いかしら?」
「あの子、髪は黒いけど、可愛いよな……」
「ユリウス様の知り合いじゃなかったら、口説いてたのになぁ」
「綺麗だよなぁ。あんな服、初めて見たけど、あの子にすごく似合ってるし」
「あの子と話したいけど……」
「やめとけ、相手がユリウス様じゃ勝ち目ねぇよ」
「だよなぁ」
ユリウス達の姿を遠目で見ながら、ヒソヒソと話す街の人達。夕の姿はとても目立ち、彼等の話題は何処へ行っても夕の事だった。「可愛い」、「綺麗」、「美しい」等、夕を賞賛する声。中には「口説きたい」や、「一緒にお茶したい」と言う者も居て、ユリウスは気が気ではなかった。
少しでも目を離してしまったら、夕が攫われるのではないか。街の人々に話しかけられて、連れて行かれるのではないか。自分が綺麗だと言う自覚がない夕は、街の人々を恐れている。それが不幸中の幸いだったかもしれない。
何時も一緒に居る鈴は城に残り、頼りになるリベルテはシンジュと買い物を楽しんでおり、夕が頼れるのはユリウスのみ。隠れるように背中に抱きついたり、顔を赤くして涙目で見詰めてきたり、普段では決して甘える事のない夕が、少しだけ甘えてくれる事が、ユリウスはとても嬉しかった。
嬉しい反面、周囲の人々に嫉妬もしていた。夕が1人になるのを見計らったかのように、何人かの男達が夕に話し掛けようとした。彼等が声をかける前に、ユリウスが夕に近付き、そっとを抱き寄せると、彼等はピタリと動きを止めた。夕に優しい笑みを見せた後、男達に視線を向ける。
優しい表情ではなく、凍て付くような冷たい視線。少し殺気の混じった目を見て、男達は顔を真っ青にして、その場から去って行った。
それは一度や二度では無く、今日で何回目かも分からぬ程、ユリウスは夕に近付こうとする者を遠ざけた。
「ユウさん! これ、すっごく美味しいです! 食べてみてください!」
「え? 良いのか?」
「はい! あの、その代わり、ユウさんの、一口食べても良いですか?」
「分かった。じゃあ、一口」
「はい!」
「ん? 美味いな。これって……」
「桃のシャーベットです。ユウさんのは何ですか?」
「俺のは林檎。ほら」
「ん……あ、本当だ。甘酸っぱくて、美味しいです」
「良かった。にしても、シンジュは本当に美味そうに食べるな」
「だって、とても美味しいから……」
「…………」
「…………」
リベルテ達が買い物を終え、美味しいと評判のスイーツ専門のお店に寄り、それぞれスイーツを食べていた。シンジュは桃のシャーベット。夕は林檎のシャーベット。リベルテとユリウスは苺とラズベリーのクレープ。
手に持っているクレープは一口も食しておらず、リベルテとユリウスは夕とシンジュに視線を向けたままだった。
「天使……天使が、目の前に……何あれ、可愛い。凄く可愛い……」
「流石、俺の夕だな。普段でも十分可愛いが、今日はより一層可愛く見える」
仲良く食べ合いっこをして、嬉しそうな笑顔で話す夕とシンジュに見惚れ、二人は緩んだ表情をして、可愛い姿を堪能し続けた。
何時の間にかシャーベットを食べ終わったシンジュと夕がユリウス達を見た。
「リベルさま? 食べないんですか?」
「ユリウス様? クレープ、嫌いなんですか?」
一口も食されていないクレープを見て、二人が疑問に思い問いかけると、ユリウスとリベルテは「あ、あぁ」と言ってクレープを口にした。
良かった。嫌いだった訳じゃないんですね。
ふんわりと微笑む夕とシンジュ。二人のあまりの可愛らしい表情に、思わずクレープを落としそうになる。クレープを口にしつつも、視線はずっと二人に向けられたまま。
ユリウスとリベルテがクレープを食べ終わるまで、夕とシンジュはとても楽しそうに会話をしていた。今度はあのお店に行ってみたい、一緒に見に行きたいと笑顔で話す二人。シンジュと話していく内に、夕も緊張しなくなり、何時ものように自然に笑うようになった。
二人は楽しそうに笑い合っている。それはとても喜ばしい事だが、変な虫がつかないかと不安にもなる。ユリウスとリベルテだけでなく、近くにいた街の人々も二人に見惚れていた。
「リベルさま、クリームが……」
「ユリウス様も、どうしたんですか? クリーム、付いてますよ?」
「…………」
「…………」
二人に見惚れながら食べていたせいで、ユリウスもリベルテも口の周りにクリームが付いていた。夕とシンジュは少し驚いたような表情をして、「此処に付いてますよ?」と言って自分の口元を指差した。
親切に教えてくれる二人。しかし、ユリウスとリベルテは固まったまま動かない。可愛い姿で、可愛い仕草をする二人。少し困ったような笑顔も可愛くて……
「リベルさま」
「ユリウス様」
名前を呼ばれたと同時に、柔らかい何かが口元に当たる。ゆっくりと何かを掬うように触られ、暫くしたら離れて行った。
「な!?」
「え!?」
ペロリ。指に付いたクリームを舐め取る二人の姿を見て、ユリウスとリベルテは咄嗟に俯いた。「このクリーム美味しいですね」、「今度来た時は俺達もクレープ頼んでみるか?」と話す二人。シンジュはリベルテを見、夕はユリウスを見て、口を開いた。
「リベルさま、ごめんなさい。急に、あんな事をして……」
「済みません。急に。でも、あのまま放置するのもどうかと思って……」
シンジュがリベルテの口元に付いたクリームを指で掬い取り、夕がユリウスの口元に付いたクリームを指で掬い取った。それを理解したのは、二人が指に付いたクリームを舐め取った時。
「兄上、どうしよう。シンジュが可愛過ぎて辛い」
「同意見だ。ユウが可愛過ぎて、俺も辛い」
自分からはあまり触れて来ない二人が自分から触れてきた。その事実が嬉しくて、リベルテとユリウスは暫くその場を動く事が出来なかった。
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