あまりものの神子《完結》

トキ

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悪意への反撃7

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 腰に鈍い痛みが走ってベッドに沈み込んでしまう。まだ熱っぽくて体を動かせない。

「大丈夫ですか? クウ」
「ぅう。オーバン様、やめてって、言った、のに」
「ごめんなさい。可愛らしく強請るクウを見ていたら、我慢できなくなりました」

 熱が下がって自由に動けるようになったと思ったら、僕はまたオーバン様に抱かれた。一回だけじゃなくて、一晩中、ずっと。胸は弄られすぎてぷっくり腫れているし、見下ろすと至るところに赤い点がついているし、お尻も少し痛い。気持ちよかったけど、何度もやめてって言ったのに、オーバン様はやめてくれなかった。イッてもイッても止まらなくて、僕は快楽に溺れて喘ぐことしかできなかった。ぅう。恥ずかしい。

「うごけない」
「少し熱があります。休んでいてください。今日はボーモンが居ないので、私がクウのお世話をします」
「珍しい、ですね。ボーモンさんが不在、なんて」
「少々、面倒な仕事を頼みましたからね。大丈夫。夕暮れ時には帰って来ます」
「ん」

 ベッドに仰向けに寝かされて口を塞がれる。触れるだけだった口付けは、少しずつ深くなって自分から求めてしまう。オーバン様もそれが分かっているのか、何度も何度も舌を絡め取って優しく犯してくる。

「煽らないでください。クウ。また、我慢できなくなってしまいます」
「もう、むり、です! やすませて、ください!」
「分かっています。これ以上、クウに無理強いはしません。二人でゆっくり体を休めましょう」
「ぅん」

 今度はおでこに口付けられて、僕は咄嗟に目を閉じてしまう。ゆっくり開けると愛おしそうに僕を見つめるオーバン様の綺麗な顔。オーバン様に触れられるだけで、こうして見つめられるだけで、僕は幸せな気持ちになる。

「おやすみなさい。クウ」

 優しく頭を撫でられて、僕は安心して深い眠りに就いた。オーバン様の手の温もりを感じながら。
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