三題噺を毎日投稿 3rd Season

金の亡者・ゴールデンタイム・池袋駅西口

　池袋駅西口。久しぶりに行く街。いつ行ったって見上げてしまうほど高いビルばかりの街。南北を結ぶ電車に乗りながら揺られている。眼下に見える幅が広い川が思い出の中のものとちっとも変わってなくて、安心する。でも、たどり着く先に待っている景色が変わっていると思うと不安は拭いきれない。

　いろんなことがあってしばらく訪れることが困難になっていた。それも開放されて少し時間が経った。やっぱり怖くて、しばらくは行くのを控えていた。けれど、いつまでもいかないと言う選択が出来なかったので満を持しての池袋駅西口へ向かっている。

　あれだけ毎週のように訪れていた街だったのに。今は遠く感じる。

　まるで夢のような時間だった。思い返せばそう思う。愛に溢れた人ばかりだった。それが心地よくて、いつまでだって浸っていたい気持ちにさせてくれてた。

　金の亡者たちが集まっていたのも確かだ。あそこには愛があるだけじゃなくて、そんな人達もいた。けれど、そんな人達は押し流されてしまうくらいにあそこには特別な、なにかがあった。

　とりあえずは今日はひとりだ。約束もしていない。それは昔も今も変わっていない。変わったのは行った先に知り合いがいるかどうかの保証がないってことだけだ。

　それだけでも、おおきく変わったなと思う。やっぱり元に戻りつつあるといっても完全には戻れないのだ。加えて誰もいないことをいいことに最後まで一歩を踏み出すかどうか悩みもしていた。お陰で、時間はゴールデンタイムを迎えようとしている。

　やっぱり人は溢れんばかりに集まっているのだろうか。

　近づけば近づくほど自分の中で何かが高まっているのが分かり、自分の中で気持ちは眠っていただけだったのだと。改めて思いしらされて。

　ちょっとだけ嬉しかった。