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支払い・雪・貯金箱
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ほんとは家から出たくなかったのになぁ。
足元が緩い中、靴が濡れるのを気にしながら歩くと妙に疲れる。それが雪の上を歩くのならなおさらだ。
そもそもだが、都会の雪はどうしてこうも歩きにくいのだ。水分が多くてすぐにべちゃべちゃと音を立てて靴へと染み込もうとする。まったくもって許されるものではない。
はあ、イライラする。こんな天気の中、歩く羽目になったのは自分の普段のめんどくさいが原因とは言え、やるせない。
支払い期限が迫っていることには気が付いていたのに、その期限がもうすぐだと知っていながら、確認しなかったのは一種の現実逃避だ。見なくても日付は変わらずにそこにあると言うのに、シュレーディンガーの猫のように観測しなければ確定しないのだと、心のどこかでそう思っていたに違いない。
いや、嘘だ。
一度確認したからもうすぐ支払期限だと知っていたわけで、観測はしてしまっているのだ。だからと言って観測しなかったかたと言って結果は変わらない。なんなら支払期限を過ぎて延滞料を課せられていた可能性だってある。
そういくら言い訳しても悪いのはすべてをめんどくさくて動かなった自分なのは毎違いない。
だから、靴が濡れるくらいでイライラしてはいけないのだ。きっと。
はあ、なんで銀行口座にお金が入ってなかったのだろう。絶対足りると思ってたのにな。
気が付けば減っている口座の残高に常日頃から不思議に思っている。けれど、不思議なもので調べれば調べるほど自分で使った形跡しかない。全体を通してみるとまったくそんな覚えはないのに、よく見てみると記憶が掘り起こされるのだ。まったくもって不思議でしかない。
しまいには、お金が足りなくなってこうやって貯金箱の中をひっぱりだして、銀行に足を運ぼうと思ったらこの雪だ。たまったもんじゃない。
どさ雪は水を含みながらも徐々に地面を白く染めようとしている。それをみんなは知っているのか外を歩いている人はまばらだ。寒さも相まってこんな日に出かける変わり者はいない。いるのはどうしてもでなければならない人と、この状況を楽しめる変人だけだ。
ふと、街が全体的に静かすぎることに気が付いた。なぜかとあたりを一通り見渡して初めて気が付く。開いているお店の数が異様に少ないのだ。まだ昼間だと言うのにおかしくはないか。
すると一軒の店の前に張り紙が張ってあるのを見つけた。
『今日の大雪の警戒予報につき、営業をお休みさせていただきます』
続くのは昨日の日付。もしかしてこの雪は昨日から予報されていたものだと言うのか。だから計画して休業していると。
えっ。
もしかしてと不安になってスマホを取り出して、目的地の名前を検索バーに入力する。
検索結果の一番上にニュース欄があって。
『臨時休業のお知らせ』
その文字列を見て。絶望と、めんどくさがりやな自分を心底憎んだ。
足元が緩い中、靴が濡れるのを気にしながら歩くと妙に疲れる。それが雪の上を歩くのならなおさらだ。
そもそもだが、都会の雪はどうしてこうも歩きにくいのだ。水分が多くてすぐにべちゃべちゃと音を立てて靴へと染み込もうとする。まったくもって許されるものではない。
はあ、イライラする。こんな天気の中、歩く羽目になったのは自分の普段のめんどくさいが原因とは言え、やるせない。
支払い期限が迫っていることには気が付いていたのに、その期限がもうすぐだと知っていながら、確認しなかったのは一種の現実逃避だ。見なくても日付は変わらずにそこにあると言うのに、シュレーディンガーの猫のように観測しなければ確定しないのだと、心のどこかでそう思っていたに違いない。
いや、嘘だ。
一度確認したからもうすぐ支払期限だと知っていたわけで、観測はしてしまっているのだ。だからと言って観測しなかったかたと言って結果は変わらない。なんなら支払期限を過ぎて延滞料を課せられていた可能性だってある。
そういくら言い訳しても悪いのはすべてをめんどくさくて動かなった自分なのは毎違いない。
だから、靴が濡れるくらいでイライラしてはいけないのだ。きっと。
はあ、なんで銀行口座にお金が入ってなかったのだろう。絶対足りると思ってたのにな。
気が付けば減っている口座の残高に常日頃から不思議に思っている。けれど、不思議なもので調べれば調べるほど自分で使った形跡しかない。全体を通してみるとまったくそんな覚えはないのに、よく見てみると記憶が掘り起こされるのだ。まったくもって不思議でしかない。
しまいには、お金が足りなくなってこうやって貯金箱の中をひっぱりだして、銀行に足を運ぼうと思ったらこの雪だ。たまったもんじゃない。
どさ雪は水を含みながらも徐々に地面を白く染めようとしている。それをみんなは知っているのか外を歩いている人はまばらだ。寒さも相まってこんな日に出かける変わり者はいない。いるのはどうしてもでなければならない人と、この状況を楽しめる変人だけだ。
ふと、街が全体的に静かすぎることに気が付いた。なぜかとあたりを一通り見渡して初めて気が付く。開いているお店の数が異様に少ないのだ。まだ昼間だと言うのにおかしくはないか。
すると一軒の店の前に張り紙が張ってあるのを見つけた。
『今日の大雪の警戒予報につき、営業をお休みさせていただきます』
続くのは昨日の日付。もしかしてこの雪は昨日から予報されていたものだと言うのか。だから計画して休業していると。
えっ。
もしかしてと不安になってスマホを取り出して、目的地の名前を検索バーに入力する。
検索結果の一番上にニュース欄があって。
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その文字列を見て。絶望と、めんどくさがりやな自分を心底憎んだ。
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