三題噺を毎日投稿 3rd Season

次世代型ゲーム機・完璧な一カ月・同人誌

　子どもに次世代型ゲーム機の話題を振ったら嫌そうな顔をされた。そんなことよりゲーミングパソコンが欲しいと言うのだ。それも自分専用の。まだ小学生のうちから贅沢だと思うが、そうじゃないと周りの子たちについていけないというのだ。

　FPSに大事なのは機器の設備投資。そして快適なネット回線だと言うのだ。それ次第で戦績が変わる。あまりにしょっぱい環境だと周りの迷惑になる。というのが子ども言い分だ。

　最近の学校ではそんなことが流行っているのかと驚きもしたがどうやら周りというのはネットで知り合ったコミュニティを指すらしく、そんなの全然周りじゃないかとツッコみたくなった。

　パパはこれで遊べば良いんでしょ？　と手渡されたコントローラーは現行のゲーム機。たしに自分としてはこれで十分だった。やりたいゲームは事足りるし、反応速度を要するようなゲームは元から苦手だ。
　
　しかしパソコンはすでに一台存在する。けれどそのパソコンの性能ではゲームは出来ないらしい。そもそも自分の同人誌を作るために買ったパソコンだ。おいそれと貸していては作業が滞ってしまう。原稿を落とすなんてことはしたくない。

　だからと言って自分のパソコンより高価なパソコンを買ってあげるなんてことはできない。そんな余裕があるなら自分のパソコンを買い替えたい。そろそろ限界を感じてるのだ。

　ただただ買い与えるのもどうかと思ったので条件を出すことにした。

　完璧な一カ月。

　それを過ごすこと。

　朝は決まった時間に起き、夜も決まった時間に寝る。宿題をやる時間も制限時間内に終わらせなければならないし、遊ぶ時間も同様だ。

　自分で出しておいて無茶な話だと思う。大人だって難しいことなのに子ども。それもゲームがやりたいと言う子どもの目標設定としては高すぎると思う。けれど、それくらいの価値がそのパソコンにはあるのだ。

　しかし、子どもはそれを見事なまでにやりきった。

　言ったからには買わなくてはならない。約束を破るわけにはいかなかった。

　なけなしの貯金をはたいてゲーミングパソコンを購入した。そして遊ぶ条件もつけた。これまでと同じ生活をこれからも続けること。つまり完璧な一カ月の継続である。

　これには流石に不平不満もあったみたいだが、押し通した。それが功を奏したのか、子どもはメキメキと実力をつけていき、気がつけばプロゲーマになることになる。

　自分は夜中こっそりそのパソコンを借りて同人活動を続けられたので、これはきっと正しい選択だったのだ。