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ちゃんこ鍋・台風・魔法瓶
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風が家の壁を叩いているかの様だった。がたがたと揺れるのは窓ガラス。古いめのサッシは空気を室内に入れるのを防ぐには力不足だ。冷たい隙間風は室内に設置されている暖房の効果を阻害している。こたつが登場したのも寒さに耐えきれなかったから。
「ほら。鍋を用意してよ。コンロはあるんだよね?」
「ねえ。本当に大丈夫かな。冬なのに台風みたいな風の吹き方してるけど。帰れないんじゃない?」
わざわざ来てくれて嬉しいのだけれど。帰りのことは心配でならない。
「大丈夫だよ。今日はここに泊まるし」
「えっ。きいてないんだけど」
「大丈夫。こたつで寝るから」
そっちは大丈夫でもこっちは大丈夫じゃない。なにが大丈夫じゃないか自分に問い直してもちゃんと説明できないけど。
友人は魔法瓶を取り出すと、中身を鍋へと注ぎ始めている。ああ。もう止める間もない。
「しっかりだしを作ってきたよぉ」
本格的なちゃんこ鍋を食べたい。そう言ったのは確かに自分だ。けれどまさかだしから自分で作って開催する鍋パーティーがついてくるなんて知らなかった。
「ありがとうね。わざわざ」
「いいのいいの。私だって興味があったから作ってるの。実験みたいなものよ。こっちも助かってるの」
「そう? でも楽しみ。こんな天気だし、のんびりするのには良いかもね」
友人が泊まることを考えなければ少なくとも最高な過ごし方のように思える。
「ほら。材料を入れよう。用意してくれてるんだよね?」
「えっ? それ聞いてないよ。鍋だけ用意すればいいんじゃないの?」
「えっ。だしだけ持っていくからほかはよろしくっていったのに」
どうしよう。なにも入ってないちゃんこ鍋なんてちゃんこ鍋じゃない。
「材料を買いに行く?」
ふたりして窓の外を覗き込む。
「雨降ってきたね」
「ね」
買い物に行く天候ではない。外に出るのも危険を感じるレベル。
「どうしよっか」
「とりあえず、冷蔵庫にあるもので我慢しよっか。それでいい?」
「あっ。うん。仕方ないよね」
仕方ない。それなりにものはある。白菜に玉ねぎ、人参とウィンナー。鍋にさえなればなんでもいいや。
ままならないことばかり。まあ、それも楽しかったりするのだ。
「ほら。鍋を用意してよ。コンロはあるんだよね?」
「ねえ。本当に大丈夫かな。冬なのに台風みたいな風の吹き方してるけど。帰れないんじゃない?」
わざわざ来てくれて嬉しいのだけれど。帰りのことは心配でならない。
「大丈夫だよ。今日はここに泊まるし」
「えっ。きいてないんだけど」
「大丈夫。こたつで寝るから」
そっちは大丈夫でもこっちは大丈夫じゃない。なにが大丈夫じゃないか自分に問い直してもちゃんと説明できないけど。
友人は魔法瓶を取り出すと、中身を鍋へと注ぎ始めている。ああ。もう止める間もない。
「しっかりだしを作ってきたよぉ」
本格的なちゃんこ鍋を食べたい。そう言ったのは確かに自分だ。けれどまさかだしから自分で作って開催する鍋パーティーがついてくるなんて知らなかった。
「ありがとうね。わざわざ」
「いいのいいの。私だって興味があったから作ってるの。実験みたいなものよ。こっちも助かってるの」
「そう? でも楽しみ。こんな天気だし、のんびりするのには良いかもね」
友人が泊まることを考えなければ少なくとも最高な過ごし方のように思える。
「ほら。材料を入れよう。用意してくれてるんだよね?」
「えっ? それ聞いてないよ。鍋だけ用意すればいいんじゃないの?」
「えっ。だしだけ持っていくからほかはよろしくっていったのに」
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「どうしよっか」
「とりあえず、冷蔵庫にあるもので我慢しよっか。それでいい?」
「あっ。うん。仕方ないよね」
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