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江戸川乱歩・ピーターパン・高床式倉庫
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ピーターパンを見た。全身緑の手作り感のある服は。服と言うより衣装に見える。まあ、実際衣装なのだろう。決して空を飛んだりはしないはずだ。なぜならピーターパンは物語の中だけにしか存在だからだ。
それに単にピーターパンのコスプレをしているだけ。それが証拠に周りにも色々なコスプレをしている人たちがたくさん集まっている。これはそう言う会なのだ。自分が好きなキャラクターの格好をしてわいわいするイベント。多いのは最近のアニメのキャラクターなので、ピーターパンはちょっとだけ目立つ。それこそ舞台俳優がそのまま逃げ出してきたみたいにも見える。
「あのー。写真一緒に良いですか?」
ピーターパンに視線を送るのに夢中になっていたら自分のそばに来た人にも気が付かなかった。
「え、ああ。良いですよ」
人気キャラのコスプレをしたがゆえにこう言う依頼も多い。それ自体はたいへん喜ばしいことなのだが、こうも連続でポーズを取り続けていると流石に疲れる。
江戸川乱歩をモチーフにしたそのキャラクターはゲームの登場人物のひとり。人気投票でも一位を争う存在だ。同じキャラクターのコスプレをしている人はそれなりにいるのだけれど。他よりも声を掛けられている気がする。自意識過剰じゃないよね。きっと。
そういうのはやっぱり単純に嬉しいと思うことができる。そんな中でもピーターパンは気になり続けた。なんでだろう。ひとり目立っているのだ。人だかりが出来ているわけでも華があるわけでもない。
気ままに歩くピーターパンは高床式倉庫へと入っていく。それも作り物だ。セットのひとつ。最近の流行りに沿って運営さんが用意してくれたものだったのだけれど。流行り始めたばかりのコンテンツ。まだ利用する人も少ない。
だから不思議なのだ。ひとり入っていくピーターパンはその空間には不釣り合いに見えた。
「えっと。あのごめんなさい」
見失いないたくない。そんな衝動にかられ走り出した。目指し高床式倉庫は十秒も走れば着く距離だったのだけれど。なかに入るとピーターパンの姿が見えない。入り口ひとつ。窓はない。おかしいどこへ消えてしまったのだろう。慌ててあたりを見渡す。狭い空間で隠れる場所もない。
見間違えたのかとも思い外へと飛び出す。すると空へと飛び立つなにか緑の影が目の端に入った気がした。
まさか。そんなバカなことは……。
そこから先ピーターパンの姿を見ることはなかった。それを覚えているが決して口に出すこともなかった。
それに単にピーターパンのコスプレをしているだけ。それが証拠に周りにも色々なコスプレをしている人たちがたくさん集まっている。これはそう言う会なのだ。自分が好きなキャラクターの格好をしてわいわいするイベント。多いのは最近のアニメのキャラクターなので、ピーターパンはちょっとだけ目立つ。それこそ舞台俳優がそのまま逃げ出してきたみたいにも見える。
「あのー。写真一緒に良いですか?」
ピーターパンに視線を送るのに夢中になっていたら自分のそばに来た人にも気が付かなかった。
「え、ああ。良いですよ」
人気キャラのコスプレをしたがゆえにこう言う依頼も多い。それ自体はたいへん喜ばしいことなのだが、こうも連続でポーズを取り続けていると流石に疲れる。
江戸川乱歩をモチーフにしたそのキャラクターはゲームの登場人物のひとり。人気投票でも一位を争う存在だ。同じキャラクターのコスプレをしている人はそれなりにいるのだけれど。他よりも声を掛けられている気がする。自意識過剰じゃないよね。きっと。
そういうのはやっぱり単純に嬉しいと思うことができる。そんな中でもピーターパンは気になり続けた。なんでだろう。ひとり目立っているのだ。人だかりが出来ているわけでも華があるわけでもない。
気ままに歩くピーターパンは高床式倉庫へと入っていく。それも作り物だ。セットのひとつ。最近の流行りに沿って運営さんが用意してくれたものだったのだけれど。流行り始めたばかりのコンテンツ。まだ利用する人も少ない。
だから不思議なのだ。ひとり入っていくピーターパンはその空間には不釣り合いに見えた。
「えっと。あのごめんなさい」
見失いないたくない。そんな衝動にかられ走り出した。目指し高床式倉庫は十秒も走れば着く距離だったのだけれど。なかに入るとピーターパンの姿が見えない。入り口ひとつ。窓はない。おかしいどこへ消えてしまったのだろう。慌ててあたりを見渡す。狭い空間で隠れる場所もない。
見間違えたのかとも思い外へと飛び出す。すると空へと飛び立つなにか緑の影が目の端に入った気がした。
まさか。そんなバカなことは……。
そこから先ピーターパンの姿を見ることはなかった。それを覚えているが決して口に出すこともなかった。
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