三題噺を毎日投稿 3rd Season

じょうろ・ディフェンス・古代ローマ

　じょうろで家の花壇に水やりをするのが日課になってはや数週間だ。めんどくさがり屋の自分がまさかこんなことを日課にするなんてついこのまえまで思いもしなかった。しかし、これは仕方ないこと。やらねばならない義務であるのだ。

　朝は出社、登校と家の前は賑やかな住宅街の通路だ。当然賑やかな時間帯が生まれる。そしてだいたいその時間帯に日課をこなす必要がある。今日もまもなくやってくるであろう、汚し屋から花壇を守らなくちゃいけない。いつからだろうか、気がつけば花壇にゴミが投げ捨てられているのを見つけた時は、犯人をどうやっても見つけ出してやろうと心に決めた。

　それがこの毎日の水やりへと繋がっている

　しかし、こうして我が庭を観察すればするほどディフェンスが弱い、ちゃんと塀を作ればよかったと思う。そう後悔しても、もう遅い。色んな人に反対されたしそもそも、今どき塀を立てる人なんていませんよと施工業者にも言われた。

　もう過ぎてしまったことは気にしてもしかたがない、肝心なのは今だ。ディフェンスが弱いならば自分でディフェンスすればいい。

　鋭い眼光を通行人に向け続けてひとりひとり観察する。大抵は無視するか、嫌そうな顔をする。流石に見ている前でゴミを投げ捨てたりはしないのか。まあ、それでもいいさ。ゴミが花壇に捨てられなければそれでいい。朝の日になってしまったのだけが少しだけめんどくさいだけ。めんどくさがり屋の自分にとっては習慣が出来てかえってよかったくらい。

　そこまではよかったのだけれど。ゴミがなくなることはなかった。きっと水やりをしていない時間帯に捨てられているのだ。だからといって、見張る時間を伸ばす訳にもいかないし。どうしようと頭を悩ませ続ける。

　きっと古代ローマから頭を悩ませ続けている課題のひとつだろう。やっぱり塀を立てるべきだった。

　なんども繰り返す内にだんだんとめんどくさくなって水やりもやめてしまった。そのうち花壇は見るも無惨な姿へと変わってしまう。

　悪い癖だ。

　これも古代ローマから人類が抱える課題。間違いない。