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ポリッシュ・せせらぎ・懐かしい
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指先にまで神経を集中させる。ふと、爪の先が欠けているのに気がついて慌ててヤスリを探す。爪の手入れは大事なことなのでいつでも手に取れるようにそばに置いているはず。
ごちゃごちゃした小物入れの中から見つけ出すと丁寧に爪の形を整えていく。まったく、疲れているとは言えどこんな基本的なことを怠るなんてきっと先輩に怒られる。
先輩はいつだって私のことを気にしてくれていた。爪が割れると致命傷なんだからと口を酸っぱくして根気強く手入れの仕方を教えてくれたのが本当に懐かしく思える。
まだ、一年も経っていないのにな。
歓声が上がったで爪の手入れを一旦止めて顔を上げる。誰かがボールを打ち返したみたいだ。ボールが高く舞い上がっているのがなんとなく見えた。スタンドまで届くとは思えない。まだ出番が終わったわけじゃないか。
七回裏。同点から逆転のチャンスは相手のグローブの中に吸い込まれていった。こっから延長戦。慌てて爪にポリッシュを塗る。先輩からもらった大事なポリッシュ。青藍色のそれはお守り代わりに大事な試合の前には必ず塗るようにしている。それも、いつまで続けられるのか。もう残り少ない中身を確認してそう思う。
たった一年で随分と使ったものだ。それだけ試合が多かったのもある。それに先輩に頼らないと投げられない場面も多かった。塗り終わると爪を眺める。それだけで力が湧いてくるような感覚がある。
よしっ。
気合を入れ直したところでちょうど攻守交代。延長戦はタイブレーク。いきなりのピンチから始まる。必ず抑えなくてはならないと言う思いが強くないと打たれてしまう。
『気負いすぎてはダメよ。マウンドに立ったらこの色を見て心を落ち着かせるの。これまでやってきたことをきちんと思い出して』
先輩に言われたとおりにしていればきっと勝てる。これまでもそうだった。私がバッターを抑え続けている限り、負けることはない。
マウンドにたどり着くと歓声が包み込むように聞こえてくる。圧倒されそうになるけれど気にしちゃいけない。心を落ち着かせないと。
青藍色の爪を見ていると先輩の顔が思い浮かぶ。現kに出、いつだってチームを引っ張って、勝利へと導いてくれた。私もそれに続かなきゃ。
歓声がせせらぎのように聞こえ始める。落ち着いていくのが分かる。
やれる。
握ったボールに力が込められた。見ててくださいね先輩。
そう、空を見上げた。
ごちゃごちゃした小物入れの中から見つけ出すと丁寧に爪の形を整えていく。まったく、疲れているとは言えどこんな基本的なことを怠るなんてきっと先輩に怒られる。
先輩はいつだって私のことを気にしてくれていた。爪が割れると致命傷なんだからと口を酸っぱくして根気強く手入れの仕方を教えてくれたのが本当に懐かしく思える。
まだ、一年も経っていないのにな。
歓声が上がったで爪の手入れを一旦止めて顔を上げる。誰かがボールを打ち返したみたいだ。ボールが高く舞い上がっているのがなんとなく見えた。スタンドまで届くとは思えない。まだ出番が終わったわけじゃないか。
七回裏。同点から逆転のチャンスは相手のグローブの中に吸い込まれていった。こっから延長戦。慌てて爪にポリッシュを塗る。先輩からもらった大事なポリッシュ。青藍色のそれはお守り代わりに大事な試合の前には必ず塗るようにしている。それも、いつまで続けられるのか。もう残り少ない中身を確認してそう思う。
たった一年で随分と使ったものだ。それだけ試合が多かったのもある。それに先輩に頼らないと投げられない場面も多かった。塗り終わると爪を眺める。それだけで力が湧いてくるような感覚がある。
よしっ。
気合を入れ直したところでちょうど攻守交代。延長戦はタイブレーク。いきなりのピンチから始まる。必ず抑えなくてはならないと言う思いが強くないと打たれてしまう。
『気負いすぎてはダメよ。マウンドに立ったらこの色を見て心を落ち着かせるの。これまでやってきたことをきちんと思い出して』
先輩に言われたとおりにしていればきっと勝てる。これまでもそうだった。私がバッターを抑え続けている限り、負けることはない。
マウンドにたどり着くと歓声が包み込むように聞こえてくる。圧倒されそうになるけれど気にしちゃいけない。心を落ち着かせないと。
青藍色の爪を見ていると先輩の顔が思い浮かぶ。現kに出、いつだってチームを引っ張って、勝利へと導いてくれた。私もそれに続かなきゃ。
歓声がせせらぎのように聞こえ始める。落ち着いていくのが分かる。
やれる。
握ったボールに力が込められた。見ててくださいね先輩。
そう、空を見上げた。
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