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第一章「戦力外の男」
第十九話「スライムの登場」
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「これは! スライム?」
「そうだ。最初がお馴染みさんで良かったな」
「おっき~~い」
アレットは驚き、ロシェルがいつものように語尾を伸ばし、間の抜けた当たり前の感想の述べ、ベルナールは笑う。
そのスライムは地上で出会うスライムとはサイズがケタ違いだ。
小さなスライムは可愛らしくもあるが、目の前のそれはデカイだけで凶悪だ。透明の巨体がウニウニと動いている。かなり気持ちも悪い。
これだけ大きくなれば切実な脅威として二人は感じているようだ。しかしスライムはスライムだ。攻撃力はない。
中心部では様々な色の魔核が光っていた。
「剣で刺してみろ」
すでに剣を抜いていたアレットはおっかなびっくりしながら進んだ。ロシェルも慌てて背中の弓を用意する。
「図体は大きいが、ただのスライムだよ。心配するな」
周囲が薄暗いのはこのデカぶつが魔力を吸い上げているからだ。
アレットが刺した剣は魔核までは届かない。
「ロシェル。弓を射掛けてみろ」
弓も突き刺さったままで特にスライムには変化はない。
「小さなスライム退治と同じで、中心の魔核を攻撃しなければならないんだ」
ベルナールは深々と剣をさすが、これも魔核までは届かない。
「ここから魔力で攻撃するんだ……」
スライムの中心部がより明るく輝いた。剣を抜いてベルナールはスライムから離れる。
「水が溢れるから離れるんだ」
アレットとロシェルは慌ててベルナールと共に距離をとった。更に光を増したスライムは突然に水の塊と化し、洞窟内に溢れる。
水が引き、三人は残された魔核を拾う。これで用水路でのスライム退治並の稼ぎなのだから効率は良い。
第三、第四階層と深部に進むと、戦いの掛声や岩が崩れる音などがどこからか聞こえて来る。冒険者たちが戦っているのだ。
支道に入り戦いの相手を確認するが、それほどの魔物ではないのでベルナールは加勢するすることもなく先へと進んだ。
途中には狙うのに適当な弱い獲物の気配も感じる。
「先に一番下に下りてみようか」
ベルナールとしても、今の最前線がどのような状態なのか興味がある。
第五階層に降りるともう人影はない。ここまで来る冒険者は少ないだろう。マークスは、今日はたいした獲物はいないと言っていた。
奥の巨大ホールからは戦いの音と冒険者たちの叫び声が聞こえた。定期的にB級が出るこのダンジョンの最深部だ。
「やってるのがいるのか」
この場所は輪番制のさながら闘技場だ。現われた脅威を計り、このパーティーならとギルドは討伐許可を出す。
「見学させてもらうか」
「「はい」」
二人にとっては初めてのダンジョン戦を見る機会だ。
「あいつらか……」
戦いはデフロットのパーティー対サイプロクスだった。
一つ目の巨人と剣を構えるデフロットが対峙し、三人のメンバーは後衛に就いている。このパーティーのいつもの陣形だ。
弓矢と魔法の援護攻撃を受けながら、デフロットは高機動で敵の背後に回り込もうと足掻いていた。
「ほう……」
なかなかの戦いぶりだとベルナールは感心する。しかしこの戦いは長くは続けられない。
「おっ、おっさん!」
デフロットは戦いの最中に、ベルナールたちに気が付いた。
「何してんだよっ!」
「弟子たちの勉強だ。観戦させてもらうぜ」
「ちっ、見せもんじゃねえぞっ!」
デフロットはそう叫んで巨人に斬りかかる。魔力がほとばしるが、サイプロクスは丸太のような腕で、それをなんなく阻んだ。
敵の力はB級の中程度かとベルナールは値踏みする。デフロットには強すぎず、弱すぎずの丁度よい獲物だ。
「そうだ。最初がお馴染みさんで良かったな」
「おっき~~い」
アレットは驚き、ロシェルがいつものように語尾を伸ばし、間の抜けた当たり前の感想の述べ、ベルナールは笑う。
そのスライムは地上で出会うスライムとはサイズがケタ違いだ。
小さなスライムは可愛らしくもあるが、目の前のそれはデカイだけで凶悪だ。透明の巨体がウニウニと動いている。かなり気持ちも悪い。
これだけ大きくなれば切実な脅威として二人は感じているようだ。しかしスライムはスライムだ。攻撃力はない。
中心部では様々な色の魔核が光っていた。
「剣で刺してみろ」
すでに剣を抜いていたアレットはおっかなびっくりしながら進んだ。ロシェルも慌てて背中の弓を用意する。
「図体は大きいが、ただのスライムだよ。心配するな」
周囲が薄暗いのはこのデカぶつが魔力を吸い上げているからだ。
アレットが刺した剣は魔核までは届かない。
「ロシェル。弓を射掛けてみろ」
弓も突き刺さったままで特にスライムには変化はない。
「小さなスライム退治と同じで、中心の魔核を攻撃しなければならないんだ」
ベルナールは深々と剣をさすが、これも魔核までは届かない。
「ここから魔力で攻撃するんだ……」
スライムの中心部がより明るく輝いた。剣を抜いてベルナールはスライムから離れる。
「水が溢れるから離れるんだ」
アレットとロシェルは慌ててベルナールと共に距離をとった。更に光を増したスライムは突然に水の塊と化し、洞窟内に溢れる。
水が引き、三人は残された魔核を拾う。これで用水路でのスライム退治並の稼ぎなのだから効率は良い。
第三、第四階層と深部に進むと、戦いの掛声や岩が崩れる音などがどこからか聞こえて来る。冒険者たちが戦っているのだ。
支道に入り戦いの相手を確認するが、それほどの魔物ではないのでベルナールは加勢するすることもなく先へと進んだ。
途中には狙うのに適当な弱い獲物の気配も感じる。
「先に一番下に下りてみようか」
ベルナールとしても、今の最前線がどのような状態なのか興味がある。
第五階層に降りるともう人影はない。ここまで来る冒険者は少ないだろう。マークスは、今日はたいした獲物はいないと言っていた。
奥の巨大ホールからは戦いの音と冒険者たちの叫び声が聞こえた。定期的にB級が出るこのダンジョンの最深部だ。
「やってるのがいるのか」
この場所は輪番制のさながら闘技場だ。現われた脅威を計り、このパーティーならとギルドは討伐許可を出す。
「見学させてもらうか」
「「はい」」
二人にとっては初めてのダンジョン戦を見る機会だ。
「あいつらか……」
戦いはデフロットのパーティー対サイプロクスだった。
一つ目の巨人と剣を構えるデフロットが対峙し、三人のメンバーは後衛に就いている。このパーティーのいつもの陣形だ。
弓矢と魔法の援護攻撃を受けながら、デフロットは高機動で敵の背後に回り込もうと足掻いていた。
「ほう……」
なかなかの戦いぶりだとベルナールは感心する。しかしこの戦いは長くは続けられない。
「おっ、おっさん!」
デフロットは戦いの最中に、ベルナールたちに気が付いた。
「何してんだよっ!」
「弟子たちの勉強だ。観戦させてもらうぜ」
「ちっ、見せもんじゃねえぞっ!」
デフロットはそう叫んで巨人に斬りかかる。魔力がほとばしるが、サイプロクスは丸太のような腕で、それをなんなく阻んだ。
敵の力はB級の中程度かとベルナールは値踏みする。デフロットには強すぎず、弱すぎずの丁度よい獲物だ。
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