こちら国家戦略特別室

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第9章 日本の国際競争力を高めろ!

日本の人口を増やそう!(その3)

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体は架空であり、実在のものとは関係ありません。

 僕たちは垓のシミュレーション結果のダイジェスト映像を見ている。

 まず、現行の制度では、永住権を申請するためには日本に10年間以上は滞在しないといけない。就労ビザを取得すれば日本に滞在できるのであるから、普通に日本で生活するためには永住権の取得までは必要ない。
 政府は永住権まで外国人に与えると混乱が生じる可能性があると判断し、永住権以外で滞在する要件を大幅に緩和することにした。これによって、日本に居住を希望する申請すればほとんどの就労ビザは取得できることとなった。

 日本政府が就労ビザの要件を緩和したら、多くの外国人が日本で就労するために入ってきた。
 日本での居住を希望する外国人のほとんどはアジア圏、特に東南アジアからの移住者が多かった。地理的に近いことと、文化が似ていることが大きな要因だと思う。

 次に、80万人の移住者が住む場所を政府が提供しはじめた。
 日本全国には空き家が800万件以上ある。所有者から政府が空き家を借り上げ、外国人移住者に貸し出すことを始めた。
 空き家の所有者は、政府に空き家を貸し出すことで小遣い稼ぎができる。それに、国に貸し出すため賃料が支払われない心配もない。だから、空き家の所有者には外国人移住者向け住宅政策は好評だった。
 また、外国人移住者は安価な住宅を日本政府から賃借することができるから、日本人オーナーと直接交渉する必要はない。民間の不動産業者・不動産オーナーに頼らずに住む場所を確保することができることから、外国人移住者からも好評だった。

 ***

 僕が垓のダイジェスト映像を見ていたら、インタビューに切り替わった。

 レポーターは〇〇村に訪問している。
 〇〇村は数年前まで高齢化・過疎化が進む、いわゆる限界集落だった。だが、外国人移住者が〇〇村に居住するようになってから賑やかな村になった。
 ダイジェスト映像には公園でサッカーをして遊ぶ子供が映っている。

「こんにちわーーー! ちょっと話してもいいかな?」とレポーターは遊んでいる子供たちに話しかけた。

 一番近くにいた男の子が「いーよー!」と答える。

 元気な男の子だ。日本人ではないから外国人移住者の子供のようだ。
 しっかりとした口調で話しているから小学生高学年だと思う。

「君はどこ出身なの?」
「僕たちはベトナムだよ」
「全員ベトナム人?」
「いや、この子はフィリピンだよ」
「日本人の子供はいないの?」
「クラスにはいるけど、今日は一緒じゃないね」

 レポーターはちょっと考える素振りをした。日本人の子供にもインタビューしたかったかもしれない。
 レポーターは気を取り直してインタビューを続ける。

「君たちが通う学校には日本人の子供はたくさんいるのかな?」
「あまりいないね。僕のクラスは40人なんだけど、日本人は1人だけだね」
「他のクラスもそうなの?」
「そうだね。1~2人くらいだよ」
「へー、日本人の子供は少ないんだ。ところで、君たちの学校はどこの国の子供が多いの?」
「僕の学校はベトナムかなー。インドネシア人、タイ人も多いよ」

「国際的な学校だね。学校は楽しい?」
「楽しいよ。給食も美味しいし!」

 食べ物の話題は全世界共通だ。レポーターは嬉しそうに男の子に質問した。

「給食は何が好きなの?」
「うーん。僕のお気に入りはバインセオかな。コムガーもいいね」
「バインセオ? それ、何料理なの?」

 レポーターは困惑している。昔の学校給食を思い出して質問したのだろうが、聞いたことがない料理が出てきた。

「バインセオはベトナム料理だよ。お好み焼きに似ていると思う」
「へー、コムガーは?」
「ベトナムの鶏肉料理だよ。中華料理の海南鶏飯とかタイ料理のカオマンガイに似てるかなー」

 まるで外国に来たようなカルチャーショックを受けている。レポーターの時代から学校給食のメニューが変わったのか、それとも〇〇村だけ特別なのかが分からない。

「他の学校もそうなの?」
「他の学校に通ったことないから分からない」
「そう……だよね。国際色豊かな給食なんだね」
「そうかもね。他にもマレーシア料理とか、インドネシア料理も出てくるよ」
「すごいなー」

 レポーターは「かつて限界集落と言われた村が、国際色豊かな村に生まれ変わったようです。まるで東南アジアに旅行にきたみたい。それにしても、私も給食を食べに行きたいです!」とインタビューを締めくくった。

 **

 僕はダイジェスト映像を見ていて少しワクワクした。
 きっと、日本中に国際色豊かな村がいくつも誕生しているのだろう。

<その4に続く>
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